こんにちは、My Garden 編集部です。
お店の軒先やフラワーショップのショーケースで見かけると、その場の空気をパッと明るくポジティブに変えてくれるガーベラ。スラリと伸びた茎の先に、太陽のような形をした愛らしいお花が咲いている姿は、見ているだけで元気をもらえますよね。そんな魅力たっぷりのガーベラですが、いざ自分でお家にお迎えして育ててみようとしたり、大切な誰かへのプレゼントに選ぼうとしたりしたとき、「あれ?ガーベラって本当は何月に咲くお花なんだろう?」と、ふと疑問に思うことはありませんか?
お花屋さんの切り花コーナーでは一年中見かけるけれど、お庭やベランダで育てるとなると、いつがシーズンで、いつ植え付けの作業をすれば良いのか、意外と知らない方も多いかもしれません。また、「誕生花として贈りたいけれど、何月の誕生花なのか正解がわからない」という声もよく耳にします。実はガーベラ、季節によって全く違う表情を見せてくれる奥深い植物なんです。
今回は、「ガーベラ 何月」というキーワードで検索されている皆様のそんな疑問や不安を解消するために、ガーデニングでの育て方(Grow)と、ギフトとしての楽しみ方(Gift)の両面から、ガーベラの「時間」にまつわるお話を徹底的に深掘りしていきます。私自身の栽培経験や失敗談も交えながら、明日からすぐに役立つ実践的な知識をお届けしますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
この記事のポイント
- ガーベラの開花時期と、もっとも美しく咲く本来の旬
- 苗の植え付けや、鉢植えの植え替えに適したベストな月
- 11月や10月といわれる誕生花の正解と、季節ごとの楽しみ方
- 長持ちする切り花の選び方と、季節に合わせたプロ直伝のケア
ガーベラは何月に咲く?栽培カレンダー

ガーデニングでガーベラを楽しむなら、まずは「いつ何をするべきか」という年間のスケジュール、つまり栽培カレンダーをしっかりと把握しておきたいですよね。ガーベラは日本の四季の中で、元気に成長して花を咲かせる時期と、じっと耐えて休む時期がはっきりしているお花です。植物のバイオリズムに合わせたお世話をすることで、失敗を減らし、長く楽しむことができます。ここでは、月ごとの具体的なお世話のタイミングについて、理由とともに詳しく解説していきます。
ガーベラの開花時期と季節
ガーベラのお花が一番きれいに咲く時期、つまり本来の「開花時期」は、大きく分けて春と秋の2回あります。具体的には、4月から6月の春シーズンと、9月から11月の秋シーズンです。この春と秋に開花のピークが来ることを、専門用語で「二峰性(にほうせい)」と呼びますが、これが日本の気候におけるガーベラの最大の特徴なんです。
そもそもガーベラは、南アフリカのトランスヴァール地方などが原産のお花です。原産地は温暖で過ごしやすい気候のため、ガーベラも極端な暑さや寒さは少し苦手としています。ガーベラがもっとも心地よく活動できる「生育適温」は、だいたい15℃〜25℃くらい。これは、私たちが「暑くもなく寒くもなく、過ごしやすいな」と感じる春や秋の気温とぴったり重なります。
この適温の時期になると、ガーベラは株の中心にある成長点から、新しい蕾(花芽)を次々と上げてきます。株全体のエネルギー代謝が活発になり、光合成で得た養分を効率よくお花に変えることができるため、見事な花を咲かせてくれるのです。逆に言えば、この気温から外れる夏や冬は、ガーベラにとってストレスのかかる時期であり、開花はお休みモードに入ります。
春のガーベラ(4月〜6月)の爆発力
春は、冬の長い寒さと休眠期間を乗り越えた株が、目覚めて一気に活動を始める「爆発力」のある季節です。冬の間に根っこに蓄えていた炭水化物などの栄養分を一気に使うので、一年の中で最も花が大きく、花びらの色も鮮やかでエネルギッシュになるのが特徴です。また、次から次へと蕾が上がってくるため、花数も一番多くなります。お庭やベランダをパッと華やかに彩りたいなら、この春のシーズンが最高潮です。アブラムシなどの虫たちも活動し始める時期なので、観察も兼ねて毎日お花を見てあげてくださいね。
秋のガーベラ(9月〜11月)の深み
猛暑という過酷な夏を乗り越えて咲く秋のガーベラは、春に比べると少し大人っぽく、落ち着いた雰囲気を持っています。春は気温が上がっていく中で咲きますが、秋は逆に気温が徐々に下がっていく中で咲きます。そのため、お花の成長スピードがゆっくりになり、その分色素が凝縮されて、色が深く濃厚になる傾向があります。そして何より嬉しいのが、気温が低いおかげで花持ちが抜群に良いこと。一輪のお花が咲いてから散るまでの期間が長いので、ゆっくりと観賞を楽しむことができます。シックな秋の寄せ植えや、ハロウィンシーズンの彩りにもぴったりですね。
真夏と真冬はどうなるの?
