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朝顔つるの巻き方は右か左か?正しい方向と誘引のコツを解説

朝顔 つるの巻き方1 朝日に照らされてベランダで鮮やかに咲く青とピンクの朝顔 あさがお
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こんにちは、My Garden 編集部です。

夏の早朝、清々しい空気の中で鮮やかに咲く朝顔。その姿を見るだけで、「ああ、夏が来たな」と心が躍りますよね。私も毎朝、眠い目をこすりながらベランダに出て、その日最初に咲いた花と対面するのが何よりの楽しみです。深い青、鮮やかなピンク、涼しげな白。一輪一輪が語りかけてくるような愛らしさがあります。でも、そんな朝顔を育てていると、ふと手が止まってしまう瞬間がありませんか?特に、ぐんぐんと元気に伸びてきた「つる」を目の前にした時です。「あれ?このつる、支柱に対してどっち向きに巻けばいいんだっけ?」と、迷ってしまった経験を持つ方は意外と多いのではないでしょうか。

実はこれ、恥ずかしいことでもなんでもないんです。むしろ、園芸歴が長いベテランの方でも「右だっけ?左だっけ?」と一瞬考え込んでしまうことがあるくらい、少しややこしいテーマなんですね。一生懸命に誘引したのに、翌朝見たらほどけてしまっていたり、あるいは良かれと思って巻いた方向が実は逆で、つるが苦しそうにねじれてしまっていたり…。私自身も初心者の頃は、何度も失敗しては「朝顔ごめんね!」と謝りながら巻き直したものです。

しかし、朝顔のつるの巻き方には、植物学に基づいた明確な「正解」と、絶対に変わらない「ルール」が存在します。そして、なぜつるが巻くのか、そのメカニズムを知ると、朝顔という植物が持つ精巧な生存戦略に感動すら覚えるはずです。また、つるの管理はただ巻けば良いというわけではありません。葉ばかり茂って花が咲かない「つるぼけ」の悩みや、もっと花数を増やすための「摘心(てきしん)」のタイミングなど、知っておくべきポイントはいくつもあります。

この記事では、そんな朝顔のつるにまつわる「右巻き・左巻き論争」の決着から、明日からすぐに使える実践的な誘引テクニック、そしてトラブルシューティングまで、私の経験とリサーチに基づいた情報を余すところなくお伝えします。これを読めば、もう巻き方で迷うことはありません。自信を持ってつるを導き、今年の夏は最高の朝顔を咲かせてみませんか。

この記事のポイント

  • 朝顔のつるは上から見て「反時計回り」に巻きつくのが絶対の法則
  • 誘引作業はつるが水分を失って折れにくい「夕方」に行うのが鉄則
  • 適切な「摘心」を行うことで、脇芽を増やし花数を劇的にアップできる
  • 葉ばかり茂る「つるぼけ」は肥料バランス(N-P-K)の見直しで解決する
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朝顔のつるの巻き方の定義と方向

まずは、誰もが一度は混乱する「巻き方向」の定義について、根本からクリアにしていきましょう。「右巻き」と「左巻き」、なぜ人によって言うことが違うのでしょうか?そこには、歴史的な背景と、科学的な視点の変化が深く関わっていたのです。

右と左どっち?巻き方の正解

「朝顔のつるは左巻きです」と学校で習った記憶がある方、いらっしゃいますよね?実は私もその一人です。小学校の理科の授業で、先生が黒板に描いた朝顔の絵は、確かに左巻きと説明されていたように思います。一方で、最新の植物図鑑やインターネットの専門的な解説記事を見ると「朝顔は右巻き(Z巻き)」と書かれていて、「えっ、どっちが本当なの?昔習ったことは間違いだったの?」とパニックになってしまうことがあります。

結論から言うと、「視点をどこに置くか」によって呼び名が変わっているだけで、朝顔の動き自体は昔も今も変わっていません。

かつての日本では、牧野富太郎博士のような偉大な植物学者たちが、植物自身の立場に立った定義を採用していました。朝顔のつるが成長していくとき、植物自身から見て「左へ、左へと」回り込んでいく動きをするため、「左巻き」と呼んでいたのです。これは、つるを人間の体に例えると、左手が先導して支柱を抱きかかえるように登っていくイメージですね。江戸時代の本草学者である貝原益軒などもこの「左巻き」説を支持しており、日本人の感覚には「左巻き」という言葉がしっくりくる歴史的・文化的な背景がありました。「上から見ると左回り(反時計回り)」という視覚的な情報とも一致するため、教育現場でも長くこの定義が使われてきたのです。

