こんにちは、My Garden 編集部です。
ガーデニング好きなら一度は憧れる、花の女王「ダリア」。その圧倒的な存在感と幾何学的な美しさは、見る人の心を掴んで離しませんよね。「あんなに立派な花を自宅の庭やベランダで咲かせてみたい」と思う一方で、「ダリアの育てかたは難しそう」「昔、球根を腐らせてしまったことがある」「冬越しができない」といった不安や苦い経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、ダリア栽培における失敗の多くは、「水のやりすぎ」と「日本の気候への対策不足」に原因があります。原産地であるメキシコの高原地帯とは異なる日本の高温多湿な環境に合わせて、ほんの少し管理のコツを変えるだけで、初心者の方でも驚くほど立派な花を咲かせることができるんです。
この記事では、ダリアの基本的な育てかたから、秋に息をのむような美しい花を咲かせるためのプロ直伝のテクニック、そして来年も楽しむための冬越しの方法までを、私たち編集部の実体験を交えながら徹底的に解説していきます。品種選びの段階から、土作り、剪定のタイミングまで、失敗しないためのロードマップを完全網羅しました。この記事を読み終える頃には、あなたのダリア栽培に対する不安は自信へと変わっているはずです。美しいダリアに囲まれた、ワンランク上のガーデニングライフを一緒に始めましょう。
この記事のポイント
- 品種選びから植え付けまで初心者が失敗しやすいポイントを解説
- 鉢植えと地植えそれぞれの環境に合わせた土作りと管理方法
- 秋に満開の花を楽しむための夏越しのコツと切り戻し剪定の手順
- 地域に合わせた冬越し方法と球根の保存テクニックの完全ガイド
初心者必見のダリアの育てかたと基礎知識
「ダリアは難しい」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、実は植物としての性質は非常にシンプルです。ただし、球根植物特有の「弱点」を知らずに自己流で育ててしまうと、芽が出る前に失敗してしまうことも…。まずは、ダリアを元気に育てるための「基礎の基礎」を、植物の仕組みからしっかり理解していきましょう。
初心者向け品種の選び方と特徴
ダリアの魅力は、なんといってもその多様性にあります。品種数は数万種とも言われ、花の形、大きさ、草丈、色など、そのバリエーションは無限大です。しかし、初心者の方がカタログの写真だけで「これ素敵!」と選んでしまうと、栽培難易度の高さに直面して挫折してしまうことがあります。まずは、自分の栽培環境やスキルに合った品種を見極めることが成功への第一歩です。
花の形(フォルム)で選ぶ:雨に強い品種とは?

ダリアには様々な咲き方がありますが、初心者の方に特におすすめなのが「ボール咲き」や「ポンポン咲き」です。これらは花弁が幾重にも重なりながら筒状になり、美しい球体を形作ります。この形状の最大のメリットは、「雨水を溜め込みにくい」という点です。梅雨や秋雨の時期、花弁が広がっているタイプだと水が溜まって重くなり、茎が折れたり花が腐ったりしやすいのですが、ボール咲きはそのリスクが低く、美しい姿を長く保ってくれます。
一方で、「巨大輪」と呼ばれる豪華なデコラティブ咲きやカクタス咲きは、雨を含むと非常に重くなります。これらを育てる場合は、しっかりとした支柱を立てる技術や、雨除けの工夫が必要になり、管理のハードルが少し上がります。
花の大きさ(花径)で選ぶ:スペースに合わせる
花の直径によって、ダリアは以下のように細かく分類されます。お庭の広さや鉢の大きさに合わせて選んでみてください。
| 分類 | 花径の目安 | 特徴と栽培難易度 | おすすめの用途 |
