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ルリ ムスカリと一般的な品種の違いとは?育て方も徹底解説

ルリ ムスカリ 春の庭で密集して咲く鮮やかな青紫色のルリムスカリの群生。葉が短く整った美しい草姿。 ムスカリ
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こんにちは、My Garden 編集部です。

春の庭を鮮やかな青紫色で彩るムスカリですが、実は私たちが普段よく目にするものとは少し違うルリムスカリという種類があることをご存知でしょうか。お店で売られているムスカリの多くはアルメニアカムという品種なのですが、ルリムスカリとは葉の形や咲き方が微妙に異なります。このページに辿り着いた方は、もしかするとご自宅のムスカリの葉がだらしなく伸びてしまって悩んでいたり、もっとシュッとした姿で咲く種類を探していたりするのかもしれませんね。あるいは、その美しい色に惹かれて花言葉や詳しい育て方を知りたいと思っているのではないでしょうか。

この記事では、そんなルリムスカリの魅力や他の品種との違い、そして初心者の方でも失敗しない栽培のコツについて、私自身の経験も交えながら詳しくお話ししていきたいと思います。

この記事のポイント

  • ルリムスカリは葉が広がらずコンパクトにまとまるのが最大の特徴
  • 一般的に流通しているアルメニアカム種とは葉の形や花の丸みが異なる
  • 花後は葉を切らずに光合成させることが翌年も咲かせるための秘訣
  • 植えっぱなしでも数年は元気に育つ初心者にも優しい球根植物
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ルリ ムスカリと一般的な品種の決定的な違い

「ムスカリ」とひと口に言っても、実は世界中に数多くの原種や品種が存在しているんです。私たちが園芸店やホームセンターで「ムスカリ」というラベルだけで購入しているものの多くは「アルメニアカム」という特定の種類なのですが、本来の「ルリムスカリ(学名:Muscari botryoides)」とは、育ててみると分かる決定的な違いがいくつもあります。ここでは、ガーデニング好きなら知っておきたい、その見分け方やルリムスカリならではの特徴について、少しマニアックな視点も交えながら詳しく見ていきましょう。

だらしなく伸びない葉の特徴と見分け方

ルリ ムスカリ ルリムスカリとアルメニアカム種の葉の比較写真。左は葉が短く立つルリムスカリ、右は葉が長く垂れるアルメニアカム種。

私がルリムスカリを特におすすめしたい最大の理由は、なんといってもその草姿の美しさと行儀の良さにあります。一般的なムスカリ(主にアルメニアカム種)を育てたことがある方は、一度はこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。「秋に植えて、冬の間に葉っぱがどんどん伸びてしまい、春に花が咲く頃には葉が地面にデローンと長く垂れ下がって、まるでワカメのようになってしまった…」という経験です。せっかく可愛い花が咲いても、だらしなく伸びた葉に埋もれてしまっては、少し残念な気持ちになりますよね。特に雨が降った後などは、垂れた葉に泥が跳ねて汚れてしまうこともあり、美観を保つのが意外と難しい植物でもあります。

でも、ルリムスカリ(M. botryoides)は全く違うんです。まず、葉の幅が少し広めで、枚数も1球あたり2〜4枚程度と少ないのが特徴です。そして何より素晴らしいのが、葉が地面に寝るのではなく、スッと空に向かって立ち上がる性質を持っていることです。 アルメニアカム種のように長く伸びすぎて垂れ下がることがほとんどないため、花が咲いたときも葉が邪魔をせず、株元がすっきりとしていて、花穂の一つひとつが際立って見えます。

この「葉がコンパクトにまとまる」という特性は、限られたスペースでガーデニングを楽しむ場合や、小さな鉢植えで育てる場合において、非常に大きなメリットになります。寄せ植えにする際も、他の植物の邪魔をしないので、名脇役として活躍してくれるんですよ。見分け方のポイントとしては、葉の形をよく観察してみてください。細長くてダラッとしているのが一般的なムスカリ、少し幅広でシュッと立っているのがルリムスカリです。もし園芸店で苗の状態で見かけることがあれば、この葉の違いに注目してみると、すぐに見分けがつくようになると思います。

