こんにちは、My Garden 編集部です。
春の陽気が心地よくなると、ガーデニングショップの店頭でもひときわ目を引くのが、空に向かって堂々と花穂を立ち上げるルピナスですよね。色鮮やかで、まるで塔のように咲くその姿に見惚れて、「今年こそは庭に植えてみたいな」と手に取る方も多いのではないでしょうか。
でも、ちょっと待ってください。購入する前にスマホで育て方や花言葉を検索して、ぎょっとした経験はありませんか? 検索候補に出てくるのは「怖い」「貪欲」「植えてはいけない」といった、美しい見た目とは裏腹な不穏な言葉ばかり。実は何を隠そう、私自身も初めてルピナスを育てようと思ったとき、このネガティブな情報の多さに驚き、レジに持っていくのを躊躇してしまった一人なんです。
「こんなに綺麗なのに、どうしてそんな怖い意味があるの?」「贈り物にしたら失礼になるのかな?」「庭に植えると何か悪いことが起きるの?」そんな疑問や不安が次々と湧いてきますよね。でも、安心してください。詳しく調べてみると、それらの怖い噂には、古代からの長い歴史的背景や、植物学的な誤解、そして文化による捉え方の違いが深く関係していることが分かりました。
この記事では、ルピナスがなぜ「怖い」と言われてしまうのか、その意外な真相を深掘りしつつ、誤解を解くための科学的な事実や、日本独自の縁起の良い解釈、さらには色別に込められた素敵なメッセージまで、私が徹底的にリサーチした結果を余すところなくシェアします。これを読めば、きっとルピナスのことがもっと好きになり、自信を持って育てたり、大切な人に贈ったりできるようになるはずです。
この記事のポイント
- 花言葉の貪欲は古代の農業的な誤解から生まれた冤罪である
- 17本のルピナスには絶望の愛という怖い意味が含まれる
- 種子や葉には毒性があるためペットがいる家庭は注意が必要
- 日本では昇り藤と呼ばれ運気上昇の縁起が良い花でもある
ルピナスの花言葉が怖いと言われる深い理由
パステルカラーの優美な花を咲かせるルピナスですが、インターネットで検索すると「怖い」というキーワードが真っ先に飛び込んでくるのはなぜでしょうか。そこには、単なる言葉のあやでは済まされない、歴史に刻まれた「誤解」や、生き物としての「防御本能」が関係しています。まずは、なぜルピナスがこれほどまでにネガティブなイメージを背負わされてしまったのか、その根本的な原因を一つずつ丁寧に紐解いていきましょう。
貪欲という花言葉の由来と悲しい誤解

ルピナスの花言葉の中で、最も私たちの心をざわつかせるのが「貪欲(Greed)」という言葉ではないでしょうか。可憐で華やかな花姿からは、これほどドロドロとした人間の欲望を表す言葉は想像もつきませんよね。仏教における三毒(貪・瞋・癡)の一つでもある「貪(むさぼ)り」が花言葉だなんて、贈り物にするにはあまりにもリスクが高いと感じてしまうのも無理はありません。
しかし、この「貪欲」というレッテルが貼られた背景には、古代ローマ時代にまで遡る、ある「農学的な誤解」が存在します。当時、ルピナスは砂地や岩場、栄養の少ない荒廃した土地でも旺盛に繁茂する姿が観察されていました。他の植物が枯れてしまうような過酷な環境でも、ルピナスだけは青々と葉を茂らせ、次々に花を咲かせるのです。
古代の人々は、この圧倒的な生命力を目の当たりにして、ある一つの仮説を立てました。「ルピナスがこんな不毛な荒地でも育つのは、土地に残されたわずかな栄養分さえも根こそぎ奪い取っているからに違いない。ルピナスは土の栄養を貪り食う略奪者だ」と。つまり、ルピナスが生えているから土地が痩せているのではなく、土地が痩せている原因はルピナスにあると考えたのです。これが「貪欲」という花言葉の起源であり、何千年も続く誤解の始まりでした。
現代科学が証明した「冤罪」
しかし、現代の植物学において、この古代の説は完全に誤りであることが証明されています。それどころか、真実は正反対でした。
植物学的な真実:略奪者ではなく供給者