しかし、1950年代以降、世界の科学基準や工学分野との整合性を図るため、定義が逆転します。工学の世界では、一般的なネジ(右ネジ)は、右(時計回り)に回すと奥へ進みますよね。朝顔のつるの螺旋構造を客観的に見ると、この「右ネジ」と同じ構造をしていることから、現在のアカデミックな世界では「右巻き」と定義するのが標準となりました。進行方向に向かって時計回りに旋回している、という物理学的な解釈です。

つまり、古い本や感覚的な話では「左巻き」、現代の科学的な定義では「右巻き」。この二つの正解が共存していることが、私たちの混乱の元凶だったのです。どちらの言葉を使っても間違いではありませんが、この背景を知っておくだけで、「ああ、定義の違いなんだな」と納得できますよね。誰かと話していて意見が食い違っても、「視点が違うだけですね」とスマートに返せるようになりますよ。

支柱に対する巻き方向は反時計回り

朝顔 つるの巻き方2 図解:朝顔のつるを支柱に巻く方向は上から見て反時計回り

定義の話は少し頭が痛くなるかもしれませんが、実際に私たちが庭やベランダで作業をする時に本当に必要なのは、「で、結局どっちに巻けばいいの?」という具体的なアクションですよね。ここでは、ややこしい学術用語は一旦忘れて、見たままの動きで直感的に覚えましょう。

正解は、「上から見下ろしたときに反時計回り(左回り)」です。

これが唯一無二のルールであり、絶対に間違いのない真実です。支柱の真上から朝顔を見下ろしている自分を想像してください。その視点から見て、時計の針が進むのとは逆の方向、つまり「反時計回り」につるを誘導してあげます。これが朝顔の遺伝子に刻み込まれた、絶対に変えられない法則なんです。北半球で育てようが、南半球で育てようが、赤道直下だろうが、この方向が変わることはありません。

覚え方のコツ:ペットボトルの法則

朝顔 つるの巻き方3 ペットボトルのキャップを開ける方向と朝顔のつるの巻き方の比較図
私はいつも、「ペットボトルのキャップを開ける方向」と覚えています。キャップを緩めて開ける時、手は左回り(反時計回り)に動かしますよね?朝顔のつるも、まさにその方向で回転しながら空へと登っていくんです。もし作業中に迷ったら、手元でエア・ペットボトルを開ける仕草をしてみてください。その手の動きこそが、つるを巻くべき正解の方向です。

この性質は、日本のアサガオ(Ipomoea nil)であれば、品種に関わらず共通です。西洋朝顔であっても同様です。もしも無理やり逆方向(時計回り)に巻いてしまうと、朝顔は強いストレスを感じます。植物ホルモンの働きで、つるは必死に元の方向に戻ろうと抵抗し、結果として支柱から浮き上がってしまったり、茎がねじれて(キンクして)成長が阻害されたりします。「せっかく巻いたのにほどけてる!」という現象の多くは、実はこの巻き方向の間違いが原因だったりするのです。彼らが進みたい方向へ素直に手助けしてあげることが、美しい姿を楽しむ第一歩であり、園芸の基本とも言えますね。

つるが巻かない原因と対処法

朝顔 つるの巻き方4 朝顔のつるが巻きつける支柱の太さと巻きつけない太いパイプの比較

「毎日見守っているのに、うちの朝顔はちっとも支柱に巻きつかないで、だらしなく垂れ下がってしまう…」「あちこちに頭をぶつけているようで、かわいそう」そんなお悩み、よく耳にします。実はこれ、朝顔のやる気の問題ではなく、物理的な環境に原因があるケースがほとんどなんです。植物が巻きつく能力には、物理的な限界が存在します。

朝顔がつるを巻くメカニズムには、「接触屈性(せっしょくくっせい)」という性質が深く関係しています。つるが何かに触れると、その刺激を感知して、触れた側(内側)の成長が遅くなり、反対側(外側)の成長が早くなります。この成長速度の差によって、つるは内側へと曲がり込み、くるりと巻きつく力が生まれるのです。しかし、この力が発揮されるには条件があります。

