こんにちは、My Garden 編集部です。
ふんわりとしたブルーの絨毯のように広がるアズーロコンパクト、本当に素敵ですよね。でも、秋が深まり寒くなってくると「このまま枯れてしまうのかな」「アズーロコンパクトの冬越しってどうすればいいの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。実は、アズーロコンパクトは本来は多年草なので、適切なケアをしてあげれば冬を乗り越え、翌春にはもっと大きな株になって再び満開を楽しめるんです。この記事では、私がリサーチした専門的な知識や、実際に試してわかった冬越しに失敗しないための切り戻しのコツ、室内・屋外での使い分け、そして北海道や東北のような寒冷地での対策まで、余すところなくお届けします。正しい方法をマスターして、来年もあの感動的な青い花を咲かせましょう。
この記事のポイント
- 夏からの株の健康状態が冬越しの成否を左右すること
- 昼の光合成と夜の保温を両立させる具体的な移動方法
- 冬の枯れる原因である根腐れや水切れを防ぐ管理術
- 春に花を爆発的に咲かせるための切り戻しと植え替え
アズーロコンパクトの冬越しを成功させる基本戦略
アズーロコンパクトを無事に冬越しさせるためには、まずこの植物が持つ「半耐寒性」という性質を正しく理解し、無理のない管理計画を立てることが重要です。ここでは、冬本番を迎える前に必ずチェックしておきたい基本方針と、強健な株を作るための事前準備について、詳しく解説していきますね。
夏越しのダメージが冬の生存率に与える影響

アズーロコンパクトの冬越しを語る上で、切っても切り離せないのが「夏越しの質」です。多くの方が「冬越しなんだから12月からの管理が大事」と考えがちですが、植物生理学的な視点で見ると、実はその数ヶ月前の夏の状態が、冬の防御力に直結しているんですよ。アズーロコンパクトは南アフリカ原産のロベリアを改良した品種ですが、日本の猛暑は彼らにとって非常に過酷なストレスとなります。この過酷な夏を、いかに根を傷めずに乗り切ったかが、冬の生存率を分ける最初のチェックポイントになります。
具体的に何が起きているかというと、夏に高温多湿で根が傷んでしまった株は、秋になっても十分な水分や養分を吸い上げることができません。すると、冬の休眠期に向けて茎や根に蓄えておくべき「炭水化物(エネルギー源)」の貯蔵が不十分になってしまうんです。植物は冬の間、この貯蔵されたエネルギーを少しずつ切り崩しながら、細胞が凍らないように糖濃度を高めて耐え忍びます。つまり、夏に弱った株は、冬という長い夜を乗り切るための「食料(備蓄)」が足りない状態で戦うことになり、結果として枯れるリスクが高まってしまうんですね。
私が調査した栽培データでも、夏に風通しの良い場所で適切に管理され、秋に旺盛な緑を取り戻した株は、冬の急激な冷え込みに対しても非常に高い抵抗力を示していました。一方で、夏に蒸れてしまい、葉が黄色くなったまま秋を迎えた株は、12月に入るとすぐに元気がなくなり、失敗に終わるケースが目立ちます。もし、あなたの株が夏に少し弱ってしまったなら、10月から11月の過ごし方が非常に重要です。この時期に直射日光にしっかりと当て、光合成を促進させてあげることで、遅まきながらも冬への備えを強化することができます。冬越しは、夏から秋にかけての「健康貯金」の結果であると心得ておきましょう。
秋の「体質改善」で行うべきこと
- 光合成の最大化:10月以降は遮光を外し、一日中しっかり日光に当ててエネルギーを蓄積させます。
- カリ成分の補給:細胞壁を強くし、耐寒性を高める「カリウム」が多めの肥料を秋の終わりに一度与えるのも効果的かなと思います。
- 根の確認:秋の時点で鉢底から根が見えないようなら、根張りが弱い証拠。より慎重な冬越し管理が求められます。
枯れる失敗を防ぐための正しい水管理と肥料
冬越しにおける失敗原因のナンバーワンは、寒さそのものではなく、実は「人間による水のやりすぎ」なんです。アズーロコンパクトは冬になると成長が緩慢になり、あるいは完全に停止して休眠状態に入ります。この時、根の吸水能力は夏場の数分の一、場合によっては十分の一以下にまで低下します。にもかかわらず、夏と同じ頻度で水をあげてしまうと、鉢の中は常に水浸しの状態になり、根が呼吸できなくなって「窒息=根腐れ」を起こしてしまうわけです。これが、冬にアズーロコンパクトを枯らす最大の罠です。