また、葉の色味にも若干の違いがあります。アルメニアカム種が濃い緑色をしているのに対し、ルリムスカリの葉は少し明るめの緑色をしていることが多いです。この明るい葉色が、春の光に当たると透き通るようで、花色とのコントラストをより一層引き立ててくれるんですよね。

怖い意味も?ルリムスカリの花言葉

植物を育てる際、その花に込められた意味やストーリーを知ると、より愛着が湧くものですよね。実は、ルリムスカリを含むムスカリ全般には、春の訪れを祝うようなポジティブな意味と、ちょっとドキッとしてしまうようなネガティブな意味の両方が存在しているんです。この二面性もまた、この花の神秘的な魅力の一つかもしれません。

ムスカリの主な花言葉

  • 明るい未来:長い冬を耐え抜き、春一番に鮮やかな色を見せてくれる姿から、希望の象徴とされています。
  • 通じ合う心:小さな花が密集して咲く様子や、他の植物と調和しやすい性質から、コミュニケーションや相互理解を表すとされています。
  • 寛大な愛:主張しすぎず、周囲を引き立てる献身的な姿に由来していると言われています。
  • 失望・絶望・失意:これは主にヨーロッパでの解釈です。紫色は悲しみを表す色とされる場合があり、ギリシャ神話の悲劇などが関連している説があります。

「絶望」や「失望」なんて言葉を聞くと、「庭に植えても大丈夫かな?」と少し怖くなってしまうかもしれませんね。でも、安心してください。これらのネガティブな意味は、主に西洋の古い文化や伝説的背景(例えば、ギリシャ神話に登場する美少年ヒュアキントスの死にまつわる伝説と、ヒアシンスやムスカリが混同されたことなど)に由来するものだと言われています。

日本では、寒さ厳しい冬を越えて、春の光の中でけなげに咲くその姿から、「明るい未来」や「夢にかける思い」といった、前向きで希望に満ちたメッセージとして捉えられることが一般的です。私自身も、庭でムスカリが咲き始めると「ああ、やっと春が来たんだな」と心が明るくなるのを感じます。

ただし、もし誰かにルリムスカリをプレゼントしたり、花束にして贈ったりする場合は、念のために配慮が必要かもしれません。受け取る方が花言葉に詳しい場合、誤解を招いてしまう可能性もゼロではないからです。「春の訪れを告げる『明るい未来』という素敵な花言葉があるので選びました」といった一言をメッセージカードに添えておくと、あなたの温かい気持ちがより正確に伝わるはずですよ。大人のマナーとして、こういった背景を知っておくと素敵ですね。特に結婚式などの祝いの席では、ポジティブな意味を強調して使うのが一般的です。

人気の白花品種アルブムなどの種類

ルリ ムスカリ 純白の小さな花が密集して咲くルリムスカリの白花品種「アルブム」。葉が短くコンパクトな草姿。

ルリムスカリといえば、その名の通り「瑠璃色(ラピスラズリの色)」のような深く鮮やかな青紫色が基本ですが、実はそれ以外にも非常に魅力的な品種が存在します。青いムスカリも素敵ですが、色違いの品種を混ぜて植えることで、お庭の雰囲気がガラッと変わり、より洗練された空間を作ることができるんです。

中でも私が特に気に入っていて、皆さんにもぜひおすすめしたいのが、白花品種の「アルブム(Muscari botryoides ‘Album’)」です。このアルブムは、まるで小さな真珠の粒を積み重ねたような、純白で愛らしい花を咲かせます。一般的な青いムスカリの中に、この白いアルブムをアクセントとして点在させて植えると、青と白のコントラストが生まれ、互いの色が驚くほど引き立ちます。また、白一色でまとめて植えると、清楚で清潔感のある「ホワイトガーデン」の演出にもぴったりです。アルブムもルリムスカリの系統ですので、葉はあまり伸びず、草丈も15cm〜20cm程度とコンパクトに収まるため、非常に扱いやすい品種です。

その他にも、近年では品種改良が進み、様々な色合いのムスカリが登場しています。例えば、「スーパースター」という品種は、目の覚めるような明るいコーンフラワーブルー(矢車菊色)の花を咲かせ、花弁の縁に白いラインが入るのが特徴です。密に花がつくのでボリューム感もあり、花壇の中で一際目立つ存在になります。

