PR

スイートピーの種まき時期はいつ?地域別の最適解と栽培のコツ

スイートピー 種まき時期0 スイートピー
記事内に広告が含まれています。
PR

こんにちは、My Garden 編集部です。

春の陽気とともに、甘い香りを漂わせながらひらひらと優雅に咲くスイートピー。その愛らしい姿に惹かれて、「今年こそは自宅の庭やベランダで育ててみたい!」と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ種をまこうとすると、「いつまけばいいの?」「袋には秋まきって書いてあるけど、北海道でも大丈夫?」といった疑問が次々と湧いてきますよね。

実は、スイートピーの種まき時期は、お住まいの地域が「寒冷地」か「暖地」かによって、半年近くもズレることがあるんです。カレンダーの日付だけを頼りにすると、寒さで枯れてしまったり、逆に暑さでうまく育たなかったりと、残念な結果になってしまうことも。さらに、根の性質や種の皮の硬さなど、この植物ならではの生理的な特徴を知っておくことも成功への近道です。この記事では、地域ごとの最適なスケジュールから、発芽率を上げるプロの裏技、そして春に満開の花を咲かせるための詳細な管理方法まで、私の栽培経験も交えながら徹底的に解説していきます。

この記事のポイント

  • 地域ごとの気候特性に合わせた失敗しない種まきカレンダー
  • 根を傷めずに育てるための直まきとポットまきの使い分けテクニック
  • 硬くて水を吸わない種を発芽させるための吸水処理の具体的な手順
  • 春の開花数を劇的に増やすための冬越し管理と摘心のポイント
PR

地域別スイートピーの種まき時期の正解

スイートピー 種まき時期1 日本地図で解説するスイートピーの地域別種まきカレンダー(寒冷地は春まき、暖地は秋まき)

スイートピーを種から育てる場合、最も致命的であり、かつ最も多くの人が躓いてしまうポイントが「種まきのタイミング」です。この植物は、発芽から開花までのプロセスが気温や日長(日の長さ)に敏感に反応するため、ほんの数週間のズレが半年後の結果を大きく左右します。日本は狭いようでいて、北は亜寒帯気候から南は亜熱帯気候まで非常に多様な気候帯が存在します。そのため、園芸書や種袋の裏面に書かれている「一般地」の情報をそのまま鵜呑みにするのは危険です。ここでは、気候区分ごとの詳細な戦略と、なぜその時期がベストなのかという理由を、植物の生理生態に基づいて深掘りして解説します。

寒冷地では春まきを選ぶ理由

スイートピー 種まき時期2 寒冷地の3月〜4月、雪解けの土から発芽したばかりのスイートピーの苗

北海道全域、東北地方の北部(青森・秋田・岩手など)、そして長野県や岐阜県などの標高が高い中部山岳地帯にお住まいの方へ。結論から強く申し上げますと、寒冷地でのスイートピー栽培は「春まき」一択と考えていただいた方が無難であり、成功への近道です。具体的には、長く厳しい冬がようやく終わりを告げ、雪解け水で湿った土が顔を出し、フキノトウが顔を出すような3月中旬から4月中旬頃が、種まきのゴールデンタイムとなります。

なぜ寒冷地で「秋まき」は危険すぎるのか

インターネット上の検索結果やYouTubeの動画の多くは、人口の多い関東以西の基準で解説されていることが多く、「スイートピーは秋まき一年草です」「10月にまきましょう」と紹介されています。しかし、これを鵜呑みにして寒冷地で9月や10月に種をまいてしまうと、悲しい結果が待っています。その最大の理由は「土壌凍結(どじょうとうけつ)」という物理現象です。

スイートピーはマイナス数度程度であれば耐えられるある程度の耐寒性を持っていますが、それはあくまで地上部の「葉」や「茎」の話です。水分を多く含んだ柔らかい幼根(ようこん)は、土ごとガチガチに凍結してしまうと、細胞内の水分が膨張して細胞壁を破壊してしまいます。一度破壊された根の細胞は二度と元には戻りません。私が以前、岩手県のガーデニング仲間にアドバイスをした際も、秋まきをして風除室(玄関フード)で大切に管理してもらったことがありますが、夜間の気温がマイナス10℃近くまで下がる過酷な環境では、鉢の中の土が夜に凍り、昼に溶けるというサイクルを繰り返し、根がボロボロになって結局春までもたずに枯れてしまいました。このように、24時間暖房管理された温室がない限り、寒冷地での秋まき冬越しはプロでも難しい、極めて難易度の高い挑戦なのです。

