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ダリアはいつ咲く?見頃の時期や二季咲きの仕組みを徹底解説

ダリア いつ咲く 朝露に濡れて美しく咲き誇る大輪のダリアの花と初夏の庭の風景 ダリア
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こんにちは、My Garden 編集部です。

豪華で圧倒的な存在感を放ち、一輪あるだけで庭の雰囲気をガラリと変えてしまうダリアの花。ガーデニングショップの店頭や、InstagramなどのSNSでその華やかな姿を見かけて「私もこんな素敵な花を育ててみたい!」と胸を躍らせた経験がある方も多いのではないでしょうか。しかし、実際にダリアを育て始めてみると、ふとした瞬間に「あれ? 今は夏なのに、思ったよりも花が少ない気がする……」「この花は一体いつまで咲き続けるのが正解なのだろう?」という素朴な疑問や不安を感じたことはありませんか?

実は、「ダリアの開花時期」というのは、「春に種を蒔いて夏に咲くヒマワリ」のような単純なものではありません。あなたが住んでいる場所が冷涼な北海道なのか、それとも温暖な九州なのかによって、その開花スケジュールはまるで別の植物かと思うほど違います。また、品種によっては、秋も深まった晩秋にならないと絶対に咲かない頑固な性質を持つものさえあります。さらに、近年の日本の高温多湿な夏がダリアの生理機能に与える深刻な影響や、秋に最高の花を咲かせるために必須となる「夏のメンテナンス」、そして厳しい冬を越して翌年も楽しむための球根管理など、知っておくべきポイントは多岐にわたります。

この記事では、ダリア本来の開花サイクルを深く、正しく理解し、あなたの庭で少しでも長く、美しく咲かせるための秘訣を、私自身の過去の失敗談や経験も交えながら、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します。

この記事のポイント

  • 日本の平地におけるダリアの開花は初夏と秋の二季咲きが基本
  • 北海道や寒冷地では夏も休まず咲き続けるため見頃が異なる
  • 咲かない主な原因は日照不足や肥料バランスの崩れにある
  • 翌年も楽しむためには地域に合わせた冬越しの判断が必要
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ダリアはいつ咲く?基本の時期と二季咲き

ダリア いつ咲く ダリアの二季咲きサイクルと開花時期・夏の休眠期間を示す年間カレンダー図解

「ダリアは夏の花ですか? それとも秋の花ですか?」
この質問、実はガーデニング初心者の方から非常によく聞かれる、最も多い質問の一つなんです。結論から申し上げてしまえば「どちらも正解」なのですが、その背景にはダリアという植物が生まれ持った生態的な性質と、日本特有の気候との間に存在する深い関係が隠されています。まずは、ダリアがどのようなリズムで成長し、花を咲かせるのか、その基本的なメカニズムを紐解いていきましょう。

ダリアの季節は初夏と秋の2回がピーク

関東から西の地域(温暖地・一般地)にお住まいの方にとって、ダリアの開花シーズンは大きく分けて2回訪れます。これを園芸用語で「二季咲き(にきざき)」と呼びます。バラなどが春と秋に咲くのと似ていますね。

具体的には、まず春(3月下旬~5月)に植え付けた球根が気温の上昇とともにぐんぐんと成長し、「初夏(6月中旬~7月中旬)」に最初の一番花が見頃を迎えます。梅雨の晴れ間に、雨粒を弾きながら色鮮やかな花が次々と開く様子は、本格的な夏の到来を感じさせてくれる素晴らしい光景です。この時期のダリアは、株自体も若々しく、勢いがあります。

そして、真夏の猛暑が続く時期を少し静かに過ごした後、お彼岸を過ぎて涼しくなってきた「秋(9月下旬~11月上旬)」に、再び満開のピークを迎えます。つまり、真夏を挟んで「2回の旬」があるわけです。

では、なぜこのような「中休み」のある咲き方をするのでしょうか。その理由は、ダリアの故郷の環境を知ると納得がいきます。ダリアの原産地はメキシコやグアテマラといった中南米ですが、実はサボテンが生えているような砂漠ではなく、標高の高い高原地帯(標高1,500m~2,000m付近)が主な自生地なんです。そこは一年を通して冷涼で、日本の避暑地である軽井沢のような気候をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。

