当ページのリンクには広告が含まれています。
こんにちは。My Garden 編集部です。
木枯らしが吹き始め、他のお花たちが冬眠に入る寒い季節。そんな冬の庭やベランダで、まるで春が来たかのような明るい笑顔を振りまいてくれるのが「ビオラ」です。寒さに強く、初心者でも失敗しにくい丈夫さから、冬のガーデニングには欠かせない主役級の存在として愛されています。その可憐で愛らしい姿から、友人へのちょっとした手土産や、大切なパートナーへの感謝を伝えるプレゼントとして選ばれることも多い花ですよね。
でも、いざギフトとして贈ろうと思い、メッセージカードに添える言葉を探すためにスマートフォンで検索してみると、検索候補のトップに「ビオラ 花言葉 怖い」や「ビオラ 不吉」といった、ドキッとするような不穏なワードが並んでいるのを目撃したことはありませんか?
「えっ、もしかして贈っちゃいけないタブーな花だったの?」「相手に『呪い』や『不幸』みたいなネガティブな意味で伝わったらどうしよう…」
そんな予期せぬ不安に駆られて、購入をためらってしまったり、贈るのをやめてしまったりした経験がある方もいるかもしれません。せっかく相手を想って選んだ花なのに、誤解を生んでしまったら悲しいですよね。でも、安心してください。その心配は、ある「有名な神話の物語」と「植物的な特徴」が複雑に絡み合って生まれた、完全な誤解なんです。
この記事では、ビオラを愛する私たち編集部が、その誤解のルーツを徹底的に調査し、ビオラが持つ本当の魅力を解き明かしていきます。
この記事のポイント
- ビオラの花言葉に「怖い・不吉」な意味が一切存在しないという確かな真実
- なぜ検索候補に「怖い」と出るのか? その原因となったギリシャ神話のドロドロとした悲劇
- シェイクスピアの傑作『ハムレット』がパンジー(ビオラ)のイメージに与えた決定的な影響
- 色ごとに秘められた「誠実」や「純愛」など、ギフトに最適な心温まるメッセージの詳細
ビオラの花言葉が怖いと言われる理由

まず、読者の皆様が一番気にされている結論から明確にお伝えします。ビオラという花自体には、「怖い」「死」「呪い」といったネガティブな花言葉は一つも存在しません。
では、なぜこれほどまでに「怖い」というイメージがインターネット上で独り歩きし、多くの人が検索してしまうのでしょうか。詳しく調査を進めると、そこには植物としてのビオラの特徴と、古くから語り継がれてきた神話や文学が複雑に絡み合った、3つの大きな要因が見えてきました。誤解を解くために、そのルーツを一つずつ紐解いていきましょう。
名前の由来となったギリシャ神話の悲劇

ビオラ(Viola)という学名は、ラテン語で「紫色の花」を意味しますが、その語源をさらに遡ると、ギリシャ語の「ion(イオン)」、そしてギリシャ神話に登場する一人の美しい少女「イオ(Io)」の名前にたどり着きます。このイオにまつわる物語こそが、ビオラに「怖い」というイメージを植え付けた最大の元凶と言えるでしょう。
神話の内容は、ロマンチックな恋物語というよりは、現代の感覚で言えばサスペンスドラマも顔負けの恐怖と理不尽さに満ちています。
ゼウスの身勝手な恋とイオの変身
全知全能の神ゼウスは、ある日、川の神の娘であるイオを見初め、激しい恋に落ちます。しかし、ゼウスにはヘラという、非常に嫉妬深く恐ろしい妻がいました。ヘラに見つかることを極度に恐れたゼウスは、とっさにイオの姿を人間から「白い牝牛」へと変えてしまったのです。「美しい花を咲かせた」というエピソードではなく、「愛する女性を牛に変えた」という点がすでに衝撃的ですよね。しかも、ビオラの花は、牛に変えられて牧草しか食べられなくなったイオを不憫に思ったゼウスが、彼女のために創り出した花だとも言われています。
神話におけるイオの受難(ここが本当に怖い!)

