こんにちは、My Garden 編集部です。
鮮やかな花色と、バラのように重なり合う豪華な花びらが魅力のリーガスベゴニア。「エラチオール・ベゴニア」という名前でも流通しており、その圧倒的な美しさから「鉢花の女王」とも称されています。誕生日や記念日のギフトとしていただくことも多いこのお花ですが、いざ自宅にお迎えして育てようとすると、「置き場所は室内と屋外、結局どっちがいいの?」「水やりのタイミングが分からず、気づいたら茎がブヨブヨになって枯れてしまった…」といったトラブルに見舞われることも少なくありません。
私自身も園芸を始めたばかりの頃、この花の華やかさに惹かれて購入したものの、夏の暑さであっという間にダメにしてしまった苦い経験があります。実はリーガスベゴニアは、日本の高温多湿な気候があまり得意ではなく、季節に応じた細やかな管理が必要な植物なんです。特に冬越しの温度管理や、花が終わった後の切り戻しなど、翌年も綺麗に咲かせるためには、いくつかの「外せないポイント」が存在します。
この記事では、かつての私のように失敗したくない初心者の方に向けて、リーガスベゴニアの生理的特性に基づいた正しい育て方を、基本から応用テクニックまで徹底的に解説していきます。これを読めば、あなたのリーガスベゴニアもきっと長く、美しく咲き続けてくれるはずですよ。
この記事のポイント
- 季節ごとの最適な置き場所と、失敗しない光線管理のコツ
- 根腐れを確実に防ぐための「水やりサイン」の見極め方
- 寒さに弱いリーガスベゴニアを翌年まで守る冬越しテクニック
- 病気を予防し、株を若返らせるための正しい切り戻し手順
初心者向けリーガスベゴニア育て方の基本
リーガスベゴニアを育てる上でまず理解しておきたいのは、この植物が南米アンデスの高地に自生する「球根ベゴニア」と、インド洋のソコトラ島に自生する「ベゴニア・ソコトラナ」を交配して作られた品種だということです。つまり、涼しい高地の気候を好む性質と、短日(日が短くなること)で花芽をつける性質を併せ持っています。このバックグラウンドを知っておくと、彼らが心地よく過ごせる「光」「水」「土」「肥料」「温度」の5つの基本要素がおのずと見えてきます。
リーガスベゴニアは室内と屋外どっち?
リーガスベゴニアの栽培で最も多くの人が悩むのが「置き場所」です。「お花だから外で太陽に当てたい」と思うのが親心ですが、結論から申し上げますと、「基本的には室内、ただし春と秋の気候が良い時期は屋外の明るい日陰でもOK」というのが正解です。しかし、これを成功させるには、単に場所を決めるだけでなく、「光の質」と「風の動き」をコントロールする必要があります。
光の強さと「葉焼け」のリスク

この植物は「半日陰」を好みます。具体的な明るさで言うと、読書ができる程度の明るさ(数千ルクス〜1万ルクス程度)が理想的です。直射日光、特に西日や真夏の日差しは天敵です。リーガスベゴニアの葉は水分を多く含んでおり、強い光が当たると葉の温度が急激に上昇し、葉緑素が破壊され、細胞が壊死して茶色く焦げる「葉焼け」を起こしてしまいます。一度焼けてしまった葉は二度と元には戻らないため、見た目が悪くなるだけでなく、光合成能力も落ちて株が弱ってしまいます。
例えば、人間の肌が真夏のビーチで日焼けするように、リーガスベゴニアの葉も短時間の直射日光で火傷を負ってしまいます。「午前中の数時間なら大丈夫かな?」という油断が命取りになることもあるので、遮光ネットやレースのカーテンは必須アイテムと言えるでしょう。
徒長を防ぐための光線管理