また、非常に稀少ではありますが、「カルネウム」と呼ばれるピンク色の花を咲かせる変種も存在すると言われています。一般の園芸店で見かけることは滅多にありませんが、もし見つけたらラッキーですね。園芸店やネット通販で球根を選ぶ際は、ぜひパッケージの写真をよく見てみてください。「これもムスカリなの?」と思うような、珍しい色や形のものが見つかるかもしれません。ルリムスカリの系統(ボトリオイデス種)を選ぶことで、葉が乱れにくく、美しい姿を長く楽しめるというメリットがありますので、品種選びの際はぜひ参考にしてみてくださいね。

ルリムスカリとアルメニアカムの違い

ルリ ムスカリ ルリムスカリとアルメニアカム種の花形の比較。左は丸みを帯びた球形のルリムスカリ、右は縦長の壺型のアルメニアカム種。

ここが今回の記事の中で最もややこしく、かつ重要な部分です。私たちが普段、園芸店やホームセンターの店頭で「ムスカリ」という大きなポップがついているカゴから選んでいる球根。そのほとんどは、実は「アルメニアカム(M. armeniacum)」という種類のムスカリなんです。ルリムスカリ(M. botryoides)を探しているつもりで、知らずにアルメニアカムを買ってしまっている…というケースは意外と多いものなのです。

「えっ、違う種類だったの?」と驚かれる方もいるかもしれませんが、植物学的には明確に区別されています。ルリムスカリを確実に手に入れたい場合や、それぞれの特性を理解して使い分けたい場合は、学名や品種名の記載をしっかりチェックする必要があります。ここで、両者の違いを分かりやすく比較してみましょう。

特徴 ルリムスカリ
(M. botryoides)
アルメニアカム
(M. armeniacum)
葉の様子 幅が広く、厚みがあり、空に向かって直立する。枚数は少ない。だらしなく垂れることが少ない。 細長く、枚数が多い。成長とともに長く伸び、地面に這うようにダラリと垂れ下がりやすい。
花の形 全体的に丸みを帯びており、球形に近い愛らしい形。花色はやや明るめの青紫が多い。 やや縦長の壺型または楕円形。花房が長く伸びる傾向があり、濃い群青色のものが多い。
増え方 分球(球根が増えること)もするが、こぼれ種で増える能力も高い。増殖スピードは比較的穏やか。 分球による増殖力が非常に強く、数年で爆発的に増える。非常に強健で育てやすい。
流通量 やや少ない。品種名(’Album’など)が明記されて販売されることが多い。 非常に多い。単に「ムスカリ」として売られている場合は、ほぼこの種であると考えて良い。

表で見ると違いがよく分かりますね。アルメニアカム種が決して悪いわけではありません。むしろ、その強靭な生命力と増殖力は、広い場所を一面の青い絨毯にしたい場合などには最適です。しかし、「鉢植えできれいにまとめたい」「通路の脇に植えるので、葉が邪魔にならないようにしたい」というニーズには、断然ルリムスカリの方が適しています。

購入時のコツとしては、球根の入ったネットのラベルや、ポット苗のタグに書かれている学名(Muscari botryoides か Muscari armeniacum か)を確認することです。もし学名が書いていなければ、パッケージの写真を見て、葉が立っているか、花が丸いかをチェックするのも一つの手ですね。自分の育てたいイメージに合わせて、賢く選び分けてみてください。

開花時期と季節ごとの成長サイクル

ルリムスカリを上手に育てるためには、植物が一年を通してどのようなサイクルで生活しているのかを知っておくことがとても大切です。彼らは一年中ずっと同じ姿をしているわけではなく、季節ごとに劇的な変化を遂げながら生きています。このリズムを理解してあげると、いつ何をすれば良いのかが自然と見えてきますよ。

まず、ルリムスカリは春の訪れとともに咲く「秋植え球根」の仲間です。地域やその年の気候にもよりますが、一般的には3月中旬から4月下旬頃にかけてが見頃となります。ちょうどクロッカスが咲き終わり、ソメイヨシノが咲き始めるかどうかの時期に、足元でひっそりと、しかし鮮やかに開花します。早咲きのチューリップと時期が重なることも多いですね。

