スイートピーの花言葉は怖い？毒性や別離の意味と真実を徹底解説

こんにちは、My Garden 編集部です。

春の陽気が待ち遠しくなると、お花屋さんで見かけるようになるフリルのような可愛いお花、スイートピー。その甘い香りと蝶々が舞うような姿に惹かれて、「大切な人に贈りたいな」「部屋に飾りたいな」と手に取る方も多いのではないでしょうか。でも、ふとスマホで検索してみると、「スイートピー 花言葉 怖い」なんていうドキッとする言葉が予測変換に出てきて、不安になったことはありませんか？

「えっ、プレゼントしたら失礼になっちゃう？」「もしかして、家に飾ると良くないことが起きるの？」そんな心配を抱えて、せっかくの美しいお花を諦めてしまうのは本当に勿体ないことです。実は、その「怖さ」の正体を探っていくと、人生の節目にふさわしい深い意味や、ガーデニング好きなら知っておくべき植物としての特性が見えてくるんです。この記事では、スイートピーにまつわる「怖い」という噂の真相、色ごとに異なる素敵なメッセージ、そして愛犬や愛猫と暮らす方が絶対に知っておくべき安全管理のポイントについて、私自身の経験も交えながら、どこよりも詳しく、そして分かりやすくお話ししていきます。読み終わる頃には、きっとスイートピーがもっと好きになっているはずですよ。

この記事のポイント

• スイートピーの怖さは門出と表裏一体である別離の意味にある
• 色別の花言葉を知ればシーンに合わせて誤解なく贈ることができる
• 種子に含まれる毒性は特にペットにとって注意が必要だとわかる
• ネガティブな要素を避けてポジティブに活用する方法を学べる

スイートピーの花言葉が怖いとされる理由と真実

スイートピーといえば、昭和の名曲「赤いスイートピー」のイメージもあって、可憐でピュアな春のアイコンという印象が強いですよね。私も春になると必ず部屋に飾る大好きなお花です。それなのに、なぜ「怖い」なんて言われてしまうのでしょうか。その理由を紐解いていくと、単なる言葉の遊びではない、この花の形や歴史的背景に基づいたドラマチックなストーリーが隠されていました。ここでは、誤解されがちな花言葉の真の意味と、色とりどりのスイートピーが持つそれぞれのメッセージについて、じっくりと深掘りしていきましょう。

スイートピーの花言葉の意味と由来

スイートピー全般に共通する花言葉には、「優しい思い出」や「門出」「至福の喜び」といった心温まる言葉がたくさん並んでいます。しかし、その中にぽつんと混ざっているのが、「別離」や「別れの言葉（Goodbye）」という、少しドキッとしてしまうフレーズです。これが、検索画面で「怖い」という言葉とセットで表示されてしまう最大の要因なんですね。

なぜ「別離」という言葉が生まれたのか

「えっ、別れの言葉？ まるで縁起でもない…」と思ってしまうかもしれませんが、ちょっと待ってください。この花言葉が生まれた背景を知ると、その印象はガラリと変わります。スイートピーの英名は「Sweet Pea（甘い豆）」。その名の通り、甘い香りを放つマメ科の植物ですが、一番の特徴はそのユニークな花の形にあります。

ひらひらと波打つ花びらを、じっと見つめてみてください。何かに似ていると思いませんか？ そう、この姿は、「今まさに飛び立とうとしている蝶」に見立てられているんです。ヨーロッパでは古くから、スイートピーの花姿を「飛翔する蝶」になぞらえ、そこから「飛躍」や「ここではないどこかへ飛び立つこと」を連想しました。これが転じて、「今の場所を離れる＝別離」「新しい場所へ向かう＝門出」という花言葉が生まれたと言われています。

「怖い」ではなく「希望」の象徴

つまり、スイートピーにおける「別離」は、人間関係の破綻や死別といったネガティブで暗い別れを意味するものではありません。蛹（さなぎ）から蝶へと姿を変え、広い空へと羽ばたいていくような、「成長のための別れ」や「希望に満ちた旅立ち」を象徴しているのです。地を這う幼虫が美しい蝶になって空へ舞い上がるように、私たちも一つの場所にとどまらず、新しい世界へ羽ばたく時が来ます。スイートピーは、そんな人生の転機にそっと寄り添い、「過去を振り返らずに進みなさい」と背中を押してくれる存在なのです。