まず一番多い原因が、「支柱が太すぎること」です。新潟大学などの研究報告によると、朝顔が正常に巻きつける支柱の太さには限界があり、直径が約4cm〜5cmを超えると、巻きつくのが極端に難しくなることがわかっています。直径6cm以上の太いポールや、雨樋、太い街路樹の幹などには、物理的に巻きつくことができず、ずり落ちてしまうか、巻きつきを諦めて直線的に伸びてしまいます。これは、円周が大きすぎると曲率半径が大きくなり、自己の体を支えるための摩擦力や締め付け力を維持できないためです。自分の腕の長さよりも太い木には抱きつけない人間と同じようなものですね。

次に考えられるのが、「表面が滑らかすぎること」です。ツルツルしたステンレスの棒や、プラスチックのパイプなどは、摩擦力が働かないため、せっかく巻こうとしても重力に負けて滑り落ちてしまいます。この場合は、支柱に麻紐を荒く巻きつけて足場(引っ掛かり)を作ってあげるか、表面にイボ加工が施された園芸用支柱に取り替えるのが効果的です。特に100円ショップなどで売られているツルツルの支柱を使う場合は注意が必要です。

また、「風」も大敵です。つるの先端は、1時間に1回程度のペースで首を振りながら(回旋運動)、巻きつく相手を探しています。しかし、風が強すぎるとつるが煽られてしまい、支柱に触れるチャンスを逃し続けてしまいます。風の強いベランダなどでは、最初だけビニールタイなどで支柱につるをふんわりと固定し、「ここにつかまっていいんだよ」と教えてあげる「誘引(ゆういん)」の作業が不可欠になります。一度巻きつき始めれば、自分自身の力でしっかりと固定できるようになります。

逆に巻いてしまった時の直し方

「あっ!昨日巻いたつる、よく見たら時計回り(逆)になってる!」なんてこと、ありますよね。人間だもの、うっかりミスは付き物です。特に、ネットや支柱の裏側から作業をしていると、左右がこんがらがってしまうことはプロでもあります。でも、焦って無理やり直そうとするのはちょっと待ってください。

逆巻きに気づいた時、その対処法は「どのくらい時間が経っているか」によって大きく変わります。もし、ついさっき巻いたばかり、あるいは数時間前のもので、つるがまだ柔らかく素直に動くようであれば、そっとほどいて正しい「反時計回り」に巻き直してあげましょう。これが一番理想的です。まだ組織が固まっていないので、植物への負担も最小限で済みます。

しかし、数日経過していて、つるが硬化し、すでにその形状で固まってしまっている場合は要注意です。朝顔のつるは成長するにつれて木質化し、硬くなっていきます。この状態で無理に逆方向へねじろうとすると、水分を吸い上げる導管がつぶれてしまったり、最悪の場合はポキッと折れてしまったりするリスクがあります。特に朝顔のつるは、見た目以上にデリケートで、一度折れると修復が難しい場合もあります。

固まってしまった場合のリカバリー手順

朝顔 つるの巻き方5 逆方向に巻いてねじれた朝顔の茎と正しく巻かれた茎の違い

  1. まず、間違っている部分は無理に触らず、そのままにしておきます。「見なかったこと」にするのも一つの勇気です。
  2. つるの先端部分(成長点に近い柔らかい部分)を探します。ここがこれからの方向を決める司令塔です。
  3. その先端部分だけを、正しい「反時計回り」になるように支柱へ誘導し、テープやクリップで軽く固定します。
  4. 数日様子を見て、新しい成長部分が正しく巻きつき始めたら成功です。

植物は非常に柔軟な生き物です。途中までが逆巻きであっても、これから伸びる新しい部分さえ正しい方向に向いていれば、その後の成長には何の問題もありません。植物自身も、光の方向や重力を感知して、最適な体勢を整えようとする「屈性」を持っています。「失敗しちゃったけど、ここからは正しく行こうね」という気持ちで、軌道修正してあげれば大丈夫ですよ。多少のいびつさも、手作りの栽培ならではの愛嬌です。

