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朝顔いつ咲く?時間や時期の疑問と咲かない原因を徹底解説

朝顔いつ咲く1 朝日に照らされて咲く朝顔の花と時計のイメージ。朝顔がいつ咲くかという時間の疑問を象徴するアイキャッチ画像 あさがお
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こんにちは、My Garden 編集部です。

夏休みの観察日記やグリーンカーテンとしておなじみの朝顔ですが、育てていると「あれ、うちの朝顔いつ咲くのかな」と不安になったり、具体的な開花の時間や時期、季節による変化について疑問を持ったりすることはありませんか。また、せっかく植えたのに花が咲かない、つるばかり伸びるといった悩みや、種類による違い、さらには花言葉に関する興味など、知りたいことは尽きないものですよね。

この記事のポイント

  • 日没時間や気温で変化する具体的な開花時刻の仕組み
  • 日本朝顔と西洋朝顔や琉球朝顔ごとの開花シーズンの違い
  • 街灯の光やつるぼけなど花が咲かない時の原因と対策
  • 季節の移ろいとともに変化する朝顔の楽しみ方
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朝顔いつ咲くか時間は季節と気温で変わる

「朝顔」という名前の通り、朝に咲く花だと思われがちですが、実はその開花メカニズムは非常に繊細で、季節や環境によって大きく変化することをご存じでしょうか。植物は私たちが思っている以上に、周囲の環境変化、特に「光」と「温度」に対して敏感に反応しています。ここでは、朝顔が時間を感知する不思議な仕組みや、気温との意外な関係について、少し専門的な視点も交えながら詳しく解説していきますね。

何時から咲くのかは日没が鍵

朝顔いつ咲く2 朝顔の開花メカニズムの図解。日没から約10時間後の暗期を経て花が咲く仕組み

多くの人が「朝顔は朝、太陽の光を感じて咲く」と考えているのではないでしょうか。小学校の夏休みの観察日記でも、朝起きたら咲いている姿を描くことが多いため、そう思い込むのは無理もありません。しかし、植物生理学的な視点で見ると、朝顔の開花スイッチが入るタイミングは、実は「朝」ではなく、前の日の「夕方」にあるのです。この事実は、私たちが普段抱いているイメージを大きく覆すものかもしれません。

朝顔の開花時刻を決定する最大の要因は、「日没(暗期の開始)」です。朝顔の蕾は、非常に精度の高い生物時計(体内時計)を持っており、日が沈んであたりが暗くなった瞬間を「0時間」として、時間の計測をスタートさせます。そして、品種や気温にもよりますが、そこから約8時間から10時間が経過した時点で、自動的に花弁を開くようにプログラムされているのです。このメカニズムは「光周性(フォトペリオディズム)」と呼ばれる植物の基本的な生存戦略の一つであり、夜の長さ(暗期)を正確に測ることで、季節の移ろいや一日の時間の流れを知る能力に基づいています。

では、なぜ「日の出」ではなく「日没」を基準にするのでしょうか。それは、自然界において日の出の時間は地形や天候によって曖昧になりやすい一方、日没後の「暗闇」は生物にとってより明確なシグナルとして機能しやすいからだと考えられています。朝顔にとって重要なのは、「朝が来て明るくなったこと」ではなく、「夜が始まってからどれくらいの時間が経過したか」という点なんですね。つまり、私たちが「朝顔は朝咲く」と感じるのは、たまたま日本の夏の時期において、日没から約9〜10時間後という時間が、明け方の時間帯と重なっているからに過ぎないのです。

研究室の実験などで、朝顔の蕾を完全に光の入らない真っ暗な部屋に置き続けたとしても、約24時間の周期で正確に開花しようとするリズムを刻み続けることがわかっています。これは、開花が単なる光への反射的な反応ではなく、植物の体内に備わった自律的な振動体(オシレーター)によって厳密に管理されている証拠でもあります。