ダリアが好む温度は人間と同じ?ダリアの生育適温は15℃~25℃と言われています。これは、私たち人間が「エアコンなしでも快適に過ごせる」と感じる温度帯とほぼ同じです。つまり、人間が「暑くてバテる」と感じる時は、ダリアも同じようにバテているのです。

ところが、日本の夏はどうでしょうか。近年は35℃を超える猛暑日も珍しくありませんし、何より夜間の気温が下がらない「熱帯夜」が何日も続きます。この高温多湿な環境は、涼しい高原育ちのダリアにとっては非常に過酷なストレス環境となります。気温が30℃を超えると、ダリアは光合成で作ったエネルギーよりも、呼吸によるエネルギー消費の方が激しくなり、花を咲かせる余力がなくなってしまいます。そのため、多くの品種では7月下旬から8月にかけて、自己防衛のために成長を意図的に緩め、花を休ませる「夏休み(半休眠状態)」に入るのです。

ガーデニングを始めたばかりの頃の私がまさにそうだったのですが、この時期に急に花が咲かなくなったり、下の方の葉が少し黄色くなって枯れ落ちたりするのを見て、「大変! 病気になって枯れてしまったのかも!」と勘違いして、まだ生きている株を抜いて捨ててしまう方がいらっしゃいます。でも、これは枯れているのではなく、暑さをやり過ごすためにじっと耐えて命を繋いでいるだけなんです。無理に肥料をあげて咲かせようとせず、「今は休憩中なんだな、ゆっくり休んでね」と見守ってあげることが、秋に咲かせるための何よりの愛情です。

そして、気温が下がり始めると、ダリアは再び目覚めます。夏の間に蓄えていた力を爆発させるかのように、初夏よりもさらに豪華で、色鮮やかな花を咲かせるのが、秋の開花シーズンとなります。

北海道でのダリアの開花時期と特徴

ダリア いつ咲く 北海道の冷涼な気候の下で夏の間も満開に咲き続けるダリア園の風景

さて、先ほど「日本の夏はダリアにとって暑すぎるため、夏休みをとる」とお話ししましたが、日本国内にもダリアにとっての「理想郷」とも呼べる場所が存在します。それが北海道や東北北部、そして長野県の高冷地などの「寒冷地」です。

北海道にお住まいの方にとって、ダリアの開花スケジュールは本州とは全く異なります。北海道では、7月下旬から10月中旬頃まで、途切れることなく連続して咲き続けるのが最大の特徴です。本州で発生するような「真夏の生育停滞(夏休み)」が、北海道の冷涼な夏ではほとんど起こらないからです。

特に8月のダリアの姿は圧巻です。本州のガーデナーが「暑さで花が咲かない…」「葉が焼けてしまった…」と嘆いている時期に、北海道の庭ではダリアが一年で最も元気に咲き誇ります。昼間の気温が一時的に上がっても、夜にはしっかりと気温が下がるため、ダリアがしっかりと休息(呼吸による消耗を抑えること)を取れて、翌日の成長エネルギーを十分に蓄えられるからです。この気候特性から、ダリアは北海道を代表する花の一つとしても親しまれています。

北海道庁による解説北海道におけるダリアの生育適性については、公的機関でも詳しく紹介されています。原産地メキシコの気候との類似性が、北海道での栽培に適している大きな理由です。
(出典:北海道庁『ダリア(天竺牡丹:てんじくぼたん)』)

ただし、寒冷地ならではの宿命もあります。それは「終わりの早さ」です。ダリアは冷涼な気候を好みますが、「霜」にはめっぽう弱い植物です。水分を多く含んだダリアの太い茎や葉は、一度でも強い霜に当たると、一晩で細胞内の水分が凍結・膨張して細胞壁を破壊され、翌朝には黒く溶けたようになって枯死してしまいます。

初霜=シーズン強制終了の合図北海道では10月下旬頃には初霜が降りることが多いため、どんなに株が元気で、たくさんの蕾を持っていたとしても、そこで強制的にシーズン終了となります。雪が降る前に球根を掘り上げなければならないため、「最後まで咲ききって、スパッと終わる」という、ある意味で潔いサイクルになります。