一方で、暗すぎる場所も問題です。トイレや玄関などの薄暗い場所に置き続けると、光を求めて茎がひょろひょろと長く伸びる「徒長(とちょう)」を起こします。徒長した株は組織が軟弱になり、病気にかかりやすく、花つきも極端に悪くなります。「室内ならどこでも良い」わけではなく、窓からの光が入る場所を選ぶことが重要です。葉の色が薄くなったり、茎の間延びが気になり始めたら、それは「光不足」のサインです。少しずつ明るい場所へ移動させてあげましょう。
季節ごとのベストな置き場所
- 春・秋(生育適期): 室内のレースのカーテン越しが最も安全です。気候が良い日はベランダの明るい日陰に出して風に当ててあげると、株が引き締まります。ただし、コンクリートの上に直接置くと照り返しの熱で弱るので、フラワースタンドなどを使って地面から離してください。
- 夏(危険な時期): 日本の夏は暑すぎます。風通しの良い涼しい日陰か、エアコンの効いた室内(25℃前後)に避難させましょう。ただし、エアコンの冷風が直接当たる場所は、過乾燥で蕾が落ちる原因になるので厳禁です。
- 冬(寒さが苦手): ガラス越しの日光がたっぷり当たる暖かい室内で管理します。冬の日差しは柔らかいので、直射日光に当てても大丈夫な場合が多いですが、葉の状態を見て調整してください。
また、意外と見落としがちなのが「通気性」です。空気が滞留すると、葉の蒸散作用がうまくいかず、蒸れてカビが発生しやすくなります。特に室内栽培では空気が淀みがちです。サーキュレーターや扇風機の風を壁や天井に向けて当て、間接的に空気が動く環境を作ってあげると、病気の予防に非常に効果的です。植物に直接強風を当てると気孔が閉じてしまうので、あくまで「そよ風」を感じる程度がベストです。
失敗しないリーガスベゴニアの水やり頻度
「水やり三年」という言葉がありますが、リーガスベゴニアに関しては「土の表面が白っぽく完全に乾いてから、鉢底から流れ出るまでたっぷりと」が黄金ルールです。「毎日少しずつ」や「なんとなく土が湿っているけどあげる」といった水やりは、枯らす原因のナンバーワンです。
なぜ「乾いてから」なのか?
リーガスベゴニアの茎や葉は肉厚で、内部に水分を蓄えるタンクのような役割を持っています。そのため、一般的な草花(ペチュニアやパンジーなど)よりも乾燥には強い植物です。逆に、根は非常に繊細で、常に水に浸かっている状態が続くと呼吸ができず、酸欠状態に陥ります。これが「根腐れ」です。根が腐ると水を吸い上げられなくなるため、土は湿っているのに地上部は萎れてくる、という現象が起きます。こうなると回復は非常に困難です。初心者の多くが「萎れている=水不足」と勘違いしてさらに水をやり、とどめを刺してしまうケースが後を絶ちません。
正しい水やりの手順

- 観察とタッチ: まずは土の表面を見ます。黒っぽく湿っているなら水やりは不要です。指で触ってみて、パラパラと乾いているか確認しましょう。さらに確実なのは「鉢を持ち上げてみる」ことです。水を含んだ鉢はずっしりと重いですが、乾いた鉢は驚くほど軽くなります。この「重さの感覚」を覚えるのが上達の近道です。
- 給水: ジョウロで株元にゆっくりと水を注ぎます。この時、なるべく葉や花に水がかからないようにしてください。葉のくぼみに水が溜まると、そこから菌が繁殖し、斑点細菌病などの原因になります。
- 排水確認: 鉢底から水がジャーっと流れ出るまで与えます。これには水分補給だけでなく、土の中に溜まった古いガスや老廃物を押し流し、新鮮な酸素を含んだ空気を土に取り込む「換気」の役割があります。チョロチョロと少しあげるだけでは、このガス交換が行われず、土の中の環境が悪化します。