ルリムスカリの年間スケジュール

  • 秋(10月〜11月):植え付けの適期です。土の中で根を伸ばし始めますが、地上部はまだ静かです。
  • 冬(12月〜2月):少しずつ葉を出し始めます。寒さに当たることで花芽(花の赤ちゃん)が形成される重要な時期です。雪の下でも耐える力強さがあります。
  • 春(3月〜5月):いよいよ開花シーズン!美しい花を楽しんだ後は、光合成を行って球根に栄養を溜め込みます。
  • 初夏(6月):葉が黄色くなり、枯れ始めます。これは病気ではなく、休眠に向けた準備です。
  • 夏(7月〜9月):地上部は完全に枯れて姿を消します。土の中で球根だけの状態になり、高温多湿を避けて深い休眠に入ります(夏休み)。

初心者のあたる壁としてよくあるのが、「夏に葉っぱがなくなってしまったので、枯れたと思って捨ててしまった」という失敗です。ルリムスカリにとって、夏に葉が枯れるのはごく自然な生理現象です。土の中では球根が生きていて、次の春に向けてエネルギーを温存している状態なので、決して捨てないでくださいね。「夏は姿が見えなくなるけれど、土の中で眠っているんだな」と思って、そっと見守ってあげることが大切です。

また、このサイクルからも分かるように、ルリムスカリは「寒さ」を経験することで春を感じ取る植物です。そのため、冬の間も屋外の寒さにしっかりと当ててあげることが、きれいな花を咲かせるための隠れた条件となります。過保護にして暖かい室内に入れっぱなしにすると、季節を勘違いして花が咲かないこともあるので注意が必要ですね。

初心者でも簡単なルリ ムスカリの育て方

「球根植物って、なんだか難しそう…」そんな風に思っていませんか?実は、ルリムスカリは数あるガーデニング植物の中でもトップクラスに育てやすい、初心者の方にこそおすすめしたい植物なんです。寒さにはめっぽう強く、マイナス20度近くまで下がる地域でも屋外で越冬できるほど。病害虫の被害も比較的少なく、一度植えれば放っておいても育つほど丈夫です。とはいえ、いくつかのポイントを押さえておけば、より美しく、より確実に花を咲かせることができます。ここでは、失敗せずに毎年花を咲かせるための具体的な手順とコツを、順を追ってご紹介します。

失敗しない植え付け時期と土作りのコツ

ルリ ムスカリ 秋の庭でルリムスカリの球根を植え付ける作業の様子。水はけの良い土に適切な深さで配置された球根。

球根栽培の最初のステップ、そして最大の成功の鍵を握るのが「植え付け時期」です。秋になると、園芸店には9月頃から色とりどりの球根が並び始めますよね。ついつい買ってすぐに植えたくなってしまう気持ち、痛いほど分かります。でも、ここだけは少し我慢してください。

ルリムスカリの植え付けは、紅葉が見頃になり、肌寒さを感じるようになる10月下旬から11月頃まで待つのがベストなんです。なぜなら、まだ気温が高い9月や10月上旬に植えてしまうと、冬が来る前に葉っぱがグングンと成長しすぎてしまうからです。冬前に伸びすぎた葉は、寒風に晒されて傷んだり、春になった時にだらしなく倒れてしまったりして、せっかくの美しい草姿が台無しになってしまう原因になります。

実際、気象庁のデータを見ても、東京の11月の平均気温は約12〜13℃程度まで下がります。このくらいの気温になると、球根は根を伸ばすことには集中しますが、地上部の葉を伸ばす活動は鈍くなります。この「根は張るけど葉は伸びない」という状態が、春に美しい姿で咲かせるための理想的なコンディションなのです。「木枯らしが吹いたら植える」くらいの気持ちで、焦らずじっくりと待つことが、コンパクトに育てるための最大の秘訣ですよ。

(出典:気象庁『東京(東京都) 平年値(年・月ごとの値)』

次に土作りについてです。ルリムスカリが最も嫌うのは「過湿」、つまり土がいつまでもジメジメしている状態です。水はけが悪いと、せっかくの球根が腐ってしまう(軟腐病などにかかる)原因になります。ですので、とにかく「水はけの良さ」を最優先に考えましょう。