では、蕾の中で具体的に何が起きているのでしょうか。開花の時間が近づくと、花弁の細胞の中では劇的な変化が起こります。細胞内に蓄えられていたデンプンが急速に糖へと分解され、これによって細胞内の浸透圧が上昇します。すると、細胞の中に水がどんどん吸い込まれていき、その圧力(膨圧)によって細胞が膨らみ、結果として花弁が押し広げられるようにして開花するのです。この一連のプロセスが、暗くなってから約10時間後にピークを迎えるようにセットされているわけです。最新の研究では、つぼみの段階から花弁の細胞分裂や伸長に関わる遺伝子がどのように働いているかが詳細に解析されており、開花に向けた準備が数日前から着々と進められていることが明らかになっています。朝顔の一輪の花は、一夜にして咲くのではなく、綿密な計画のもとに咲かせられているのです。

何月まで楽しめるか開花時期を解説

朝顔いつ咲く3 朝顔の種類別開花時期カレンダー。日本朝顔は夏、西洋朝顔と琉球朝顔は秋まで楽しめることを示す図

「朝顔はいつからいつまで咲くの?」という疑問もよく耳にします。一般的に、朝顔の開花シーズンは7月中旬から10月上旬頃までと言われています。もちろん、これは種をまいた時期や地域の気候によって前後しますが、長く楽しむためには「季節と日照の関係」を知っておくことが大切です。「夏の花」というイメージが強い朝顔ですが、植物学的な分類で見ると、実は「短日植物」の代表格であり、本来は秋の入口に咲く花としての性質を強く持っています。

短日植物とは、日が短くなる(=夜が長くなる)ことによって花芽を作るスイッチが入る植物のことです。具体的には、「限界暗期」と呼ばれる一定以上の長さの連続した暗闇を経験することで、葉で作られた花成ホルモン(フロリゲン)が茎の先端に移動し、花芽の形成を誘導します。日本では、夏至(6月21日頃)が一年で最も昼が長く、夜が短い日ですよね。この時期はまだ夜の長さが足りないため、朝顔は花を作らずに、ひたすら葉やつるを伸ばして体を大きくすることに専念します。これを「栄養成長」と呼びます。

そして、夏至を過ぎて7月に入り、徐々に夜が長くなってくると、朝顔は「そろそろ花を咲かせる時期だ」と感知し、蕾を作り始めます。これが「生殖成長」への転換です。そのため、どんなに早く5月のゴールデンウィークに種をまいても、すぐに花が咲くわけではなく、ある程度日が短くなる7月以降まで待つ必要があるのです。早く種をまけば、その分だけ株は大きく育ちますが、開花までの日数は長くなります。逆に、7月に入ってから種をまくと、発芽直後から短日条件にさらされるため、株が小さいうちからすぐに花を咲かせるようになります。

一方で、「何月まで楽しめるか」という点については、秋の訪れが鍵を握ります。多くの人は「朝顔=夏休み」のイメージを持っていますが、実は朝顔は秋の涼しい気候を好みます。真夏の猛暑が落ち着いた9月から10月にかけては、株の負担も減り、花の色も鮮やかさを増します。さらに、秋は気温が低いため、花がしぼむまでの時間が長くなり、昼過ぎまで咲いていることも珍しくありません。

11月に入り、霜が降りるようになるとさすがに枯れてしまいますが、西洋朝顔などの晩生種や、暖地での琉球朝顔であれば、初冬まで長く花を楽しむことができます。「夏が終わったら終わり」と片付けてしまわずに、秋のしっとりとした朝顔の風情もぜひ味わってみてください。俳句の世界でも、朝顔は「秋の季語」とされています。これは旧暦の七月(現在の8月中旬〜下旬)が立秋を過ぎていることに由来しますが、実際の実感としても、朝顔の美しさが際立つのは初秋の風を感じる頃なのかもしれません。

気温と開花時間の関係と15分の法則

朝顔いつ咲く4 気温による朝顔の開花時間の変化を示す図。夜間の気温が高いと開花が遅れる法則の解説

朝顔の開花時刻は、日没からの時間経過だけでなく、その日の「夜間の気温」によっても大きく左右されます。これを理解しておくと、「明日の朝は何時に見に行けばいいかな」という予測が立つようになりますよ。実は、朝顔は私たちが感じている以上に温度の変化に敏感で、まるで高性能な温度計のように気温に応じて行動を変えているのです。