| 超巨大輪・巨大輪 | 26cm以上 | 圧倒的な迫力で「ダリアの王様」の風格。支柱必須で風対策が最重要。上級者向け。 | 庭のフォーカルポイント、コンテスト出品 |
| 大輪 | 21〜26cm | 見応え十分で豪華。鉢植えなら10号以上が必要で場所を取る。 | 広い花壇、大型のコンテナ栽培 |
| 中輪 | 17〜21cm | 花の大きさと株のバランスが良い。切り花にもしやすく、初心者におすすめ。 | 切り花、花壇の中景、8号鉢 |
| 小輪・極小輪 | 17cm未満 | 花数が非常に多く、次々と咲く。株がコンパクトにまとまるため管理が楽。 | ベランダ栽培、ハンギング、寄せ植え |
初めて挑戦される場合は、管理がしやすく花数も多い「中輪」〜「小輪」、または「極小輪(プチダリア)」からスタートするのが成功への近道です。これらは支柱が一本で済むことも多く、風による倒伏リスクも比較的低いため、安心して育てられます。
【編集部のおすすめ:銅葉ダリアの魅力】
最近、私たち編集部でも注目しているのが「銅葉(ブロンズリーフ)」系のダリアです。通常、植物の葉は緑色ですが、このタイプは黒に近い紫色やチョコレート色の葉を持っています。花の色だけでなく、葉の色がシックなので、花が咲いていない時期でもお庭のアクセント(カラーリーフ)として活躍します。「ハミングブロンズ」シリーズなどは比較的コンパクトで育てやすく、おしゃれな庭づくりにぴったりですよ。
失敗しない球根の植え付け時期と方法
ダリア栽培のスタートラインであり、最大の難関が「植え付け」です。多くの失敗例が、この段階で起きています。「球根を植えたのにいつまで経っても芽が出ない」「掘り起こしてみたらドロドロに腐っていた」…こんな悲しい結末を防ぐためには、植え付けの「タイミング」と球根の「向き」が命です。
植え付けの適期:早まると失敗する理由
春先、3月頃になるとホームセンターに球根が並び始めますが、買ってすぐに植えたくなりますよね。でも、そこはグッと我慢してください。ダリアは寒さと、冷たく湿った土が大の苦手です。
地温が十分に上がっていない時期に植えてしまうと、球根は寒さで休眠から目覚めることができず、活動停止状態のまま土の中の水分を吸って腐敗してしまいます。特に、春の長雨に当たると致命的です。
具体的な植え付け適期は、桜(ソメイヨシノ)が散って葉桜になり、気温が安定して20℃前後になる頃が目安です。
- 関東以西(暖地):3月下旬〜5月上旬
- 寒冷地・東北:5月中旬以降(遅霜の心配がなくなってから)
「自分が半袖で過ごせるようになったら植える」くらいの感覚でも全く遅くありません。焦らず、土が温まるのを待つことが、発芽率を100%に近づける秘訣です。
球根の構造と「発芽点」の確認

ダリアの球根は、サツマイモのような形をしていますが、実はイモ(塊根)の部分からは芽が出ません。ここがチューリップなどの球根と大きく違う点です。芽が出るのは、以前茎だった部分の付け根にある「クラウン(発芽点)」と呼ばれる部分だけです。
また、クラウンとイモをつなぐ細い「ネック(首)」は非常に折れやすく、ここが折れるとイモへの栄養供給が断たれ、二度と芽が出ません。購入時や作業時は、赤ちゃんの首を支えるように優しく扱ってください。
【最重要:植え付けの手順と支柱の先打ち】
植え付けの失敗で最も多いのが、後から支柱を刺して地中の球根を貫通させてしまう「串刺し事故」です。これを防ぐために、以下の手順を必ず守ってください。
- 穴を掘る:植え付ける深さ(地植えなら5〜10cm、鉢植えなら5cm程度の覆土)に合わせて広めに穴を掘ります。