そう考えると、「怖い」どころか、とても頼もしい花言葉に思えてきませんか？ 私自身、転職で悩んでいた時期に、友人が「新しい場所でもきっと大丈夫」と言ってスイートピーを贈ってくれたことがありました。その時、この花の持つ「飛び立つ力」にどれほど勇気づけられたかわかりません。言葉の表面的な意味にとらわれず、その奥にあるストーリーを知ることで、スイートピーは「怖い花」から「勇気の花」へと変わるのです。

別れと門出を意味する花言葉の違い

「別離」と「門出」。辞書で引けば似たような意味かもしれませんが、私たちが受け取る感情的なニュアンスには天と地ほどの差がありますよね。「怖い」と感じてしまう人の多くは、「別離」という言葉から、「恋人との別れ」「永遠の別れ」「悲しいさよなら」といった、喪失感の強いシーンを想像してしまうからではないでしょうか。

ネガティブな「別れ」とポジティブな「門出」

しかし、スイートピーが持つ「別離」は、あくまで「門出」と不可分のセットとして存在しています。古い殻を脱ぎ捨てて新しい自分になるためには、過去の環境や人間関係に区切りをつける必要があります。その「区切り」の部分に焦点を当てたのが「別離」であり、「新しいスタート」に焦点を当てたのが「門出」なのです。

例えば、こんな風に考えてみてください。卒業式の日、校門を出る瞬間は、先生や級友との「別れ」の瞬間でもありますが、同時に社会や新しい学校への「門出」の瞬間でもありますよね。この二つは切り離すことができません。スイートピーの花言葉は、まさにこの瞬間の感情を切り取ったものなのです。

3月のギフトとしての圧倒的な人気

実際に、日本のフラワーギフト市場において、スイートピーは3月の卒業式や送別会シーズンに最も需要が高まる花の一つです。これは、多くの人が無意識のうちにスイートピーの持つ「門出」のメッセージを感じ取っているからではないでしょうか。もし本当に「怖い」「不吉な」意味しか持たないのであれば、これほどまでにお祝いの席で選ばれることはないでしょう。

学校を卒業する時、慣れ親しんだ職場を離れる時、私たちは寂しさと同時に、未来への期待を胸に抱きます。スイートピーは、そんな「甘酸っぱい別れと希望」が入り混じる複雑な心境を、あの甘い香りと共に優しく包み込んでくれる花なのです。春の風に乗って運ばれてくるスイートピーの香りを嗅ぐと、私はいつも「ああ、また新しい季節が始まるんだな」と背筋が伸びるような気持ちになります。

赤いスイートピーの花言葉と注意点

「春色の汽車に乗って海へ連れて行って」という歌詞がつい口をついて出るほど、日本人にとって特別な存在である「赤いスイートピー」。この曲のおかげで、当時まだ珍しかった赤色の品種が一気に品種改良され、世に広まったという逸話もあるほどです。しかし、実は花言葉の観点から見ると、赤色は少し注意が必要なカラーでもあります。

情熱の色が持つ二面性

赤いスイートピーの花言葉は、全般的な意味合いを色濃く反映しており、「別離」「門出」そして「優しい思い出」です。赤という色は、情熱、エネルギー、愛といった強い感情を想起させる色ですが、同時に「警告」や「停止」を意味する色でもあります。色彩心理学的にも、赤は交感神経を刺激し、興奮作用をもたらす色とされています。

この強いインパクトを持つ赤色と「別離」という言葉が結びつくことで、受け取り手によっては「激しい別れ」や「決定的なさよなら」というドラマチックすぎるメッセージとして解釈してしまうリスクがゼロではありません。特に深紅のような濃い赤色は、美しい反面、どこか「血」や「痛み」を連想させる場合もあり、文脈なしに渡すと相手をドキリとさせてしまうかもしれません。

誤解を招かないためのシチュエーション

例えば、恋人との関係が少しギクシャクしている時に、真っ赤なスイートピーの花束を無言で渡してしまったらどうなるでしょうか。「えっ、これって別れたいってこと…？」「最後のプレゼントなの？」と勘違いされてしまう可能性も、悲しいですが否定できませんよね。これが「スイートピー 花言葉 怖い」と検索される一因になっているとも考えられます。

ですが、逆に言えば、これほどまでに「想いの強さ」を伝えられる色もありません。退職して第二の人生を歩む上司や、夢を追いかけて遠くへ行く友人に対して贈るならば、赤色の持つエネルギーは「力強いエール」に変わります。「あなたの情熱を新しい場所でも燃やしてください！」という熱いメッセージを込めることができるのです。