植物生理学の研究において、朝顔の開花には「夜間の気温が低いほど開花は早まり、気温が高いほど開花は遅れる」という明確な法則があることが知られています。これは、花弁を成長させるための生化学反応が、温度によって速度を変えるためだと考えられています。一般的に、化学反応は温度が高いほど活発になるイメージがありますが、朝顔の開花プロセスに関しては、適度な温度低下が開花準備を促進する側面があるようです。あるいは、高温下では正常な代謝が阻害され、プロセスが遅延すると考えることもできます。

具体的には、ある観測データによると、朝の気温が1℃上昇すると、開花時刻が約15分遅れるという相関関係が報告されています。これを園芸愛好家の間では「1℃=15分」の法則と呼ぶこともあります。例えば、夜間の気温が20℃前後の快適な夜であれば、朝の4時半頃にはパッと咲き揃うのに対し、気温が25℃を超えるような熱帯夜が続くと、開花時刻は5時半、あるいは6時過ぎまでずれ込むことがあります。このため、真夏の暑い時期には「朝起きたらちょうど咲いていた」と感じることが多く、涼しい時期には「起きたらもう咲ききっていた」と感じることが多くなるのです。

真夏の8月、猛暑日の翌朝に朝顔を見に行くと、まだ開ききっていない蕾を見かけることがあるのは、この「高温による遅延」が原因の一つです。逆に、9月下旬や10月に入って急に冷え込んだ朝などは、私たちが布団から出るずっと前、まだ真っ暗な午前3時や4時にはすでに満開になっていることがあります。「最近、朝顔の花を見る機会が減ったな」と感じたら、それは花が減ったのではなく、あなたが起きる前に咲いて、見る頃にはもうしぼみ始めているだけかもしれません。

高温障害による開花不良に注意

また、近年の異常気象による酷暑は、単に開花を遅らせるだけでなく、正常な開花そのものを阻害することもあります。夜温が27℃〜30℃を下回らないような過酷な環境では、蕾が正常に開かず、半開きのまましぼんでしまったり、蕾のまま茶色く枯れて落ちてしまったりする「高温障害」が起きやすくなります。特に日本朝顔の大輪種などは高温に弱い傾向があります。もし夏場に花が綺麗に咲かない場合は、鉢植えなら夜間だけでも冷房の効いた室内に入れるか、風通しの良い涼しい場所に移動させるなどの対策が有効かもしれません。植物にとっても、近年の夏の暑さは命に関わる過酷な試練となっているのです。

花がしぼむ時間の目安と天候の影響

朝顔いつ咲く5 昼間の強い日差しでしぼんだ朝顔の花。水分蒸発によりお昼前には閉じてしまう一日花の様子

「いつ咲くか」と同じくらい、多くの人が気にするのが「いつしぼむか」です。「朝顔」という名の通り、午前中の早い時間にしぼんでしまうイメージがありますが、その寿命は環境によって大きく伸縮します。朝顔は典型的な「一日花」であり、一度咲いた花はその日のうちに必ず寿命を終えます。一度しぼんだ花が、翌日また開くことはありません。この潔さこそが朝顔の魅力でもありますが、もう少し長く咲いていてほしいと思うのも人情ですよね。

花がしぼむ直接的な原因は、花弁からの「水分の喪失」です。朝顔の花弁は非常に薄く繊細で、乾燥を防ぐクチクラ層もあまり発達していません。そのため、開花して花弁が広がると、表面積が増えることで水分がどんどん蒸発していきます。細胞内の水分が減ると、花を支える圧力(膨圧)が保てなくなり、風船の空気が抜けるようにしぼんでしまうのです。さらに、最近の研究では、花がしぼむ過程において、細胞内の成分を分解して回収する「オートファジー(自食作用)」のようなプログラム細胞死が関与していることも分かってきています。つまり、単に乾いてしぼむだけでなく、植物自らが積極的に花を終わらせ、次の世代(種子)へ栄養を回そうとしているのです。