さらに恐ろしいのが、夜間の凍結です。鉢の中に余分な水分が残っていると、夜中の冷え込みでその水が凍り、土の中で氷が膨張します。この物理的な膨張が、アズーロコンパクトの繊細な細根をズタズタに引き裂いてしまうんです。いわば、凍った土の中で根が「物理的なダメージ」を受けている状態ですね。これを防ぐためには、水やりのタイミングをこれまで以上にシビアに見極める必要があります。指を土に2cmほど突っ込んでみて、中まで乾いているのを確認してから、さらに2〜3日待つ。鉢を持ち上げたときに、まるで中身が空っぽかと思うくらい「軽い」と感じるまで水はあげなくて大丈夫です。
この時間帯にあげることで、夜が来るまでに土の中の余分な水分が抜け、冷え込みによる凍結リスクを最小限に抑えられます。また、水温にも気を配りましょう。氷のように冷たい水道水をそのままあげると、根が温度ショックを起こしてしまいます。汲み置きして室温に戻した水か、少しだけぬるま湯を混ぜた水を使うのが、私なりの誠実なケアかなと思います。
肥料についても注意が必要です。冬の間は、どんなに「元気がなさそうだから」といって肥料を与えてはいけません。代謝が止まっている時期の肥料は、植物にとっては毒のようなものです。土壌中の肥料濃度が高まると、浸透圧の関係で逆に根から水分を吸い取られてしまう「肥料焼け」が起きやすくなります。アズーロコンパクトを信じて、春に新芽が芽吹くまでは、お水だけの「断食」状態で静かに見守ってあげてくださいね。
切り戻しによる蒸散抑制と株の負担軽減策

秋の終わりから初冬にかけて行う「切り戻し」は、アズーロコンパクトを冬の乾燥ストレスから守るための「外科的な防衛策」です。冬の空気は私たちが想像する以上に乾燥しています。植物は葉にある気孔から常に水分を蒸発させていますが、冬の乾いた風にさらされると、根から吸い上げる水分よりも、葉から逃げていく水分のほうが多くなってしまう「生理的渇水」という現象が起きるんです。これにより、鉢に水はあるのに株が萎れて枯れるという、皮肉な結果を招くことがあります。
これを防ぐために、葉の総面積を減らしてあげるのが切り戻しの狙いです。目安としては、株全体の3分の1から2分の1程度、伸びすぎた枝をカットします。ただし、ここで注意したいのは、すべての葉を切り落とす「強剪定」は避けるべきだということです。アズーロコンパクトは冬でもわずかに光合成を行っており、そのエネルギーで寒さに耐えるタンパク質を生成しています。完全に丸坊主にしてしまうと、エネルギー源を失い、そのまま衰弱死してしまうリスクがあります。理想的なのは、株元に新しい小さな芽や緑の葉が残るように、周囲を整える程度の「中剪定」です。
また、切り戻しを行うことで株の中の風通しが劇的に改善されます。冬場は室内に取り込んだり、軒下に置いたりすることで、空気が停滞しがちです。枝が混み合っていると、そこに湿気が溜まり、アズーロコンパクトが苦手なカビ(灰色かび病など)が発生する原因になります。ハサミを消毒してから、病気や弱った枝を中心に整理してあげましょう。この作業を行うことで、春になったときに株の中心部まで日光が届くようになり、結果として節々の詰まった、がっしりとした株に再生させることができるんです。
冬の入り口での切り戻しは、植物に「今は休む時間だよ」と教えるスイッチのような役割も果たします。このひと手間で、アズーロコンパクトの生存率は飛躍的に向上します。最初は勇気がいるかもしれませんが、来春の満開のために、ぜひ取り組んでみてください。
室内と屋外を使い分けるハイブリッド管理法

アズーロコンパクトを冬越しさせる際、一番の悩みどころは「外で頑張らせるか、中に入れるか」ですよね。結論から言うと、最も成功率が高いのは、その両方の良いとこ取りをする「ハイブリッド管理法」です。アズーロコンパクトは耐寒温度が約0℃と、ガーデニング植物の中では中途半端な立ち位置。氷点下の冷気にさらされれば枯れますが、暖かい部屋にずっと置くと日照不足でモヤシのように弱々しくなってしまいます。
