こんにちは、My Garden 編集部です。
可愛らしい花姿で人気のマーガレットですが、いつ咲く花なのか詳しくご存知でしょうか。春のイメージが強いですが、実は育て方や品種によっては秋にも花を楽しむことができるのです。ご自宅のマーガレットが咲かない原因や、適切な剪定の時期、冬越しの方法について悩んでいる方も多いかもしれません。この記事では、鉢植えでの育て方のポイントや、挿し木での増やし方も含めて、マーガレットを長く楽しむための秘訣をわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- マーガレットは春と秋の二季咲きする性質を持つ
- 咲かない原因の多くは日照不足や根詰まりにある
- 適切な剪定と肥料管理で開花期間を延ばせる
- 冬越しには霜対策と温度管理が重要になる
マーガレットはいつ咲く?開花時期と二季咲きの特徴
マーガレットの花がいつ見頃を迎えるのか、その基本的なサイクルを理解することは栽培の第一歩です。ここでは、春と秋に訪れる開花のピークや、環境によって左右される開花の仕組みについて詳しく解説します。植物としての性質を深く知ることで、なぜ咲くのか、あるいはなぜ咲かないのかという疑問が解消されるはずです。
マーガレットの開花時期は春と秋の年2回

一般的に、マーガレットのメインとなる開花時期は3月から5月にかけての春です。この時期は、冬の間に蓄えたエネルギーを一気に放出して、株全体が花で覆われるほどの見事な姿を見せてくれます。桜の開花と同じくして蕾が膨らみ始め、ゴールデンウィーク頃に最盛期を迎えるのが標準的なサイクルと言えるでしょう。園芸店やホームセンターの店頭に、色とりどりのマーガレットの苗が一番多く並ぶのもこのシーズンですね。
しかし、実はマーガレットは環境条件さえ整えば、10月から12月の秋にも花を咲かせることができる「二季咲き(にきざき)」の性質を持っています。これには、マーガレットの故郷である「原産地」の環境が深く関係しています。マーガレットの原産地は、アフリカ大陸の北西に位置するスペイン領「カナリア諸島」です。この島々は、年間を通じて気温が穏やかで、極端な暑さも凍えるような寒さもないことから「常春(とこはる)の楽園」と呼ばれています。この環境で進化したマーガレットは、本来、気温さえ適していれば一年中花を咲かせ続けることができるポテンシャル(潜在能力)を持っているのです。
日本の気候は、カナリア諸島とは異なり、はっきりとした四季があります。特に真夏の30℃を超える猛暑や、真冬の氷点下の寒さは、マーガレットにとって過酷なストレス環境となります。そのため、植物自体が身を守るために成長を止める「休眠(きゅうみん)」に近い状態になり、花を咲かせる活動を停止します。しかし、暑くもなく寒くもない、原産地の気候に似た「春」と「秋」が巡ってくると、マーガレットは「今こそ活動の時だ!」とスイッチが入り、再び蕾を作り始めるのです。
ただし、ここで一つ重要な注意点があります。それは、秋の開花は春ほど「自動的」には訪れないということです。春の開花は、冬の寒さを経験することで花芽(かが)が作られる性質があるため、比較的放っておいても咲きやすいのですが、秋の開花は「過酷な日本の夏をいかにダメージ少なく乗り越えたか」という、栽培者の腕と管理にかかっている部分が大きいのです。夏越しに成功し、葉を落とさずに健康な状態を保ち、さらに適切な時期に剪定と追肥が行われた株だけが、秋にも満開の花を咲かせることができます。
| 月 | 生育フェーズ | 開花状況 | 主な管理作業 |
|---|---|---|---|
| 3月〜5月 | 成長・開花期 | 最盛期 | 日当たり確保、追肥、花殻摘み |
| 6月 | 花後・転換期 | 減少 | 梅雨前の切り戻し(剪定) |
| 7月〜8月 | 高温休眠期 | 停止 | 半日陰へ移動、断肥、水やり注意 |
| 9月 | 覚醒・成長期 | 準備中 | 整枝剪定、施肥再開、植え替え |
| 10月〜12月 | 秋花期 | 開花(二季目) | 日当たり確保、霜対策 |
| 1月〜2月 | 低温休眠期 | 停止 | 防寒対策、水やり控えめ |