東北や暖地など地域別の見頃の違い

ダリア いつ咲く 地域別ダリアの開花時期と見頃の違いを比較した日本地図のチャートイラスト

「いつ咲くか」という問いへの答えは、あなたが日本のどこに住んでいるかによって大きく変わります。日本列島は南北に長いため、桜前線が南から北へと北上していくように、ダリアの見頃や栽培サイクルも地域ごとに美しいグラデーションがあります。

ご自身の住んでいる地域がどのパターンに当てはまるか、主要な地域ごとの開花動態を、より詳しく比較してみましょう。

地域区分 植え付け適期 開花開始 夏(8月)の状態 秋の最盛期
北海道・寒冷地 5月下旬
(遅霜の心配がなくなってから)
7月下旬~ 満開(ベストシーズン)
暑さによる衰えなし。最も美しい時期。
9月~10月上旬
霜が降りるまでノンストップ。
東北・北陸 4月下旬~5月中旬 7月上旬~ 比較的花が残る。
ただし近年の猛暑では休むことも増えている。
9月~10月中旬
紅葉と共に楽しめる。
関東・東海・関西 3月下旬~5月上旬 6月中旬~ 花数減少・品質低下
株を休ませる時期。無理に咲かせない。
9月下旬~11月上旬
色が冴え渡る時期。
九州・暖地 3月中旬~4月下旬 5月下旬~ 長い夏休み。
過湿による球根腐敗対策が必須。
10月中旬~11月下旬
初冬まで咲くことも。

このように見てみると、興味深い傾向が分かります。春のスタート(植え付けや開花)は南の地域ほど早いですが、その分、夏の休眠期間が長く過酷になります。逆に北の地域はスタートこそ遅いですが、夏の間ずっと咲き続け、秋の終わりが早く訪れます。

特に九州南部や沖縄などの暖地では、秋の訪れが遅いため、霜さえ降りなければ12月に入っても花を楽しめることがあります。クリスマスシーズンに庭でダリアが咲いているなんて、北国の方からすれば信じられない光景かもしれません。一方で、夏の高温期は非常に長く、夜温も下がらないため、遮光ネットを使って直射日光を和らげたり、鉢植えを風通しの良い日陰に移動させたりといった暑さ対策が、他の地域以上に重要になってきます。

秋のダリアは花色が鮮やかで美しい

もしあなたが「ダリアが一番美しく、本来の実力を発揮して咲く瞬間を見たい」と願うなら、私は迷わず「秋(特に関東以西なら10月中旬頃)」をおすすめします。初夏に咲く一番花ももちろん若々しくて綺麗ですが、秋のダリアには、春の花には絶対に真似できない「深み」と「迫力」、そして「艶(つや)」があるからです。

なぜ秋のダリアはこれほどまでに美しいのでしょうか。それには明確な科学的な理由があります。

植物の花の色、特に赤や紫、ピンクといった鮮やかな色は、「アントシアニン」という色素によって作られています。このアントシアニンの合成は、気温と光に強く影響を受けます。植物は日中にたっぷりと日光を浴びて光合成を行い、糖分を作り出します。そして夜になると、その糖分を使って呼吸をし、体を維持します。しかし、夜間の気温が低いと、呼吸によるエネルギー消費が抑えられるため、余った糖分を「アントシアニン」の合成に贅沢に回すことができるのです。

秋は「天高く馬肥ゆる秋」と言われるように空気が澄んで日差しが強い一方で、夜になると急激に気温が下がりますよね。この「昼夜の寒暖差(温度較差)」こそが、ダリアの花色を劇的に美しくする魔法のスパイスなんです。

秋ダリアの3つの魅力

ダリア いつ咲く 夏咲きのダリアと秋の冷涼な気候で色が濃く鮮やかになった秋咲きダリアの比較

  • 花色(花弁の色)の深み:夏場は強い紫外線から身を守るために色が褪せたり、少しぼんやりと淡くなりがちな色が、秋には目が覚めるような鮮烈な発色になります。特に「黒蝶(こくちょう)」のような黒赤系の品種や、鮮やかな赤色の品種は、まるでビロードのような光沢を帯びて、息をのむ美しさです。
  • 花のサイズとボリューム:春の球根はまだエネルギーを使い始めたばかりですが、秋の株は夏の間に地中で球根を太らせ、切り戻しによって枝を更新しているため、体力が充実しています。そのため、一輪一輪のサイズが春よりも一回り、場合によっては二回りも大きくなり、花弁の枚数も増える傾向があります。
  • 花持ちの良さ:気温が低い秋は、切り花にした際の日持ちも抜群です。春なら3日で萎れてしまう花が、秋なら1週間以上、涼しい玄関なら10日以上楽しむことも難しくありません。