日本の真夏(30℃以上)や真冬(5℃以下)は、ガーベラにとっては「我慢の季節」です。高温期は呼吸によるエネルギー消費が激しくなり、花を咲かせる体力が残らないため、蕾が上がらなくなったり、咲いても花が小さく奇形になったり(花びらが欠けるなど)することがあります。また冬は寒さで成長が止まり、休眠状態になります。これらは枯れたわけではなく、株が自分を守るために成長を止めているサインなので、無理に肥料を与えて咲かせようとせず、「お疲れ様、また来シーズンね」とゆっくり休ませてあげることが大切です。
苗の植え付けに適した時期

園芸店やホームセンターで、ポットに入った可愛らしいガーベラの苗を見つけて「育ててみたい!」と思ったとき、いつ買って植え付けるのが正解なのでしょうか。結論から言うと、3月中旬から5月の春か、9月中旬から10月の秋がベストなタイミングです。
「お花屋さんで売っているんだから、いつ植えても良いんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、植え付けという作業は、植物にとって「手術」のような大きなストレスがかかるイベントです。ポットから出されて根っこが新しい環境に馴染むまでには、ある程度の時間とエネルギーが必要になります。この「新しい土に根っこを張る期間(活着期間)」に、過酷な環境が重なってしまうと、ガーベラはあっという間に弱ってしまいます。
もし真夏や真冬に植え付けをしてしまうと、根っこが十分に張る前に、土の中が高温になって根が煮えてしまったり、霜柱で根が持ち上げられて凍えてしまったりして、枯れるリスクが非常に高くなります。これからやってくる「夏」や「冬」という厳しい季節の前に、穏やかな気候の中でしっかりと土の中に根っこを広げさせ、体力をつけさせておくことが、長く楽しむための最大の秘訣なんですね。
初心者は「春植え」が断然おすすめ
初めてガーベラを育てる方には、私は断然「春植え」をおすすめしています。春に植えれば、その後の気温上昇とともに成長期に乗ってぐんぐん育ち、夏が来る頃にはある程度体力のある、葉っぱの多い大きな株に成長してくれます。葉っぱが多いということは、それだけ光合成をしてエネルギーを作れるということです。
一方、秋植えも良いのですが、植え付けてすぐに冬が来てしまうため、根張りが不十分なまま寒さに当たってしまう可能性があります。寒さ対策などの管理が少しシビアになることがあるので、まずは春からスタートして、ガーベラのサイクルを肌で感じるのが成功への近道かなと思います。
失敗しない「浅植え」のテクニック

植え付けの際に、これだけは絶対に、何が何でも守ってほしい鉄則があります。それは「浅植え(あさうえ)」を徹底することです。ガーベラ栽培の失敗原因の第1位といっても過言ではないのが、この「深植えによる腐敗」なんです。
ガーベラの構造をよく見てみると、葉っぱが放射状に出ている中心部分(株元)があります。ここには「成長点(クラウン)」という、新しい葉や蕾を作り出す心臓部があります。この成長点が土に埋まってしまうと、水やりのたびに常に湿った状態になり、そこからカビが生えたり腐ったりして、株全体があっという間にダメになってしまいます。
ポットから苗を出したら、根鉢(土の塊)の表面が、新しい土の表面と同じ高さ、あるいは株元が周りより少し高くなるくらい、意識的に浅く植えるようにしてください。「ちょっと根っこが見えそうかな?」とか「小高い丘の上に植える」くらいのイメージでちょうど良いです。深植えして腐らせるリスクに比べれば、多少浅くても後から土を足せば良いだけなので、ずっと安全ですよ。
元気なポット苗選びのチェックポイント