実際には、ルピナスを含むマメ科植物の根には「根粒菌(こんりゅうきん)」というバクテリアが共生しています。この根粒菌は、空気中の窒素を取り込み、植物が利用できる栄養分として土壌に固定する能力を持っています。
つまり、ルピナスは土から栄養を一方的に奪う(略奪する)のではなく、自ら栄養を作り出し、むしろ痩せた土地を肥沃にする(供給する)役割を果たしていたのです。
実際、農業の現場では、ルピナスは土壌改良のための「緑肥(りょくひ)」として利用されることさえあります。荒れた土地を再生させるために植えられる植物が「貪欲」と呼ばれていたなんて、なんだか少し切ない「冤罪」だと思いませんか? 古代の人々には土の中で起きている化学反応を見る術がなかったため、表面的な現象だけで判断してしまったのでしょう。
そう考えると、「貪欲」という花言葉は、ネガティブな意味ではなく、「どんな逆境においても生き抜こうとするハングリー精神」や「不毛な土地さえも豊かに変える力強さ」への、古代人なりの畏敬の念が込められた表現なのかもしれません。私たちはこの誤解を解き、ルピナスの持つ本来の優しさと強さを再評価してあげるべき時期に来ているのかなと思います。むしろ、現代社会においては「貪欲に学ぶ」「貪欲に成長する」といったポジティブな意味で捉え直すこともできるはずです。
狼の意味を持つ名前が恐怖を与える原因

ルピナスの学名である「Lupinus(ルピナス)」の語源をご存知でしょうか? 実はこれ、ラテン語でオオカミを意味する「Lupus(ループス)」に由来しています。「花の名前に猛獣のオオカミ?」と驚かれるかもしれませんが、これもまた、ルピナスが「怖い」というイメージを持たれる大きな要因の一つです。
なぜ美しい花にオオカミの名が冠されたのかについては諸説ありますが、先ほどの「貪欲」の話と深くリンクしています。古代の人々は、ルピナスが土地の栄養分を吸い尽くす様子を、飢えたオオカミが獲物に襲いかかり、肉を貪り食う姿に重ね合わせたと言われています。荒野に群生して咲くルピナスの姿が、群れを成して獲物を追うオオカミの群れを連想させたのかもしれません。
古代社会における「狼」の恐怖
現代においてこそ、オオカミは「孤高」や「野生の美」として、あるいは生態系の守護者として肯定的に捉えられることもあります。しかし、農耕や牧畜を中心としていた古代社会において、家畜を襲うオオカミは生活を脅かす「恐怖の象徴」であり、忌み嫌われる存在でした。作物を枯らす(と信じられていた)ルピナスに、家畜を殺すオオカミの名前を付けるということは、当時の人々にとってルピナスがいかに厄介で恐ろしい存在として認識されていたかを物語っています。
その恐怖の象徴である「Lupus」という名前を与えられたことで、ルピナスには長い間、「攻撃的」「略奪」「破壊」といった暗い影がつきまとうことになりました。英語圏の辞書などでも、ルピナスの語源解説には「土壌を荒らすと考えられていたため」といった記述が見られることがあり、言葉のイメージというのは恐ろしいほど長く残るものだと痛感させられます。
群生する姿に見る家族愛
しかし、視点を変えてみれば、オオカミは非常に仲間思いで、家族の絆を大切にする生き物でもあります。ルピナスもまた、一本だけで寂しく咲くのではなく、たくさんの小花が集まって一つの大きな花穂を形成し、さらに株同士が寄り添うように群生します。この姿は、仲間と協力し合い、厳しい自然の中で生き抜くオオカミの家族愛に通じるものがあるかもしれません。
「名前がオオカミだから怖い」と短絡的に避けるのではなく、その名前に込められた「野生的な強さ」や「群れ(家族)を守る力」といった側面を感じ取ってみると、ルピナスへの見方が少し変わってくるのではないでしょうか。花言葉や名前の由来は、見る人の心の持ちようで、怖くもなれば、頼もしくもなるものですね。私はルピナスを見るたびに、古代の人が感じた恐怖よりも、その大地に根を張る力強さに勇気をもらっています。
毒性があるため庭に植えてはいけないのか