ピンクのスイートピーは恋愛の意味

もしあなたが、意中の相手へのプレゼントや、パートナーとのデートの記念にスイートピーを贈りたいと考えているなら、迷わずピンク色を選んでください。ピンクのスイートピーには、「繊細」「優美」「恋の愉しみ」という、これ以上ないほどロマンチックでポジティブな花言葉が込められています。

幸福感あふれる「恋の愉しみ」

ピンク色は、色彩心理学的にも「幸福感」「安らぎ」「恋愛」「女性らしさ」を象徴する色。見ているだけで脳内に幸せホルモン（セロトニンやドーパミン）が分泌されそうな、愛らしいカラーですよね。スイートピー特有のひらひらとしたフリルのような花びらがピンク色に染まると、まるで春の妖精がドレスを着て踊っているかのような、圧倒的な可愛らしさを放ちます。

ここには「別離」や「怖さ」といったネガティブな要素は微塵もありません。あるのは、これから始まる恋へのときめきや、大切な人と過ごす時間の楽しさだけです。「恋の愉しみ」という花言葉は、片思い中の相手にさりげなく好意を伝えるのにもぴったりですし、長く連れ添ったパートナーに「あなたといると毎日が楽しい」という感謝を伝えるのにも最適です。「愛している」と言うのは重すぎるけれど、「一緒にいて楽しい」というライトな好意を伝えたい時、ピンクのスイートピーは最高のメッセンジャーになってくれます。

品種のバリエーションと楽しみ方

また、ピンクのスイートピーは品種も非常に豊富です。淡い桜色のような「サクラ」や、少し濃いめの鮮やかなピンク、中心に向かって白くなるグラデーションが美しい「ダイアナ」など、選ぶ楽しみもあります。お花屋さんで「どのピンクにしようかな？」と悩む時間さえも、恋の愉しみの一部かもしれませんね。

春の柔らかな日差しの下、ピンクのスイートピーを部屋に飾れば、それだけで恋愛運がアップしそうな気がしてきませんか？ 風水では、ピンクの花を部屋の「桃花位（恋愛運を司る方位）」に飾ると良いご縁に恵まれるとも言われています。誰かへのプレゼントだけでなく、自分自身の恋愛のお守りとして、ドレッサーの横やベッドサイドに一輪挿しで飾るのも素敵だと思います。朝起きて最初に目に入るのがピンクのスイートピーなら、その日一日を優しい気持ちで過ごせそうですよね。

白のスイートピーが持つほのかな喜び

派手さはないけれど、凛とした美しさで心を洗ってくれるのが白のスイートピーです。その花言葉は「ほのかな喜び」。なんとも奥ゆかしく、日本人の感性に響く言葉だと思いませんか？ 欧米のような「Ecstasy（有頂天）」ではなく、「ほのかな（Delicate）」喜びという表現に、この花の持つ繊細な魅力が凝縮されています。

純粋無垢な「始まりの色」

真っ白な花びらは、何色にも染まっていない純粋無垢な状態を象徴しています。そこから、「純潔」や「あどけなさ」といった意味も派生しています。大声で「嬉しい！」と叫ぶような爆発的な喜びではなく、静かに心の奥底からじんわりと湧き上がってくるような、穏やかで確かな幸福感。それが「ほのかな喜び」の正体です。紅茶に角砂糖がゆっくり溶けていくような、そんな優しい幸せをイメージさせてくれます。

この花言葉は、日常のちょっとした幸せを分かち合いたい時や、派手な演出を好まない相手への贈り物として抜群の相性を発揮します。また、白は「始まりの色」でもあります。キャンバスが白くなければ絵が描けないように、新しい人生を描き始める時、白は最もふさわしい色なのです。

ウェディングやフォーマルな場面で

結婚式のウェディングブーケとして白いスイートピーが人気なのも納得ですよね。これから新しい家庭を築いていく二人の、「まだ何色にも染まっていない未来」と「静かな誓い」を表現するのに、これほどふさわしい花はありません。特に、春のガーデンウェディングなどでは、ナチュラルな雰囲気が会場の空気感にぴったりマッチします。