上記の表は関東以西の暖地を基準としています。寒冷地では秋の開花期間が短くなり、11月には室内に取り込む必要がありますが、暖かい室内であれば冬の間も開花が続くことがあります。
品種改良で変わるマーガレットの開花期間

最近の園芸店で見かけるマーガレットは、品種改良によって非常に進化しており、昔ながらの品種(在来種)とは性質が大きく異なるものが増えています。かつてのマーガレットは、高温多湿な日本の夏に非常に弱く、夏越しができずに枯れてしまうことも珍しくありませんでした。しかし、近年の育種技術の進歩により、耐暑性が飛躍的に強化され、日本の蒸し暑い夏でも耐えられる強健な品種が続々と登場しています。
特に注目したいのが、「PW(Proven Winners)」や「サントリーフラワーズ」といった大手種苗メーカーが開発・展開しているブランド品種です。これらのメーカーは、日本の気候に合わせて徹底的なフィールドテストを行い、選抜された品種のみを販売しています。例えば、サントリーフラワーズの『ボンザマーガレット』シリーズなどは、ピンチ(摘芯)をしなくても自然にドーム状にまとまる性質(分枝性)があり、花付きが抜群に良いことで知られています。また、PWのマーガレットも、暑さに強いだけでなく、秋の低温期にも強く、秋の開花復帰が早く、長期間花を楽しめる傾向があります。
さらに、開花期間を延ばすための重要な改良点として「不稔性(ふねんせい)」という性質があります。これは、花が咲いても種ができない、あるいは極めてできにくい性質のことです。植物にとって、種を作るという行為は、次世代を残すための最大の目的であり、莫大なエネルギーを消費する一大事業です。通常、種ができると、株の栄養は種子の成熟に優先的に使われてしまい、新しい花を作る余力がなくなってしまいます。しかし、不稔性の品種であれば、種を作るためのエネルギーを節約できるため、その温存されたパワーを全て「次の花芽を作る力」や「株を大きくする力」に回すことができます。結果として、株が疲れにくく、スタミナ切れを起こさずに、休みなく次々と花を咲かせ続けることが可能になるのです。
花形も多様化しており、シンプルな「一重咲き」、花弁が幾重にも重なる豪華な「八重咲き」、中心部分が盛り上がって立体的な「アネモネ咲き(丁字咲き)」などがあります。一般的に、八重咲きの品種は一重咲きに比べて、一つの花を完成させ維持するために多くのエネルギー(光合成産物や肥料分)を必要とします。そのため、肥料切れや日照不足の影響を受けやすく、条件が悪くなると花が小さくなったり、一重に戻ったりすることがあります。初心者の方は、まずは強健で管理がしやすいブランド品種の一重咲きやアネモネ咲きから選んでみると、二季咲きを成功させやすいかもしれません。
マーガレットが咲かない原因の多くは日照不足

「葉っぱは青々として元気なのに、待てど暮らせど花が咲かない」「蕾すらつかない」というご相談を非常によくいただきます。肥料もあげているし、水もやっている。それなのになぜ?と悩んでしまいますよね。実は、その原因の大部分は、非常にシンプルな「日照不足」にあります。
マーガレットは、数ある園芸植物の中でも特に太陽の光を好む「陽生植物(ようせいしょくぶつ)」です。美しい花をたくさん咲かせるためには、直射日光が1日最低でも4時間、できれば6時間以上当たる環境が必須条件となります。「明るい日陰」や「レースのカーテン越しの光」では、人間の目には十分に明るく感じられても、マーガレットが花芽(かが:花の赤ちゃん)を作るために必要な光量(光の強さと量)には圧倒的に足りないのです。
植物の体内では、光合成によって水と二酸化炭素から「糖分(炭水化物)」というエネルギーを作り出しています。このエネルギーは、優先順位に従って使われます。まず最優先されるのは「生命維持(根や葉の活動、呼吸)」です。そして、エネルギーに余裕があって初めて「生殖成長(花を咲かせて子孫を残す活動)」に配分されます。日照不足の状態では、光合成で作られるエネルギー量が少なく、生きていくためだけで精一杯になってしまうため、花を作るというエネルギーコストの高い活動をキャンセルしてしまうのです。その結果、株は「今は花を咲かせている場合ではない。もっと光を求めて背を伸ばさなければ」と判断し、葉や茎だけを伸ばすことに集中します。
徒長(とちょう)のサインを見逃さないで!