このメカニズムを知れば、天候によって花持ちが変わる理由も納得がいきますね。真夏の7月〜8月、カンカン照りの晴天の日には、強烈な直射日光と高い気温によって水分蒸散が激しく進みます。そのため、午前9時から10時頃にはもう花弁がチリチリになり、しぼんでしまうことが多いです。せっかく綺麗に咲いても、通勤や通学の時間にはもう元気がない…というのは少し寂しいですよね。特に西日が当たる場所や、コンクリートの照り返しが強い場所では、その傾向が顕著になります。

しかし、これが曇りや雨の日になると状況は一変します。湿気が多く、直射日光が当たらない環境では、水分の蒸散が緩やかになるため、お昼を過ぎても、時には夕方近くまで咲き続けることがあります。梅雨時の朝顔が意外と長く咲いているのはこのためです。雨上がりの朝顔が水滴をまとって咲いている姿は、晴天の日とはまた違った瑞々しい美しさがあります。

そして何より、気温が下がる10月以降の「秋の朝顔」は格別です。気温が低いと蒸散活動が抑えられるため、晴れた日でも昼過ぎまで、条件が良ければ夕方まで美しい姿を保ちます。夏のような勢いはありませんが、長時間咲き続けることで、ゆっくりと鑑賞できるのが秋咲きの朝顔の大きな魅力と言えるでしょう。この時期の朝顔は、夏に比べて色も深く濃くなる傾向があり、しっとりとした情緒を醸し出します。

基礎生物学研究所などの研究チームは、アサガオの花弁がしおれるまでの遺伝子の動きを詳細に解析しており、こうした基礎研究が進むことで、将来は「夕方までしおれない朝顔」の品種改良などが可能になるかもしれません。

(出典:基礎生物学研究所『アサガオがつぼみから咲いてしおれるまで、花弁でのすべての遺伝子の動きを明らかに』)

秋は夜明け前に咲く理由と仕組み

朝顔いつ咲く6 秋の夜明け前、暗闇の中で既に満開になっている朝顔。日没が早まることで深夜に開花する現象

秋が深まり、肌寒さを感じる季節になると、「早起きしたつもりなのに、朝顔はもう完全に咲いていた」という経験をすることがあります。これは、季節の進行に伴う「日没時刻の変化」が、朝顔の生物時計に直接作用している結果です。朝顔はカレンダーを見ているわけではありませんが、日没という天体の運行をシグナルにすることで、季節の変化を正確に読み取っているのです。

先ほど解説した通り、朝顔は「暗くなってから約8〜10時間後」に咲くようにセットされています。この「待ち時間」は基本的に変わりません(気温による微調整はありますが)。変わるのは、スタート地点である「日没時刻」です。

夏至に近い7月上旬であれば、日没は19時頃です。そこから10時間経過すると、開花時刻は翌朝の5時頃になります。この時期の日の出は4時半頃ですから、「明るくなってから咲く」または「日の出とほぼ同時に咲く」という感覚になります。これが私たちが一般的に抱く「朝顔」のイメージです。

ところが、秋分を過ぎて10月になると、日没は17時頃まで早まります。計算してみましょう。17時から10時間後といえば、翌朝の午前3時です。この時間はまだ完全に真夜中で、太陽が昇る気配すらありません。つまり、秋の朝顔は生理学的に「夜明け前に開花を完了させる花」へと変貌を遂げているのです。もはや「朝顔」というより、「夜顔」に近い振る舞いをしているとも言えます。

「秋の夜長」という言葉がありますが、朝顔にとっての秋は、まさに「開花のための準備時間がたっぷりとれる季節」でもあります。10月以降、朝の散歩で朝顔を見かけると、なんだか色が濃く、凛とした表情をしているように見えませんか。それは、涼しい夜の間にゆっくりと時間をかけて開花し、夜露を受けながら静かに夜明けを待っていたからなのかもしれません。真夏の慌ただしい開花とは異なり、低温下でじっくりと花弁を展開させることで、より整った美しい形になるのです。