- 後処理: 受け皿に溜まった水は必ず捨ててください。溜めたままにすると、毛細管現象で水が土に戻ってしまい、鉢内の土が乾かず、根腐れ一直線です。
底面給水鉢の落とし穴

最近よく見かける「底面給水鉢(鉢底のタンクから水を吸い上げるタイプ)」は、水やりの手間が省けて非常に便利ですが、注意が必要です。タンクに水がある限り土は湿り続けるため、もしタンクの水がなくなっても、すぐに水を足さないでください。
重要: タンクの水がなくなっても、土の中にはまだ水分が残っています。タンクが空になってから数日待ち、土の表面が乾いたのを確認してから給水するのがコツです。また、月に一度は上からたっぷりと水を与え(リーチング)、土壌中に蓄積した塩分や老廃物を鉢底から洗い流してあげましょう。
リーガスベゴニアに適した土の配合
リーガスベゴニアの根は細く、酸素を好みます。そのため、使用する土は「排水性(水はけ)」と「通気性」に優れていることが絶対条件です。粘土質の重たい土や、水持ちが良すぎる土を使うと、どんなに水やりを工夫しても根腐れを起こしやすくなります。
市販の培養土を使う場合

ホームセンターなどで売られている「花と野菜の土」や「観葉植物の土」でも基本的には問題ありません。しかし、製品によっては保水性を高めるためにピートモスなどが多く配合されており、リーガスベゴニアには少し重たい場合があります。特に安価な培養土は、時間が経つと泥のように固まってしまうことがあります。
私のおすすめは、市販の培養土に「パーライト」や「軽石の小粒(日向土など)」を全体の1〜2割ほど混ぜることです。これだけで水はけが劇的に良くなり、土の中に空気の通り道(気相)が確保され、根腐れのリスクを大幅に下げることができます。
自分でブレンドする場合
こだわり派の方は、自分で配合してみましょう。以下のレシピは、排水性と保水性のバランスが良く、失敗が少ない配合です。
また、リーガスベゴニアは弱酸性の土壌(pH 5.5〜6.5)を好みます。未調整のピートモス(pH4.0前後)を大量に使うと酸性が強くなりすぎることがあるので、酸度調整済みのものを選ぶか、少量の苦土石灰を混ぜて酸度を調整してあげると、根の張りがさらに良くなります。土が古くなると粒が崩れて微塵(みじん)になり、通気性が失われるので、1〜2年に一度は新しい土への更新が必要です。
花を咲かせる肥料の与え方
次々と豪華な花を咲かせるリーガスベゴニアは、いわば「アスリート」のようにエネルギー消費が激しい植物です。適切な栄養補給がないと、花が小さくなったり、花色が薄くなったり、最悪の場合は蕾が開かずに落ちてしまうこともあります。しかし、肥料は「あげればあげるほど良い」というものではなく、タイミングを間違えると毒にもなります。
肥料を与えるベストな時期
肥料は、植物が元気に成長し、栄養を欲している時期に与えるのが鉄則です。
- 春(3月〜6月): 生育が旺盛になり、開花も最盛期を迎える時期です。この時期の肥料不足は花数に直結します。
- 秋(9月下旬〜11月): 夏の暑さを乗り越え、再び花を咲かせるための体力をつける時期です。ここでしっかり栄養を蓄えることで、冬越しの体力もつきます。
この期間は、速効性のある液体肥料を1000倍〜2000倍に薄め、1週間〜10日に1回のペースで水やりの代わりに与えます。花を咲かせるためには「リン酸(P)」成分が重要なので、N-P-K(チッソ・リンサン・カリ)の比率の中でPが高めの肥料を選ぶと効果的です。また、土の上に置くタイプの「緩効性化成肥料(プロミックなど)」を規定量置いておくのも、じわじわと効き続けるのでおすすめです。
肥料をあげてはいけない「魔の時期」
ここは絶対に覚えておいてください!