日照不足になると、茎がひょろひょろと細長く伸び、葉と葉の間隔(節間)が広くなる「徒長」という現象が起きます。これは植物が「もっと高いところに行けば光があるかもしれない」と必死に背伸びをしているSOSサインです。徒長した株は軟弱で病気にかかりやすく、組織が柔らかいためアブラムシなどの害虫にも狙われやすくなります。もちろん、花も咲きにくくなります。
もしご自宅のマーガレットが徒長していたり、花が咲かなかったりする場合は、まず置き場所を見直してください。南向きのベランダや庭が理想ですが、どうしても日当たりが確保できない場合は、鉢を台の上に置いて位置を高くしたり、反射光を利用できるように白い壁の近くに置いたりするのも一つの手です。また、季節によって太陽の高度が変わるため、「春は日が当たっていたけれど、秋になったら隣家の影になっていた」というケースもよくあります。季節ごとに太陽の動きを確認し、常に光を追いかけるように鉢を移動させることが、満開への近道です。
蕾が咲かない原因と寒さ対策による予防

「蕾まではたくさんついたのに、そこから花が開かずに茶色く変色してしまった」「蕾が首を垂れるようにして枯れ落ちてしまった」という悲しい経験はありませんか?これは病気ではなく、多くの場合、寒さによる生理障害(凍結や霜害)が原因です。
マーガレットは「半耐寒性(はんたいかんせい)」という性質を持っており、ある程度の寒さには強い植物です。葉や茎はマイナス数℃の低温に短時間耐えられることもありますが、水分をたっぷりと含んだ柔らかい成長組織である「蕾」や「花首」は、寒さに対して非常に敏感です。気温が0℃を下回る氷点下になると、細胞の中にある水分が凍ってしまい、細胞壁が破壊されてしまいます。一度凍って組織が壊れてしまった蕾は、その後気温が上がっても元に戻ることはなく、そのまま茶色く枯れてしまいます。これを園芸用語で「ブラインド」と呼ぶこともあります。
特に注意が必要なのが、春先の「遅霜(おそじも)」と、晩秋から初冬にかけての急な冷え込みです。日中はポカポカと暖かくても、夜間に放射冷却が起きると、明け方に急激に気温が下がることがあります。天気予報で翌朝の最低気温が0℃〜3℃くらいになる、あるいは霜注意報が出ているような夜は、対策が必須です。最も確実なのは、夜間だけ玄関内や室内に取り込むことです。もし鉢が重くて移動が難しい場合は、不織布(ふしょくふ)や新聞紙、ビニールなどを株全体にふわっと被せてあげるだけでも、冷気や霜が直接当たるのを防ぎ、凍結リスクを大幅に下げることができます。
また、冷たい「北風」や「寒風」が直接当たり続ける場所も避けましょう。寒風は体感温度を下げるだけでなく、植物の表面から急激に水分を奪い、乾燥によるダメージ(ドライダメージ)も引き起こします。蕾が小さいまま大きくならずに干からびてしまう場合は、この寒さと乾燥の複合ストレスが原因であることが多いです。冬の間は、風が直接当たらない建物の南側や、風除けのある場所に置いてあげることが、蕾を守る鍵となります。
寒さ対策のポイント
- 最低気温5℃以下:植物の代謝が落ち、成長が緩やかになります。花が開くスピードも遅くなります。
- 最低気温0℃付近:蕾が凍結する危険信号です。夜間の室内取り込みや不織布での保護を強く推奨します。
- 霜や雪:直接当たると葉や茎が傷み、最悪の場合は枯死します。必ず軒下などで回避してください。
根詰まりや肥料切れも咲かない原因になる

日当たりは抜群で、寒さ対策も万全に行っている。それなのに花数が少ない、あるいは蕾が大きくならない場合は、土の中の環境、つまり「根」の状態と「栄養」に問題がある可能性が高いです。
まず疑うべきは「根詰まり(ねづまり)」です。マーガレットは非常に生育旺盛な植物で、地上部が大きくなるのと同じくらいのスピードで、土の中で根を張り巡らせています。購入してから半年〜1年ほど経った鉢植えや、購入時のポットのまま育てている株は、鉢の中が根でパンパンになっていることがよくあります。根詰まりを起こすと、鉢の中に新しい根を伸ばすスペースがなくなり、根が呼吸できずに酸欠状態になります。こうなると、水や養分を吸収する能力が著しく低下し、水やりをしたときに水がなかなか染み込まなかったり、逆に保水力がなくなってすぐに水切れを起こしてしおれたりします。この状態では、植物は現状維持で手一杯になり、新しい花を咲かせるエネルギーを生み出せません。