お店で苗を選ぶときは、花の色だけでなく、以下の点をチェックして「健康優良児」を選びましょう。
- 葉の色と厚み:濃い緑色で、厚みがあり、ピンとハリがあるもの。色が薄かったり、ヒョロヒョロと間延びしているものは避けましょう。
- 新芽の有無:株の中心(クラウン)に、小さな新しい葉や蕾(新芽)が見えているか確認しましょう。これが次の成長の証です。
- 病害虫チェック:葉の裏を見て、小さな虫や白い粉(うどんこ病)がついていないか確認します。
- 根の張り具合:ポットを持ち上げて底を見て、白い根が見えていれば根がしっかり張っている証拠です。茶色く腐った根が見えるものはNGです。
鉢植えの植え替えを行う月

鉢植えでガーベラを育てていると、植物の成長に合わせて一回り大きな鉢へ移す「植え替え(鉢増し)」という作業が必要になります。この作業も、苗の植え付けと同じく3月中旬〜4月、または9月中旬〜10月に行うのが正解です。
ガーベラは、キク科の植物の中でも特に太い根っこを地中深くへ伸ばす「直根性(ちょっこんせい)」の性質を持っています。ごぼうのような太い根がまっすぐに伸びていくイメージです。順調に育つと、1年〜2年もすれば鉢の中が根っこでパンパンになり、鉢底石を巻き込んでしまうほどになります。これを「根詰まり」と言いますが、そのままにしておくと、新しい根が伸びるスペースがなくなり、水はけが悪くなって酸素不足で根腐れを起こしたり、下葉が黄色くなったり、花付きが極端に悪くなったりします。
植え替えのサインを見逃さないで
「そろそろ植え替えたほうがいいのかな?」と迷ったら、ガーベラからのサインを確認してみましょう。次のような症状が出ていたら、「苦しいよ、狭いよ」というSOSかもしれません。適期を待って植え替えをしてあげてください。
- 鉢底の穴から、白い根っこがたくさん飛び出している。
- 水やりをしても、水がなかなか土に染み込んでいかず、表面に溜まってしまう(ウォータースペースがない)。
- 土がすぐに乾いてしまい、頻繁に水やりが必要になった。
- 以前より花の数が減った、または花が小さくなってきた。
- 葉っぱの色が悪く、黄色くなりやすい。
根鉢は崩す?崩さない?季節による使い分け
植え替えの時、ポットから抜いた根っこが固まった土の塊(根鉢)を、崩して土を落とすべきか、そのまま植えるべきか悩みますよね。これには季節による明確な使い分けがあります。
春の植え替えなら、少し崩しても大丈夫です。
春はこれから成長期に入るため、株に回復力があります。根詰まりしている場合は、根鉢の底や肩(上部)の土を軽くほぐし、黒ずんだ古い根っこや傷んだ根があればハサミで取り除いてリフレッシュさせてあげましょう。古い土を落とすことで、新しい土の栄養を吸収しやすくなります。
秋の植え替えなら、あまり崩さないほうが無難です。
秋はこれから休眠期の冬に向かうため、根へのダメージは最小限に抑えたいところです。根鉢を崩さずに、そのまま一回り大きな鉢にスポッと入れて、隙間に新しい土を入れる「鉢増し」程度に留めるのが安心です。根をいじりすぎると、冬越しのための体力を消耗してしまいます。
また、使用する土は、必ず「新しい清潔な培養土」を使ってください。古い土の使い回しは、病気の原因菌や害虫の卵が潜んでいる可能性が高いためおすすめしません。市販の「草花用培養土」で十分元気に育ちますが、もし自分でブレンドするなら、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:パーライト1くらいの割合で、水はけを重視した配合にすると良いでしょう。
肥料や水やりの月別管理