誘引作業を行う最適な時期と時間帯

朝顔 つるの巻き方6 朝の折れやすい茎と夕方のしなやかな茎の水分量の違いを示す図

朝顔栽培の成功の鍵を握る「誘引」ですが、これを行うには「いつやるか」というタイミングが極めて重要です。ここを知っているかどうかで、作業の難易度が天と地ほど変わります。多くの人が見落としがちなポイントですが、植物生理学に基づいた理にかなったタイミングがあるのです。

まず誘引を開始する時期の目安ですが、本葉が5〜6枚展開し、つるが15cm〜20cmほど伸びてきた頃がベストです。これより早いとつるが短すぎて支柱に届きませんし、逆に放置しすぎて50cm、60cmと伸びてしまうと、つる同士が複雑に絡まり合う「相互巻きつき」が起きてしまい、ほどくのに一苦労します。毎朝の観察で、「おっ、そろそろつるが空を探して首を振り始めたな」と感じたら、早めに最初の誘引をしてあげましょう。最初の第一歩をサポートするだけで、あとは自分で登ってくれます。

そして、ここからがプロの(と言っても私は愛好家ですが)とっておきのテクニックです。誘引作業を行うのは、絶対に「夕方」がおすすめです。

なぜ夕方なのか?これには植物の「膨圧(ぼうあつ)」という生理現象が関係しています。朝の水やり直後や午前中は、植物の細胞内に水分がたっぷりと含まれており、パンパンに張った状態(膨圧が高い状態)にあります。この時のつるは、シャキッとしていて元気な反面、非常に折れやすいんです。少し無理な角度に曲げただけで「ポキッ」という悲しい音を聞くことになります。野菜スティックがパキッと折れるのと同じ原理ですね。

一方、夕方になると、日中の蒸散活動によって適度に水分が抜け、つるは少し「くたっ」として柔らかくなっています。このしなやかな状態であれば、複雑な螺旋を描くように支柱に巻きつけても、茎の繊維が柔軟に対応してくれ、折れるリスクが格段に低くなります。「ちょっと元気がないかな?」くらいの時が、実は一番扱いやすいのです。

誘引のゴールデンタイム
日没前の夕方、つるが少し萎れて柔らかくなっている時間帯を狙いましょう。この時間に優しく誘引してあげると、夜の間に植物がその形に馴染み、翌朝たっぷり水を吸ってシャキッと復活した時には、きれいな螺旋を描いて固定されています。このサイクルを利用するのが、失敗しないコツですよ。

朝顔のつるの巻き方を美しく整えるコツ

基本の「反時計回り」をマスターしたら、次はもう一歩進んで、より美しく、よりたくさんの花を咲かせるための応用テクニックに挑戦してみましょう。「ただ伸びるに任せる」のも自然で良いですが、少しの手間を加えるだけで、プロが育てたような立派な株姿(樹形)を作ることができるんです。ここでは、園芸の教科書には必ず載っているけれど、意外と実践している人が少ない重要テクニックを深掘りします。

摘心でつるを増やして花数をアップ

朝顔を育てていて、「一本のつるだけがひょろひょろと長く伸びて、上の方にしか花が咲かない…下の方は葉っぱが枯れてスカスカ…」という寂しい状態になったことはありませんか?これは植物の「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質によるもので、放っておくと栄養がすべて先端(頂芽)に行ってしまい、脇役たちが育たないのです。これを解消し、株全体をボリュームアップさせる魔法の技術が「摘心(てきしん)」、別名「ピンチ」です。

摘心とは、勇気を持って「親づる(主茎)の先端をカットする」ことです。「せっかく伸びたのに切るなんて可哀想!」「成長が止まっちゃうんじゃないの?」と思うかもしれませんが、逆です。これが朝顔にとっては「脇芽を出せ!もっと枝分かれして生き残れ!」という強力なゴーサインになるんです。先端が切られると、成長を抑制していた植物ホルモン(オーキシン)の流れが変わり、それまで眠っていた葉の脇の芽(脇芽・子づる)が一斉に動き出します。