真夏の高温期(30℃以上)と、真冬の低温期(10℃以下)は、植物が生育を停止して休んでいる状態です。人間で言えば、体調を崩して寝込んでいる時にステーキを食べさせるようなもの。消化不良を起こしてしまいます。
この時期に肥料を与えると、根が栄養分を吸収できず、逆に土の中の肥料濃度が高くなりすぎて、根から水分が奪われる「肥料焼け」を起こして枯れてしまいます。葉の縁が茶色くチリチリになってきたら肥料焼けのサインかもしれません。この時期は「水だけ」でじっと耐えさせ、回復を待つのが最善の策です。
リーガスベゴニアの冬越し方法と温度
リーガスベゴニア栽培の最大の難関、それが「冬越し」です。寒さにはめっぽう弱く、霜に当たれば一発で枯れてしまいます。日本の冬を乗り切るためには、徹底した温度管理が必要です。特に、夜間の冷え込み対策が勝負の分かれ目となります。
温度のボーダーライン
- 安全圏:15℃以上 … 花も咲き続け、成長も止まりません。理想的な環境です。
- 注意圏:10℃〜15℃ … 成長は鈍りますが、枯れることはありません。日本の一般家庭では、この辺りが冬越しの現実的な目標ラインです。
- 危険圏:5℃〜10℃ … 生理機能が低下し、葉が黄色くなったり落ちたりします。ギリギリ耐えられる限界です。水やりを控えて耐え忍びます。
- 枯死圏:5℃以下 … 細胞内の水分が凍結し、組織が壊死します。茎が透明になって溶けたようになり、修復不可能です。
室内での具体的な管理テクニック

冬は日当たりの良いリビングの窓辺などが定位置になりますが、ここに大きな落とし穴があります。「夜間の窓辺」は外気と同じくらい冷え込むのです。昼間は窓辺でポカポカ日光浴をさせても、夜そのままにしておくと明け方の冷気でダメージを受けます。夕方日が沈んだら、厚手のカーテンを閉め、鉢を部屋の中央やテーブルの上など、窓から離れた暖かい場所に移動させてください。面倒であれば、夜だけ段ボール箱を被せておくだけでも、簡易的な温室効果で数度の保温効果が期待できます。
また、エアコンやファンヒーターを使用する場合、温風が植物に直接当たるのは厳禁です。人間でもドライアイになるように、植物も極度の乾燥ストレスを受け、蕾がポロポロと落ちてしまいます。湿度は50〜60%程度あるのが理想なので、加湿器を使ったり、株の周りに霧吹き(葉には直接かけすぎないように)をして、湿度を保つ工夫も大切です。
長く楽しむリーガスベゴニア育て方のコツ
基本的なお世話に慣れてきたら、次は一歩進んだメンテナンスに挑戦してみましょう。「花が終わったらそのまま」「伸びすぎた枝も放置」では、株はどんどん老化してしまいます。切り戻しや植え替えなどの手入れを行うことで、株の寿命を延ばし、毎年美しい花を咲かせることができるようになります。
リーガスベゴニアの切り戻し時期と方法
「せっかく伸びた枝を切るのは可哀想…」と思ってしまいがちですが、リーガスベゴニアにとって適切な「切り戻し(剪定)」は、健康を維持するための外科手術のようなものです。株の形が乱れてきたり、下葉が落ちてスカスカになってきたりしたら、ハサミを入れるサインです。
なぜ切り戻しが必要なのか?
- 通気性の確保: 葉が混み合うと内部の湿度が上がり、蒸れて病気になりやすくなります。特に梅雨時は致命的です。
- リフレッシュ: 植物には「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質があり、先端の芽ばかりが伸びようとします。これを切ることで、脇芽(わきめ)の成長スイッチが入り、株元から新しい元気な枝が出るのを促します。
- 草姿の改善: 伸び放題の形を整え、こんもりとした美しいドーム型の形に仕立て直せます。
切り戻しにおすすめの2つのタイミング

1. 春の切り戻し(3月中旬〜4月)
冬越しを終えた株は、光不足で徒長していたり、葉が傷んでいたりすることが多いです。生育期に入るこの時期に、株元から下葉を数枚残して、思い切って全体の半分〜3分の1くらいの高さまで切り戻します。節(葉の付け根)の少し上で切るのがポイントです。こうすることで、3〜4週間後には新しい葉が茂り、再び花を咲かせる準備が整います。
2. 夏前の切り戻し(5月〜6月)
高温多湿な日本の夏は、リーガスベゴニアにとって過酷なシーズンです。葉が茂ったままだと蒸れて腐りやすくなるため、梅雨入り前までに少し軽めに切り戻しを行い、枝数を減らして風通しを良くしておきます。これは「花を楽しむため」というより、「夏を生き延びさせるため」の処置です。
注意点:丸坊主はNG!