ガーベラを長期間元気に咲かせ続けるためには、季節(気温)に合わせた水やりと肥料のコントロールが欠かせません。「一年中同じペースで水をあげて、肥料も欠かさない」という一律のお世話をしていると、必ずどこかで調子を崩してしまいます。ここでは、ガーベラの生理状態に合わせた月ごとの具体的な管理方法を詳しく解説します。
| 月 | 水やり | 肥料 |
|---|---|---|
| 3月〜6月 (成長期) |
たっぷりと頻繁に。 新芽が展開し、花が次々と咲くこの時期は、水をたくさん欲しがります。土の表面が白っぽく乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと与えましょう。この時期の水切れは、蕾が枯れる原因になるので要注意です。 |
必要(多めに)。 開花には多くのエネルギーが必要です。元肥に加えて、1週間〜10日に1回程度の液体肥料か、月1回の緩効性置き肥を与えます。花付きを良くする「リン酸」成分が多めの肥料がおすすめです。 |
| 7月〜8月 (停滞期) |
時間帯を厳守&控えめに。 日中の高温時に水をやると、鉢の中でお湯になって根が煮えてしまいます。必ず朝の涼しい時間か、夕方に与えましょう。過湿になると根腐れしやすいので、土の乾き具合を指で触ってよく確認してください。 |
ストップ(与えない)! 暑さでバテている時期に肥料を与えると、消化不良のような状態になり、かえって株を弱らせてしまいます。「元気がないから肥料をあげよう」は逆効果。活力剤ならOKですが、肥料は涼しくなるまで我慢です。 |
| 9月〜11月 (成長期) |
通常モードへ。 夜温が下がり涼しくなってきたら、また春と同じように、土が乾いたらたっぷりと与えるリズムに戻します。ただし秋の長雨に当てすぎると病気になりやすいので、雨の日は軒下に避難させましょう。 |
再開。 秋の花に向けて追肥を再開します。ただし、11月下旬ごろ、寒くなって成長が止まってきたら徐々に頻度を減らし、冬に向けて肥料を切る準備に入ります。 |
| 12月〜2月 (休眠期) |
控えめに(乾燥気味)。 根が水を吸う力が弱まっています。土の表面が乾いてからさらに2〜3日待って与えるくらいで十分です。やりすぎは冬の枯死原因No.1です。「乾かし気味」を意識しましょう。 |
不要。 完全に肥料をストップします。土の中に肥料分が残っていると根を傷めることがあるので、置き肥が残っていたら取り除いておきましょう。 |
水やりのコツは「花や葉にかけない」こと

水やりの際、ジョウロで上からシャワーのようにバシャバシャとかけていませんか?実はこれ、ガーベラにとってはNG行為なんです。
ガーベラの中心(成長点)に水が溜まると、そこから腐敗が進んだり、花びらに水がかかるとシミができたり、「灰色かび病(ボトリチス病)」というカビの病気が発生しやすくなったりします。愛着が湧くとついお花の上から水をかけてあげたくなりますが、そこはグッと我慢。葉っぱを優しく手で持ち上げて、ジョウロの先(ハス口は外すのがおすすめ)を株元に近づけ、土に直接そっと注ぐようにしてあげてください。これだけで病気のリスクがぐんと下がりますよ。
夏越しと冬越しのポイント
ガーベラ栽培における最大の難関、それが「夏越し」と「冬越し」です。ここさえクリアできれば、ガーベラは多年草として何年も、それこそ3年でも5年でも楽しむことができます。それぞれの季節の乗り切り方をマスターしましょう。
【夏越し】蒸れと高温を防ぐサバイバル

日本の夏、特に梅雨から真夏にかけての高温多湿は、ガーベラにとってサウナのような過酷な環境です。特に苦手なのが「蒸れ」です。葉っぱが茂りすぎていると、株元の通気性が悪くなり、カビが発生しやすくなります。