ここまでは言葉やイメージによる「精神的な怖さ」についてお話ししてきましたが、ここからは少し真剣なトーンで、現実的な「物理的な怖さ」、つまり毒性についてお話ししなければなりません。小さなお子様やペットがいるご家庭にとっては、ここが最も重要なポイントになるかと思います。
「綺麗な花には毒がある」という言葉通り、ルピナスは美しい花を咲かせますが、植物全体、特に種子(豆)や莢(さや)、若い葉には毒性成分が含まれています。これはマメ科植物によく見られる特徴の一つでもありますが、ルピナスの場合は「キノリチジンアルカロイド」(ルピニンやアナジリン、スパルテインなど)という成分が主に関与しています。
中毒症状と具体的なリスク
この毒性成分は神経系に作用するため、誤って摂取してしまうと、人間でもペットでも中毒症状を引き起こす可能性があります。これを専門用語で「ルピナス中毒(Lupinosis)」と呼ぶこともあります。厚生労働省や各国の保健機関でも、有毒植物としての注意喚起がなされることがある植物の一つです。
| 対象 | 主な症状 | リスクの詳細 |
|---|---|---|
| 人間(子供) | 吐き気、嘔吐、腹痛、めまい、流涎(よだれ) | 種子が枝豆やエンドウ豆に似ているため、おままごと遊びなどで誤食する事故に注意が必要です。 |
| 犬・猫 | 嘔吐、下痢、運動失調(ふらつき)、呼吸困難、肝不全 | 散歩中や庭遊び中に葉や豆を食べてしまうと危険です。特に猫は肝臓での解毒能力が低いため、注意が必要です。 |
| 家畜(牛など) | 神経症状、奇形児の出産(クルックド・カーフ病) | 牧草地に混入した場合、妊娠中の家畜が食べると胎児に影響が出ることが知られています。 |
安全に楽しむための対策
ペットや小さなお子様がいるご家庭でルピナスを育てる場合は、以下の対策を強くおすすめします。
- 物理的な遮断: フェンスや柵を設置し、物理的に近づけないようにする。
- 鉢植えでの管理: 地植えにせず、手の届かない高さの棚やハンギングバスケットで管理する。
- 花後の処理: 花が終わった後、種(豆)ができる前に花茎を切り取ることで、最も毒性の強い種子の誤食を防ぐことができます。
食用ルピナスとの混同に注意
また、海外の食料品店や輸入食品店などで「ルピニビーンズ(Lupini Beans)」という食用ルピナスの種子が売られているのを見かけたことがあるかもしれません。これは、古代から地中海地域などで食べられてきた伝統的な食材ですが、品種改良によって毒性を極限まで低くした「スイート・ルピナス」と呼ばれる品種か、数日間水にさらして塩漬けにするなど、徹底的な毒抜き処理を施したものです。
私たちが園芸店で購入する観賞用のルピナス(ラッセルルピナスなど)は「ビター・ルピナス」と呼ばれる毒性が強い品種ですので、絶対に食用にはしないでください。「豆ができているから食べてみようかな?」なんていう好奇心は、この植物に関しては封印してくださいね。自己判断での摂取は非常に危険です。(出典:厚生労働省『自然毒のリスクプロファイル』)
17本のルピナスを贈ると絶望の愛になる

花束を贈る際、バラの本数に意味があることは有名ですが、実はルピナスにも「贈ってはいけない本数」が存在するという噂を耳にしたことはありますか? これを知らずにプレゼントしてしまうと、相手にとんでもない誤解を与えてしまうかもしれません。
その危険な数字、それが「17本」です。一部の花言葉辞典や西洋の言い伝えによると、17本のルピナスの花束は「絶望の愛(Despair Love)」や「救いのない愛」を象徴すると言われています。
数字と色の最悪の組み合わせ
なぜ「17」という数字が不吉とされるのか、その理由は定かではありませんが、イタリアなど一部の地域では「17」という数字自体が不吉(ローマ数字のXVIIのアナグラムがVIXI=「私は生きた(=今はもう死んでいる)」となるため)とされる文化背景が影響している可能性があります。もしあなたが、大好きなパートナーへのプロポーズや、大切な記念日に「愛を込めて」ルピナスの花束を贈ったとします。たまたまその本数が17本だったとしたら…。相手がもし花言葉や占いに詳しい人だったら、「えっ、私たちの関係って絶望的なの?」「もう終わりってこと?」と、あなたの意図とは真逆のメッセージを受け取ってしまう可能性があるのです。