さらに、ビジネスシーンや目上の方への贈り物としても、白は失敗のない色です。色とりどりの花束の中に、白のスイートピーを少し混ぜるだけで、全体が上品にまとまり、清潔感と誠実さをプラスしてくれます。お見舞いの花としては「白＝不吉」とされることもありますが、スイートピーのような華やかな形の花であれば、他の色と組み合わせることで問題なく使えます。「あなたの幸せを静かに願っています」という、押し付けがましくない優しさを伝えたい時は、ぜひ白のスイートピーを手に取ってみてください。

紫のスイートピーと永遠の喜びの意味

大人っぽく、どこか神秘的な雰囲気を醸し出すのが紫色のスイートピーです。淡いラベンダー色から、深く濃いバイオレットまで様々な色合いがありますが、その花言葉は一貫して「永遠の喜び」です。ピンクや白とはまた違った、重厚で深いメッセージ性を持っています。

一過性ではない「永遠」の絆

「ほのかな喜び」から一歩進んで、「永遠」という言葉がついているのがポイントです。紫は古くから高貴な色とされ、精神性や永続性を象徴してきました。一過性の楽しみではなく、魂が満たされるような深い喜びや、終わることのない絆を願う気持ちが、この花言葉には込められているのでしょう。若い恋人同士の情熱的な愛というよりは、長い時間をかけて育んできた熟年夫婦の信頼関係や、家族の揺るぎない絆を感じさせます。

この重厚で素敵な意味を持つ紫のスイートピーは、結婚記念日（特に銀婚式や金婚式など、長く連れ添った夫婦のお祝い）のプレゼントとして最強の選択肢になります。「これからもずっと、あなたと喜びを分かち合いたい」「私たちの絆は永遠です」なんて、口に出して言うのは照れくさい言葉も、この花に託せばスマートに伝えられます。パートナーの枕元に、「永遠の喜び」というメッセージカードを添えて紫のスイートピーを置く…なんてサプライズ、素敵だと思いませんか？

敬老の日やインテリアとしての活用

また、敬老の日や、人生の先輩への長寿のお祝いとしても素晴らしい意味を持ちます。「いつまでもお元気で、喜びの多い人生を」という願いを込めることができます。落ち着いた色合いなので、男性へのプレゼントとしても違和感がありません。派手な花束を持って歩くのが恥ずかしいという男性でも、紫を基調としたシックなブーケなら受け取りやすいはずです。

インテリアとしても優秀で、シックなモノトーンの部屋や、和室にもよく馴染みます。紫のスイートピーを一輪、お気に入りの花瓶に飾るだけで、空間が一気に洗練された大人の雰囲気になるでしょう。「怖い」というイメージとは正反対の、深遠で温かい愛を感じさせてくれるのが、紫色のスイートピーなのです。私の家では、リラックスしたい寝室に、薄紫のスイートピーを飾ることが多いですね。見ているだけで心が落ち着き、安眠効果もあるような気がします。

黄色のスイートピーが表す判断力

最後にご紹介するのは、見ているだけで元気が湧いてくる黄色のスイートピーです。花言葉は「分別」や「判断力」。他の色が感情や記憶に訴えかける言葉を持つのに対し、黄色だけやけに理知的でクールな意味を持っていると思いませんか？ ここには、黄色という色が持つユニークな特性が隠されています。

注意喚起の色としての「黄色」

これには、色の持つ機能的な役割が深く関係しています。黄色は、信号機や工事現場の看板、踏切など、私たちの生活の中で「注意」を喚起したり、視認性を高めたりするためによく使われる色です。これは黄色が人間の目にとって最も認識しやすい色の一つであり、昼夜問わず目立つ「進出色」だからです。

闇の中でも光るように目立つ黄色は、物事をはっきりと見分け、正しい道を選ぶための「光」のような存在。そこから、「正しい判断をする」「物事の分別をつける」という意味が生まれたと考えられています。感情に流されず、冷静に状況を見極める知性。それが黄色のスイートピーの正体なのです。

受験生やビジネスマンへの最強のエール

一見、ロマンチックさに欠けるように感じるかもしれませんが、この花言葉は特定のシーンで絶大な効果を発揮します。例えば、これから重要な試験に臨む受験生。机の上に黄色のスイートピーを飾れば、集中力が高まり、正しい答えを導き出す「判断力」を授けてくれるかもしれません。「サクラサク」の前に、「スイートピーで判断力を研ぎ澄ます」というのはいかがでしょうか。