- 場所の移動:鉢植えなら、梅雨の時期は雨の当たらない軒下に移動させます。真夏は直射日光(特に強烈な西日)を避け、風通しの良い明るい日陰(半日陰)で管理します。よしずや遮光ネットを利用するのも効果的です。
- 地面からの熱対策:コンクリートやタイルの上に直接鉢を置くと、照り返しの熱で鉢の温度が上がり、根がやられてしまいます。レンガやスノコ、フラワースタンドなどを使って、地面から離して置くのが鉄則です。
- 葉の整理(葉透かし):株元の風通しを良くするために、黄色くなった古い葉や、大きすぎて地面を覆っている葉、込み合っている葉を適度に取り除いてあげましょう。株元に光と風を届けることで、蒸れによる病気をかなり防げます。また、ハダニが発生しやすい時期なので、時々葉の裏に霧吹きで水をかける(シリンジ)のも有効です。
【冬越し】寒さと霜を防ぐシェルター
冬の管理は、育てている品種によって大きく変わります。自分のガーベラがどのタイプか確認しておきましょう。
一般的な鉢花品種(ミニガーベラなど):
お花屋さんでよく売られている小輪のタイプは、基本的に寒さに弱いです。5℃を下回ると葉が枯れ込み、0℃以下になると枯死するリスクが高まります。11月下旬〜12月頃になり、霜が降りる予報が出たら室内に取り込みましょう。日当たりの良い窓辺で管理しますが、夜間の窓辺は冷え込むので、夜だけ部屋の中央に移動させたり、厚手のカーテンを引いたりして保温すると安心です。
ガーデンガーベラ(宿根ガーベラ):
最近人気の「ガルビネア」などのガーデン品種は、品種改良によりマイナス5℃程度まで耐えられる驚異的な強さを持っています。関東以西の平地であれば、地植えのままでも十分冬越し可能です。
ただし、霜や寒風に直接当たると葉が傷んで見栄えが悪くなるので、株元に腐葉土やバークチップを厚めに敷いてマルチングをしたり、不織布をふわっとかけたりして防寒対策をしてあげると、翌春の芽吹きが断然良くなります。もし地上部の葉が茶色く枯れてしまっても、地中の根っこが生きていれば春にまたひょっこりと新芽が出てくるので、諦めずに見守ってあげてくださいね。
ガーベラは何月の誕生花?市場の旬

ここまでは育てる方向けの栽培テクニックをお話ししてきましたが、ここからは「プレゼント」や「切り花」としてガーベラを楽しみたい方へ向けて、市場の旬や誕生花についてさらに深掘りしていきましょう。大切な人への贈り物に、あるいは自分へのご褒美(トリート)に、ガーベラを選ぶ際のヒントになれば嬉しいです。
11月がガーベラの誕生花
「ガーベラって何月の誕生花なの?」とスマホで検索してみると、サイトによって答えが違っていて混乱したことはありませんか?実は、誕生花には世界共通の厳密な定義があるわけではないため、国や地域、協会によって諸説あるのが現状なんです。
その中でも、日本において最も有力で、多くのフラワーショップや園芸図鑑で採用されているのが、11月の誕生花という設定です。これは、先ほどお話ししたように、ガーベラの秋の開花最盛期が10月〜11月であり、この時期に品質の良いガーベラが多く出回ることに由来していると言われています。「秋の澄んだ空気に映える花」としてのイメージが強いのかもしれませんね。
また、文献によっては10月の誕生花として紹介されていることもあります。どちらにせよ、秋(10月・11月)はガーベラにとって特別な季節であることは間違いありません。
366日の誕生花としてのガーベラ
月単位ではなく「日単位」で見ると、ガーベラは1年を通して様々な日の誕生花として登場します。これなら、11月生まれ以外の方にも「あなたの誕生花だよ」と言ってプレゼントしやすいですよね。代表的な日付をいくつかリストアップしてみました。