さらに恐ろしいのが、色との組み合わせです。後ほど詳しく解説しますが、ローズ色(赤紫系)のルピナスの花言葉は「珍奇」です。もし「ローズ色のルピナスを17本」束ねて贈ってしまったら、「あなたは変わった人だ(珍奇)」+「あなたとの愛に絶望している(絶望の愛)」という、もはや呪いに近いようなネガティブなメッセージが完成してしまいます。これでは、どんなに美しい花束でも、関係にヒビが入ってしまうかもしれません。
その他の注意すべき本数と回避策
17本以外にも、注意が必要とされる本数がいくつか存在します。
- 15本:「ごめんなさい」(謝罪の意味が含まれる場合があるため、お祝いには不向き)
- 16本:「不安な愛」(関係の不安定さや、変わりやすい心を示唆する)
もちろん、これらはあくまでジンクスや一部の説に過ぎませんし、本数よりも「花そのものの美しさ」や「贈る気持ち」が大切であることは言うまでもありません。しかし、贈り物というのは相手への配慮の塊です。もし相手が花言葉を気にするタイプの方であれば、無用なトラブルを避けるためにも、17本などの不吉とされる本数は避け、キリの良い本数や、縁起の良い数字を選ぶのが大人のマナーかなと思います。
例えば、「ラッキーセブンの7本」や、日本で末広がりとして好まれる「8本」、あるいは「永遠(トワ)」に通じる「10本(十本)」などがおすすめです。どうしても17本になってしまう場合(例えば17周年記念など)は、「イタリアでは不吉らしいけど、僕にとっては最高の数字だよ」と一言添えるか、白いルピナス(幸福)を混ぜて意味を中和するなど、誤解を防ぐ工夫をすると良いでしょう。
仏壇に供える花としての縁起とマナー

ルピナスの花姿は、日本の伝統的な花である「藤(フジ)」に非常によく似ています。そのため、「お仏壇やお墓に供えてもいいのかな?」と迷われる方も多いようです。これに関しては、地域や宗派、そして個人の考え方によって大きく意見が分かれるところですので、慎重な判断が求められます。
ポジティブな解釈:成仏への願い
肯定的な意見としては、ルピナスが空に向かって真っ直ぐに伸びていく姿を「故人の魂が天国へ昇っていく様子」に重ね合わせる考え方があります。後述する「昇り藤」という縁起の良い別名も相まって、故人の冥福を祈る花としてふさわしいと考える人も少なくありません。特に、白や紫などの落ち着いた色合いのルピナスは、仏花としても違和感なく馴染みますし、その凛とした立ち姿は厳かな場に相応しい品格を持っています。
ネガティブな解釈とマナー上の注意点
一方で、避けるべきだとされる理由もいくつか存在します。
- 毒性への懸念: 仏教の一部の教えや地域の慣習では、「毒のある花」や「トゲのある花」を仏様に供えることを避ける場合があります。ルピナスにはトゲはありませんが、前述の通り毒性があることは事実ですので、これを気にする年配の方もいらっしゃいます。
- 花が散りやすい: ルピナスは下の花から順に咲き上がっていきますが、咲き終わった花がポロポロと落ちることがあります。仏壇周りが汚れるのを嫌う場合や、「散る=首が落ちる」といった古い縁起を担ぐ場合は敬遠されることがあります。
- 色の派手さ: 品種によっては非常に鮮やかな色(ショッキングピンクや黄色など)をしているため、四十九日までの忌中など、白を基調とした静かな色合いが好まれる時期には不向きな場合があります。
結論:贈る相手との関係性を重視しましょう
ご自身の家の仏壇に飾る分には、故人が生前好きだった花であれば何をお供えしても問題ないというのが現代の一般的な考え方です。