葉っぱを一枚も残さず茎だけにしてしまうと、光合成ができなくなり、回復するためのエネルギーを作れずにそのまま枯れ込んでしまうリスクがあります。必ず元気な葉を何枚か残した状態でカットするようにしてください。
花が終わったら行うべき花殻摘み
咲き終わった花(花殻)を「自然に落ちるまで待つ」のはおすすめできません。放置することには3つの大きなデメリットがあります。
- 病気の温床になる: 枯れた花びらにカビ(灰色カビ病など)が生え、それが健康な葉や茎に移って株全体を腐らせます。特に湿度の高い時期はあっという間に広がります。
- エネルギーの無駄遣い: 植物は花が終わると種を作ろうとします。種作りにエネルギーを使われると、新しい蕾を作るパワーがなくなってしまいます。
- 見た目が悪い: 茶色く変色した花は、全体の美観を損ねます。
正しい花殻摘みの方法

花びらの端が茶色くなり始めたり、シワが寄ってしおれてきたら、早めに摘み取ります。この時、花びらだけを引っ張ってむしるのではなく、花茎の付け根(茎とつながっている部分)から指でつまみ、ポキッと折り取るようにしましょう。ハサミを使わなくても、少し横に倒すように力を入れると簡単に取れます。
また、ハラハラと落ちて葉の上や土の上に溜まった花びらも、カビの原因になるのでこまめに取り除いてあげてください。この「日々の小さなお掃除」が、農薬を使わずに病気知らずの健康な株を作る一番の秘訣です。
根腐れを防ぐ植え替えの手順
購入してから1〜2年経つと、鉢の中は根でいっぱいになり(根詰まり)、土も古くなって団粒構造が崩れ、水はけが悪くなります。水やりをした時に水がなかなか染み込まなくなったり、鉢底から根が飛び出してきたら、植え替えの合図です。
適期: 気温が安定している4月〜6月上旬、または9月下旬〜10月頃がベストです。真夏と真冬は株への負担が大きすぎるので、緊急時以外は避けましょう。
植え替えのステップ
- 準備: 一回り大きな鉢(今の鉢が5号なら6号)と、新しい用土を用意します。いきなり大きすぎる鉢に植えると、根のない土の部分が乾きにくく、過湿の原因になるので、「一回り」にとどめるのがポイントです。
- 抜く: 株元を優しく持ち、鉢を逆さにしてトントンと叩きながら株を抜きます。無理に引っ張ると茎が折れるので注意してください。
- 整理: 根鉢(根と土の塊)を軽くほぐします。リーガスベゴニアの根は非常に細く切れやすいので、ガシガシ崩さず、表面の古い土を1/3程度落とすくらいで十分です。黒く腐っている根があれば清潔なハサミで取り除きます。
- 植える: 新しい鉢の底に鉢底石を入れ、土を少し入れます。株を置いて高さを調整し(深植えになりすぎないように)、周りに隙間なく土を入れていきます。最後に割り箸などで土をつつき、根の間に土を行き渡らせます。
- 水やり: 鉢底から透明な水が出るまでたっぷりと水を与え、1週間ほどは風の当たらない明るい日陰で養生させます。この期間は肥料を与えないでください。
リーガスベゴニアの挿し木での増やし方
大切に育てていても、年数が経つと茎が木のように硬くなり(木質化)、花つきが悪くなることがあります。これは植物の老化現象です。そんな時は「挿し木(さしき)」で新しい株を作って更新しましょう。親株の遺伝子をそのまま受け継ぐので、同じ美しい花を楽しむことができます。
適期: 4月下旬〜6月中旬、または9月下旬〜10月上旬。気温が20℃〜25℃くらいが最も発根に適しています。
挿し木の手順

- 挿し穂を作る: 太くて元気な茎を選び、先端から10cm程度(葉が2〜3枚ついている状態)の長さでカットします。切り口は清潔なカッターナイフなどで斜めにスパッと切ると、断面積が広くなり水を吸いやすくなります。
- 調整: 下の方についている葉は取り除きます。大きな葉がついている場合は、蒸散による水分の蒸発を防ぐために、ハサミで葉を半分にカットします。
- 水揚げ: 切り取った茎を、清潔な水の入ったコップに30分〜1時間ほど浸け、しっかりと水を吸わせます。
- 挿す: 肥料分を含まない清潔な用土(バーミキュライト、鹿沼土の細粒、パーライトなど)を用意し、割り箸で穴を開けてから優しく挿します。有機質の多い土は腐りやすいので避けます。
- 管理: 直射日光の当たらない明るい日陰に置きます。湿度を保つために、ビニール袋をふんわりとかぶせて「簡易温室」を作るのも効果的です。土が乾かないように管理すると、3〜4週間ほどで根が出てきます。新芽が動き出したら、通常の培養土に鉢上げ(植え替え)します。
水挿しでもできる?