- 2月11日
- 8月1日(赤いガーベラなど)
- 9月16日
- 10月8日、10月12日、10月24日
- 11月12日、11月21日
- 12月30日
もちろん、これ以外の日だから贈ってはいけない、なんてことは全くありません。花言葉やその人の好きな色に合わせて贈るのが一番です。「あなたが好きな花だから」「今日お店で一番輝いて見えたから」という理由こそが、どんな誕生花設定よりも素敵なプレゼントの理由になるはずですよ。
色別の花言葉とギフトシーン
ガーベラがフラワーギフトとして不動の人気を誇る理由のひとつに、その「花言葉」の素晴らしさがあります。ガーベラ全体の花言葉は「希望」「常に前進」「前向き」。なんて素敵でパワフルな響きでしょうか!ネガティブな意味や怖い意味が一切ないので、お祝い事はもちろん、お見舞いや励ましの贈り物としても、誰に対しても自信を持って贈ることができます。
さらに、ガーベラは豊富なカラーバリエーションごとに、個別のメッセージを持っています。相手のイメージや、伝えたい想いに合わせて色をコーディネートしてみてはいかがでしょうか。
色ごとの花言葉とおすすめシーン
- ピンク(崇高美・思いやり・熱愛・童心)
- 柔らかく優しい印象のピンクは、女性へのプレゼントの王道です。「母の日」のギフトとしてはカーネーションに次ぐ人気ですし、結婚祝いや出産祝いにもぴったり。恋人へ「思いやり」や変わらぬ愛を伝えるのにも最適ですね。淡いピンクから濃いピンクまでグラデーションで束ねるのもお洒落です。
- 赤(燃える神秘の愛・限りない挑戦)
- 情熱的な赤は、プロポーズやパートナーの誕生日など、ストレートに愛を伝えるシーンに欠かせません。また「挑戦」という意味もあるので、昇進祝い、還暦祝い、新しいプロジェクトを始める方、起業する方への激励としても、とても粋な贈り物になります。
- オレンジ(冒険心・忍耐強さ・我慢強さ)
- ビタミンカラーで元気いっぱいのオレンジは、新しい世界へ飛び込む人へのエールです。入学祝い、就職祝い、開店・開業祝いにおすすめ。見ているだけでパワーが湧いてくる色なので、お見舞い(退院祝い)として「早く元気になってね」という気持ちを込めるのにも喜ばれます。
- 黄色(究極の愛・親しみ・優しさ)
- 太陽のように明るくフレンドリーな黄色は、友人への誕生日プレゼントや、ちょっとしたお礼、仲直りのきっかけ作りに。「究極の愛」という意味も秘めているので、実は父の日のプレゼント(黄色いバラの代わり)としても人気があるんですよ。
- 白(希望・律儀・純潔)
- 清楚で洗練された白は、ブライダルブーケの定番カラー。新しいスタートを切る結婚祝いや、誠実さを伝えたい場面に適しています。他の色との相性も抜群なので、カラフルなブーケの中に白を入れることで、全体の印象を上品にまとめる名脇役としても活躍します。
4月18日はガーベラ記念日
ガーベラ好きならぜひ手帳に書き込んで覚えておきたいのが、4月18日の「ガーベラ記念日」です。
この記念日は、2005年に開催された全国ガーベラ生産者交流会で制定されました。由来は大きく2つあります。一つは「4(よい)1(は)8(な)」=「良い花」という語呂合わせ。もう一つは、4月がガーベラの出荷最盛期であり、一年で最も品質が良く、美しいガーベラが出回る時期であることです。また、1958年の4月に、日本で初めて「ガーベラ」という名称が品種登録された(当時は「花車」という和名もありました)ことにもちなんでいるそうです。
記念日の楽しみ方