具体的には、以下のようなスケジュールで管理します。朝、太陽が昇って空気が暖まってきたら、南向きの日当たりの良い軒下へ出します。ここで直射日光をたっぷり浴びさせることで、株を丈夫に保ち、病気を防ぎます。そして夕方、日が沈んで気温が急降下する前に、玄関の中や廊下などの「凍らない場所」へ取り込みます。このサイクルを繰り返すことで、植物は昼間にエネルギーを蓄え、夜間にそのエネルギーを消費せずに守ることができるんです。開発元のガイドラインでも、霜や冷風に当てないことの重要性が強調されています。(出典:サントリーフラワーズ『アズーロコンパクトの育て方』)
| 場所 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 屋外(軒下) | 十分な日照と通風で株が締まる | 夜間の凍結や霜、寒風のリスク |
| 玄関・廊下 | 凍結を防ぎつつ適度に低温休眠できる | 日当たりが悪いと徒長の原因になる |
| 暖かいリビング | 人間と同じ温度で凍結の心配ゼロ | 乾燥と高温でハダニが発生しやすい |
このハイブリッド法で特に注意したいのは「移動時の温度差」です。キンキンに冷えた外から、いきなり20度以上の暖房の効いた部屋に入れると、植物がびっくりして葉を落としてしまうことがあります。理想は、玄関や無加温の部屋など、外よりはマシだけど人間には少し寒い、という場所を夜の避難先にすることですね。毎日の移動は確かに大変ですが、これこそが園芸の醍醐味。毎朝「おはよう」と声をかけながら外に出してあげることで、株の小さな変化にも気づきやすくなり、結果として冬越しの成功率がぐんと上がりますよ。
霜や凍結から根を守るマルチングと二重鉢

もし、どうしても毎日鉢を移動させることができない場合や、関東以西の比較的温暖な地域で「屋外の軒下のみ」で勝負する場合、物理的な防寒対策を徹底する必要があります。ここで最も守るべきは、葉よりも「根」です。アズーロコンパクトは、地上部が多少霜に当たって枯れ込んでも、根さえ生きていれば春に根元から驚異的な復活を見せてくれます。逆に言えば、根が凍って死んでしまったら、もう再生の道はありません。そこで重要になるのが「マルチング」と「二重鉢」というテクニックです。
まずマルチングですが、これは土の表面を腐葉土やバークチップ、あるいはヤシガラの繊維(ココヤシファイバー)などで3〜5cmの厚さに覆う方法です。これだけで、土壌の温度変化を緩やかにし、直接的な冷気が根に伝わるのを防ぐことができます。また、冬の乾燥した風によって土が急激に乾くのを防ぐ効果もあります。次に二重鉢ですが、これはプラスチックの鉢をそのまま置くのではなく、一回り大きな陶器鉢や木製のプランターの中に入れ、その隙間に新聞紙やプチプチ、発泡スチロールの破片などを詰め込む方法です。空気の層が天然の断熱材となり、外気のマイナス気温が鉢の中まで浸透するのを遅らせてくれます。
さらに、夜間だけ不織布を株全体にふんわり被せてあげるのも非常に効果的です。不織布は光と空気を通しながらも、放射冷却による急激な温度低下を和らげ、霜が直接葉に降りるのを防いでくれます。まるで薄いコートを着せてあげるようなイメージですね。これらの対策を組み合わせることで、最低気温がマイナス2〜3度程度までであれば、屋外でもかなりの確率で冬を越すことができます。ただ、数年に一度の大寒波が予報されたときだけは、例外として室内に取り込む心の準備をしておいてくださいね。あなたの「ちょっとした過保護」が、アズーロコンパクトの命を繋ぎます。
北海道や東北地方などの寒冷地における注意点
北海道や東北、あるいは本州の山間部など、冬の最低気温が日常的にマイナス5度を下回る寒冷地では、アズーロコンパクトの屋外冬越しは「不可能」と断言してもいいかもしれません。これらの地域では、軒下に置いておくだけでは鉢の中までガチガチに凍ってしまい、細胞内の水分が膨張して組織が破壊されてしまいます。ですので、寒冷地にお住まいの方は、初雪が降るよりもずっと前、気温が5度を下回り始めたら、潔く「室内管理」へ移行しましょう。