- 支柱を立てる:球根を置く「前」に、仮支柱をしっかりと地面に打ち込みます。これが目印であり、命綱になります。
- 球根を置く:球根を横向き(または斜め)に寝かせ、発芽点(クラウン)が支柱に接するように配置します。こうすることで、伸びてきた芽を最短距離でスムーズに支柱へ誘引できます。
- 土を被せる:優しく土を被せ、手のひらで軽く鎮圧します。
鉢植えやプランターでの用土と選び方

ベランダやテラスでダリアを楽しむ場合、鉢選びと土作りが成功の鍵を握ります。ダリアは地上部が大きく育つだけでなく、地下でも新しい球根(塊根)をどんどん太らせていくため、根が張るスペースが十分に必要です。窮屈な環境では、すぐに水切れを起こし、花を楽しむどころではなくなってしまいます。
鉢のサイズ選び:大は小を兼ねる
「このくらいの苗なら、これくらいの鉢でいいかな」と小さめの鉢を選びがちですが、ダリアの場合は「思ったよりふた回り大きい鉢」を選ぶのが正解です。
- 中輪〜大輪種:最低でも8号鉢(直径24cm)、理想は10号鉢(直径30cm)です。根が深く張るため、浅い鉢よりも「深鉢」タイプを選びましょう。
- 小輪・矮性種:6号〜7号鉢でも栽培可能ですが、8号鉢の方が土の量が多くなる分、保水力が上がり、真夏の管理が格段に楽になります。
プランターの場合は、標準的な65cmプランターであれば、小輪種なら2株、中輪以上なら1株を目安に植え付けると、お互いの根が干渉せずにのびのびと育ちます。
理想的な用土の配合:水はけと保水のバランス
ダリアは「水はけの良い土」を好みますが、同時に開花期には多くの水分を必要とするため、「保水性」も求められるという、少しわがままな性質を持っています。市販の「球根用培養土」や「草花用培養土」を使用するのが一番手軽で失敗がありません。
もし、ご自身で用土をブレンドされる場合は、以下の配合を参考にしてみてください。これは私たちが実際に試して好成績を収めているブレンドです。
【My Garden流・ダリア用土ブレンド】
- 赤玉土(小粒):6〜7
- 腐葉土:3〜4
- 緩効性化成肥料(マグァンプKなど):適量
- ※さらに水はけを良くしたい場合(プラスチック鉢を使う場合など)は、パーライトや軽石(小粒)を1割ほど混ぜると効果的です。
植え付けの際は、必ず鉢底に鉢底石を敷き詰め、排水性を確保してください。また、古い土の使い回しは、ウイルス病や線虫などのリスクがあるため、ダリアに関しては新しい清潔な土を使うことを強くおすすめします。
庭での地植えに適した場所と土作り
お庭に地植えする場合、一度植えたら動かすことが難しいため、場所選びは慎重に行いましょう。ダリアが好む環境は、「日当たり・風通し・水はけ」の3拍子が揃った場所です。これらが欠けると、病気になったり、花が咲かなかったりとトラブル続きになります。
日当たりと風通しの確保
ダリアは太陽が大好きです。1日に最低でも6時間は直射日光が当たる場所を選んでください。午前中の柔らかい光よりも、光合成が盛んになる日中の光が重要です。日照不足になると、茎がひょろひょろと徒長し、花色が冴えず、蕾が落ちてしまう原因になります。
また、蒸れに弱いため、風通しの良い場所が理想ですが、強風が吹き抜ける場所は茎が折れるリスクがあるため避けるか、防風ネットなどで対策が必要です。建物の壁際などは風が通りにくい上に熱がこもりやすいので注意しましょう。
土壌改良のテクニック:酸度調整と高畝

日本の土壌は雨の影響で酸性に傾きがちですが、ダリアは弱酸性(pH 6.0〜6.5)を好みます。酸性度が強いと根が十分に栄養を吸収できません。植え付けの2週間前までに、1平方メートルあたり100g程度の「苦土石灰」を撒いて耕し、酸度を中和しておきましょう。