この日が近づくと、多くのお花屋さんで「ガーベラフェア」が開催されます。普段は見かけないような珍しい品種――例えば、花びらがカールしたパスタのような「パスタ咲き」、針のように細く尖った「スパイダー咲き」、ボールのように丸い「ポンポン咲き」など――が店頭に並んだり、1本100円セールやお得な束売りがされていたりと、ガーベラファンにはたまらない期間です。
特別な誰かに贈るのも素敵ですが、この日はぜひ「自分のため」にガーベラを買ってみてください。キッチンやデスクに一輪飾るだけで、春のウキウキした気分を運んできてくれますし、「良い花の日」に花を飾るという行為自体が、生活を丁寧に楽しんでいる実感を与えてくれるはずです。
切り花の流通時期と価格
「ガーベラを買いたいけど、売っていない時期はあるの?」と心配な方もいるかもしれませんが、安心してください。ガーベラの切り花は、全国の生産者さんが高度な環境制御を行った温室(ハウス)を使って栽培しているため、基本的には一年中(オールシーズン)お花屋さんの店頭に並んでいます。いつでも手に入る身近な花、それがガーベラの魅力でもあります。
ただし、お野菜やお魚と同じように、お花にも「流通量の波」や「旬」があります。
もっとも出回る「旬」はいつ?
市場への流通量がピークを迎えるのは、やはり自然な栽培適期と重なる3月〜4月の春と、10月〜11月の秋です。この時期は、市場に入荷する品種の数が圧倒的に増え、茎が太くてしっかりとした高品質なものが手に入りやすくなります。
農林水産省の統計データなどを見ても、春の卒業・入学・送別シーズンや、秋のブライダルシーズンに合わせて出荷量が増える傾向が見て取れます。需要が高い時期ですが、各産地からの供給量も潤沢なため、価格は比較的安定しています。
価格の目安と季節変動
一般的なスタンダードタイプ(直径10cm前後)のガーベラであれば、お花屋さんでの価格は1本あたり150円〜300円程度が相場です。大輪系や変わり咲きのレアな品種だと、300円〜500円ほどすることもあります。スーパーマーケットの束売りなどでは、5本で498円〜598円といったお得なセットを見かけることもありますね。
季節による変動としては、夏場は暑さで花持ちが悪くなるため、消費者の需要が少し落ちますが、最近では暑さに強い品種も開発されており、極端に手に入らなくなることはありません。逆に冬場は、暖房コストがかかるため生産コストが上がり、価格が下がりにくい傾向がありますが、その分驚くほど長持ちするので、日割りで考えればコストパフォーマンスは決して悪くありません。
詳細な統計データについては、以下の農林水産省のページなども参考になります。
(出典:農林水産省『花きの現状について』)
切り花の日持ちを良くするコツ
「ガーベラを買ったけれど、数日ですぐに首が垂れて枯れてしまった…」そんな悲しい経験はありませんか?実はそれ、お花の寿命ではなく、生け方(特に水の量)に原因があるかもしれません。ガーベラは正しいケアをすれば、意外なほど長く楽しめるお花です。プロも実践している、今日からできる簡単テクニックをご紹介します。
鉄則は「浅水(あさみず)」

ガーベラを生ける時、一番大切なのが花瓶に入れる水の量です。結論から言うと、花瓶の水は底から2cm〜3cm程度で十分です。
ガーベラの茎は、表面に細かい産毛(うぶげ)がびっしりと生えています。水に深く浸かると、この産毛が水を含んで雑菌の温床になり、そこから茎が腐りやすくなってしまいます。茎が腐ると、水を吸い上げる導管が詰まり、お花の重さを支えきれずに首がガクッと折れてしまう現象(ベントネック)が起きます。「お水はたっぷりあげなきゃ枯れちゃう」という優しさが、逆にガーベラを苦しめてしまうんですね。茎の先端(切り口)がちょこっと水に浸かっていれば、彼らは十分水を吸い上げることができます。