もし可能なら、懐中電灯を持って深夜の庭に出てみてください。闇の中でひっそりと、しかし力強く咲き誇る朝顔の神秘的な姿に出会えるはずです。月明かりに照らされた朝顔は、昼間とは全く異なる幻想的な雰囲気を纏っています。古くから日本の歌人たちが秋の朝顔を詠んできたのも、こうした風情に心動かされたからに違いありません。

朝顔いつ咲くか悩む人へ種類と対処法

「近所の家の朝顔はもう綺麗に咲いているのに、うちの朝顔は葉っぱばかりで一向に咲かない…」そんな焦りや悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。植物を育てていると、どうしても他人と比べてしまいがちですが、その原因は育て方の失敗ではなく、選んだ「品種」にあるかもしれません。実は、朝顔にはいくつかの異なる系統があり、それぞれ開花時期が1ヶ月以上も違うことがあるのです。ここでは、種類による決定的な違いや、咲かない時の具体的な原因とプロ直伝の対策について詳しく見ていきましょう。

種類による開花時期の大きな違い

朝顔いつ咲く7 朝顔の種類を見分ける葉の形の違い。日本朝顔、西洋朝顔、琉球朝顔の葉の特徴比較図

一口に「朝顔」といっても、園芸店やホームセンターには様々な種類が並んでいます。これらは大きく分けて「日本朝顔」「西洋朝顔」「琉球朝顔(ノアサガオ)」の3つの主要な系統に分類され、それぞれ植物学的な性質や開花スイッチの入り方が異なります。まずは、あなたが育てている朝顔がどのタイプなのかを見極めることが、解決への第一歩です。パッケージの写真を思い出したり、葉の形を観察したりして、以下の表と照らし合わせてみてください。

種類 開花開始時期 葉の特徴 主な品種・特徴
日本朝顔
(Ipomoea nil)
7月中旬〜 三つ又に分かれ、表面に産毛がある。手触りはザラザラ。 大輪朝顔、変化朝顔など。
日本の夏の象徴。早咲きが多い。
西洋朝顔
(Ipomoea tricolor)
8月下旬〜 ハート型に近く、産毛がない。手触りはつるつる。 ヘブンリーブルーなど。
非常に多花性だが、咲き始めが遅い。
琉球朝顔
(Ipomoea indica)
6月下旬〜
(本番は秋)
丸葉や三つ又。非常に強健で巨大化する。 オーシャンブルーなど。
種ができず、宿根して越冬する。

このように、種類によって開花のピークは全く異なります。「朝顔=夏休みの花」というのは主に日本朝顔の話であり、西洋朝顔などはむしろ「秋の花」と捉えるべきなんですね。もしあなたの朝顔が、葉がつるつるしていてハート型なら、8月中に咲かなくても全く心配する必要はありません。それぞれの品種が持つ「旬」を知ることで、不安は期待へと変わるはずです。

西洋朝顔は晩生で秋に咲く特徴

朝顔いつ咲く8 秋に満開を迎えた西洋朝顔ヘブンリーブルー。鮮やかな青い花がフェンス一杯に咲く様子

[Image of heavenly blue morning glory flowers]

特に誤解を生みやすいのが、「ヘブンリーブルー(天上の蒼)」などの名で親しまれている西洋朝顔です。空のような鮮やかな青色が人気ですが、この品種は典型的な「晩生(おくて)」の性質を持っています。日本に入ってきたのは戦後のことですが、その圧倒的な花数と色の美しさで瞬く間に人気となりました。

西洋朝顔は、日本朝顔に比べて「短日性(夜が長くなると花をつける性質)」が非常に強く、夏至を過ぎて日が短くなり始めたことを敏感に察知してから花芽を作ります。そのため、日本の気候では8月のお盆を過ぎ、秋の気配を感じる頃にならないとなかなか蕾が見えてきません。これは原産地である熱帯アメリカ(メキシコ等)の気候に適応した結果であり、緯度の高い日本で育てるとどうしても開花が遅くなるのです。