次に考えられるのが「肥料切れ」です。次々と花を咲かせるタイプの植物(多花性植物)は、私たちの想像以上に大量のエネルギーと栄養素を消費しています。これを補うために、栽培期間中は継続的な肥料やりが欠かせません。肥料には「窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)」という三大要素がありますが、それぞれ役割が異なります。窒素は「葉肥(はごえ)」と呼ばれ、葉や茎を大きくします。リン酸は「実肥(みごえ)・花肥(はなごえ)」と呼ばれ、花や実の形成を助けます。カリウムは「根肥(ねごえ)」と呼ばれ、根の発育や耐病性を高めます。
ここで注意したいのが、窒素分ばかりが多い肥料を与え続けてしまうことです。窒素が過剰になると、植物は葉っぱばかりを巨大化させ、花を咲かせようとしない「木ボケ(蔓ボケ)」や「葉ボケ」という状態になりがちです。開花期間中は、リン酸の割合が高い肥料(パッケージに N:P:K = 6:40:6 などと記載されているものや、「開花促進用」「花用」と書かれたもの)を選ぶのがポイントです。
具体的な施肥スケジュールとしては、植え付け時に土に混ぜ込む「元肥(もとごえ)」として効果が長く続く緩効性肥料(マグァンプKなど)を使い、花が咲き始めたら「追肥(ついひ)」として、即効性のある液体肥料を1週間〜10日に1回程度のペースで水やり代わりに与えるのが理想的です。ただし、植物が休眠している真夏(30℃以上)や真冬(5℃以下)に肥料を与えると、根が肥料成分の濃さに耐えきれず「肥料焼け」を起こして枯れてしまうことがあるため、肥料はあくまで「成長していて、花が咲いている時期」に与えるのが鉄則です。
マーガレットがいつ咲くかを知り長く花を楽しむコツ
マーガレットの開花は、自然任せにするよりも、私たちが少し手助けをしてあげることで劇的に良くなります。ここでは、長くきれいに咲かせ続けるための具体的なテクニックをご紹介します。初心者の方が躊躇しがちな「ハサミを入れる」作業こそが、実は満開への一番の近道なのです。
マーガレットの剪定時期と切り戻しによる再生

マーガレットを何年も美しく保ち、春も秋も満開にするために絶対に欠かせない作業、それが剪定(せんてい)、特に「切り戻し」と呼ばれる作業です。「せっかく伸びた枝を切るなんてかわいそう」「失敗して枯れたらどうしよう」と不安に思うかもしれませんが、マーガレットに関しては「切らない方がかわいそう」な結果になることがほとんどです。
植物には「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質があり、茎の先端(頂芽)にある芽が優先的に成長し、脇芽の成長を抑えるホルモン(オーキシン)を出しています。そのため、剪定を行わずに放置すると、先端だけが伸びてひょろ長くなり、株元に近い部分の葉は日光不足で枯れ落ちて、茎がむき出しの「スカスカ」な姿になってしまいます。また、枝が混み合うことで株の内部が蒸れ、高温多湿な日本の夏に「蒸れ」による枯死を招く最大要因となります。
適切な剪定を行うことで、この頂芽優勢を打破し、下の方にある脇芽を一斉に目覚めさせることができます。これにより、枝数が倍以上に増え、こんもりとした美しいドーム状の株姿になり、花数も劇的に増えるのです。まさに「若返り手術」と言えるでしょう。
剪定のタイミングと方法
- 【重要】梅雨入り前(5月〜6月)の強剪定(きょうせんてい)
春の開花が一通り落ち着き、梅雨が始まる直前に行う最も重要な剪定です。思い切って株全体の草丈を半分から3分の1程度までバッサリと切り戻します。かなり小さくなりますが、これにより株元の風通しが劇的に良くなり、カビや病気を防いで高温多湿な夏を健康に乗り越えることができます。また、ここで深く切ることで、秋に向けて重心の低い、がっしりとした株に再生します。 - 秋口(9月頃)の整枝剪定(せいしせんてい)