ガーベラ長持ちの3か条

- 水は浅く(2〜3cm):茎を腐らせないための基本中の基本です。葉っぱが水に浸からないように、下の方の葉は取り除いておきましょう。
- 切り口は「水平」に切る:バラなどの枝物は、水を吸う面積を増やすために「斜め切り」にしますが、ガーベラは導管が太く水を吸いやすい植物です。斜めに切ると断面積が大きくなり、そこから腐りやすくなるため、腐敗面積を最小限にするためにスパッと「水平(真横)」に切るのがおすすめです。
- こまめな「切り戻し」:水替えのたびに、茎の先が茶色くなっていたら1cmほど切り落として、常に新しい切り口にしてあげましょう。これを「切り戻し」と言います。こうすることで導管の詰まりが解消され、お花に水が届きやすくなり、シャキッと感が長続きします。短くなったら小さなグラスに浮かべるのも可愛いですよ。
季節ごとのケアと復活法
夏場(20℃以上):
バクテリアが爆発的に繁殖しやすいので、水替えは毎日行いましょう。その際、花瓶の中を洗剤で洗うことも忘れずに。水に台所用漂白剤(キッチンハイターなど)を1滴垂らすと、強力な殺菌効果で腐敗を防げます。これはプロも使う裏技です。
冬場(10℃以下):
気温が低いとバクテリアが増えないので、驚くほど長持ちします。2週間〜3週間、場合によっては1ヶ月近くきれいに咲いていることも珍しくありません。ただし、エアコンの温風が直撃する場所は、乾燥で花びらが萎れてしまうので避けてくださいね。
首が垂れてしまったら:
もし首が垂れてしまっても、まだ諦めないで!新聞紙で花と茎を真っ直ぐに巻いて固定し、深めの水に数時間つけておくと、水圧で水が上がり、シャキッと復活することがあります。
ガーベラが何月か知りたい方へのまとめ
ここまで、ガーベラの「時間」にまつわるお話をたっぷりとご紹介してきました。ガーベラは「春と秋」に一番の輝きを見せるお花ですが、品種改良や生産者さんの努力、そして私たち自身のちょっとしたケアの工夫次第で、一年中私たちの目と心をたのしませてくれます。
お庭で土に触れながら季節の移ろいを感じるのも良し、お気に入りの花瓶に一輪飾って部屋を明るくするのも良し。この記事が、あなたがガーベラという素敵なお花と、より深く、より長く付き合っていくためのヒントになれば、My Garden 編集部としてこれ以上の喜びはありません。
ぜひ、次の休日はお花屋さんに立ち寄って、あなただけの「一番星」のようなガーベラを見つけてみてくださいね。
この記事の要点まとめ
- 開花時期の本来のピークは春(4〜6月)と秋(9〜11月)の年2回
- 真夏(高温多湿)と真冬(低温)は開花が休止または緩やかになる
- 苗の植え付けは気温が穏やかな3〜5月か9〜10月がベスト
- 株元の成長点を土に埋めない「浅植え」が枯らさない最大のコツ
- 肥料は成長期にはたっぷり与え、真夏と真冬は完全にストップする
- 冬越しは、鉢花なら室内へ、ガーデン品種ならマルチングをして屋外で
- 切り花市場では温室栽培により一年中流通している
- 4月18日は「よい花」の語呂合わせで「ガーベラ記念日」
- 誕生花は主に11月(または10月)とされることが一般的
- 花言葉は「希望」「常に前進」で、贈り物として最適
- 赤やピンクは愛を伝えるシーン、オレンジや黄色は応援や友情の証に
- 切り花は花瓶の水深2〜3cmの「浅水」で生けて茎の腐敗を防ぐ
- 茎の切り口は斜めではなく「水平」に切ると長持ちする
- 気温が低い冬場はバクテリアが減るため、切り花が特に長持ちする
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