鑑賞と撮影のベストタイミング「ダリアの本当の旬は秋」と言われるのは、単に咲いているからではなく、その品質が最高潮に達するからです。もし写真を撮るなら、絶対に秋の夕暮れ時、斜めからの柔らかい光が差し込む時間帯がおすすめです。ドラマチックな一枚が撮れますよ。

全国のダリア園で見頃を楽しむ

自宅の庭で数株を愛でるのもガーデニングの醍醐味ですが、プロが管理し、数百品種、数千株という単位が一斉に咲き誇る「ダリア園」の風景は、一生に一度は見ておきたい絶景です。全国には素晴らしいダリア園がたくさんあり、それぞれの地域の気候に合わせて見頃の時期が異なります。旅行の計画を立てる際、「いつ行けば最高のダリアが見られるか」の参考にしてみてください。

■ 北海道・東北エリア

このエリアのダリア園は、夏から秋にかけての連続開花と、土地の広さを活かした広大な敷地が魅力です。

  • やまがた川西ダリヤ園(山形県川西町)
    東北最大級の規模を誇る、まさにダリアの聖地の一つです。8月上旬から開園していますが、見頃のピークは涼しくなり始めた9月中旬から10月です。約650種、10万本という圧倒的な数のダリアが咲き乱れる様は圧巻です。毎年11月3日の閉園翌日には「切り花収穫デー」というイベントがあり、訪れた人が園内の好きなダリアを切り取って持ち帰れるという粋な計らいも人気を集めています。
  • 秋田国際ダリア園(秋田県秋田市)
    ダリアの育種家として世界的に有名な鷲澤氏が手掛ける場所であり、多くの新品種がここで生まれています。9月下旬から10月が一番の見頃で、雪が降る直前の、寒さで色が極限まで冴え渡ったダリアの美しさは、言葉を失うほどです。

■ 関東エリア

関東のダリア園は、都市部からのアクセスも良く、二季咲きの特性を活かした管理が行われています。

  • 町田ダリア園(東京都町田市)
    関東のダリア名所として非常に有名です。6月中旬から開園し、初夏の花を楽しめますが、やはりおすすめは秋です。夏場に職員の方々によって丁寧に手入れ・剪定された株が、9月下旬から10月にかけて再び満開を迎えます。中央の噴水を中心に配置された景観が美しく、写真映えも抜群です。
  • 両神山麓花の郷 ダリア園(埼玉県小鹿野町)
    秩父の山間部に位置するため、平地よりも少し早く秋の気配が訪れます。9月1日から11月3日までの開園期間中、約350種5,000株のダリアが山の斜面を彩ります。ハイキングと合わせて楽しむのも良いでしょう。

■ 西日本エリア

西日本では、秋の行楽シーズンに合わせて大規模なイベントが開催されることが多いです。

  • 世羅高原農場(広島県世羅町)
    西日本最大級の花のテーマパークです。9月から10月下旬にかけて開催される「ダリアとガーデンマム祭」は圧巻のスケールです。標高約500mの高原にあるため、平地よりも涼しく、ダリアの発色が素晴らしいのが特徴です。花で作られた巨大な「花絵」など、家族連れでも楽しめる工夫が凝らされています。
  • 宝塚ダリア園(兵庫県宝塚市)
    実はこの地域はダリア球根の生産地としても歴史ある場所です。ここでは夏(7月上旬~8月上旬)と秋(10月上旬~11月上旬)の二期制で開園することが多く、まさに二季咲きの特性を体感できるスポットとなっています。