夏の間に伸びすぎた枝や、不揃いな形を整えるための軽い剪定です。形を丸く整えるイメージで、先端を揃えるようにカットします。この時期に深く切りすぎると、これから形成される秋の花芽まで切り落としてしまい、開花が遅れたり咲かなくなったりする可能性があるため、あくまで「整える」程度に留めるのがコツです。
そして、剪定をする際にこれだけは守ってほしい絶対的なルールがあります。それは、「必ず緑色の葉が残っている位置で切る」ということです。マーガレットの茎は成長と共に茶色く硬く「木質化(もくしつか)」していきますが、この木質化した古い茎の部分には、新しい芽を出すための成長点が既に活動を終えていることが多いのです。葉が全くない茶色い茎だけになるまで深く切り詰めてしまうと、そこから新芽が出ずに(萌芽せず)、そのまま株全体が枯れてしまうリスクが非常に高くなります。必ず、ハサミを入れる位置の下に、元気な緑色の葉っぱが数枚残っていることを目視で確認してからカットしてください。これさえ守れば、枯れることはまずありません。
鉢植えでのマーガレットの育て方と植え替え
鉢植えでマーガレットを育てる場合、限られた土の中で根が活動するため、土の環境作りが非常に重要になります。マーガレットは「水は好きだけど、湿りっぱなし(過湿)は嫌い」という、少しわがままな性質を持っています。そのため、使用する土は水はけ(排水性)と通気性に優れたものである必要があります。
ホームセンターなどで売られている「草花用培養土」を使うのが一番手軽ですが、商品によっては保水性が高すぎて、梅雨時などに根腐れしやすいものもあります。プロのコツとしては、市販の培養土に、水はけを良くする「赤玉土(小粒)」や「パーライト」を全体の2割〜3割程度混ぜ込んであげることです。これにより、土の粒子と粒子の間に適度な隙間(気相)ができ、水やりをしたときに余分な水がスムーズに排出されるようになります。また、マーガレットは酸性土壌を嫌う傾向があるため、古くなった土を使い回す場合は、苦土石灰などを少量混ぜて酸度(pH)を調整してあげるのがベターです。
水やりの基本は、園芸のゴールデンルールである「土の表面が白っぽく乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与える」です。これを徹底してください。「毎日なんとなくあげる」のが一番良くありません。なぜ「乾く」必要があるのでしょうか?それは、根が呼吸するために酸素が必要だからです。土が常に水で満たされていると、酸素が入る隙間がなく、根は窒息して腐ってしまいます(根腐れ)。逆に、土が乾いたタイミングでたっぷりと水を与えることで、鉢の中に溜まっていた古い空気が水と一緒に押し出され、水が引くときに新しい新鮮な酸素が土の中に引き込まれる「ポンプ作用」が働きます。この乾湿のメリハリこそが、健康な根を育てる秘訣です。受け皿に溜まった水も、根腐れの原因になるので必ず捨てましょう。
植え替えについては、根詰まりを解消するために1年に1回行うのが理想です。適期は成長期である春(3月〜6月)か秋(9月〜10月)です。鉢から株を抜いてみて、根がびっしりと回ってサークリング現象(根が鉢の形にぐるぐると回って固まること)を起こしているようなら、根鉢の底を少し崩してほぐし、一回り(直径が3cm程度)大きな鉢に植え替えます。この時、黒ずんだ古い根や傷んだ根があれば取り除き、新しい土を使って植え付けることで、根の活動が活性化し、その後の成長が驚くほど良くなります。
マーガレットの冬越し方法と寒冷地での管理

マーガレットにとって、日本の冬は試練の季節です。前述の通り、原産地が暖かい地域であるため、日本の冬の寒さ、特に「霜」や「凍結」には耐えられません。冬越しを成功させるためには、お住まいの地域の気候に合わせた適切な管理が必要です。
【関東以西の暖地(霜が少ない地域)の場合】
南向きの日当たりの良い軒下やベランダであれば、屋外での冬越しが可能な場合が多いです。コンクリートの床に直置きすると、夜間に床からの冷え込みが伝わるため、フラワースタンドやスノコを使って鉢を地面から離して置くとより安心です。ただし、数年に一度の大寒波などで気温がマイナスになるような日は、一時的に玄関内に入れるか、不織布やビニール袋ですっぽりと覆って霜除けをしてください。水やりは、気温の低い午前中に行い、夕方には乾き始めている状態にするのが理想です。冬場は成長が鈍るため、水やりの頻度を減らし「乾燥気味」に管理することで、植物の樹液濃度が高まり、耐寒性が向上します。