しかし、知人宅への「お供え」として持参する場合は、相手の宗派や考え方が分からない限り、ルピナスは避けたほうが無難かもしれません。もし贈るなら、「故人様が明るい色が好きだったと聞いたので」と一言添えるか、他の定番の供花(菊やユリなど)と組み合わせてアレンジメントにするなどの心遣いがあると素敵ですね。
ルピナスの花言葉は怖いだけではない魅力

ここまで、ルピナスにまつわる「怖い」側面や注意点ばかりをクローズアップしてきましたが、どうか嫌いにならないでください。ルピナスには、それらのネガティブな要素を補って余りあるほど、希望に満ちた素敵な花言葉や、日本独自の縁起の良い解釈がたくさん存在します。
ここからは、ルピナスの名誉挽回タイムです! 色ごとに込められた愛あふれるメッセージや、運気を上げるとされる理由を知れば、きっとあなたもルピナスを誰かに贈りたくなるはずです。怖い話はあくまで「過去の誤解」や「注意点」として頭の片隅に置きつつ、今のルピナスが持つ素晴らしい魅力を存分に味わっていきましょう。
色別に見る白や赤のポジティブな花言葉
ルピナスの大きな魅力の一つは、その豊富なカラーバリエーションです。色によって全く異なる表情を見せるだけでなく、それぞれに独自のメッセージが込められています。まずは、代表的な白と赤について見ていきましょう。
白:純粋な幸福とクリエイティビティ

清楚で洗練された印象を与える白色のルピナス。その花言葉は「いつも幸せ」や「想像力」です。
「いつも幸せ」という言葉は、見ているだけで心が洗われるような純白の美しさに由来すると言われています。何色にも染まっていない白は、これからの未来を描くキャンバスのようなもの。結婚式のブーケや、出産祝い、新築祝いなど、新しい生活のスタートを祝う場面にはこれ以上ないほどぴったりのメッセージですよね。「あなたのこれからの人生が、いつも幸せでありますように」という願いを込めて贈れば、きっと相手の心に深く届くはずです。
また、「想像力」という花言葉には、少し変わった古代の言い伝えが関係しています。かつてヨーロッパでは、ルピナスを食べると頭が冴え、想像力が豊かになると信じられていたそうです(※繰り返しになりますが、現代の観賞用ルピナスは食べてはいけません!)。この伝承から、クリエイティブな仕事をしている友人や、芸術家、あるいは新しいビジネスプランを練っている起業家の方へ、「あなたの未来を自由に描いてね」「素晴らしいアイディアが浮かびますように」という応援の想いを込めて贈ってみてはいかがでしょうか。
赤:燃え上がるエネルギーと勇気
見る人をハッとさせるような鮮烈な赤色のルピナス。この色には「情熱」や「多くの仲間」という言葉が込められています。
赤は古くから生命力やエネルギー、そして愛の象徴です。燃えるような赤いルピナスは、何かに挑戦しようとしている人の背中を押し、勇気を与えてくれる力強さを持っています。「情熱」という言葉通り、愛の告白やプロポーズの場面で、バラの代わりに少し個性を出して贈ってみるのも素敵かもしれません。バラのトゲが気になるという方にも、ルピナスは優しい選択肢となるでしょう。
黄色や紫には多くの仲間や高貴な意味が
続いて、庭を明るく彩る黄色と、大人っぽい紫色のルピナスについてです。これらの色には、人間関係を豊かにする素敵な意味が隠されています。
黄色:絆を深める友情の色
ビタミンカラーで見ているだけで元気が湧いてくる黄色のルピナス。花言葉は「多くの仲間」です。
ルピナスの花穂をよく見てみると、小さな蝶のような形をした花がびっしりと集まって咲いていますよね。この様子が、まるで仲の良い友達同士が肩を組んで集まっているように見えることから、この花言葉が生まれました。黄色という色自体も、コミュニケーションを活発にする色と言われています。
職場のチームプロジェクトが成功したときのお祝いや、部活の引退記念、友人の誕生日プレゼントなどに最適です。「これからもずっと仲良しでいようね」「最高のチームだね」というメッセージを、言葉にしなくても伝えてくれるはずです。また、少し疎遠になってしまった友人へ、「またみんなで集まろう」というきっかけ作りに贈るのも良いかもしれませんね。