ダリアがいつ咲くかは種類や手入れで変わる

ここまでは自然環境におけるダリアの開花についてお話ししてきましたが、実はダリアの開花時期は、天気任せな部分だけでなく、私たち人間の「手入れ(栽培管理)」によってコントロールできる部分も非常に大きいのです。「いつ咲くか」を知るだけでなく、「いつ咲かせたいか」を考えて管理できるようになると、ダリア栽培はもっと楽しく、奥深いものになります。
また、検索キーワードでよく見かける「咲かない」という切実な悩みや、特殊な咲き方をする品種、そして翌年のための冬越しテクニックについても、さらに深掘りして解説していきましょう。

ダリアが咲かない原因と効果的な対策

ダリア いつ咲く 日照不足や窒素過多で咲かないダリアと適切な環境で蕾をつけた健康なダリアの比較イラスト

「ずっと楽しみにしていたのに、いつまで待っても蕾がつかない」「葉っぱばかりが青々と茂って、肝心の花が咲かない」…。これはダリアを育てている中で、最もがっかりする瞬間ですよね。でも、どうか諦めないでください。ダリアが咲かないのには、必ず明確な理由があります。そしてその多くは、環境を少し変えるだけで解決できるものです。

主な原因は以下の3つに集約されます。ご自身の環境と照らし合わせてみてください。

1. 日照不足:太陽エネルギーが圧倒的に足りていない

ダリアは「好光性植物」の代表格とも言えるほど、とにかくお日様が大好きです。光合成によって作り出した炭水化物が、花芽を作るための原料になります。もし、一日のうち2〜3時間しか日が当たらない場所や、大きな木の下、建物の影などの日陰で育てている場合、植物は生きるだけで精一杯になり、花を咲かせる余力がなくなってしまいます。
【対策】
少なくとも半日以上、できれば朝から夕方まで一日中直射日光が当たる場所に移動させてください。プランターなら移動は簡単ですが、地植えの場合は、周りの木の枝を剪定して日当たりを確保するなどの工夫が必要です。日光が十分に当たると、茎が太くがっしりと育ち、葉の色も濃くなり、自然と花芽もつきやすくなります。

2. 肥料のバランス(C/N比):メタボ気味で花が咲かない

これが意外と多い原因で、私も初心者の頃に失敗しました。「大きく育てたい」という親心から、肥料をあげすぎていませんか? 特に、油かすや観葉植物用の肥料など、「窒素(N)」成分が多い肥料を与えすぎると、ダリアは「葉ぼけ(つるぼけ)」という状態になります。
植物には、葉や茎を伸ばす「栄養成長」と、花や実を作る「生殖成長」のバランスがあります。窒素が多すぎると、植物体内のバランスが栄養成長に極端に偏り、「今は体を大きくする時期だ! 花なんて咲かせている場合じゃない!」と勘違いして、花芽を作るのをやめてしまうのです。葉っぱが濃い緑色で巨大化しているのに花が咲かない場合は、ほぼ間違いなくこのパターンです。
【対策】
花を咲かせたい時期(蕾が見え始める頃、あるいは夏越し後の追肥)からは、窒素分を控え、「リン酸(P)」や「カリウム(K)」が多く含まれる肥料(配合比率が N-P-K = 0-10-10 や 5-10-10 などのもの)に切り替えましょう。これを「花肥(はなごえ)」と呼びます。液体肥料も効果的です。

3. 光害(ひかりがい):夜が明るすぎて秋だと気づかない

ダリアの中には、日が短くなること(短日条件)を敏感に感じ取って花芽を作る性質が強い品種があります。もし、あなたの家の庭が、夜間に街灯や防犯ライト、あるいはリビングの窓から漏れる光で明るく照らされているなら、それが原因かもしれません。
植物は人間よりも光に敏感です。夜も明るいと、ダリアは「まだ夏だ(日が長い)」と勘違いし続け、いつまでたっても花芽形成のスイッチが入らないのです。
【対策】
特に秋咲きの品種や、後述する皇帝ダリアは夜間の照明に非常に敏感です。夜はしっかりと暗くなる場所に植えるのが鉄則です。どうしても光が当たる場所しかない場合は、夕方5時から翌朝まで、株に段ボール箱や黒い布を被せて人工的に暗くする「短日処理」を行うことで、開花を促すことができます。