具体的な摘心の手順とポイント

朝顔 つるの巻き方7 朝顔の摘心(ピンチ)をする正しい位置と脇芽を示す図解

手順 詳細解説
1. タイミングを見極める 本葉が8枚〜10枚程度になるまで育てます。早すぎると株が弱り、遅すぎるとつるが伸びすぎて管理が難しくなります。
2. 摘心する位置を決める 下から数えて5枚目〜6枚目の本葉の上で、親づるの先端を清潔なハサミでカットします(手で摘み取ってもOK)。
3. 脇芽の成長を待つ 数日すると、残した葉の付け根から新しい「子づる」が伸びてきます。これが将来の花を咲かせる枝になります。
4. 子づるを誘引する 元気の良い子づるを3〜4本選び、それぞれを別の支柱やネットの方向に誘引していきます。

これにより、今まで1本だったつるが3本、4本に増えます。つるが増えれば、当然、花が咲く場所(節)も3倍、4倍に増えるわけです。行灯(あんどん)仕立てにする場合も、グリーンカーテンにする場合も、この摘心を行うことで、下の方からバランスよく葉が茂った、見事な朝顔に育てることができますよ。「切ることは、増やすこと」。このパラドックスを味方につけましょう。

注意点
摘心を行うのは、株が元気に成長している時に限りましょう。肥料不足や水切れで弱っている時に切ってしまうと、回復に時間がかかってしまいます。また、切った直後は一時的に成長が止まったように見えますが、根の中でエネルギーを蓄えている証拠ですので、焦らず見守ってください。

ネットを使ったグリーンカーテンの作り方

朝顔 つるの巻き方8 グリーンカーテンを隙間なく作るためのつるのジグザグ誘引方法

夏の猛暑対策として、また省エネ効果も期待できるとして人気の「グリーンカーテン」。窓辺を涼しげな緑で覆うためには、隙間なく葉を茂らせる必要があります。ここで重要になるのが、つるの「誘引方向」です。多くの人が失敗するのは、つるをただ「縦」に伸ばしてしまうからです。

朝顔のつるは、放っておくと光を求めてひたすら「上へ、上へ」と登りたがります。しかし、これではネットの上部(軒下あたり)だけが混み合って団子状態になり、肝心の日除けしたい窓の中央や下部分はスカスカ…なんてことになりかねません。足元が透けていては、カーテンとしての役割を果たせませんよね。そこで行うのが、「ジグザグ誘引」「水平誘引」というテクニックです。

ネットにつるを這わせる際、垂直に登らせるのではなく、ネットの網目を使って「横へ」と誘導してあげるのです。例えば、右斜め上に誘引し、端まで行ったら今度は左斜め上に折り返す…といった具合に、つるを蛇行させます。あるいは、摘心して出てきた子づるや孫づるを、意識的に真横方向へと広げていくのも非常に有効です。

こうすることで、つるの成長距離を稼ぎながら、ネットの低い位置から高い位置まで、まんべんなく葉を配置することができます。つるは横に這わせると、頂芽優勢が弱まり、途中の節から脇芽が出やすくなるという性質もあります。これにより、さらに葉の密度が高まります。「上へ行きたい!」と主張するつるの先端を、毎朝「こっちだよ」と横へ修正してあげるのは少し根気がいりますが、その毎日のひと手間が、真夏の強烈な日差しを遮る鉄壁のカーテンを作り上げます。

肥料過多によるつるぼけの改善策

「葉っぱは大きくて緑色も濃いし、つるもすごい勢いで伸びている。元気いっぱいだなあ…と思っていたら、いつまで経っても花が咲かない!つぼみすらつかない!」こんな経験はありませんか?

これ、実は初心者が陥りやすい最大の落とし穴、「つるぼけ(蔓惚け)」と呼ばれる現象なんです。植物が健康そうに見えるだけに、病気なのか環境が悪いのか原因がわからず悩む方が多いのですが、その犯人の多くは「肥料(特に窒素)」のあげすぎにあります。

植物の成長には、主に「窒素(N)」「リン酸(P)」「カリ(K)」の3要素が必要です。窒素は葉や茎を育てるのに不可欠ですが、こればかり過剰になると、植物体内の「C/N比(炭素率)」というバランスが崩れます。すると朝顔は「今は体を大きくする時期なんだな!まだ子供を作っている場合じゃない!」と勘違いをしてしまい、子孫を残すための活動(開花)を後回しにしてしまうのです。これを「栄養成長」への偏りと言います。