鉢植えの場合は、市販されている「球根の土」や「草花用の培養土」を使えば間違いありません。これらは最初から水はけや肥料分が調整されているので便利です。もし庭植え(地植え)にする場合は、植え付ける場所の土をよく耕し、腐葉土川砂パーライトなどを混ぜ込んで、水がスッと引くようなフカフカの環境を作ってあげてください。また、日本の土は酸性に傾きがちなので、植え付けの2週間くらい前に苦土石灰をパラパラと撒いておくと、より球根が好む環境になりますよ。

植える深さは、球根の高さの2〜3倍くらい(約5cm〜8cm)の深さが目安です。そして、これは私の個人的なおすすめテクニックですが、球根同士の間隔をあえて狭く(3cm〜5cmくらい)して、ギュッと密植して植えると、咲いた時に青い絨毯のような密度感が出て、とても豪華に見えますよ。

鉢植えや地植えでの正しい水やり方法

植物を枯らしてしまう原因のナンバーワンは「水やりの失敗」だと言われています。でも、ルリムスカリの水やりはとてもシンプルです。基本は「土が乾いたらたっぷりと」ですが、地植えと鉢植えでは少し対応が異なりますので、それぞれのポイントを押さえておきましょう。

地植え(庭植え)の場合

地植えの場合は、植え付けた直後に一度たっぷりと水をあげたら、その後は基本的に「雨にお任せ」でOKです。ルリムスカリは乾燥に比較的強い植物なので、自然の降雨だけで十分に育ちます。よほど雨が降らずに乾燥注意報が出るような日が続く場合を除いて、わざわざ水やりをする必要はありません。楽ちんですよね!

鉢植えの場合

鉢植えの場合は、土の量が限られていて乾きやすいので、人の手による水やりが必要です。土の表面を触ってみて、乾いて白っぽくなっていたら、鉢底から水がジャーッと流れ出るくらい、たっぷりとあげてください。「毎日あげる」のではなく、「乾いたらあげる」というメリハリが大切です。

水やりの注意点
特に、春になって蕾が見え始めてから花が終わるまでの期間は、植物が最も水を必要とする時期です。この時期に水切れさせてしまうと、花が小さくなったり、すぐに枯れてしまったりするので注意しましょう。逆に、夏場(6月後半〜9月)の休眠期で葉がない時期は、水をあげる必要は全くありません。むしろ、休眠中に水を与えすぎると球根が腐る原因になるので、夏は完全に水を断って、雨の当たらない日陰に置いておくのが正解です。

花が終わったら行うべき花がら摘み

ルリ ムスカリ 花後にルリムスカリの花茎をハサミで根元から切り取る花がら摘みの作業風景。種ができるのを防ぐための重要な管理。

春になり、可愛い花を楽しんだ後、色が褪せて茶色くなってきたら「花がら摘み」という作業を行いましょう。これは単に見た目を良くするためだけではありません。植物としての生理的な理由があるんです。

花をそのままにしておくと、ルリムスカリは一生懸命に種(タネ)を作ろうとします。種を作るにはものすごいエネルギーが必要で、その分、球根に蓄えられるはずだった栄養が使われてしまい、球根が痩せてしまうのです。来年もきれいな花を咲かせるためには、球根を太らせることが何より重要。ですので、「もう種を作らなくていいよ、お疲れ様」という意味を込めて、花が終わったら早めに摘み取ってあげましょう。

やり方はとても簡単です。花茎(花がついている茎)の根元近くから、ハサミでチョキンと切るだけです。手で引っ張ると、球根ごとズボッと抜けてしまうことがあるので、必ずハサミを使うことをおすすめします。もし、「こぼれ種で自然に増やしたい」と思っている場合は、あえて数本だけ花を残して種を作らせるという高等テクニックもありますが、基本的には球根のために早めに摘むのがベターですね。

また、花がら摘みの際は、ウイルス病の感染を防ぐために、使用するハサミを清潔にしておくことも大切です。アルコール消毒や、火であぶって消毒したハサミを使うと、より安心です。小さなことですが、こうしたひと手間が植物を長く健康に保つ秘訣になります。

翌年のために重要な葉の処理の仕方

ルリ ムスカリ 花後に光合成のために残されたルリムスカリの葉。初夏になり自然に黄色く枯れ始めているが、まだ切ってはいけない状態。

ここが、ルリムスカリ栽培における最大の重要ポイントであり、多くの方が悩むポイントでもあります。花が終わって花がらを摘んだ後、残った緑色の葉っぱ。これ、どうしていますか?「花もないのに葉っぱだけ残っていても見栄えが悪いから」といって、バッサリと刈り込んでしまっていませんか?