コップの水に挿しておくだけでも根は出ます(水挿し)。手軽で根が出る様子を観察できて楽しいですが、水中で出た根は土の環境に慣れるのに時間がかかるため、土に植えた後に枯れるリスクが少し高まります。水挿しをする場合は、根が1〜2cm出たら早めに土に植え替えるのが成功のコツです。
うどんこ病など病害虫の対策
リーガスベゴニアを育てる上で避けて通れないのが病害虫との戦いです。早期発見・早期治療が何より重要です。特に気をつけたい2大トラブルについて解説します。
1. うどんこ病(Powdery Mildew)
うどんこ病:葉や茎、蕾に白い粉(小麦粉)をまぶしたようなカビが生える病気です。春や秋の、昼夜の温度差があり、空気が乾燥した時期に発生しやすいです。光合成ができなくなり、株が衰弱します。
対策: 初期段階であれば、重曹を水で薄めたもの(水500mlに重曹1g程度)をスプレーするか、市販の殺菌剤(カリグリーンなど)を散布します。白い粉が全面に広がってしまった葉は、治らないので切り取って処分し、他の葉への感染を防ぎます。
2. 灰色カビ病(Botrytis)
花びらや葉に水がしみたようなシミができ、やがて灰色のふわふわしたカビに覆われて腐る病気です。低温多湿で、風通しが悪いと発生します。枯れた花びらが葉の上に落ちて、そこから感染が広がるケースがほとんどです。
対策: この病気は「花殻摘み」と「通気性の確保」でほぼ防げます。もし発生してしまったら、病気の部分を少し広めに取り除き、殺菌剤(ベンレートなど)を散布して拡大を防ぎます。
害虫: 新芽に群生して汁を吸う「アブラムシ」や、葉の裏について葉の色を悪くする「ハダニ」がつきやすいです。見つけ次第、粘着テープで取ったり、勢いのある水流で洗い流したり、専用の薬剤(オルトランなど)を使って駆除しましょう。ハダニは乾燥すると発生するので、定期的に葉の裏に霧吹き(葉水)をすることで予防できます。
リーガスベゴニアの寿命と翌年の咲かせ方
「リーガスベゴニアは一年草(ワンシーズンで終わる)」と思っている方もいますが、本来は多年草です。環境さえ合えば数年は生き続けます。しかし、鉢植えの場合、どうしても2〜3年で株が老化し、勢いがなくなってきます。
プロの生産者や園芸上級者は、親株を何年も維持するのではなく、「毎年、あるいは2年に1回挿し木をして、株を若返らせる(更新する)」ことで、常に元気な花を楽しんでいます。古い株は冬越しや夏越しの体力が落ちていることが多いので、春や秋に挿し木苗を作っておくことが、リーガスベゴニアと長く付き合うための「保険」になります。若い株の方が環境適応能力も高く、美しい花をたくさん咲かせてくれます。
翌年咲かせるためのサイクル
- 春: 成長期。肥料をあげて株を大きくする。挿し木で予備苗を作る。
- 夏: 休眠期。とにかく涼しくして枯らさないことに専念。肥料は切る。
- 秋: 回復期。涼しくなったら肥料を再開。リーガスベゴニアは短日植物なので、夜も照明が当たる場所に置くと花芽がつかないことがあります。秋の夜長を感じさせるため、夜は暗い場所に置くか、段ボールを被せる「短日処理」を行うと、より確実に花を咲かせることができます。
- 冬: 耐寒期。室内で暖かく保護。
(出典:住友化学園芸『エラチオールベコニアの育て方』)
季節ごとのリーガスベゴニア育て方まとめ