室内での冬越しで最も気をつけたいのは、実は「温度の上がりすぎ」と「乾燥」です。寒冷地の住宅は断熱性が高く、冬でも半袖で過ごせるほど暖かいことが多いですよね。しかし、アズーロコンパクトにとって20度を超えるリビングは、冬なのに「春が来た!」と勘違いさせてしまう原因になります。中途半端に成長を始めてしまうと、日照不足と相まって、ヒョロヒョロでひ弱な徒長苗になってしまいます。理想は、無加温の廊下や、10度前後をキープできる明るい風除室などです。もしリビングしか置き場所がない場合は、できるだけ窓際(ただし夜の冷気には注意)に置き、サーキュレーターなどで空気を動かしてあげてください。
また、室内管理で怖いのが「ハダニ」の発生です。暖房で乾燥しきった部屋は、ハダニにとって絶好の繁殖場。気づかないうちに葉の裏が白っぽくなり、株が弱ってしまうことがあります。数日に一度は、室温に戻した水で霧吹き(葉水)をして、適度な湿度を保ってあげましょう。水やりは、外で管理しているとき以上に慎重に。室内の鉢は乾きにくいので、土の表面がしっかり乾いたのを確認してから数日後にあげるくらいでちょうど良いです。寒冷地の冬は長いですが、室内でじっくり見守る時間は、アズーロコンパクトとの絆を深める良い機会かなと思います。雪解けの春に、緑を保ったままの株を外に出せたときの喜びは、寒冷地ガーデナーならではの特権ですね。
満開を目指すアズーロコンパクトの冬越し管理
厳しい冬をなんとか無事に乗り越えたアズーロコンパクト。しかし、春を迎えたからといって、そのまま放置していては「あの満開」には届きません。冬越し株は新苗よりも体力がありますが、その分、メンテナンスにも少しコツがいるんです。ここでは、3月からの「再起動プログラム」について、私の経験を交えて詳しくお話ししますね。
葉が枯れた際のリカバリー剪定と生存判断

春先、冬越しさせたアズーロコンパクトを見て「あぁ、やっぱり枯れちゃったかも……」と肩を落としている方もいるかもしれません。でも、見た目の茶色さに騙されないでください。アズーロコンパクトは、地上部が完全に枯れたように見えても、根元の太い茎や土の中の根が生きていることが多々あります。まずは「まだ頑張れるか」の生存判断を行いましょう。判断基準はいたってシンプル。茎を少しハサミで切ってみて、切り口が緑色をしていれば、その株はまだ「生きています」。また、茎に弾力があり、皮を爪で少し剥いでみて瑞々しければ大丈夫です。逆に、ポキポキと枯れ木のように折れてしまう部分は、すでに死んでいる組織です。
生存を確認できたら、次にやるべきは「リカバリー剪定」です。冬の間に寒風や乾燥で傷んでしまった茶色の葉や、枯死してしまった枝は、容赦なく根元付近まで切り戻します。これらを残しておくと、新しく出てくる芽の成長を妨げるだけでなく、枯れた部分が湿気を吸ってカビの原因になってしまいます。勇気を持って、緑が見えるところまで、あるいは株元のすぐ上までバッサリとカットしましょう。一見すると「ただの切り株」のようになってしまいますが、アズーロコンパクトの潜在能力を信じてください。
もし、全体的に葉が残っていても、葉の色が紫がかっている場合は、アントシアニンという色素が出ている「紅葉」状態です。これは寒さから身を守るための正常な反応なので、気温が上がれば自然と美しい緑色に戻ります。この場合は、無理に切らずに、古い葉が新しい葉に入れ替わるのを待ってあげればOKです。この3月の「見極め」と「お掃除」が、春のスタートダッシュを決める大切な第一歩になるんですよ。
3月の植え替えによる根鉢の整理と土壌改良

冬越しに成功した株が、4月になってもイマイチ勢いが乗らない……という場合、その原因のほとんどは「根詰まり」にあります。アズーロコンパクトは非常に根の張りが旺盛な植物です。1年育てた株は、鉢の中が根でパンパンに回り、新しい土の隙間が全くない状態になっていることが多いんです。このままでは、いくら水や肥料をあげても、根が効率よく吸収できません。3月中旬、最低気温が安定して5度を超えるようになったら、ぜひ「植え替え」を行ってください。
鉢から抜いてみると、白い根がびっしりと回っているはずです。この根を少し整理してあげるのがコツ。ガチガチに固まった根鉢を、手や根かき棒で少しほぐし、古い土を3分の1から半分ほど落とします。黒ずんで古くなった根は、ハサミで整理しても大丈夫です。アズーロコンパクトは根が丈夫なので、多少傷ついても新しい根を出す力が非常に強いんです。植えるときは、元の鉢よりも一回り大きな鉢に植え替えるか、同じ鉢を使いたい場合は、根を整理した分、新しい「草花用培養土」をたっぷりと足してあげてください。
