こんにちは、My Garden 編集部です。
庭先を彩る植物の中でも、クレマチスは格別の存在感がありますよね。特に「水面の妖精」という名前を聞くだけで、どんなに美しい花が咲くのだろうとワクワクしてしまいます。でも、実際に育ててみようと思うと、クレマチス水面の妖精の育て方は難しいのではないか、剪定のタイミングや日当たりはどうすればいいのかと、不安に感じることも多いかなと思います。
この品種は、繊細な紫色のグラデーションが本当に美しく、見る人を一瞬で虜にする魅力を持っています。しかし、フロリダ系特有の性質や新旧両枝咲きという特徴をしっかり押さえておかないと、思ったように花が咲かなかったり、夏越しに失敗してしまったりすることもあるかもしれません。この記事では、そんなお悩みを解決するために、水面の妖精を元気に美しく咲かせるための具体的なコツを詳しくまとめました。この記事を読み終える頃には、自信を持って栽培を楽しめるようになっているはずですよ。
この記事のポイント
- 水面の妖精が持つ独特な花の変化と品種の特性
- 失敗を防ぐための理想的な栽培環境と土作りの方法
- 初心者でも迷わない新旧両枝咲きの剪定と誘引のコツ
- 美しい花を繰り返し咲かせるための肥料と病害虫の管理
魅力的なクレマチス水面の妖精の育て方と基本の品種特性
まずは、水面の妖精がどのようなクレマチスなのか、そのルーツや基本的な性質から見ていきましょう。この品種ならではの個性を知ることで、日々の管理がぐっと楽しく、そしてスムーズになりますよ。
廣田哲也氏が作出した水面の妖精の魅力

「水面の妖精(Clematis ‘Minamo-no-yousei’)」は、日本の個人育種家である廣田哲也氏によって2012年に生み出された、まさに日本を代表する名花の一つです。私たちがこの花に惹かれる最大の理由は、そのネーミングに負けない幻想的な美しさにあります。キラキラと光る水面を妖精が舞っているかのような、透明感と品格を兼ね備えた姿は、海外の強健な品種にはない「和の情緒」や「繊細さ」を感じさせてくれますよね。
作出者の廣田氏は、日本の多湿な夏や独特の四季の変化を熟知しており、それらの環境下でも美しく咲き誇るようにこの品種を送り出してくれました。そのため、初心者の方でも「難しそう」と気負わずに挑戦できるのが魅力です。中輪から大輪(約8~12cm)の花は一輪だけでも存在感があり、庭のどこに植えても主役級の活躍をしてくれます。私自身、園芸店で初めてこの花に出会ったとき、そのパウダー状に色が乗る不思議なグラデーションに一目惚れしてしまいました。ただ美しいだけでなく、日本の気候に適応しやすい遺伝子を持っているということは、育てる側にとって非常に大きな安心材料になります。品種登録された植物の適切な取り扱いについては、農林水産省の指針を確認することが大切です(出典:農林水産省『種苗法について』)。
育種背景と信頼性
個人育種家の方が丹精込めて作った品種は、大量生産される品種とは一線を画す「こだわり」が詰まっています。水面の妖精もその例に漏れず、花弁の重なり方や散り際の美しさまで計算されているように感じます。こうした日本生まれの品種を選ぶことは、気候の不一致による失敗を減らす賢い選択だと言えるかもしれませんね。また、廣田氏の作品は他にもいくつかありますが、この「水面の妖精」は特にフロリダ系らしい繊細さと、日本の庭事情にマッチする草丈(約1.5~2.5m)を両立させている点が秀逸です。ツルが伸びすぎないので、小さなアーチやオベリスクでも十分に管理可能です。日本国内で作出された経緯を持つため、海外産の品種よりも日本の湿度変化に対する生理的な順応性が高いという特徴もあります。これは、日本の高温多湿な梅雨時でも、導管の働きが維持されやすいという信頼感に繋がっていますね。
フロリダ系の特徴と新旧両枝咲きの性質