【寒冷地(東北・北海道・山間部など)の場合】
残念ながら、寒冷地では屋外での冬越しは基本的に不可能です。雪の下になれば確実に枯死してしまいます。11月頃、霜が降りる前に室内に取り込みましょう。室内では、日当たりの良い窓辺が定位置です。ただし、夜間の窓辺は放射冷却現象で屋外並みに冷え込むことがあるので、日が暮れたら部屋の中央や高い位置に移動させたり、厚手のカーテンを引いて冷気を遮断したりする工夫が必要です。また、エアコンやファンヒーターの温風が直接当たる場所は、極度の乾燥により株が一気に弱るため絶対に避けてください。
室内で管理する場合、気温が10℃以上保たれ、十分な日光があれば、冬の間も花を咲かせ続けることがあります。しかし、日照不足になりやすいため、天気の良い日はガラス越しの日光をたっぷりと浴びさせてあげることが大切です。
マーガレットの花が終わったら行う花殻摘み

次々と咲く花を長く楽しむために、日々のルーティンとして取り入れたいのが「花殻(花がら)摘み」です。咲き終わってしおれた花をそのままにしておくと、見た目が悪いだけでなく、植物にとって百害あって一利なしです。
最大のデメリットは、エネルギーの浪費です。花が終わると、植物は子孫を残すために種を作ろうとします(結実)。この種作りには多大なエネルギーが使われるため、新しい蕾を作るためのパワーがそちらに奪われてしまうのです。花殻を早めに摘み取ることで、種作りを阻止し、「まだ子孫を残せていないから、もっと花を咲かせなければ!」と植物に思わせ(生殖成長の継続)、次の開花を促すことができます。
また、しおれた花びらは老化ホルモンである「エチレンガス」を発生させ、周囲の健康な花の老化を早めてしまうことがあります。さらに、湿気を含むとカビが生えやすく、「灰色かび病(ボトリチス病)」などの病気の温床になります。枯れた花が葉の上に落ちて、そこから病気が広がることも珍しくありません。
花殻摘みのコツは、花びらの部分だけをプチっとむしるのではなく、花茎(かけい)の付け根から切り取ることです。花だけを取って茎を残してしまうと、残った茎が枯れ込んで見栄えが悪くなる上、そこから腐敗が進むこともあります。ハサミを使っても良いですし、茎が細い品種なら指でつまんでひねるようにすると簡単に根元から取ることができます。こまめな花殻摘みが、満開の状態をキープする秘訣です。
挿し木でマーガレットを増やす時期と方法

どんなに上手に育てていても、マーガレットは3〜4年も経つと株元が太く木質化し、ゴツゴツとした老木のような姿になってきます。こうなると、新しい芽が出にくくなり、花付きも徐々に悪くなってしまいます。そこでおすすめなのが、挿し木(さしき)による株の更新です。親株の元気な枝を使って新しい株(クローン)を作ることで、若々しく勢いのある花を楽しむことができます。
挿し木の適期は、気温が20℃前後で安定して発根しやすい5月から6月(梅雨入り前)、または9月から10月です。真夏や真冬は成功率が低いので避けましょう。
挿し木の手順
- 挿し穂の準備:病気や害虫のない元気な枝の先端を、5cm〜10cmほどの長さでカットします。これを「挿し穂(さしほ)」と呼びます。指で軽く曲げてみて、ポキッと折れるくらいの硬さの部分が最適です。
- 葉の調整:土に埋まる部分(下半分)の葉は全て取り除きます。葉が多すぎると、根のない状態では水分が蒸散しすぎてしおれてしまうため、上の葉も大きなものは半分にカットするなどして蒸散量を調整します。蕾や花がついている場合は、発根にエネルギーを使わせるために全て取り除きます。
- 水揚げ:切り口を鋭利なナイフやカッターでスパッと斜めに切り直し(断面積を広げ吸水しやすくする)、コップの水に1時間ほどつけて吸水させます。これを「水揚げ」と言います。
- 挿す:肥料分の入っていない清潔な用土(バーミキュライト、赤玉土小粒、鹿沼土、市販の挿し木専用土など)を湿らせ、割り箸などで下穴を開けてから、優しく挿し穂を挿します。切り口を傷めないようにするのがポイントです。