また、ダリアの根は深く伸びるため、深さ30cmくらいまでしっかりと耕し、腐葉土や牛ふん堆肥をたっぷりと(1平方メートルあたりバケツ1〜2杯分)すき込み、土をフカフカにします。
もし、お庭の土が粘土質で水はけが悪い場合は、土壌改良材(パーライトやもみ殻くん炭)を混ぜ込んだ上で、土を盛り上げて「高畝(たかうね)」(高さ10〜20cm程度の土の山)を作ってそこに植えることを強く推奨します。これにより、梅雨の長雨でも球根の周りに水が停滞せず、根腐れリスクを劇的に下げることができます。
枯らさないための正しい水やりの頻度
ダリア栽培で初心者が最も陥りやすい罠、それが「植え付け直後の水やり」です。ここだけは、他の草花とは全く違う厳格なルールがあることを覚えておいてください。このルールを知っているかどうかが、プロとアマチュアの分かれ道です。
植え付け直後の「断水」ルール
球根を植え付けたら、最初に一度だけたっぷりと水を与え、鉢底から水が流れ出るのを確認します。そしてここからが重要です。その後、地上に芽が出てくるまでは、一切水を与えてはいけません。
なぜなら、球根の中には、発芽に必要な水分と養分がすべて蓄えられているからです。まだ根も葉も出ていない状態で土が湿り続けていると、球根は呼吸ができずに窒息し、あっという間に腐ってしまいます。「土が乾いていて心配」「早く芽が出てほしい」と思う親心こそが、ダリアを枯らす最大の原因なのです。地植えの場合は自然の雨に任せれば十分ですし、鉢植えの場合も、よほどカラカラに乾かない限り我慢です。「芽が出るまでは忘れておく」くらいがちょうど良い距離感です。
生育期(発芽後)の水やり
無事に芽が出て葉が展開してきたら、今度は積極的な水やりが必要になります。葉からの蒸散が始まるからです。基本は「土の表面が白く乾いたら、鉢底から溢れるまでたっぷりと」です。
- 春・秋:午前中に水やりを行います。葉が萎れていないかチェックしましょう。
- 夏:日中の水やりは厳禁です。鉢の中の水分がお湯になり、根が煮えてダメージを受けてしまいます。早朝の涼しい時間か、夕方にたっぷりと与えてください。夏場は生育旺盛で蒸散も激しいので、1日2回の水やりが必要になることもあります。
花を咲かせる肥料のタイミングと種類
ダリアは別名「肥食い(ひぐい)」と呼ばれるほど、たくさんの栄養を必要とする植物です。肥料切れを起こすと、花が小さくなったり、色が薄くなったり、最悪の場合は蕾が開かずに落ちてしまいます。しかし、ただ闇雲にあげれば良いというわけではありません。タイミングと成分バランスが重要です。
肥料の3大タイミング
- 元肥(もとごえ):植え付け時、土に混ぜ込んでおく肥料です。ゆっくり長く効く「緩効性化成肥料」を使います。根が直接肥料に触れると肥料焼けを起こすので、少し土と混ぜておくのがコツです。
- 追肥(ついひ)① 春〜初夏:芽が伸びてくる5月下旬〜7月頃にかけて、ぐんぐん成長する体を支えるために肥料を与えます。月に1回程度の置肥(固形肥料)か、10日〜2週間に1回の液肥を与えます。
- 追肥(ついひ)② 秋:夏の暑さが和らぎ、秋の花芽が育ち始める9月上旬〜10月に再び肥料を与えます。ここでの肥料が、秋の鮮やかな花色を作ります。
【注意:真夏の肥料はストップ!】
気温が30℃を超える真夏(8月)は、ダリアも人間と同じように夏バテ状態で生育が停滞します。この時期に肥料を与えてしまうと、根が吸収しきれずに肥料焼けを起こし、株が弱ってしまいます。真夏は肥料を完全に抜き、水やりと、必要であれば活力剤(リキダスなど)でのケアに留めるのがプロの技です。
肥料の成分バランス:リン酸を意識する