皇帝ダリアの開花時期は晩秋になる

ダリア いつ咲く 青空に向かって高くそびえ立ち晩秋にピンクの花を咲かせる皇帝ダリア

近年、空に向かって高くそびえ立つピンク色の花、「皇帝ダリア(Dahlia imperialis)」が大人気ですね。別名「木立ダリア」とも呼ばれ、その背丈は2階のベランダに届くほど(3〜5メートル)にも成長し、見る人を圧倒します。

しかし、この皇帝ダリアを普通のダリアと同じ感覚で育てると、「秋になっても全然咲かない! 葉っぱだけ!」と焦ることになります。なぜなら、皇帝ダリアは典型的な「短日植物」だからです。彼らは日照時間が明確に短くならないと花芽を作らないという、非常に頑固な性質を持っています。

どれだけ早く植え付けても、どれだけ大きく育っても、開花が始まるのは「11月中旬から12月上旬」です。春や夏、初秋に咲くことは絶対にありません。

ここで最大のリスクとなるのが、日本の冬将軍、「霜(しも)」との競争です。皇帝ダリアが満開を迎える11月下旬は、地域によっては初霜が降りる時期と重なります。蕾が膨らんで「さあ、明日咲くぞ!」というタイミングで無情にも霜が降りてしまい、花を見ることなく一晩で全滅してしまう…という悲劇が、関東の内陸部や北関東では頻繁に起こります。

寒冷地向けの救世主「ガッツァリア」「北国でも皇帝ダリアを楽しみたい!」「霜が降りる前に咲いてほしい!」という多くのガーデナーの声に応えて開発されたのが、皇帝ダリアと一般的な園芸ダリアを交配したハイブリッド品種「ガッツァリア」です。
この品種は皇帝ダリアの豪華さを持ちながら、短日性が弱められており、10月頃から開花するように改良されています。そのため、霜が降りる前に十分に花を楽しむことができます。背丈も1.5m〜2mほどとコンパクトで扱いやすいので、初めての方にはこちらがおすすめです。

切り戻しの時期を知って秋に咲かせる

さて、話を一般的なダリアに戻しましょう。先ほど「秋のダリアは美しい」とお話ししましたが、何もしなくても勝手に美しくなるわけではありません。夏を越えて疲れた株をリフレッシュさせ、秋に最高の花を咲かせるためのプロのテクニック、それが「切り戻し(剪定)」です。

「せっかくここまで伸びた枝を切るなんてかわいそう…」「もし失敗して枯れたらどうしよう…」と思うかもしれませんが、これはダリアにとってのアンチエイジング手術のようなものです。夏の暑さで消耗した古い枝をリセットし、若々しい新しい枝を出させることで、秋の花数と品質が劇的に向上します。

切り戻しの具体的な手順とコツ

ダリア いつ咲く 秋に咲かせるためのダリアの切り戻し位置と節の残し方・切り口の保護を示す図解

  1. 時期を見極める
    梅雨明けから8月上旬頃に行います。気温が高くなり、株が暑さで弱って花が小さくなったり、下葉が枯れ上がってきたりした頃がベストタイミングです。遅くとも8月中旬までには済ませましょう。これ以上遅れると、秋の開花に間に合わなくなります。
  2. 切る位置を決める
    地面から30cm〜40cmくらいの高さでバッサリと切ります。この時、必ず「下から3〜4節(葉の付け根)」を残すことが最重要ポイントです。葉が全くない状態で棒だけにすると、光合成ができずにそのまま枯れてしまうリスクがあるため、なるべく葉がついている節の上で切るようにしてください。
  3. 茎の穴を塞ぐ(重要!)
    ここが失敗しないための最大のコツです。ダリアの茎はストローのように中空になっています。切ったままにしておくと、その穴に雨水や水やりの水が溜まり、そこから雑菌が入って腐り、株全体がドロドロに溶けてしまうことがあります。切り口にアルミホイルを被せて輪ゴムで止めるか、節のすぐ上(空洞になっていない硬い部分)で切るようにして、水の侵入を物理的に防いでください。
  4. 追肥を与える
    新しい芽を出すには大量のエネルギーが必要です。切り戻しと同時に、化成肥料を適量与えて、新芽の成長を強力に後押ししてあげましょう。