つるぼけからの脱出方法:3つのステップ

朝顔 つるの巻き方9 肥料過多で葉ばかり茂るつるぼけ状態と健康な開花株の比較

  1. まずは肥料ストップ: 追肥を一切やめて、水やりだけで様子を見ます。土の中に残っている余分な肥料分を消費させることが先決です。
  2. 肥料の種類を変える: 次に肥料を与える時は、窒素(N)が少なく、リン酸(P)が多い「開花促進用」の肥料(例:N-P-K = 0-10-5 や 6-40-6 など)に切り替えます。リン酸は「花肥(はなごえ)」とも呼ばれ、花芽の形成を助けます。
  3. 水やりを控える(スパルタ療法): 葉が少し萎れるくらいまで水やりを我慢させ、植物にストレスを与えます。すると植物は「このままでは枯れてしまうかも?早く花を咲かせて種を残さなきゃ!」という危機感を持ち、「生殖成長」へのスイッチが入ります。

良かれと思ってあげていた肥料が、実は開花を邪魔していたなんて皮肉な話ですよね。朝顔に関しては、「少し足りないかな?」くらいの肥料加減の方が、ハングリー精神で綺麗な花をたくさん咲かせてくれることが多いですよ。過保護にしすぎないのが、朝顔との上手な付き合い方です。

途中でつるが折れた場合の対処

誘引作業中に指先に力が入りすぎて「ポキッ」。強風でネットが揺れて「ブチッ」。大切に育てていたつるが折れてしまった時のショックと言ったらありません。「終わった…」と呆然としてしまう気持ち、痛いほどわかります。私も初めて折ってしまった時は、泣きそうな気分でテープでぐるぐる巻きにしたものです。

でも、安心してください。そこで栽培終了ではありません。朝顔の生命力は、私たちが思っている以上にタフで逞しいものです。折れたくらいではへこたれません。

もし、つるが完全にちぎれてしまった、あるいは皮一枚で繋がっているけれど修復不能なほど折れてしまった場合は、迷わず「折れた部分の下でカット」してしまいましょう。かわいそうな気もしますが、ダメージを受けた部分を残しておくと、そこから病気が入ったり、無駄なエネルギーを使わせたりすることになります。思い切って切り戻すことが、植物にとっても最善の治療です。

カットした場所のすぐ下にある葉の付け根(葉腋)をよく見てください。小さな「脇芽」が隠れているはずです。つるの先端がなくなったことで、数日もすればこの脇芽が急成長し、新しい「主役のつる」として伸びてきます。つまり、事故的に「摘心」をしたのと同じ効果が得られるわけです。「怪我の功名」で、一本だったつるが枝分かれして、かえって枝数が増えて豪華になることだってありますから、決して諦めないでくださいね。「新しい芽、出てこい!」と声をかけてあげましょう。

落ちるつるを固定する便利グッズ

つるがまだ自分の力で巻きつけない初期段階や、ツルツルした滑りやすい支柱を使う場合には、補助的に固定するためのアイテムが役立ちます。身近なもので代用もできますが、専用のグッズを使うと作業効率も見た目もグッと良くなりますよ。ここでは、私が愛用しているおすすめグッズと、その使い分けについてご紹介します。

グッズ名 特徴とおすすめの活用シーン
園芸用クリップ
(ガーデンクリップ)
洗濯バサミのような構造で、支柱とつるをワンタッチで挟んで固定できます。リング状になっているため、茎を締め付けすぎず、成長して太くなっても安心です。100円ショップでも手に入り、繰り返し使えるので経済的。忙しい朝の作業に最適です。特に強風対策として、ネットとつるを仮止めするのに重宝します。
ビニールタイ
(ねじりっこ・カッター付き)
パンの袋を留めているような、中心に針金の入った平たい紐です。自由な形に曲げたりねじったりできるので、細かい位置調整に向いています。カッター付きのケースに入っているタイプなら、好きな長さにカットして使えて無駄がありません。緑色のものを使えば、植物に馴染んで目立ちにくいのもメリットです。
麻紐
(ジュートロープ)
滑りにくく、植物の肌に優しいのが最大の特徴です。見た目もナチュラルで、和風の行灯仕立てなどによく馴染みます。また、シーズンが終わって片付ける際、植物と一緒にそのまま燃えるゴミとして出せる(※自治体による)のも地味に嬉しいポイントです。滑りやすい支柱に螺旋状に巻き付けておくだけで、つるの足場にもなります。