この時、土の配合に一手間加えると、さらに成績が良くなります。排水性を高めるために「鹿沼土」を2割ほど、また元肥として緩効性肥料(マグァンプKなど)をしっかり混ぜ込みましょう。ロベリアは極端な酸性土壌を嫌うため、もし古い土を再利用する場合は、苦土石灰で中和しておくのも誠実なひと手間かなと思います。新しい土に植え替えられた株は、まるで息を吹き返したように、数週間後には力強い新芽を次々と展開し始めます。この「リフレッシュ」こそが、冬越し株を新苗以上のモンスター株に育てるための必須条件ですよ。
花数を劇的に増やす春先の摘心とピンチの技術

「冬越ししたアズーロコンパクト、枝は伸びるけど花がまばら……」そんな経験はありませんか?アズーロコンパクトをあのカタログのような、どこから見ても花でいっぱいのボール状にするためには、春先の「摘心(ピンチ)」が欠かせません。摘心とは、伸びてきた枝の先端をハサミでカットすること。これを行うことで、植物の「頂芽優勢(先端ばかりが伸びようとする性質)」を崩し、枝の節々から脇芽が出るのを促します。
やり方は簡単です。3月の切り戻しから新芽が伸び、枝の長さが5〜10cmほどになったら、先端を2〜3cmずつカットします。すると、切った場所から枝が2〜3本に分かれて増えていきます。これを4月いっぱい、2〜3回繰り返してみてください。1本の枝が3本になり、3本が9本になり……という計算で、株のボリュームが指数関数的に増えていくんです。「せっかく花芽が見えてきたのに切るなんて!」と心が痛むかもしれませんが、ここで我慢して「形を作る」ことに専念した人だけが、5月の満開の恩恵に預かれるんです。5月の満開は、4月のガマンで作られる。これは私自身が何度も経験した真理です。
また、株の中心部に光が当たるように、混み合いすぎた小さな枝は整理してあげるのも良いですね。摘心を繰り返すことで、株は低く、密に、そして強固に育ちます。この時期にしっかりとした骨格を作っておけば、梅雨の蒸れにも強い、タフな株に仕上がりますよ。アズーロコンパクトの真の美しさを引き出すために、ぜひ「攻めのハサミ」を入れてみてくださいね。
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挿し木苗を冬の間に作っておくバックアップ術

ガーデニングには「絶対」はありません。どんなにベテランでも、予期せぬトラブルで大切な親株を失ってしまうことがあります。そんなとき、あなたを救ってくれるのが秋に作っておいた「挿し木苗」です。アズーロコンパクトは挿し木の成功率が非常に高く、初心者でも比較的簡単にスペアの苗を作ることができるんですよ。私は毎年、冬に入る前に、保険として数本の挿し木を作っています。
やり方はとてもシンプル。10月〜11月の切り戻しの際に出た、元気で病気のない枝を選びます。花がついている場合は、花を落とし、5〜7cmくらいの長さにカットします。下のほうの葉を落とし、切り口を斜めにカットして、1時間ほど水に浸けて「水揚げ」をします。その後、清潔な挿し木用の土や赤玉土に挿し、直射日光の当たらない明るい場所で乾かさないように管理します。1ヶ月ほどして、新芽が動き出したり、鉢底から白い根が見えたりしたら成功です。この小さな苗なら、冬の間もキッチンの窓辺やトイレの窓際など、凍らないちょっとしたスペースで冬を越すことができます。
「親株があるのに、なぜ挿し木が必要なの?」と思われるかもしれませんが、実は若い挿し木苗のほうが、老化した親株よりも冬の環境変化に柔軟に対応できることがあるんです。また、親株は大きすぎて室内に入れられないけれど、挿し木苗なら守れる、という状況も多々あります。もし親株も無事に越冬できれば、春にはその苗をお友達にプレゼントしたり、別の鉢に植えてアズーロコンパクトのエリアを広げたりすることもできますよね。バックアップがあるという安心感は、冬の間の心の支えにもなります。ぜひ、秋のルーティンに「挿し木」を加えてみてください。
鉢の置き場所と温度管理でブルーの絨毯を作る