よくある失敗談として、「葉っぱばかり茂って全然咲かないから、失敗したと思って8月末に抜いてしまった」という話を聞きますが、これは本当にもったいないことです!西洋朝顔は、まさにその抜いてしまった直後、9月から10月にかけてが最高の見頃なのです。一つの花房にたくさんの蕾をつけ、秋晴れの空の下で無数の青い花を咲かせる姿は圧巻です。日本朝顔が一輪一輪を愛でる「わびさび」の美しさだとすれば、西洋朝顔は群生して咲き誇る「豪華絢爛」な美しさがあります。

しかも寒さに比較的強く、霜が降りる11月頃まで咲き続けることもあります。「西洋朝顔は気長に待つ」。これが栽培の鉄則です。もしグリーンカーテンとして利用している場合、夏の本番に花が少ないというデメリットはありますが、葉の密度は高いため遮光性は抜群です。秋遅くまで目隠しとして機能してくれるのも嬉しいポイントですね。

琉球朝顔の開花期間と越冬の性質

近年、圧倒的な成長力で「最強の緑のカーテン」として人気急上昇中なのが、琉球朝顔(ノアサガオ)です。「オーシャンブルー」や「クリスタルブルー」といった商品名で販売されています。沖縄などの亜熱帯地域に自生する野生種がベースになっているため、その生命力は凄まじいものがあります。地植えにすると周囲の植物を覆い尽くしてしまうほど繁殖するため、植える場所には少し注意が必要なほどです。

琉球朝顔は6月下旬頃からポツポツと咲き始めますが、真夏の間はどちらかというと茎や葉を伸ばすことにエネルギーを使います。そして、涼しくなってきた10月から11月にかけて、今まで溜め込んだエネルギーを爆発させるように、壁一面を覆いつくすほどの花を咲かせます。その数は数百輪、数千輪にも及ぶことがあり、まさに花の壁となります。この時期の琉球朝顔の迫力は、他の朝顔では決して味わえないものです。

また、琉球朝顔の最大の特徴は「色の変化」です。早朝は鮮やかな青色ですが、時間が経つにつれて紫、そして夕方には赤紫色へと変化します。一つの株の中に青や紫の花が混在して咲いているように見えるのはこのためです。これは花弁に含まれるアントシアニンという色素が、細胞内のpH(酸性度)の変化に反応して色を変えるためだと考えられています。一日のうちにこれほど劇的に表情を変える花は珍しく、「移ろい」を楽しむことができます。

さらに特筆すべきは、琉球朝顔が「宿根草(しゅっこんそう)」であるという点です。日本朝顔や西洋朝顔は種を作って冬には枯れる一年草ですが、琉球朝顔は種をほとんど作らず(不稔性)、根っこや茎で冬を越します。関東以西の暖かい地域であれば、地上部が枯れても根は生きており、翌春にまた芽を出して成長します。冬場は枯れたつるを株元で切り戻し、落ち葉や腐葉土でマルチングをして保温してあげると、冬越しの成功率がぐっと上がりますよ。翌年はさらに大きく成長するため、数年で家全体を覆うグリーンカーテンを作ることも夢ではありません。

咲かない原因は街灯の光害かも

種類も時期も間違っていないのに、なぜか蕾がつかない。そんな時に最も疑うべき原因、それが「光害(ひかりがい)」です。現代の住宅事情ならではの悩みとも言えます。植物にとっての「光」は、単なるエネルギー源ではなく、季節を知るための重要なシグナルであることを思い出してください。

前述の通り、朝顔は「連続した暗闇の時間」を計測して花芽を作ります。この「暗闇」に対する感度は非常に高く、月明かり程度の光なら大丈夫ですが、街灯やコンビニの看板、自動販売機の明かり、あるいは自宅の玄関灯やリビングから漏れる光などが夜間に当たっていると、朝顔の体内時計が狂ってしまいます。植物にある「フィトクロム」という光受容体タンパク質が、わずかな光にも反応して「今は昼だ」という信号を送ってしまうのです。