水面の妖精を語る上で欠かせないのが、その血統である「フロリダ系」というグループの特性です。フロリダ系はもともと中国原産のテッセンなどの流れを汲んでおり、その最大の特徴は「多花性」と「節咲き」にあります。多くのクレマチスがツルの先端付近にだけ花をつけるのに対し、フロリダ系はツルの節々に蕾をつけるため、株全体が花で埋め尽くされるような圧倒的な景観を作り出してくれるんです。この「節咲き」の性質により、下から上まで均一に花が配置されるため、ガーデンの密度が非常に高く見えます。
さらに特筆すべきは、本種が「新旧両枝咲き」という非常に便利な性質を持っている点です。
新旧両枝咲きとは、前年の古い枝から伸びた芽にも、今年新しく伸びた枝にも花を咲かせる性質のことを指します。これの何が嬉しいかというと、剪定の自由度が非常に高いということです。もし冬にツルを深く切りすぎてしまっても、春になれば新しいツルが伸びてしっかり花を咲かせてくれます。逆に、古いツルを長く残せば、より早い時期から多くの花を楽しむことも可能です。この柔軟な開花スタイルがあるからこそ、四季咲き性が非常に強く、春、夏、秋と何度も美しい姿を見せてくれるわけですね。自分の庭のスペースに合わせて、開花の位置や時期をコントロールできるのは、この品種ならではの大きなメリットです。管理が難しいと言われがちなクレマチスの中でも、この性質のおかげで初心者の方にも扱いやすい部類に入ります。ツルが細いため、細かなフェンスやワイヤーにも絡みやすく、空間を自在に演出できるポテンシャルを秘めています。
変化する花形と繊細な花色の楽しみ方

水面の妖精を育てていると、まるで魔法を見ているような感覚に陥ることがあります。それは、一輪の花が咲き始めてから終わるまでの間に、劇的な「変身」を遂げるからです。咲き始めは、すっきりとした半八重咲きの姿をしています。ところが、時間の経過とともに中心部の「花芯」と呼ばれる部分が針状に細かく発達し、最終的にはポンポンとしたボリューム満点の完全な八重咲きへと進化していくのです。この変化の過程を毎日観察できるのは、栽培者だけの特権ですね。
色彩についても同様に繊細です。基本の色調は赤紫から藤色ですが、そこに星斑のような細かい模様が砂目状に入ります。この色の出方は、その時の気温や日照条件に大きく左右されます。例えば、涼しい時期には色が深く乗り、暑い時期には少し淡く透明感が増すといった具合です。さらに驚くべきは、外側の大きな花弁が散ってしまった後も、中心の装飾的な花芯がそのままの形で1ヶ月近く残り続けることです。一輪の観賞期間が非常に長いため、「いつ見ても咲いている」という満足感を得られやすい品種かなと思います。枯れゆく姿さえもアンティークな雰囲気を醸し出し、庭に深みを与えてくれますよ。花色が褪せていく様子も「水面のゆらぎ」を感じさせ、散り際まで愛着が湧くこと間違いなしです。この特殊な花弁構造は、生理学的に見ても非常に強靭で、雨に打たれても形が崩れにくいという実用的な美しさも備えています。
理想的な日当たりと風通しの条件
クレマチス栽培の鉄則として「頭は太陽に、足元は涼しく」という言葉があります。水面の妖精もこの例に漏れず、基本的には日当たりの良い場所を好みます。十分な日光を浴びることで、光合成が活発になり、花数が増え、色も鮮やかになります。しかし、ここで注意したいのが日本の夏の直射日光です。特に午後からの強い西日は、葉を傷めるだけでなく、株全体の温度を上げすぎてストレスを与えてしまいます。理想的なのは、午前中はしっかり日が当たり、午後は少し日陰になるような場所です。光の質によって花色の見え方も変わるため、午前中の柔らかな光の下で見る水面の妖精は格別な透明感を放ちます。
また、風通しの確保も同じくらい重要です。ツルが密に茂るフロリダ系は、内部が蒸れやすく、それが病気の引き金になることもあります。フェンスやトレリスに絡める際も、少しゆとりを持って誘引し、空気がスムーズに流れるように気をつけてあげてください。もし、住宅街などで風通しが確保しにくい場合は、下葉を少し整理してあげるだけでも効果がありますよ。「光・風・温度」の3バランスを整えてあげることが、水面の妖精を健やかに育てるための第一歩かなと思います。鉢植えの場合は、季節に合わせて場所を移動させてあげると、より元気に育ってくれますよ。特に梅雨時期の長雨が続く際は、雨が直接当たりすぎない軒下などに移動させると、葉の美しさをより長く保つことができます。