絶対にやってはいけないこと:緑の葉を切る!
花が終わった後の葉は、ただ残っているわけではありません。太陽の光を浴びて一生懸命「光合成」を行い、来年のための栄養をせっせと球根に送り込んで蓄えている最中なのです。この時期に葉を切ってしまうことは、球根にとっての食事を奪うようなもの。栄養不足になった球根は、翌年花を咲かせることができなくなってしまいます。

ですので、葉が自然に黄色くなって完全に枯れる6月中旬頃までは、どんなに見栄えが悪くても、じっと我慢して葉を残しておかなければなりません。 これが、来年も花を咲かせるための絶対条件です。

もし、どうしてもだらりとした葉が邪魔で気になる場合は、葉を軽く三つ編みにしたり、緩く結んでまとめたりする裏技があります。こうすれば見た目もスッキリしますし、葉が傷つくのも防げます。あるいは、近くにホスタ(ギボウシ)やヘメロカリスなどの葉が広がる宿根草を植えておき、ムスカリの花後はそれらの葉が広がって、ムスカリの枯れゆく葉を自然に隠してくれるような、植栽の工夫をするのも賢いガーデナーの知恵ですね。

植えっぱなしでも毎年咲かせる管理法

ルリ ムスカリ 植えっぱなしで管理されているルリムスカリの株元。バークチップでマルチングが施され、乾燥と雑草を防いでいる。

ルリムスカリの素晴らしいところは、チューリップのように毎年掘り上げる必要がなく、数年間は「植えっぱなし」でも元気に育ってくれるところです。特に地植えで環境が合っていれば、3年〜5年くらいはそのままで毎年花を咲かせ、自然な群生美を見せてくれます。

植えっぱなしで成功させるためのコツは、花後のお礼肥(おれいごえ)です。花が終わった直後(花がら摘みをした頃)に、緩効性の化成肥料を株元にパラパラと少しだけ撒いておきます。これが、消耗した球根の体力を回復させ、来年の花芽を作るための重要な栄養源となります。

ただし、肥料のやりすぎには注意が必要です。特に窒素分(N)が多い肥料を与えすぎると、葉ばかりが茂って花が咲かない「葉ボケ」という状態になったり、球根が軟弱になって腐りやすくなったりします。肥料を選ぶ際は、「球根用」と書かれたものや、カリ分(K)やリン酸(P)が多く含まれているものを選ぶと失敗がありません。基本的には、やせ地でも育つ強い植物なので、肥料は「控えめ」くらいが丁度いいですよ。

また、植えっぱなしにする場合は、雑草対策も兼ねて、バークチップなどで株元をマルチングしておくのも効果的です。泥はねを防ぎ、病気の予防にもなりますし、夏の乾燥や地温上昇を和らげる効果も期待できます。

球根の掘り上げと保存のタイミング

ルリ ムスカリ 6月に掘り上げられ、乾燥保存のために並べられたルリムスカリの球根。大小様々な健康な状態。

植えっぱなしでOKとはいえ、何年も経つと地中で球根が分球して増えすぎ、ギュウギュウ詰めになってしまうことがあります。そうなると、お互いに栄養を奪い合って花が小さくなったり、花数が減ったりしてきます。また、植え替えなしで同じ場所で育て続けると、土の状態が悪くなったりすることもあります。

「最近、花付きが悪くなってきたな」「葉っぱばかりで花が少ないな」と感じたら、それはリフレッシュのサインです。一度球根を掘り上げて、整理してあげましょう。

具体的な掘り上げのタイミングは、葉が黄色くなり、半分以上枯れてきた6月下旬頃がベストです。葉がまだ青々としているうちは球根が成長している最中なので、焦らずに完全に枯れるのを待ってください。梅雨入りの時期と重なることが多いので、晴れ間が続きそうな日を狙って作業を行うのがポイントです。