その結果、「あれ?まだ明るいな。まだ夏至の前なのかな」と勘違いしてしまい、いつまで経っても花芽形成のスイッチが入らないのです。これを専門用語で「光中断(ライトブレイク)」と呼びます。たった数分の光でも、タイミングによっては暗期計測をリセットしてしまうほど強力な作用があります。

特に西洋朝顔は短日性が強いため、この光害の影響をモロに受けます。街灯の真下に植えた西洋朝顔が、冬になって枯れるまで一輪も咲かなかったという事例もあるほどです。「隣の家は咲いているのに、うちは咲かない」という場合、夜間の光環境に差がないか確認してみてください。駐車場の人感センサーライトなども、頻繁に点灯する場合は影響を与える可能性があります。

光害への対策:短日処理

朝顔いつ咲く9 朝顔を咲かせるための短日処理の方法。段ボール箱を被せて人工的に暗闇を作る手順のイラスト

もし夜も明るい場所で育てざるを得ない場合は、人為的に暗闇を作ってあげる必要があります。夕方17時〜18時頃になったら、段ボール箱や完全に光を通さない遮光シートを株全体に被せ、翌朝7時〜8時頃に外すという作業を繰り返します。これを「短日処理」といいます。これを2週間ほど続ければ、強制的に花芽スイッチが入り、蕾を確認できるようになるはずです。少し手間はかかりますが、どうしても咲かせたい時の切り札として覚えておいてください。プロの生産者も、出荷時期を調整するためにこの技術を使っています。

つるばかり伸びる時の対策と摘芯

「葉っぱは大きくて色は濃い緑色。ものすごく元気そうなんだけど、花が咲かない」。いわゆる「つるぼけ」の状態です。この原因の多くは、親心からの「肥料のあげすぎ」にあります。特に、窒素過多は植物をメタボリックな状態にしてしまいます。

植物の肥料には、主に窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の三要素が含まれています。このうち、窒素(N)は「葉肥(はごえ)」とも呼ばれ、茎や葉を成長させるのに不可欠な栄養素です。しかし、早く大きくしたいからといって窒素分の多い肥料(油かすや観葉植物用の肥料など)を与えすぎると、植物体内のC/N比(炭水化物と窒素の比率)が低下し、栄養成長が優先されてしまいます。つまり、「今は体を大きくする時期だ」と判断し、「子孫(花・種)を残すのはまだ先でいい」とサボってしまうのです。

つるぼけしてしまった場合は、まず肥料をストップするか、窒素分を含まない、あるいはリン酸(P)が多い「花用肥料」「開花促進用」の液体肥料に切り替えましょう。リン酸は「実肥(みごえ)」とも呼ばれ、花芽分化を促進する効果があります。また、少し可哀想ですが、水やりを少し控えて土を乾かし気味に管理することで、植物に「このままでは枯れてしまうかも」という適度なストレス(危機感)を与え、子孫を残すための生殖成長(開花)を促すテクニックもあります。これを「水切り」といいますが、やりすぎると本当に枯れてしまうので、葉が少ししんなりする程度を目安に行ってください。

摘芯(てきしん)で花数を増やす

朝顔いつ咲く10 朝顔の摘芯(てきしん)の位置を示す図解。親づるの先端を切って脇芽を増やし花数を多くする方法

また、つるが一本だけひょろひょろと伸びてしまう場合は、「摘芯(てきしん)」を行いましょう。本葉が5〜8枚程度になった頃に、親づる(メインの茎)の先端を指やハサミで摘み取ります。こうすることで、植物ホルモンの流れが変わり、葉の付け根から「脇芽(子づる)」が複数伸びてきます。これは「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質を打破する作業です。朝顔は親づるよりも子づるに花がつきやすい性質があるため、摘芯をすることで株のボリュームが増し、結果的に花の数も倍増します。ただし、蕾が見え始めてからの摘芯は、せっかくの花芽を捨ててしまうことになるので避けてくださいね。タイミングとしては、つるが支柱に巻き付き始めた頃がベストです。