夏の暑さ対策と冬の耐寒性について

水面の妖精は日本生まれということもあり、耐寒性はかなり優秀です。一般的な平地であれば、マイナス10度から15度程度まで耐えられるため、特別な防寒なしで屋外越冬が可能です。冬の間、葉が茶色く枯れてツルだけになっても心配いりません。それは春に向けた「休眠」のサインです。ただし、寒風が常に吹き付けるような場所では芽が乾燥して傷むことがあるので、不織布を巻いたり、風除けのある場所に移動させたりするとより安心ですね。休眠期に根をしっかりと休ませることで、翌春の萌芽がより力強くなります。
課題となるのはやはり「夏」です。35度を超える猛暑日が続くと、地温が上昇して根の活動がストップしてしまいます。このとき、一時的に葉が枯れ上がることがありますが、これは株が休眠に入って身を守っている状態であることが多いです。ここで「枯れた!」と思って水を与えすぎたり、肥料をあげたりするのは逆効果。夏の対策としては、
- 株元にバークチップや腐葉土でマルチングをして地温上昇を防ぐ
- 鉢植えの場合は、二重鉢にするか、日陰の涼しい場所へ移動させる
- 夕方に「葉水(葉への霧吹き)」を行い、気化熱で温度を下げる
といったケアが有効です。秋になり涼しくなれば、また新しい芽が元気に伸びてくるので、じっくり見守ってあげましょう。特に、アスファルトの上に直接鉢を置くと熱が伝わりやすいので、スタンドを使って風を通すのも効果的なテクニックです。もし葉が完全に枯れてしまったとしても、茎の内部が緑色であれば生きていますので、諦めずに秋の芽吹きを待ちましょう。
鉢植えや庭植えに最適な土作りのコツ

クレマチスの根は、太くて長い「ごぼう根」のような性質を持っています。そのため、土作りで最も意識すべきは「排水性(水はけ)」と「保水性」の両立です。相反するように聞こえますが、水がさっと抜けるけれど、根が乾ききらないしっとりした状態が理想です。土壌の物理性が悪いと、根冠部の呼吸が妨げられ、生育不良の原因になります。
酸度(pH)についても少し触れておきますね。クレマチスは弱酸性から中性の土壌を好みます。日本の土は雨の影響で酸性に傾きがちなので、植え付けの1〜2週間前に苦土石灰を少量混ぜて調整してあげると、根の張りが良くなります。また、古い土を再利用する場合は、病原菌が残っている可能性があるため、必ず殺菌するか新しい土を導入するようにしましょう。しっかりとした土壌環境が整えば、水面の妖精の根は地中深くへと伸び、夏の暑さや冬の寒さにも負けない強靭な株へと成長してくれますよ。特に地植えの場合は、直径と深さが共に40cm程度の大きな穴を掘り、底の方に堆肥をしっかり仕込んでおくと、その後の育ちが格段に良くなります。根が縦に伸びる性質を考慮し、深さのある環境を作ってあげることが重要です。
失敗しないクレマチス水面の妖精の育て方と年間管理の秘訣
土台が整ったら、次は日常のメンテナンスです。「水面の妖精」のポテンシャルを120%引き出すための、具体的なテクニックをご紹介します。
深植えが重要となる生理学的な理由

クレマチス栽培において、最も基本的でありながら最も重要なテクニックが「深植え」です。通常、植物を植えるときは苗の土の表面を合わせるのが一般的ですが、クレマチス(特に大輪系の水面の妖精)の場合は、地上部のツルの節を1〜2節、地面の下に埋めて植え付けます。これには植物生理学的な深い理由があります。埋められた節にある潜伏芽が、土の保護を受けることで、環境ストレスに対する究極のバックアップとして機能するのです。