どのグッズを使う場合でも、鉄則は「ゆとりを持って固定すること」です。つるは成長すると驚くほど太くなります。今の太さに合わせてギチギチに結んでしまうと、一週間後には食い込んで茎を傷つけ、養分の通り道を塞いでしまいます。「指一本入るくらいの隙間」を空けて、8の字を描くようにふんわりと結んであげるのが、朝顔への思いやりですね。

枯れたつるをリースに活用する方法

朝顔 つるの巻き方10  枯れた朝顔のつるを再利用して作ったクリスマスリース

夏が過ぎ、秋の気配が深まると、朝顔の花も終わりを迎えます。茶色く枯れたつるを片付けるのは少し寂しい作業ですが、実はここに、もう一つの楽しみが待っています。それが「朝顔のつるリース」作りです。小学校の教材としても定番ですが、大人が本気で作ると、とてもシックで素敵なインテリアになります。

丈夫でしなやかな朝顔のつるは、天然のリース台として最高の素材になります。100円ショップでリース台を買わなくても、自宅で育てた朝顔でクリスマスリースや正月飾りが作れるなんて、エコで素敵だと思いませんか?種を採った後のつるを、最後まで使い切る。これこそが植物を育てる醍醐味かもしれません。

成功のポイントは、「収穫のタイミング」です。つるが完全に枯れてカラカラに乾燥しきってしまうと、曲げようとした瞬間にポキポキと折れてしまい、きれいな輪が作れません。かといって青々としている時は水分が多すぎて乾燥に時間がかかり、カビの原因になることもあります。

ベストなのは、「葉は枯れ落ちて茶色くなっているけれど、茎にはまだ少し湿り気や弾力が残っている」という状態です。この「半乾き」の状態のうちに支柱から外し、適当な大きさにグルグルと巻いて形を作ってしまいます。その状態で風通しの良い場所に吊るして数日間乾燥させれば、形がしっかりと固定された丈夫なリースの完成です。松ぼっくりや赤い実、リボンで飾り付ければ、世界に一つだけの思い出の詰まった作品になりますよ。来年の夏まで飾って、また新しい朝顔を迎える準備をするのも素敵ですね。

朝顔のつるの巻き方のポイントまとめ

ここまで、朝顔のつるの巻き方から、トラブル対処法、そしてシーズン後の活用法まで、たっぷりとご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。「なんだか難しそう」と思っていたつるの管理も、「反時計回り」という一つのルールと、植物の生理を少し理解するだけで、ぐっと身近で簡単なものに感じられたのではないでしょうか。

朝顔は、私たちが手をかけた分だけ、必ず応えてくれる素直な植物です。夕方の優しい光の中で誘引をしてあげたり、つるぼけしないように肥料を調整したり…。そんな日々の小さなコミュニケーションの積み重ねが、あの輝くような朝の開花に繋がっています。ぜひ、今年の夏は自信を持ってつるを導き、あなただけの素敵な朝顔の景色を作ってくださいね。

この記事の要点まとめ

  • 朝顔のつるの巻き方は学術的には右巻きだが上から見ると「反時計回り(左回り)」
  • 支柱に巻く際は必ず上から見て「左回り」に誘導するのが鉄則
  • つるが巻かない原因は支柱が太すぎる(直径4〜5cm以上)か滑りやすいため
  • 逆に巻いてしまった場合は無理に戻さず、新しい先端部分から修正する
  • 誘引作業はつるが水分を失って柔軟になる「夕方」に行うと折れにくい
  • 「摘心」を行うことで脇芽が増え、株全体のボリュームと花数がアップする
  • グリーンカーテンを作るならつるを横方向に「ジグザグ誘引」して密度を高める
  • つるぼけ(花が咲かない)の原因は窒素過多なので、リン酸カリ主体の肥料に変える
  • つるが折れても下の葉の付け根から新しい芽が出るので栽培は継続できる
  • 固定には園芸用クリップやビニタイを使い、茎の成長を妨げないようゆとりを持たせる
  • 枯れたつるは完全に乾燥する前の「半乾き」状態で収穫し、リースに活用する
  • 無理な誘引はせず、植物が光を求めて動く力を補助する意識が大切
  • 適切な管理を行えば、初心者でも驚くほど美しい朝顔を咲かせることができる
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