また、大きな商談やプロジェクトを控えているビジネスパーソン、あるいは人生の岐路に立って決断を迫られている友人。「冷静な判断力で、きっとうまくいくよ！」というエールを込めて贈るなら、これ以上の花はありません。「判断力」という言葉は、裏を返せば「迷いを断ち切る」ということでもあります。春、新しい環境で迷ったり悩んだりしている誰かの背中を、明るいビタミンカラーと知的な花言葉でポンと押してあげる。そんな粋な使い方ができるのが、黄色のスイートピーの隠れた魅力なのです。ビタミンカラーは見ているだけで元気がチャージされるので、仕事場のデスクに飾るのもおすすめですよ。

スイートピーの花言葉以外で怖い毒性の真実

さて、ここまでは「言葉」にまつわる怖さの解消をしてきましたが、ここからは少し視点を変えて、植物としての「物質的な怖さ」について真剣にお話ししなければなりません。それは、スイートピーが持つ「毒性」についてです。「きれいな花には毒がある」なんてことわざがありますが、スイートピーも例外ではありません。ガーデニングを楽しむ方、そして特に小さなお子様やペットと暮らしている方にとっては、花言葉よりも遥かに重要な、命に関わる情報です。

スイートピーの毒性と成分について

あまり知られていないことですが、スイートピーの種子やサヤ、そして茎には、「β-アミノプロピオニトリル（β-APN）」などを主成分とする「ラチリズム毒」という神経毒が含まれています。この名前を聞くだけでちょっと化学的で怖いですよね。一体どんな毒なのでしょうか。

歴史が語る「ラチリズム」の恐怖

この毒は、マメ科のレンリソウ属（Lathyrus）の植物に特有の成分です。歴史を紐解くと、かつて食糧難の時代（例えばスペイン内戦時やインドの飢饉時など）に、スイートピーの近縁種であるグラスピー（Lathyrus sativus）などを食用として大量に摂取した人々が、下半身麻痺などの深刻な中毒症状（ラチリズム）を起こしたという記録が残っています。これが「スイートピー＝怖い毒」というイメージの根底にあるのかもしれません。ラチリズムには、骨の変形を引き起こす「骨性ラチリズム」と、神経に作用して麻痺を起こす「神経ラチリズム」がありますが、β-APNは主に骨や結合組織に影響を与えると言われています。

観賞用なら過度な心配は無用

ただし、過度な心配は無用です。この毒性は、あくまで「大量に摂取し続けた場合」に顕著に現れるものであり、一粒食べたからといって直ちに命に関わるような猛毒（トリカブトのアコニチンなどのような急性毒）とは性質が異なります。また、現代の日本でスイートピーを主食にする人はいませんよね。観賞用として切り花を楽しんだり、庭で育てたり、香りを楽しんだりする分には、人体への影響は全くありません。皮膚に触れてかぶれるといったことも基本的にはないので、普通のお花と同じように扱って大丈夫です。あくまで「口に入れない」ことだけを守れば良いのです。

犬や猫のペットに対する危険性

人間にとっては「食べなければ大丈夫」で済みますが、もっと深刻に捉えなければならないのが、犬や猫などのペットに対する危険性です。彼らは人間よりも体が小さく、毒素を分解する代謝能力も異なるため、少量でも中毒症状を引き起こすリスクが高いのです。私たち人間にとっては「少量」でも、体重数キロの彼らにとっては「致死量」に近いダメージになることもあり得ます。

具体的な中毒症状と緊急性

もし犬や猫がスイートピーの種子、茎、花を誤って食べてしまうと、以下のような症状が現れる可能性があります。

家庭でできる具体的な対策

特に、好奇心旺盛な子猫や、何でも口に入れて確かめようとする子犬がいるご家庭では、細心の注意が必要です。「猫草だと思って葉っぱを齧ってしまった」「床に落ちていた豆をカリカリと食べてしまった」という事故は十分に起こり得ます。以下のような対策を徹底しましょう。

• 物理的に遮断する： 猫は高いところにも登れるので、花瓶を置くなら絶対に入れない部屋にするか、トイレや玄関などペットが行かない場所に限定します。天井から吊るすハンギングにするのも一つの手ですが、落下リスクを考えると完全隔離がベストです。
• 花柄摘みを徹底する： 庭で育てている場合、花が終わったらすぐに摘み取り、豆（種子）を作らせないことが最も安全です。種ができて弾け飛ぶと、拾い食いの原因になります。
• ゴミの処理： 枯れた花や剪定した茎をゴミ箱に捨てる際も、ペットが漁らないよう蓋付きのゴミ箱を使用しましょう。猫はゴミ箱を倒して遊ぶこともあるので要注意です。