色別の花言葉と怖い意味の有無

最後に、朝顔をより深く楽しむための「花言葉」について触れておきましょう。「朝顔には怖い花言葉がある」という噂を聞いたことがあるかもしれませんが、基本的にはポジティブで愛情深い意味が多いので安心してください。花言葉を知ることで、毎朝の観察がよりドラマチックなものになるでしょう。

朝顔全般の花言葉は「愛情」「結束」「固い絆」です。これは、朝顔がつるを支柱にしっかりと巻き付けて離れない様子に由来しています。決して離れないという強い意志を感じさせる姿から、家族や恋人との絆を象徴する、素敵な意味が生まれました。

  • 白い朝顔:「あふれる喜び」「固い絆」。純真無垢な喜びを表します。清楚な白い花は、見ているだけで心が洗われるようです。
  • 青い朝顔:「はかない恋」「短い愛」。これは朝顔が一日花であり、朝咲いてすぐにしぼんでしまう儚(はかな)さを、実らなかった恋に重ね合わせたものです。少し切ないですが、決してネガティブな意味ではなく、一瞬の美しさを尊ぶ文学的で美しい意味とも言えます。
  • 紫の朝顔:「冷静」「平常」。落ち着いた高貴な色合いから来ています。紫は古来より高貴な色とされ、精神性を高める色としても愛されてきました。

江戸時代、文化文政の頃には、武士や町人の間で「変化朝顔」が大ブームとなりました。突然変異によって生まれた奇妙な形や色の朝顔を競って育て、鑑賞会を開いたのです。彼らは、一日で散ってしまう朝顔に、現世の無常と、だからこそ輝く一瞬の生命の美しさを見出していたのでしょう。怖い意味を心配するよりも、その一日限りの美しさを愛でる心こそが、朝顔を楽しむ極意かもしれません。もし誰かに朝顔をプレゼントする際は、「固い絆」という花言葉を添えて贈れば、きっと喜ばれるはずです。

朝顔いつ咲くか理解し長く楽しむ

ここまで、朝顔が開花する時期や時間の不思議、そして咲かない時の対処法について、かなり詳しくお話ししてきました。朝顔は単なる「夏休みの宿題の花」というだけでなく、日没を感じ、気温を感じ、季節の移ろいとともに生き方を変化させる、非常に知的で繊細な植物であることがお分かりいただけたかと思います。

咲かない時も、焦らずに「今は光を感じているのかな」「もう少し涼しくなるのを待っているのかな」と、植物の気持ちになって観察してみてください。そうすれば、きっと美しい花であなたの期待に応えてくれるはずです。今年の夏から秋にかけて、あなたの庭やベランダで、素敵な朝顔との時間が過ごせますように。

この記事の要点まとめ

  • 朝顔の開花スイッチは日の出ではなく「日没からの時間経過」で入る
  • 暗くなってから約8〜10時間後に咲くよう生物時計がセットされている
  • 7月は日没が遅いため早朝に咲くが、10月以降は日没が早まり深夜に咲くこともある
  • 気温と開花には密接な関係があり、夜温が高いと開花が遅れ、低いと早まる
  • 「1℃=15分」の法則があり、熱帯夜の翌朝は開花が遅くなる傾向がある
  • 晴天の日は蒸散が激しく午前中にしぼむが、曇りの日や秋は夕方まで持つ
  • 日本朝顔は7月中旬から咲き始める夏の花で、葉に産毛があるのが特徴
  • 西洋朝顔は晩生(おくて)で、8月下旬〜11月頃まで咲く秋の花である
  • 琉球朝顔(ノアサガオ)は非常に強健で、11月頃まで咲き続け暖地では越冬も可能
  • 夜間に街灯や室内光などの光が当たると花芽がつかない「光害」が起きる
  • 咲かない時は夜間段ボールなどを被せて暗くする「短日処理」が有効
  • 肥料の窒素過多は葉ばかり茂る「つるぼけ」の原因になるため、リン酸肥料へ切り替える
  • つるの先端を摘芯することで脇芽が増え、結果として花数が増大する
  • 花言葉は「結束」「固い絆」などで、基本的に怖い意味はない
  • 青い朝顔には「はかない恋」という切ない花言葉もあり、一日花の儚さを表している
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