最大のメリットは、「地中芽」による再生能力の確保です。クレマチスには、突然ツルがしおれて枯れる「立枯病」という厄介な病気があります。もし地上部が全滅してしまっても、深植えしていれば土の中にある節から新しい芽が吹き出し、株を復活させることができるんです。いわば、土の中に予備のエンジンを隠しておくようなものですね。また、地中の節から複数のツルが伸びることで、株全体が「多条化(枝数が増えること)」し、将来的な花数が飛躍的に増えます。さらに、重要な成長点である根冠部を地中に深く置くことで、夏の熱気や冬の凍結から物理的に保護する効果もあります。この「深植え」ひとつで、栽培の成功率が格段に変わると言っても過言ではありません。最初は「ツルを埋めてしまうなんて」と抵抗があるかもしれませんが、将来的な株の安全と豪華な開花のために、勇気を持って実践してみてください。根元から複数の枝が立ち上がる「株立ち」の姿は、単一の枝よりもずっと見応えがありますよ。
水切れと根腐れを防ぐ正しい水やり

水やりは、単に水分を補給するだけでなく、土の中の古い空気を押し出し、新しい酸素を根に届ける役割も持っています。水面の妖精は、その豪華な八重咲きを維持するために、開花期には非常に多くの水分を必要とします。特に、蕾が色づき始めてから完全に開くまでの間に水切れさせてしまうと、花びらが最後まで開ききらなかったり、花が小さくなってしまったりと、本来の美しさを損なう原因になります。水が不足すると、花弁の細胞膨圧が低下し、あの美しいポンポン状の形が作れなくなるのです。
基本は「土の表面が乾いたら、鉢底から水が溢れるくらいたっぷりと」です。「毎日少しずつ」という水やりは、土の表面だけが湿って肝心の根の先まで水が届かず、逆に根腐れを招くこともあるので注意してくださいね。
夏:早朝または夕方の涼しい時に。日中の水やりは鉢の中で水が「お湯」になり、根を茹でてしまう恐れがあります。
冬:地上部がなくても根は生きています。土が完全に乾いてから、暖かい日の昼間に数日に一度程度与えましょう。
特に水面の妖精は「鉢植え」で管理されることが多い品種ですが、鉢栽培の場合は土の容量が限られるため、真夏は1日2回の水やりが必要になることもあります。逆に休眠期は、鉢が凍結しないよう、夕方の水やりを避けて午前中に行うのが賢明です。土の状態をよく観察することが、成功の秘訣ですね。鉢を指で叩いてみて、軽い音がするようであれば乾燥が進んでいる証拠です。こうした五感を使ったチェックも、植物との対話として楽しんでみてください。
四季咲き性を高める肥料の与え方
「水面の妖精」が春から秋まで繰り返し咲く力を最大限に引き出すためには、適切なタイミングでの栄養補給が欠かせません。クレマチスは非常に肥料を好む植物ですが、一度に大量に与えるのではなく、植物の成長サイクルに合わせて継続的に効かせることがポイントです。まず、12月から1月にかけて行う「寒肥(元肥)」は、春の爆発的な芽吹きのエネルギー源となるため、最も重要な作業の一つです。この時期には、土壌微生物によってゆっくりと分解され、地力を高める有機質肥料(魚粉や骨粉入りのナタネカスなど)を株元から少し離れた場所に施しましょう。地中の根が活動を始める早春に、ちょうど肥料分が利用可能な形に分解されているのが理想です。
成長期にあたる3月から10月にかけては、1〜2ヶ月に1回のペースで緩効性の置肥を与えつつ、さらに開花期には10日から2週間に1回程度の液体肥料を併用するのが理想的です。特に水面の妖精のような八重咲き品種は、一輪を咲かせるために膨大なエネルギーを消費するため、栄養が不足すると二番花以降の花数が極端に減ったり、自慢の藤色が薄れてしまったりすることがあります。リン酸分が多めの液体肥料を与えると、花色と花持ちが劇的に改善されますよ。ただし、地温が30度を超えるような真夏は、根も夏バテ状態で肥料を吸収する力が弱まっています。この時期に無理に濃い肥料を与えると「肥料焼け」を起こして根を傷めてしまうので、通常の2倍程度に希釈した液肥を活力剤代わりに与えるか、思い切って施肥を中断して株を休ませてあげることが、秋の開花に繋がります。四季咲き性を支えるのは、こうしたオンとオフの切り替えですね。
肥料管理のコツと注意点
肥料をあげる際は、必ず土が湿っている状態で行うのが基本です。カラカラに乾いた土にいきなり濃い液肥を流し込むと、浸透圧の関係で根の水分が奪われ、根がびっくりして傷んでしまうことがあるからです。また、窒素分が多すぎると葉ばかりが茂って花付きが悪くなる「つるボケ」状態になることもあるので、バランスの良い配合のものを選んでくださいね。開花期間中、花色が以前より薄くなったと感じたら、それは「お腹が空いた」というサインかもしれません。