もし誤食が疑われる場合は、「いつ」「何を（花、茎、種？）」「どのくらい」食べたかをメモして、すぐに獣医師さんに連絡してください。スイートピーの写真や現物を持っていくと診断がスムーズです。「たぶん大丈夫だろう」という自己判断が一番危険です。

スイートピーの誕生花とプレゼント

毒性の話で少し怖がらせてしまったかもしれませんが、正しく扱えばスイートピーは最高のギフトになります。リスクを知った上で、それを回避して楽しむのが大人のガーデニングスタイルです。最後に、プレゼントとして贈る際に役立つ知識をおさらいしておきましょう。

誕生花としてのスイートピー

スイートピーは、1月21日、3月20日、6月9日などの誕生花として設定されています。特に3月は卒業・送別シーズンであり、スイートピーの流通量がピークを迎える時期。3月生まれの方へのバースデープレゼントとしてはもちろん、早春の記念日を祝う花としても定番中の定番です。1月生まれの方には、春を先取りするギフトとして贈ると、寒い冬に温かい気持ちを届けられますよ。

花束を作る際のコーディネート術

花束を作る際のアドバイスとして、スイートピーは茎が細くて繊細なので、一本だけで飾るよりも、他の花と組み合わせてボリュームを出すのがおすすめです。特に相性が良いのが、同じ春の花であるカスミソウ、ガーベラ、チューリップです。

中でも「カスミソウ」との組み合わせは最強です。カスミソウの花言葉は「幸福」「感謝」。スイートピーの「門出」とカスミソウの「感謝」を組み合わせれば、「新しい門出を祝し、これまでの感謝を捧げます」という完璧なストーリーが出来上がります。赤のスイートピーを贈る際も、白いカスミソウがクッションとなり、きつい印象を和らげてくれます。また、黄色いスイートピーにオレンジのガーベラを合わせれば、ビタミンカラー全開の元気が出るブーケの完成です。

贈る相手のイメージや、伝えたいメッセージに合わせて色を選び、あなただけのオリジナルの組み合わせを楽しんでみてください。「あなたのことを考えて色を選びました」という一言は、どんな高価なプレゼントよりも相手の心に響くはずです。

スイートピーの花言葉が怖いという誤解の解消

ここまで読んでくださった皆さんなら、もう「スイートピー 花言葉 怖い」という検索ワードに惑わされることはないはずです。

「怖い」と言われる理由のほとんどは、言葉の一部を切り取った誤解や、知っていれば防げる毒性への不安によるものでした。スイートピーが持つ「別離」は、決して悲しい別れではなく、未来へ羽ばたくためのポジティブな儀式です。そして毒性は、植物が自分を守るための自然の知恵であり、私たちがルールを守って付き合えば脅威にはなりません。

蝶のように軽やかで、甘いキャンディのような香りで私たちを包み込んでくれるスイートピー。その花びらには、新しい春を迎える人への「頑張れ」という温かいエールが詰まっています。ぜひ、今年の春は怖がらずに、大切な人へ、そして新しい一歩を踏み出す自分自身へ、スイートピーを贈ってみてください。きっと、素敵な「門出」を彩ってくれるはずです。

この記事の要点まとめ

• スイートピーの怖さは花言葉の別離と物理的な毒性の二面性がある
• 別離の花言葉は蝶が飛び立つ姿に由来する門出の意味と表裏一体
• 3月の卒業シーズンに贈られるのは未来への出発を祝うため
• 赤色は別離や門出の意味が強いため贈る際はメッセージを添える
• ピンク色は恋の愉しみや繊細さを表し恋愛のシーンに最適
• 白色はほのかな喜びを意味しウェディングや目上の人へ向く
• 紫色は永遠の喜びを象徴し結婚記念日などの贈り物に良い
• 黄色は判断力や分別を意味し受験や仕事の応援に使える
• スイートピーの種子や茎にはラチリズム毒という神経毒が含まれる
• 観賞用として楽しむ分には安全だが誤食は絶対に避ける
• 人間よりも体が小さい犬や猫などのペットには特に危険性が高い
• ペットがいる環境では届かない場所に飾るなど厳重な管理が必要
• 誤食が疑われる場合は速やかに医師や獣医師に相談すべき
• プレゼントする際は色の意味を選びポジティブな意図を伝える
• 正しい知識を持てば怖がる必要はなく春を彩る素晴らしい花である