肥料を選ぶ際は、パッケージに書いてある「N-P-K(チッ素・リン酸・カリ)」の比率に注目してください。チッ素(N)が多すぎると、葉っぱばかりが茂って花が咲かない「葉ボケ」になったり、茎が軟弱になって倒れやすくなったりします。花付きを良くするリン酸(P)が多めに配合された肥料(例:N-P-K = 6-10-5など)を選ぶのがポイントかなと思います。
長く楽しむためのダリアの育てかたと応用
春に植えたダリアは初夏に最初の見頃を迎えますが、ダリアの本当のポテンシャルが発揮されるのは、実は「秋」なんです。冷涼な気候を好むダリアにとって、昼夜の寒暖差がある日本の秋は最高のシーズン。ここでは、夏を乗り越えて極上の秋ダリアを咲かせるためのテクニックと、翌年も楽しむための冬越し・保存方法を深掘りします。
花が終わったら行う花がら摘みと手入れ
美しく咲いた花も、いつかは終わりを迎えます。花びらが散り始めたり、茶色く変色したりしてきたら、早めに「花がら摘み」を行いましょう。これは単に見栄えの問題だけでなく、株の体力を温存し、病気を防ぐための重要なメンテナンス作業です。
種を作らせないことが重要
植物は花が終わると、次世代を残すために種(タネ)を作ろうとします。種を作るには莫大なエネルギーが必要で、これを放置すると、株の栄養が種作り優先になり、新しい蕾を作るパワーがなくなってしまいます。「まだ少しきれいかも」と思っても、早めにカットすることで、株の疲労を防ぎ、次々と新しい花を咲かせてくれます。
正しい切る位置と衛生管理
花首のすぐ下で「チョキン」と切るだけでは不十分です。花首だけ切ると、残った茎が枯れ込み、見た目が悪いだけでなく腐敗の原因になります。必ず茎の付け根(次の芽がある葉の真上)で切り取ります。
ダリアの茎はストローのように空洞になっていることが多く、適当な位置で切ると切り口に雨水が溜まり、そこから腐って株全体に広がることがあります。また、枯れた花弁が葉に落ちて張り付くと、そこからカビ(灰色かび病)が発生する原因になるので、株元に落ちた花がらもこまめに掃除してあげてください。清潔な環境を保つことが、無農薬栽培への近道でもあります。
秋に咲かせるための切り戻しと剪定

「春はきれいに咲いたけど、秋になったら花が小さくなってしまった」「夏に枯れてしまった」…そんな経験はありませんか?実は、日本の猛暑で疲弊したダリアを復活させ、秋に豪華な花を咲かせるためには、夏に行う外科手術のような「切り戻し」が不可欠です。これをやるかやらないかで、秋の景色が全く変わります。
切り戻しのタイミングと方法
時期は8月上旬〜お盆頃がベストです。この時期に、地上部を思い切ってバッサリと切り落とします。
- 高さ:地面から30〜40cm程度、または草丈の3分の1〜半分くらいの高さまで切り戻します。
- 重要ルール:必ず「緑色の健康な葉が残っている節」の上で切ってください。葉が一枚もない丸坊主の状態にしてしまうと、光合成ができずにそのまま枯れてしまうリスクが高まります。
「せっかく育ったのに切るなんて可哀想」と思うかもしれませんが、古い枝をリセットすることで、株の消耗を抑え、新しい枝への更新を促すことができるのです。
切り口の保護:アルミホイル法

先ほども触れたように、太く育ったダリアの茎は空洞です。切り戻した太い茎の切り口が上を向いていると、夕立や台風の雨水が入り込み、株の内部まで腐らせてしまいます。これを防ぐために、切り口にアルミホイルを被せて輪ゴムで止めるか、節のギリギリ上で斜めにカットして水がたまらないように養生してあげましょう。このひと手間で、秋の復活率が格段に上がります。