紫:精神性の高さと大人の品格
深みのある紫色のルピナスは、どこかミステリアスで高貴な雰囲気を漂わせています。花言葉は「寛大な精神」や「高貴」です。
紫色は古来より、位の高い人しか身につけられない高貴な色とされてきました。また、スピリチュアルな精神性を表す色でもあります。このことから、紫のルピナスには、広い心ですべてを受け入れるような包容力を感じさせます。
目上の方への感謝の印として贈るのはもちろん、もしパートナーや友人と喧嘩をしてしまったときに、「私の至らなさを許してください」という謝罪の気持ちや、「あなたの広い心に感謝しています」という仲直りのメッセージとして贈るのも、粋な計らいかなと思います。言葉で謝るのは恥ずかしくても、紫のルピナスがあなたの代わりに「ごめんね」と「ありがとう」を伝えてくれるかもしれません。
ピンクや青は母性愛や思い出を象徴する
優しさと癒やしを求めるなら、ピンクや青のルピナスがおすすめです。これらは家族愛や過去の大切な記憶に寄り添う、温かいメッセージを持っています。
ピンク:甘く懐かしい記憶の扉
ふんわりとした柔らかい印象のピンクのルピナス。花言葉は「思い出」です。
ピンク色は、幼い頃の記憶や、初恋の甘酸っぱさ、春の陽だまりのような温かい記憶を喚起させる色です。久しぶりに会う旧友への手土産や、定年退職される方へ「楽しい思い出をありがとうございました」という感謝を込めて贈るのにぴったりです。また、アルバムを見ながら昔話に花を咲かせるような、穏やかなティータイムのテーブルフラワーとしても最高です。
青:マドンナブルーの慈愛
そして、ルピナスの中でも特に人気が高いのが青色(ブルー)です。花言葉は「母性愛」や「安らぎ」です。
キリスト教の聖画において、聖母マリアが纏っている衣の色は「マドンナブルー」と呼ばれます。青いルピナスが大地を包み込むように咲く姿は、まさに聖母のような深い慈愛と安らぎを感じさせます。空の色であり、海の色でもある青は、心を落ち着かせ、永遠の愛を感じさせる色でもあります。
母の日のプレゼントといえば赤のカーネーションが定番ですが、最近では「母性愛」という花言葉を持つ青いルピナスを贈るのも、おしゃれで通な選び方として注目されています。「いつも見守ってくれてありがとう」という感謝の気持ちを、青い花に託してみてはいかがでしょうか。カーネーションとは一味違う、洗練された母の日の贈り物になること間違いなしです。
昇り藤の別名には運気上昇の力がある

さて、ここまでは西洋的な花言葉を中心にお話ししてきましたが、日本におけるルピナスの評価についても触れておきましょう。日本では、ルピナスのことを和名で「昇り藤(ノボリフジ)」と呼びます。
藤(フジ)の花は、日本古来より高貴で美しい花として愛され、藤原氏の家紋にも使われるなど権威の象徴でした。しかし、藤の花は棚から「下へ下へと」垂れ下がって咲きますよね。それに対して、ルピナスは地面から「天へ天へと」力強く立ち上がって咲きます。
逆転の発想が生んだ吉兆
この「下がる」藤に対して「昇る」藤という対比が、日本人特有の縁起担ぎの精神に火をつけました。「天に向かって昇っていく姿は、運気が上昇するサインだ」「立身出世を象徴している」と捉えられ、ルピナスは非常に縁起の良い花(吉兆)として歓迎されたのです。
実際に、家紋の中には「下がり藤」だけでなく、藤の花が上を向いている「上がり藤」というデザインも存在します。これは、一族の繁栄や上昇志向を願ったものだと言われています。風水的にも、上に向かって伸びる植物は「陽」の気を持ち、成長や発展を促すとされています。
このことから、受験生への合格祈願や、昇進・栄転のお祝い、起業する方へのエールとして、「昇り藤」のエピソードを添えてルピナスを贈ることは、日本の文化的文脈においては最高にポジティブな応援になります。「あなたの運気がこれからどんどん上がっていきますように」という願いを込めて、庭の目立つ場所に植えるのも良いでしょう。
珍奇なローズ色は相手を選んで贈るべき