この作業を行うと、約1ヶ月〜1ヶ月半後の涼しくなった頃に、若々しい枝が一斉に伸びてきて、見事な秋の花を咲かせてくれます。「かわいそう」と思わずにハサミを入れる勇気が、秋の満開を約束します。

摘芯のタイミングで花数を増やす方法

ダリア いつ咲く ダリアの花数を増やすための摘芯(ピンチ)の手順と脇芽発生の仕組み図解

もう一つ、花数を劇的に増やすための重要なテクニックが「摘芯(てきしん)」、別名「ピンチ」です。これは苗がまだ小さいうちに行う初期段階の作業です。

植物には「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質があり、放っておくと一番上の芽(頂芽)だけが優先的に栄養を使って伸びようとします。これだと、一本ひょろっとした茎が高く伸びて、てっぺんに花が一つだけ…という、少し寂しい姿になりがちです。

そこで、植え付け後、草丈が30cm〜40cm(本葉が3〜4対展開した頃)に育ったら、勇気を出して一番上の芽(成長点)を手で摘み取ります。成長点を止められると、植物は「おっと、上の道が塞がれたから、横に広がろう!」と判断を変え、下の節から複数の脇芽(側枝)を一斉に伸ばし始めます。

こうすることで、茎の数が1本から2本、4本へと倍増し、株全体のボリュームが出ます。当然、枝の数が増えれば、そこにつく蕾の数も増えるため、結果的に咲く花の数も大幅に増やすことができます。こんもりとした豪華な株に仕立てたい場合は、この摘芯が欠かせません。

巨大輪を咲かせたい場合は逆!ただし、直径30cmを超えるような「巨大輪」品種を咲かせたい場合に限っては、あえて摘芯をせず、脇芽を全てかき取って一本の茎に栄養を一点集中させる「一本仕立て(天花仕立て)」を行うこともあります。数よりも「大きさ」を追求する場合の手法です。目的に合わせて使い分けましょう。

植えっぱなしでの冬越しと球根の保管

美しい花を十分に楽しんだ後、最後に待っている大仕事が「冬越し」です。「ダリアは植えっぱなしにできますか?」というのも非常によくある質問ですが、こればかりは「お住まいの地域の最低気温」「土壌環境」に完全に依存します。

関東以西の平地・暖地(土が凍らない地域)基本的に「植えっぱなしでの冬越しが可能」です。
11月下旬~12月、数回の霜が降りて地上部が完全に枯れたら、地際で茎を切り取ります。その後、球根が寒風や凍結にさらされないように、株の上に腐葉土や落ち葉、藁、もみ殻などを20cm~30cmほどの厚さにたっぷりと被せて「マルチング(防寒)」をします。さらにその上からビニールシートや雨除けを被せると、冷たい雨の侵入も防げてより安全です。
ただし、ダリアの球根は水分が多く非常に腐りやすいため、水はけの悪い粘土質の土壌や、冬場に雨が多い地域では、植えっぱなしにすると地中で腐ってしまうリスクがあります。高価な品種や、思い入れがあって絶対に失いたくない株は、暖地であっても掘り上げるのが一番安全で確実です。
ダリア いつ咲く 寒冷地でのダリア冬越し方法・おがくずを入れた箱での球根保管の様子
北海道・東北・寒冷地(土壌凍結エリア)残念ながら、植えっぱなしは不可能です。土の中の水分が凍るような地域では、球根も一緒に凍って細胞が破壊され、春になっても二度と芽が出ません。
【掘り上げの手順】
霜が降りる直前、あるいは一度目の霜で地上部が黒くなったら、すぐに作業を行います。スコップで球根を傷つけないように大きく周りから掘り上げ、土を落として数日間陰干しします(表面を乾かす程度でOKです)。その後、段ボール箱や発泡スチロール箱に、おがくず(もみ殻くん炭やピートモス、バーミキュライトでも可)を詰め、その中に球根が触れ合わないように埋め込みます。
保管場所は、5℃〜10℃が安定して保てる場所(凍らない玄関、物置、ムロなど)が理想です。暖房の効いた部屋(20℃以上)は乾燥しすぎて球根がシワシワに干からびたり、逆にカビが生えたりするので絶対に避けてください。