開花をコントロールする剪定と誘引の技術

剪定は、クレマチス栽培の中で最も「難しそう」と感じられるハードルかもしれませんが、「水面の妖精」は新旧両枝咲きという非常に柔軟な性質を持っているため、実はそれほど神経質にならなくても大丈夫なんです。剪定の目的は、単に枝を切ることではなく、「次の花をどこに、いつ咲かせるか」をデザインすることにあります。この品種は、前年の古い枝から伸びたツルにも、今年新しく伸びた枝にも花を咲かせることができるため、栽培者の好みで姿をコントロールできます。剪定を行うことで、植物の頂芽優勢を人為的に分散させ、株全体のバランスを整えることができます。
まず、一番花が咲き終わった後の5月〜6月頃には、花から2〜3節下で切り戻す「弱剪定」を行いましょう。これにより、切った場所から約40〜50日ほどで新しい芽が伸び出し、二番花を楽しむことができます。冬の休眠期(12月〜2月)には、翌春の景観をイメージして剪定します。充実した芽(ぷっくりと膨らんだ芽)を数個残して、全体の3分の2程度の長さでカットする中〜弱剪定が一般的です。また、フロリダ系は放っておくとツルが上へ上へと伸びてしまい、株元が寂しくなりがちです。これを防ぐのが「誘引」の技術です。春先、ツルがまだ柔らかいうちに、できるだけ水平に近い角度でトレリスやオベリスクに巻き付けていくことで、芽の先端ばかりに栄養が行くのを防ぎ、低い位置の節からも花芽を出させることができます。このひと手間で、立体的な「花の壁」を作ることができますよ。
剪定と誘引の重要ポイントもし間違えて地際まで切り戻してしまったとしても、新旧両枝咲きの水面の妖精なら地面から新しい芽が出て花を咲かせてくれます。失敗を恐れず、ツルが混み合わないよう空間を作ってあげるイメージで作業しましょう。ツルを折ってしまった場合は、テープで固定しておけば自然に癒合することも多いですよ。
挿し木によるバックアップ苗の作り方

愛情を込めて育てている「水面の妖精」を、万が一のトラブルに備えてバックアップしておきたいと思うのは自然なことですよね。本種の挿し木に最も適した時期は、一番花が終わった直後の5月から7月にかけてです。この時期の枝は、細胞分裂が旺盛でありながら組織が一定の硬さを持ち、発根に必要な栄養を蓄えているため、成功率が非常に高くなります。この時期の枝は「半熟枝」と呼ばれ、適度な柔軟性と弾力を持っています。
具体的な手順としては、今年伸びた元気なツルを使い、節を1〜2つ含む長さ(約10cm)でカットします。下の節の葉を取り除き、上の節の葉は半分に切って蒸散を抑える工夫をしましょう。切り口は鋭利なカッターで斜めに切り直し、表面積を広げて水揚げを良くします。1時間ほど清潔な水に浸した後、発根促進剤を切り口に塗布して、肥料分のない清潔な赤玉土や鹿沼土に挿します。ここでの最大のポイントは、「挿した後は根が出るまで絶対に動かさないこと」です。クレマチスの根は非常に脆いため、少しの振動でも形成されたばかりの根毛が千切れてしまい、発根が止まってしまいます。鉢の底を数センチ水に浸す「プール挿し(腰水)」を行い、風の当たらない明るい日陰で管理すると、約1.5ヶ月で新しい根が出てきます。なお、登録品種を増やして他人に譲渡したり販売したりすることは法律で制限されています。あくまで個人の庭でバックアップとして楽しむ範囲に留めてくださいね。また、挿し木に使うカッターは、雑菌の侵入を防ぐために事前にアルコールなどで消毒しておくのが成功のコツです。
立枯病やハダニから守る病害虫対策
クレマチス栽培、特に大輪系の「水面の妖精」を育てる上で最大の難関が、突然ツルがしおれて枯れてしまう「立枯病」です。これはカビ(真菌)が原因で、ツルの傷口や節から侵入して植物の水分通路(導管)を塞いでしまう病気です。昨日まで元気だった株が突然ぐったりする姿はショックですが、まずは落ち着いて対処しましょう。予防には、風通しを良くして株の蒸れを防ぐこと、そして定期的な殺菌剤の散布が非常に有効です。もし発症してしまったら、しおれた部分を健康な組織を含めて早めに切り取り、二次感染を防ぎます。深植えをしていれば、土の中の芽から復活できる可能性が高いので、諦めずに管理を続けてください。