最後に、少し個性的で扱いが難しい色についてもお話ししておきます。それは、赤紫や濃いピンクのような色合いを持つローズ色のルピナスです。この色の花言葉は「珍奇」です。
「珍奇」という言葉、皆さんはどう受け取りますか? 一般的な辞書では「珍しくて変わっていること」と定義されていますが、文脈によっては「奇妙だ」「変人だ」というニュアンスを含んでしまうため、受け取り手によっては「私のこと、変わってるって言いたいの?」と不快に感じてしまうリスクがあります。これが、「ルピナスの花言葉は怖い」と言われる小さな要因の一つにもなっています。
しかし、見方を変えれば「他の誰とも違う」「唯一無二の個性」という最大の賛辞にもなり得ます。平凡であることを嫌い、独自の道を突き進むアーティストやクリエイター、あるいは「普通」という枠に収まらない個性的な友人にとって、「珍奇(ユニーク)」であることは誇りであり、褒め言葉です。
誤解を生まない贈り方のコツ
ローズ色のルピナスを贈る場合は、花言葉だけに頼らず、必ずご自身の言葉を添えることをおすすめします。
「あなたの独自のセンスをいつも尊敬しています」「世界に一人だけのあなたへ」といったメッセージカードを添えれば、「珍奇」という言葉が良い意味でのスパイスとなり、より深い絆を築くきっかけになるでしょう。相手を選びますが、ハマれば最強の色とも言えますね。要は、使いようです!
ルピナスの花言葉は怖い誤解を超えて輝く
ここまで見てきたように、ルピナスにまつわる「怖い」というイメージの多くは、数千年前の科学的知識の不足による誤解や、言葉の持つ表面的なイメージ、そして文化的な文脈の違いによるものでした。
「貪欲」と呼ばれたその性質は、実は痩せた土地を再生し、仲間(他の植物)が生きていける環境を作るための「献身的な生命力」でした。「オオカミ」と恐れられた名前は、群れを守る「強さ」の証でした。そして「毒」は、その美しい身を守るための自然の知恵でした。
もちろん、毒性や特定の本数への配慮は必要ですが、それらは正しい知識さえあれば十分にコントロールできるものです。むしろ、そうした「影」の部分を知った上で、それでも天に向かって真っ直ぐに咲き誇るルピナスの「光」の部分を見ると、より一層その美しさが際立って見えませんか?
ルピナスは、ただ美しいだけの花ではありません。誤解を恐れず、逆境に立ち向かい、自分らしく空を目指す勇気を教えてくれる花です。この記事を読んでくださったあなたが、怖い噂に惑わされることなく、ルピナスの持つ本当の魅力に触れ、自信を持って育てたり、大切な人に贈ったりできるようになれば、これほど嬉しいことはありません。今年の春は、ぜひあなたの庭や部屋に、この力強くも優しい「昇り藤」を迎えてみてはいかがでしょうか。
この記事の要点まとめ
- ルピナスの花言葉が怖いと言われる最大の理由は貪欲という意味にある
- 貪欲という言葉は土の栄養を奪うという古代の誤解から生まれた
- 実際はマメ科特有の性質で土壌を肥沃にする有益な植物である
- 学名の由来がラテン語のオオカミであることも恐怖の要因
- 種子や葉に有毒成分を含むためペットの誤食には十分注意する
- 17本のルピナスは絶望の愛を意味するため贈り物には避ける
- 15本はごめんなさいや16本は不安な愛という意味もある
- 和名の昇り藤は運気上昇や立身出世を象徴する縁起の良い名前
- 白はいつも幸せや黄色は多くの仲間など色はポジティブな意味が多い
- 青は母性愛を象徴し母の日の贈り物としても適している
- 赤は情熱やローズ色は珍奇など相手によって使い分ける必要がある
- 仏花として使う際は地域の風習や毒性への配慮を確認する
- 怖いイメージの裏には強靭な生命力への畏敬の念が隠されている
- 正しい知識を持てばルピナスは希望や幸福を伝える花になる
- 最終的には贈る相手への配慮とメッセージの伝え方が重要である
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