イオの悲劇は、牛に変えられただけでは終わりません。夫の浮気を察知した妻ヘラは、ゼウスからその牝牛(イオ)を取り上げると、恐ろしい監視役をつけました。それが、全身に百個もの目を持つ異形の巨人「アルゴス」です。
アルゴスは眠る時も交代で目を開けているため、イオは24時間365日、一瞬たりともプライバシーのない異常な監視下に置かれました。さらに、イオが解放された後も、ヘラの怒りは収まらず、巨大なアブ(毒虫)を放ち、執拗に追い回させました。鋭い毒針に刺される激痛と、耳元で鳴り響く羽音の恐怖で、イオは狂乱状態で世界中を逃げ惑うという「終わりのない責め苦」を受け続けたとされています。
このように、ビオラの名前のルーツには、「理不尽な身体変容」「異常な監視」「執拗な追跡と拷問」といった、ホラー映画のような要素が詰まっています。花言葉そのものではなく、「名前の由来となった神話のエピソードがあまりにも凄惨で怖かった」というのが、検索される理由の大きな一つです。
パンジーの花言葉とハムレットの混同

もう一つの大きな要因は、ビオラと見た目がそっくりな兄弟分、「パンジー」の存在です。実は、パンジーには「もの思い(Memories)」や「私を想って」という花言葉があります。これらは本来、静かでロマンチックな意味なのですが、ある世界的な文学作品の影響で、少しダークでメランコリックなニュアンスを含んで解釈されるようになりました。
その作品とは、シェイクスピアの四大悲劇の一つ『ハムレット』です。物語の終盤、ヒロインのオフィーリアは、父を殺され、恋人ハムレットに冷酷に拒絶されたショックで精神を病んでしまいます。正気を失った彼女が、虚ろな目で野花を摘み、王や王妃に配り歩くシーンはあまりにも有名です。
彼女はその狂気の最中でパンジーを手に取り、こう呟きます。
「これはパンジー、物思いのしるし」
(”And there is pansies, that’s for thoughts.”)
このシーンの直後、オフィーリアは川で溺死するという悲劇的な最期を遂げます。この強烈なストーリーによって、「パンジー(もの思い)=狂気への入り口、悲劇的な死の予兆」というイメージが文化的に深く定着してしまいました。ビオラはパンジーと非常に近しい関係にあるため、この「悲劇のヒロインの狂気」という怖いイメージが飛び火して、「ビオラにも不吉な意味があるのでは?」と誤解されてしまったと考えられます。
スミレ科の花言葉に共通するイメージ

植物学的な視点からも見てみましょう。ビオラもパンジーも、分類上は同じ「スミレ科スミレ属」の植物です。スミレ科の花言葉には「誠実」「愛」といった素晴らしいものが多い一方で、共通して「もの思い」や「私を想って」という意味合いが含まれます。
これは、ビオラの花の独特な咲き方に理由があります。ヒマワリやガーベラのように太陽に向かって元気に上を向くのではなく、ビオラはやや首を傾げるように、うつむき加減で咲くことが多いのです。その姿が、人が顎に手を当てて深く考え事をしている様子や、恋に悩んで伏し目がちになっているアンニュイな少女を連想させます。
「もの思い」の真意は「思慮深さ」
ここで言う「もの思い」は、決してネガティブな鬱や悩みを指すものではありません。大切な人を静かに想う「思慮深さ」や、相手の幸福を願う「知的な優しさ」を表しています。フランス語の「パンセ(思想・思考)」がパンジーの名前の由来になっていることからも、知的で静寂なイメージが根底にあることがわかります。
しかし、どうしても「悩み」や「憂い」という言葉が独り歩きしてしまい、そこから「暗い」「怖い」というネガティブな印象へと変換されてしまったのでしょう。
実際に怖い花言葉を持つ花との違い