最後に、1年を通した管理スケジュールをまとめました。これを参考に、季節の移ろいに合わせたお世話をしてあげてください。
| 季節 | 月 | 主な作業と管理のポイント |
|---|---|---|
| 春 (成長期) |
3月 | 徐々に暖かくなりますが、まだ室内管理が無難。下旬から薄い液肥を開始。古くなった葉を整理します。 |
| 4月 | 生育旺盛。植え替え、切り戻し、挿し木のベストシーズン。気温が安定したら屋外の明るい日陰へ出してもOK。 | |
| 5月 | 花が次々と咲く。水切れに注意。梅雨入り前に蒸れ対策の切り戻しを検討。アブラムシに注意。 | |
| 夏 (半休眠) |
6月 | 雨に当てないよう注意。高温多湿になると病気が出やすいので風通しを確保。ナメクジなどの食害にも注意。 |
| 7月 | 暑さ対策本番。直射日光厳禁。涼しい室内へ移動。肥料は完全にストップ。水やりは涼しい時間に。 | |
| 8月 | 最も過酷な時期。水やりは朝夕の涼しい時間に。株が弱っていても肥料はあげない。葉水でハダニ予防。 | |
| 秋 (成長期) |
9月 | 中旬以降、涼しくなってきたら肥料再開。秋の植え替えや挿し木も可能。夏の疲れを癒す時期。 |
| 10月 | 生育適期。美しい花が楽しめる。夜間照明が当たり続ける場所は避ける(花芽形成のため)。 | |
| 11月 | 晩秋。寒くなる前に室内に取り込む準備。水やり頻度を少しずつ減らす。 | |
| 冬 (休眠期) |
12月 | 室内管理。ガラス越しの日光を当てる。夜間の冷え込み対策(窓から離す)。加湿を心がける。 |
| 1月 | 寒さのピーク。水やりは控えめに(乾かし気味)。肥料は不要。夜間の保温対策を徹底。 | |
| 2月 | 引き続き保温。暖房の風による乾燥に注意。日中はできるだけ日に当てる。 |
リーガスベゴニアは、少しだけ「お姫様扱い」が必要な植物かもしれません。でも、手をかけた分だけ、他の花にはない圧倒的な華やかさで応えてくれます。一度コツを掴んでしまえば、毎年花を咲かせることは決して難しくありません。ぜひ、この記事を参考にして、あなただけの美しい一鉢を育て上げてみてくださいね。
この記事の要点まとめ
- 置き場所は基本室内、夏は涼しい日陰、冬は暖かい窓辺が理想
- 直射日光は葉焼けの原因になるので、レースカーテン越しがベスト
- 水やりは土の表面が白く乾いてからたっぷりと与える
- 受け皿や底面給水タンクに水を溜めっぱなしにしない(根腐れ防止)
- 肥料は春と秋の生育期にのみ、薄い液肥を週1回程度与える
- 夏と冬は肥料を与えず、株を休ませる
- 冬越しには最低10℃以上の室温が必要
- 暖房の風が直接当たると乾燥で蕾が落ちるので注意する
- 花が終わったらこまめに花殻を摘み取り、病気を防ぐ
- 梅雨前や春先に切り戻しを行うと、通気性が良くなり再開花しやすい
- 植え替えは1〜2年に1回、水はけの良い土で行う
- 増やし方は挿し木(茎挿し)が一般的で成功率が高い
- うどんこ病や灰色カビ病予防のため、風通しを確保する
- 株が古くなったら挿し木で更新すると長く楽しめる
- 正確な情報は公式サイトをご確認ください
- 最終的な判断は専門家にご相談ください
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