- 管理:直射日光の当たらない明るい日陰で、土を乾かさないように管理します。ビニール袋などをかぶせて湿度を保つのも有効です。順調にいけば3週間〜1ヶ月ほどで発根します。
発根して新しい葉が展開してきたら、ビニールポットに培養土を入れて植え替え(ポット上げ)、徐々に日光に慣らしていきましょう。挿し木で作った小さな苗は、親株よりも寒さや暑さに弱いので、最初の夏や冬は特に丁寧に管理してあげてください。
マーガレットが枯れる原因となる病気と害虫
最後に、マーガレットを育てる上で気をつけておきたいトラブルについて解説します。早期発見・早期対処ができれば、被害を最小限に抑えることができます。
病気で最も恐ろしいのが「立ち枯れ病(たちがれびょう)」です。これはフザリウム菌やリゾクトニア菌などの土壌中のカビ(糸状菌)が原因で、今まで元気だった株の一部が急にしおれ、やがて株全体が枯れてしまう病気です。一度発病すると治療は困難で、他の植物への感染を防ぐために株ごと処分し、土も廃棄しなければなりません。発生しやすいのは高温多湿な環境です。予防策としては、とにかく「水はけの良い土を使うこと」と「梅雨前の剪定で風通しを良くすること」、そして「連作(同じ土で同じ科の植物を育て続けること)を避けること」が重要です。
害虫では、春や秋の成長期に「アブラムシ」が発生しやすいです。新芽や蕾などの柔らかい部分にびっしりと群がり、植物の汁を吸って弱らせます。また、アブラムシはウイルス病(モザイク病など)を媒介することもあるので厄介です。見つけ次第、粘着テープで取り除くか、アブラムシに効く園芸用殺虫剤(オルトラン粒剤など)を散布して駆除しましょう。また、乾燥した環境では「ハダニ」が発生し、葉の色がカスリ状に抜けて白っぽくなることがあります。ハダニは水に弱いため、水やりの際に葉の裏側にも水をかける「葉水(はみず)」を行うことで、ある程度の予防が可能です。
マーガレットがいつ咲くかを理解して満開に
マーガレットは、春の暖かな日差しの中で咲く姿も美しいですが、秋の澄んだ空気の中で咲く姿もまた格別です。「いつ咲くか」という疑問への答えは、植物が本来持っている自然なサイクルと、私たち栽培者のちょっとしたお手入れのコラボレーションによって決まると言えるでしょう。
日当たりを確保してあげること、適切な時期に散髪(剪定)をしてあげること、そしてお腹が空いた時(開花期)にご飯(肥料)をあげること。これらは決して難しい専門技術ではありません。植物の声に耳を傾け、季節に応じたお世話をすることで、マーガレットは驚くほどたくさんの花を咲かせて応えてくれます。ぜひ、この記事で紹介したポイントを参考に、春も秋も満開の花を楽しんでください。あなたのガーデンライフが、マーガレットの花でより豊かになることを願っています。
この記事の要点まとめ
- マーガレットは春(3月〜5月)と秋(10月〜12月)に咲く二季咲きの性質を持つ
- 本来はカナリア諸島原産の「常春」の植物であり、極端な暑さと寒さが苦手
- 秋に咲かせるには、夏の涼しい場所での管理と、適切な時期の剪定が必須条件
- 日照不足は花が咲かない最大の原因となるため、1日4時間以上の直射日光を確保する
- 蕾が黒くなって咲かない現象は、霜や寒風による凍結が主な原因
- 鉢植えの場合、根詰まりを起こすと水や養分を吸収できず、開花不良につながる
- 開花期間中はエネルギー消費が激しいため、リン酸分の多い肥料を定期的に追肥する
- 梅雨前の「強剪定(切り戻し)」は、夏の蒸れを防ぎ、秋の開花を促す最重要作業
- 剪定を行う際は、枯死を防ぐために必ず緑の葉が残っている位置でカットする
- 寒冷地では屋外での冬越しはできないため、霜が降りる前に室内へ取り込む
- 花殻摘みをこまめに行うことで、種作りによる消耗を防ぎ、病気を予防できる
- 株が老化して花付きが悪くなったら、挿し木を行って株を更新(若返り)させる
- 立ち枯れ病を防ぐために、水はけの良い用土を使用し、過湿を避ける
- アブラムシなどの害虫は、新芽や蕾につきやすいため、早期発見と駆除が鍵となる
- 品種改良されたブランド品種は、暑さに強く開花期間が長い傾向がある
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