掘り上げた球根は、まず土をよく落とします。この時、腐っている球根や傷ついている球根があれば取り除いておきましょう。また、親指の爪ほどの大きさがあれば来年開花が見込めますが、あまりに小さな赤ちゃん球根(木子)は、咲くまでに数年かかるので、分けて育てると良いですね。選別が終わったら、みかんのネットやストッキングなど通気性の良い袋に入れて、雨の当たらない風通しの良い日陰に吊るして保存します。こうして夏の間しっかりと乾燥させて休ませることで、秋にまた元気な状態で植え付けることができます。

少し手間に感じるかもしれませんが、この作業をすることで球根がリフレッシュされ、また数年間はきれいな花を楽しむことができるようになります。「数年に一度のメンテナンス」だと思って、ぜひトライしてみてください。

春の庭にルリムスカリを取り入れよう

ルリ ムスカリ 青紫色のルリムスカリを主役に、黄色のビオラと白いアリッサムを組み合わせた春の美しい寄せ植え鉢。

ここまで、ルリムスカリの魅力や一般的なムスカリとの違い、そして失敗しない育て方について詳しくお話ししてきました。いかがでしたでしょうか。「ただのムスカリ」だと思っていた花の中に、こんなにも奥深い世界があったなんて、と少しでも感じていただけたら嬉しいです。

ルリムスカリ(M. botryoides)の最大の魅力は、やはりその「行儀の良さ」と「佇まいの美しさ」に尽きます。葉がスッと立ち上がり、コンパクトにまとまるその姿は、どんな植物と合わせても邪魔をせず、それでいて確かな存在感を放ちます。

例えば、春の寄せ植えを作る時。主役となるパンジーやビオラの横にルリムスカリを忍ばせておけば、春本番になった時に鮮やかなブルーのアクセントが加わり、鉢全体がグッと引き締まります。また、原種系の小さなチューリップや、黄色い水仙(ティタティタなど)と一緒に植えれば、青と黄色のコントラストが美しい、絵本に出てくるような春のコーナーが出来上がります。個人的には、白い小花が咲くイベリスやアリッサムと合わせて、爽やかなブルー&ホワイトのカーペットを作るのも大好きです。

「今までムスカリを植えてみたけれど、葉っぱが伸びすぎてだらしない感じになるのが悩みだった」という方は、ぜひ次のシーズンにルリムスカリ(M. botryoides)の球根を探して植えてみてください。その整った美しい姿を見た時、「ああ、これこれ!私が求めていたのはこの姿!」ときっと感動していただけるはずです。

小さな球根ひとつから始まる春の物語。今年の秋は、来春の景色を思い描きながら、ルリムスカリを土に託してみませんか?厳しい冬を越えて、あなたの庭に「明るい未来」を運んできてくれることを願っています。

この記事の要点まとめ

  • ルリムスカリ(M. botryoides)は葉が直立しコンパクトに育つのが最大の特徴
  • 一般的に流通している「ムスカリ」の多くは葉が長く垂れるアルメニアカム種
  • 購入時はラベルの学名「M. botryoides」や葉の立ち上がりを確認するのが確実
  • 花言葉には「明るい未来」という希望の意味と「絶望」という悲哀の両面がある
  • 白花の「アルブム」など品種ごとの色も楽しめ、寄せ植えの名脇役になる
  • 植え付けは紅葉が進み気温がしっかり下がる10月下旬から11月が適期
  • 9月などの早植えは冬前に葉が徒長する最大の原因になるので避ける
  • 土作りでは「水はけの良さ」を最優先にし、過湿による腐敗を防ぐ
  • 水やりは地植えなら降雨任せ、鉢植えなら土が乾いてからたっぷりと与える
  • 花後は種を作らせて消耗させないよう、花茎の根元から早めに切り取る
  • 花後の葉は光合成のために重要なので、6月に枯れるまで絶対に切らない
  • 地植えなら数年は植えっぱなしでも毎年開花する丈夫な性質を持つ
  • 球根が増えすぎて花付きが悪くなったら、6月頃に掘り上げて乾燥保存する
  • 夏場の休眠期は水を断って球根を休ませるのが腐らせないコツ
  • 他の春の花(チューリップやビオラ)と組み合わせてもバランスが良い
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