切り花の日持ちを良くする手入れのコツ

庭で丹精込めて育てたダリアを切り花にして、お部屋に飾るのもガーデニングの大きな楽しみの一つです。しかし、ダリアはキク科の植物の中でも、比較的「水が下がりやすい(水を吸い上げられずに萎れやすい)」花として知られています。

日持ちは季節に大きく左右されます。真夏にカットしたダリアは、高温による葉からの蒸散と、水中のバクテリアの爆発的な繁殖で、残念ながら3〜4日ほどで元気がなくなってしまうことが多いです。一方で、気温が20℃を下回る秋のダリアは、適切に管理すれば1週間、時には10日以上も美しさを保ってくれます。

少しでも長く楽しむための、プロのお花屋さんも実践しているコツをご紹介します。

  • 余分な葉を徹底的に取る:葉は花瓶の水をどんどん吸い上げ、空気中に蒸散させてしまいます。花に優先的に水を届けるため、水に浸かる部分はもちろん、上のほうの葉も見た目を損なわない範囲でできるだけ取り除きましょう。
  • 湯揚げ(ゆあげ)を行う:もし水揚げが悪く、花がくたっとしている時は、茎の切り口を沸騰したお湯に10秒~20秒ほど浸し、すぐに冷水に移す「湯揚げ」が非常に効果的です。熱で導管の中の空気が膨張して抜け、水が上がりやすくなると同時に、切り口の殺菌効果も期待できます。
  • 水は「浅水(あさみず)」で:ダリアの茎は柔らかく腐りやすいため、たっぷりの水に深く浸けるのは逆効果です。花瓶の底から3cm〜5cm程度の少なめの水に活け、その分、毎日水を替えるようにします。
  • 購入時のチェックポイント:もしお花屋さんでダリアを選ぶときは、花の裏側にある「ガク」を注目してください。ガクが緑色でピンと張っているものは新鮮ですが、茶色っぽくなっていたり、だらりと下がっているものは収穫から時間が経っている証拠です。

ダリアがいつ咲くかを知って長く楽しむ

ダリアは、ただ種を蒔けば勝手に育つ丈夫な雑草のような一年草とは違い、季節のリズムを理解し、その時々に合わせた私たちの手助けを必要とする、少し「手のかかる」植物かもしれません。しかし、その分だけ、手をかければかけるほど、他にはない圧倒的な存在感と素晴らしい花で応えてくれる、愛着の湧くパートナーでもあります。

「夏は暑いから休ませてあげよう」「秋のために散髪(剪定)してあげよう」「冬は寒いから布団(マルチング)をかけてあげよう」。
このサイクルさえ理解していれば、ダリアは決して難しい花ではありません。まずは今年の秋、あなたの庭で最高の一輪を咲かせるために、ハサミを持って庭に出てみてはいかがでしょうか。その一輪が咲いた時の感動は、きっとあなたのガーデニングライフをより豊かなものにしてくれるはずです。

この記事の要点まとめ

  • ダリアは基本的に初夏(6-7月)と秋(9-11月)の二季咲きである
  • 30℃を超える日本の夏はダリアにとって過酷な休眠期間となる
  • 北海道や冷涼地では夏バテせず7月から10月まで連続開花する
  • 秋のダリアは昼夜の寒暖差により花色が濃く鮮やかになる
  • 日照不足や窒素肥料の与えすぎは「咲かない」主要因である
  • 夜間も明るい場所では短日性が阻害され花芽がつかないことがある
  • 皇帝ダリアは短日植物であり11月中旬以降にならないと咲かない
  • 8月上旬に切り戻しを行うことで秋の花数と品質が向上する
  • 苗の段階で摘芯(ピンチ)を行うと脇芽が増えて花数が増える
  • 関東以西の平地ではマルチングを行えば植えっぱなしで冬越し可能
  • 寒冷地では土壌凍結により枯死するため霜が降りる前に掘り上げる
  • 掘り上げた球根はおがくず等に埋めて5℃〜10℃で保管する
  • 切り花は高温に弱いが秋なら1週間以上楽しめることもある
  • 切り花を長持ちさせるには余分な葉を取り浅水で管理する
  • 地域や品種の特性を理解すればダリア栽培はより楽しくなる
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