春の摘心を終え、株が鉢を覆い尽くすほどに育ってきたら、いよいよ開花に向けた最終調整です。ここで最も重要なのは「日光の質と量」です。アズーロコンパクトは非常に光を欲しがる植物。春の穏やかな日光を全身に浴びさせることで、花のブルーがより深く、鮮やかに発色します。日中の気温が安定して15〜20度になる頃には、一日中直射日光が当たる、お庭で一番の日等席に置いてあげましょう。
ただし、一つだけ油断してはいけないのが「春の夜の冷え込み」です。4月下旬でも、晴天の日の翌朝は放射冷却で気温が急降下することがあります。冬を越したばかりの瑞々しい新芽は、実は冬の硬い葉よりも霜に弱かったりするんです。せっかくここまで育てた新芽が霜でとろけてしまったら、目も当てられません。天気予報で「明日の朝の最低気温が3度以下」と出ている日は、迷わず玄関先へ避難させてあげてください。この「最後のひと手間の警戒」こそが、完璧なブルーの絨毯を完成させるための誠実な管理かなと思います。
また、この時期からは水の消費量も爆発的に増えます。株が大きくなり、葉の枚数が増えると、そこから蒸発する水分量もバカになりません。冬の「乾燥気味」の習慣を引きずらず、春からは「乾いたらたっぷり」の基本に立ち返りましょう。水切れをさせてしまうと、せっかくの花芽が落ちてしまったり、葉先が枯れ込んだりして美観を損ねてしまいます。朝日を浴びてキラキラ輝くアズーロコンパクトに、たっぷりのお水をあげる時間は、ガーデナーにとって至福のひとときですよね。適切な光、温度、そして水。この3つのバランスが整ったとき、あなたの庭に、冬を乗り越えた者だけが見られる「奇跡のブルー」が広がります。
翌春も満開にするアズーロコンパクトの冬越し

アズーロコンパクトの冬越しは、一見すると手間がかかるように思えるかもしれません。しかし、その過程で学ぶ植物との対話や、寒さに耐えて春に芽吹く生命力を目の当たりにする経験は、何物にも代えがたい園芸の喜びです。一般的に一年草として扱われる花を、自分の手で多年草として育て上げ、2年目、3年目とさらに大きな株にしていく。これこそが、My Garden 編集部が提案したい「ワンランク上のガーデニング」の楽しみ方です。
冬越しの成功は、決して運ではありません。夏からの健康管理、適切なタイミングでの切り戻し、冬の厳格な水管理、そして春のリフレッシュ作業。これらのピースを一つずつ丁寧に埋めていくことで、誰でもあの美しいブルーの絨毯を翌年も再現することができます。この記事が、あなたのアズーロコンパクト冬越しへの挑戦を後押しするヒントになれば、私としてこれほど嬉しいことはありません。なお、栽培環境は地域によって千差万別です。最終的な判断や、病害虫の防除、特定の新薬剤の使用については、メーカーの公式サイトや園芸の専門家、お近くの種苗店の情報を併せてご確認いただくようお願いします。さあ、今年の冬はアズーロコンパクトと一緒に、新しい季節を待ってみませんか?
この記事の要点まとめ
- アズーロコンパクトは本来多年草で適切なケアがあれば冬越しできる
- 夏に体力を温存し秋にエネルギーを蓄えた株ほど生存率が高い
- 11月頃に軽く切り戻して蒸散を抑え根の負担を軽減させる
- 冬の間の水やりは極限まで控え土が乾いて数日後に午前中に行う
- 休眠期の冬の間は根を傷める原因になるため肥料は一切与えない
- 昼は外で日光に当て夜は室内に取り込むハイブリッド管理が最強
- 移動できない大鉢は二重鉢やマルチングで根の凍結を徹底ガードする
- 寒冷地では屋外放置を避け暖房の直風が当たらない明るい室内で管理
- 葉が赤紫色になるのは寒さへの適応反応で枯死とは限らない
- 茎の断面が緑色で弾力があれば春に芽吹く可能性が高いので諦めない
- 3月の植え替えで古い根を整理し新しい培養土に更新する
- 鹿沼土を混ぜて排水性を高め苦土石灰で土壌pHを微調整する
- 春先に2〜3回摘心を繰り返すことで花密度を最大化させる
- 万一の枯死に備えて秋に挿し木を作っておくとバックアップになる
- 春の遅霜には細心の注意を払い必要に応じて夜間のみ避難させる
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