この切り戻しを行うことで、眠っていた低い位置の芽が目覚め、涼しくなる頃に新しい若々しい枝が伸びてきます。その枝に咲く「秋ダリア」は、春よりも色が濃く、鮮やかで、息をのむ美しさですよ。
注意すべき病気や害虫の対策と予防
大切に育てたダリアを病害虫から守るためには、早期発見と予防が全てです。ダリアにつきやすい主なトラブルと対処法をまとめました。
うどんこ病
うどんこ病は葉の表面に小麦粉をまぶしたような白いカビが生える病気です。梅雨時や秋の長雨、風通しが悪い環境で多発します。葉が白くなると光合成が阻害され、株が弱ります。
対策:初期であれば、重曹スプレー(水500mlに重曹1g程度と展着剤代わりの食器洗剤一滴)や食酢を薄めたものを散布するだけで効果があります。蔓延してしまった場合は、園芸用の殺菌剤を使用しましょう。泥はね防止のマルチングも有効です。
ウイルス病(モザイク病)
ダリアにとっての不治の病です。葉に濃淡のモザイク模様が出たり、葉が縮れたり、株全体が萎縮して生育が止まります。
対策:残念ながら治療法はありません。放置するとアブラムシなどを介して他の健康な株に伝染するため、涙を飲んで株ごと抜き取り、焼却処分(ゴミとして出す)してください。ハサミからも感染するので、疑わしい株を切ったハサミは熱湯消毒や火で炙るなどの処理が必要です。
害虫(アブラムシ・メイガ・ハダニ)
- アブラムシ:新芽に群がって吸汁し、ウイルス病を媒介します。見つけ次第、粘着テープで取るか薬剤で駆除します。
- メイガ(フキノメイガなど):幼虫が茎の中に食い入ります。茎から木くずのようなフンが出ていたら中にいます。茎が折れる原因になるので、被害部分を切り取るか、穴から針金を刺して補殺します。
- ハダニ:高温乾燥期に葉の裏につき、葉の色を白っぽくかすれさせます。水が苦手なので、水やりの際に葉の裏側にも水をかける「葉水(シリンジ)」を行うことで予防できます。
【農薬の適正使用について】
薬剤を使用する際は、必ず対象の植物や害虫に適用があるかを確認し、使用回数や希釈倍率を守ってください。安全な使用方法については、公的な情報源を確認することをおすすめします。
(出典:農林水産省『農薬コーナー』)
寒冷地と暖地での冬越しのポイント
ダリアは球根植物なので多年草ですが、原産地がメキシコであるため耐寒性は高くありません。土の中の球根が凍結すると、細胞が壊れて腐ってしまいます。冬越しの方法は、お住まいの地域(土が凍るかどうか)によって大きく異なります。
寒冷地・積雪地(土が凍る地域)

北海道や東北、高冷地では、地植えのまま冬を越すことは不可能です。「掘り上げ保存」が必須になります。
- 時期:霜が降りる直前、または初霜が降りて地上部が黒く枯れた直後(11月上旬〜中旬)。
- 掘り上げ:地上部を地際から5cmほど残して切り取り、スコップで球根を傷つけないよう大きく掘り起こします。
- 乾燥:土を落とし、凍らない場所で数日間陰干しして表面を乾かします。
- 保存:ダンボール箱や発泡スチロール箱に、バーミキュライト、もみ殻、おがくずなどを詰め、その中に球根を埋めます。適度な湿度を保つためです。
- 保管場所:5℃〜10℃の凍らない場所(玄関や物置など)で春まで保管します。暖房が効いている部屋は乾燥しすぎて球根が干からびてしまうのでNGです。
暖地(土が凍らない地域)
関東以西の平野部など、冬場でも土が凍結しない地域では、「植えっぱなし」での冬越しが可能です。
- 地植え:地上部を切った後、株の上に土を20〜30cmほど盛り上げるか、腐葉土、落ち葉、ワラなどを厚く被せて(マルチング)、地温が下がりすぎないように保温します。雨除けにビニールシートを被せるとさらに安心です。