インターネットで「花言葉」を検索する人の多くは、ギフトとして贈る際の「マナー違反」を恐れています。実際に、世の中にはプレゼントには不向きな、背筋が凍るような花言葉を持つ植物が存在することも事実だからです。
| 花の名前 | 怖い花言葉の例 | 備考 |
|---|---|---|
| スノードロップ | 「あなたの死を望みます」 | ※諸説あり、本来は「希望」などの良い意味もあるが、死にまつわる伝説が多い。 |
| クロユリ | 「呪い」「復讐」 | 戦国武将・佐々成政の伝説に由来し、贈り物にはタブーとされる代表格。 |
| トリカブト | 「復讐」「人間嫌い」 | 猛毒を持つ植物としての性質がそのまま花言葉に反映されている。 |
| 黄色のチューリップ | 「望みのない恋」 | 明るい色とは裏腹に、失恋を意味するためプロポーズなどでは避けるべき。 |
贈り物をしようとする心優しい方ほど、こうした「タブー」の存在を知っているため、「ビオラも大丈夫かな?」「念のため調べておこう」と慎重になります。その「安全確認のための検索行動」自体が検索ボリュームを押し上げ、「ビオラ 花言葉 怖い」というサジェストキーワードを作り出しているのです。つまり、この検索結果は、皆さんが相手を大切に想う「優しさの証明」でもあるんですね。
ビオラとパンジーの明確な違い

「そもそも、ビオラとパンジーって何が違うの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。園芸店では区別されて売られていますが、植物学的にはどちらも「スミレ科スミレ属」であり、交雑も自由にできるほど近い関係です。
一般的には、花の大きさ(花径)で区別されることが多いですが、最近の育種技術の進歩により、その境界線はますます曖昧になっています。
| 特徴 | ビオラ (Viola) | パンジー (Pansy) |
|---|---|---|
| 花の大きさ | 小輪 (約4cm以下)
可憐で可愛らしい印象。野の花のような風情がある。 |
大輪・中輪 (約5cm以上)
豪華で存在感がある。人の顔のような模様(ブロッチ)が目立つものが多い。 |
| 花数 | 非常に多い
株いっぱいに溢れるように咲く「多花性」が特徴。 |
やや少ない~普通
一輪一輪をじっくり鑑賞するタイプ。 |
| 耐寒性 | 極めて強い
雪に埋もれても、春になれば復活するほどの強さを持つ。 |
強い
ビオラに比べると若干寒さに弱かったが、最近の品種は改良されている。 |
| 最近のトレンド | フリル咲きや、アンティークカラーなど、パンジー顔負けの個性的な品種が増加中。 | 小輪でたくさん咲く「パンジー」も登場し、ビオラとの区別がつかない品種も多い。 |
最近では、パンジーの豪華さとビオラの多花性を兼ね備えた「よく咲くスミレ」のような中間的な品種も登場しています。どちらも育て方は簡単で、日当たりと水はけの良い場所に植えれば、冬の寂しいお庭を春まで長く彩ってくれます。ギフトとして選ぶ際は、名前の違いよりも「相手が好む色や雰囲気」で選んでしまって問題ありません。
ビオラの花言葉に怖い意味はない真実
ここまで「怖い」と言われる背景を詳しく解説してきましたが、ここからはビオラが持つ本当の花言葉についてお話しします。安心してください。ビオラに込められたメッセージは、どれも心が温かくなるような、ポジティブで誠実なものばかりです。
ビオラは色によって異なる素敵な意味を持っています。贈る相手のキャラクターや、伝えたい気持ちに合わせて色を選べば、あなたの想いはもっと深く伝わるはずです。花束や寄せ植えを作る際の参考にしてみてください。
色別に見るビオラのポジティブな花言葉