また、夏場の乾燥期には「ハダニ」が発生しやすくなります。葉の裏をチェックして、白っぽいかすり傷のような模様が出ていたら要注意です。ハダニは水に非常に弱いため、水やりのついでに葉の裏へシャワーをかける「葉水」を習慣にすることで、発生を劇的に抑えることができます。このほか、新芽や蕾を狙うナメクジやアオムシの被害にも気を配りましょう。害虫の発生は株が弱っている時に起こりやすいため、日頃の適切な肥水管理で免疫力を高めておくことが、結果として最強の病害虫対策になります。また、鉢植えの場合は地面に直接置かないことで、ネコブセンチュウの侵入を防ぐといった予防策も有効です。
病害虫対策の重要事項薬剤を使用する際は、必ず対象植物への適応を確認し、容器に記載された使用方法や安全上の注意を厳守してください。特に散布の時間帯や天候にも配慮し、周囲の環境に影響を与えないよう適切に扱ってください。正確な診断や処置については、農林水産省の情報を参考にしたり、専門家に相談したりすることをおすすめします(出典:農林水産省『病害虫防除に関する情報』)。
美しさを保つクレマチス水面の妖精の育て方まとめ
「水面の妖精」は、一度でもその満開の姿を目にすると、虜になってしまうほどの圧倒的な魅力を持っています。繊細な藤色のグラデーションが、時間をかけて豪華なポンポン状の八重咲きへと変化していくプロセスは、まさに生きている芸術品ですね。確かに、他の植物に比べれば剪定や病気の管理など、少し手がかかる部分はあります。しかし、その手間をかけた分だけ、春には庭中に「妖精」が舞い降りたような素晴らしい光景を見せてくれます。その変化に富んだ姿は、日々の生活に彩りと潤いを与えてくれるはずです。
ガーデニングに「失敗」はありません。たとえ一度枯れてしまっても、その原因を探り、翌年の糧にすることが栽培の本当の楽しさかなと思います。もし管理に迷ったときは、この記事でご紹介した「深植え」や「頭熱足涼」の原則を思い出してみてください。お住まいの地域の環境に合わせたあなたなりの育て方を見つけていければ最高ですね。この記事が、あなたのガーデニングライフにおいて、水面の妖精を元気に咲かせるための小さなしるべになれば嬉しいです。最終的な判断や微調整は、日々の株の様子をじっくり観察しながら、愛情を持って進めていきましょう。きっと、水面の妖精もその想いに応えて、見事な花を咲かせてくれるはずですよ。季節ごとに変わるその表情を、ぜひ特等席で楽しんでくださいね。
この記事の要点まとめ
- 水面の妖精は廣田哲也氏が2012年に出した日本生まれの名花である
- 咲き始めから完全な八重咲きへと劇的に姿を変えるのが最大の特徴である
- 新旧両枝咲きの性質を持ち剪定の強弱で花の高さや時期を選べる
- 日光を好むが真夏の強烈な西日は避け株元を涼しく保つのがコツである
- マイナス15度まで耐える強健さを持つが夏の地温上昇には注意する
- 排水性と保水性を兼ね備えた弱酸性から中性のふかふかな土を作る
- 植え付け時は2節分を土に埋める深植えで立枯病のリスクを分散する
- 開花中の水切れは花形を崩す原因になるため土が乾いたらたっぷり与える
- 冬の寒肥と成長期の置肥および液肥の併用で四季咲きの体力を維持する
- 花後は数節下で切り戻す弱剪定を行い約45日後の二番花を狙う
- ツルを横や斜めに誘引して頂芽優勢を抑え低い位置にも花を咲かせられる
- 挿し木は花後の半熟枝を使い清潔な土と高湿度で静置して管理する
- 立枯病予防のために風通しを確保し必要に応じて殺菌剤で保護する
- 乾燥期のハダニ対策には葉の裏へのシャワーが物理的に有効である
- 植物の観察を習慣にして環境に合わせた柔軟な手入れを継続する
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