- 鉢植え:地上部を切り、鉢ごと雨の当たらない軒下や玄関内に取り込みます。完全に水を断つと球根が干からびてしまうことがあるため、月に1〜2回、暖かい日の午前中に土を軽く湿らせる程度の水やり(湿り気を与える程度)を行います。
球根の保存方法と挿し木での増やし方
無事に冬を越した球根は、春にまた新しい命を芽吹かせます。この時、球根が増えていれば株分け(分球)をして増やす楽しみも生まれます。
分球(ぶんきゅう)の最重要ポイント
3月〜4月頃、保存していた球根を切り分けますが、ここで多くの人が失敗します。ダリアの球根は、ただイモをバラバラにするだけでは絶対に芽が出ません。
必ず「発芽点があるクラウン(茎の基部)」をつけた状態で切り分ける必要があります。イモ一つひとつに、茎の一部がくっついている状態にするのです。これが非常に難易度が高い作業なので、初心者のうちは無理に分けず、塊のまま植えるか、手で自然に分かれる部分だけを分ける程度にしておくのが無難です。
挿し芽(さしめ)で増やす
もっと手軽に増やしたいなら、5月〜6月頃に行う「挿し芽」がおすすめです。親株と同じ遺伝子を持つクローンを作ることができます。
- 勢いよく伸びてきた脇芽を、2〜3節(5〜10cm)の長さでカッターナイフで切り取ります。
- 切り口を1時間ほど水につけて吸水させます(水揚げ)。
- 湿らせた赤玉土(小粒)や鹿沼土に挿します。発根促進剤を切り口につけると成功率が上がります。
- 直射日光の当たらない明るい日陰で、乾かさないように管理すると、2〜3週間で根が出てきます。
挿し芽で育てた株も、秋には立派な花を咲かせ、地中には小さな球根を作ってくれますよ。
ダリアの育てかたをマスターして楽しむ
ダリアの栽培は、季節ごとのメリハリが大切です。「春は水を控えめに」「夏は切り戻して休ませる」「秋は肥料を効かせて豪華に」。このリズムさえ掴めれば、ダリアは毎年驚くような美しさであなたの庭を彩ってくれます。
特に、自分で夏越しを成功させて咲かせた「秋ダリア」の美しさは格別です。花弁の一枚一枚が輝くような濃厚な色は、育てた人だけが味わえる特権と言えるでしょう。まずは一鉢、お気に入りの品種を見つけるところから始めてみてください。きっと、ダリアの奥深い魅力に夢中になるはずです。
この記事の要点まとめ
- ダリアの品種選びは初心者なら「中輪〜小輪」や「ボール咲き」が育てやすくおすすめ
- 植え付け適期は桜が散って気温が20℃程度になってから(3月下旬〜5月)
- 植え付け時は必ず「支柱を先に立てて」から球根を横向きに植える
- 球根の「発芽点」を支柱に寄せて配置し、深植えしすぎないように注意する
- 植え付け直後の水やり後は、地上に芽が出るまで「断水」するのが腐らせない鉄則
- 鉢植えは8号以上の大きめの鉢を選び、水はけの良い用土を使用する
- 日当たりと風通しの良い場所を選び、地植えなら酸度調整をしておく
- 水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与え、夏場は朝夕の涼しい時間に行う
- 肥料は植え付け時の元肥と、6〜7月・9〜10月の追肥を行うが、真夏は与えない
- 花が咲き終わったら花首ではなく茎の付け根から早めに花がらを摘む
- 8月上旬〜お盆頃に草丈の半分程度まで「切り戻し」を行うと秋に豪華な花が咲く
- 切り戻し時は必ず葉が残っている節の上で切り、切り口をアルミホイル等で保護する
- うどんこ病やアブラムシ、メイガなどの病害虫は早期発見と予防が鍵
- 冬越しは寒冷地なら掘り上げ保存、暖地ならマルチングや軒下への取り込みを行う
- 分球の際は必ず発芽点(クラウン)を含めて切り分けないと芽が出ない
|
|