まず、ビオラ全体を象徴する花言葉は「誠実」「信頼」「もの思い」「私を想って」です。これだけでも十分に愛の告白や、友情の証として使えますが、色ごとの詳細なメッセージを知っておくと、より洗練されたギフトになります。
紫や青のビオラが表す誠実な愛
ビオラの原種に近い色である紫や青は、最もビオラらしい色と言えます。この寒色系のビオラには、非常に真面目で、精神性の高い愛情の意味が込められています。
- 紫のビオラ: 「揺るがない魂」「思慮深さ」「誠実」
- 青のビオラ: 「誠実な愛」「純愛」
紫色は古くから高貴な色として扱われ、深い精神性や知性を象徴します。また、青色は「サムシングブルー」の伝説にあるように、純潔や永遠の幸せを願う色です。チャラチャラした恋ではなく、地に足のついた深い関係性を築きたい時にぴったりの色と言えます。
おすすめのシチュエーション
「あなたのことを真剣に想っています」や「ずっと信頼しています」というメッセージを伝えたい時に最適です。恋人へのプレゼントはもちろん、尊敬する恩師への感謝のギフトや、長く付き合っているパートナーへの改めての愛の証としても、決して失礼になることはありません。
黄色や白のビオラは純粋な幸せ
冬の低い日差しの中でも、パッと明かりが灯ったように咲く黄色や白のビオラ。その見た目通り、明るくピュアで、穢れのない花言葉を持っています。
- 黄色のビオラ: 「田園の喜び」「ささやかな幸せ」
- 白のビオラ: 「純粋」「慎み」「律儀」「あどけない恋」
黄色はビタミンカラーの代表格。「田園の喜び」という言葉は、派手な贅沢ではなく、日々の暮らしの中にある温かい幸せや、牧歌的な安らぎを表しています。白のビオラは、何色とも喧嘩しない協調性と、清楚な美しさを持っています。
おすすめのシチュエーション
友人の誕生日や、出産祝い、新築祝いなど、「これからの生活が明るく幸せでありますように」という願いを込めるシーンにぴったりです。また、喧嘩してしまった後の仲直りのきっかけとして、「ささやかな幸せ(=あなたといる日常)」を取り戻したい、というメッセージを込めて贈るのも素敵ですね。
赤やピンクのビオラは恋の思い出
最近の品種改良で増えてきた、暖色系のビオラ。アプリコットやテラコッタのような複雑な色合いも人気ですが、基本となる赤やピンクには、甘酸っぱいロマンチックな意味が含まれます。
- 赤・エンジ色のビオラ: 「思い出」「もの思い」「思想」
- ピンクのビオラ: 「私を想って」「少女の恋」
鮮やかな赤は、情熱というよりは、心に深く刻まれた大切な記憶を象徴します。そしてピンクは、初々しいときめきや、可愛らしい恋心を連想させます。「少女の恋」なんて、聞いているだけで胸がキュンとするような響きですよね。大人になっても忘れたくない、純粋な気持ちを思い出させてくれます。
おすすめのシチュエーション
バレンタインデーやホワイトデーの贈り物に、チョコレートやお菓子に添えて贈るのがおしゃれです。また、卒業シーズンに「一緒に過ごした思い出を忘れないで」という気持ちを込めて、友人と交換し合うのも素敵な使い方と言えるでしょう。
ビオラの花言葉は怖い噂とは無縁の結論

ここまで詳しく解説してきた通り、ビオラの花言葉には「呪い」や「死」といった怖い意味は一切見当たりませんでした。存在するのは、大切な人を誠実に想う心や、日々のささやかな幸せを願う、優しく温かいメッセージだけです。
まとめ:ビオラは安心して愛せる花です
- 「怖い」という噂は、ギリシャ神話(イオの悲劇)やハムレットのオフィーリアのイメージによる誤解です。
- ビオラ全体の花言葉は「誠実」「信頼」など、人間関係を深めるポジティブなものばかりです。
- 色によって「純愛(青)」や「ささやかな幸せ(黄)」など、素敵な意味を選び分けることができます。
- 冬から春まで長く咲き続けるその姿は、あなたの誠実な気持ちを長く伝え続けてくれるでしょう。
もし、あなたの周りで「ビオラって花言葉が怖いらしいよ?」と不安がっている人がいたら、ぜひ自信を持って教えてあげてください。「それは神話の誤解なんだよ。本当は『誠実』っていう、すごく素敵な意味があるんだよ」と。正しい知識があれば、ビオラを育てる喜びも、誰かに贈る幸せも、きっと何倍にも膨らむはずです。今年の冬も、可愛いビオラたちと一緒に素敵なガーデニングライフを過ごしましょう。
|
|