寒冷地ならではの「春まき」の大きなメリット
「春まきだと開花が遅れて損した気分になる」と心配されるかもしれませんが、実は寒冷地には暖地にはない大きなアドバンテージがあります。それは「梅雨がなく、夏が冷涼で乾燥している」ということです。
本州の暖地では、5月〜6月の高温多湿で株が蒸れて弱り、うどんこ病が発生して開花期間が短くなりがちですが、寒冷地では6月〜7月の爽やかで冷涼な気候の中で開花期を迎えます。この時期のスイートピーは、昼夜の寒暖差によって花色が非常に鮮やかになり、花茎も太くしっかり育ちます。7月下旬頃まで長く楽しめるのは、寒冷地ガーデナーだけの特権とも言えますね。

暖地は秋まきで冬越しさせる

スイートピー 種まき時期3 暖地での秋まき栽培における冬越し中のスイートピー。ロゼット状に葉を広げ寒さに耐える健康な苗の姿

一方で、関東以西の平野部(東京、名古屋、大阪、福岡など)、東海、近畿、四国、九州などの暖地・温暖地にお住まいの方は、「秋まき」が最も合理的かつ成功率の高い作型になります。これは、スイートピーの故郷であるイタリア・シチリア島の気候サイクル(地中海性気候)を、日本の環境で再現する栽培方法です。

「秋発芽→冬育苗→春開花」の黄金サイクル

この地域での基本戦略は、秋の適度な気温で発芽させ、冬の寒さに当てながらじっくりと時間をかけて根を育て、春の気温上昇とともに一気に花を咲かせるというものです。これには植物ホルモンに関わる重要な理由があります。多くのスイートピー品種(特に春咲き系)は、一定期間の低温(5℃〜10℃前後)に遭遇することで、体内で花芽(花の赤ちゃん)を作る準備が整う「バーナリゼーション(春化処理)」という性質を持っています。

つまり、冬の寒さはスイートピーにとって避けるべき敵ではなく、美しい花をたくさん咲かせるための「必要なエネルギーチャージ期間」なのです。この時期、地上部(葉や茎)はロゼット状に低く広がり、あまり上に伸びませんが、土の中では春の爆発的な成長に備えて、太く長い根を深く深く張り巡らせています。この「根作り」の期間を数ヶ月間も十分に確保できるのが、秋まきの最大のメリットです。もし暖地で春まき(3月まき)をしてしまうと、根が十分に張る前に5月の夏日が来てしまい、水分吸収が追いつかずに株がバテてしまいます。結果、ひょろひょろとした茎に数輪の花がつくだけで終わってしまうことが多いため、暖地では秋まきを強くおすすめします。じっくりと冬を越した株は、春になると驚くほど太い茎を何本も立ち上げ、見ごたえのある姿を見せてくれますよ。

発芽適温と気温の重要な関係

種まきの具体的な日取りを決める際、多くの人がカレンダーの「何月何日」という日付や、「週末だから」という人間の都合で決めてしまいがちです。しかし、植物にとってカレンダーは関係ありません。もっと大切にしてほしい、唯一にして絶対の指標があります。それは「気温(地温)」です。スイートピーの種が最も元気に、そして健康に発芽する温度(発芽適温)は、15℃〜20℃という、意外なほど狭い範囲に限られています。

高温と低温、それぞれの致命的なリスク

植物の種は、温度によって生理反応が劇的に変化します。この15℃〜20℃という適温範囲を外れると、どのようなリスクがあるのか、生物学的な視点から具体的に見てみましょう。

温度による失敗のメカニズム

  • 25℃以上の高温時(早まきの失敗)
    種子は生き物であり、常に呼吸をしています。気温が高いと、種子の呼吸活性が異常に高まります。すると、硬い皮に包まれた種子の内部で酸素消費量が急増し、外部からの酸素供給が追いつかずに酸欠状態に陥ります。人間で言えば全力疾走をして息切れしている状態です。この状態が続くと、種子は窒息して細胞が壊死し、土の中でドロドロに腐敗してしまいます。また、運良く発芽できたとしても、高温下では茎ばかりがひょろひょろと伸びる「徒長(とちょう)」を起こし、病弱でもやしのような苗になってしまいます。
  • 10℃以下の低温時(遅まきの失敗)
    逆に気温が低すぎると、種子の中の酵素(こうそ)が働かず、発芽スイッチが入りません。発芽するまでに何週間もかかってしまうことになります。種が土という湿った環境の中に無防備な状態で長期間留まると、土壌中に潜むカビや細菌(特にフザリウム菌やリゾクトニア菌)の格好の餌食となり、発芽前に腐ったり、発芽直後に茎がくびれて枯れる「立枯病(たちがれびょう)」になったりするリスクが跳ね上がります。

このように、早すぎても遅すぎても大きなリスクがあります。最近の日本は10月でも夏日になることがあるため、天気予報をこまめにチェックすることが大切です。最高気温ではなく「平均気温」が安定して20℃を下回り、半袖では少し肌寒さを感じるようになった頃が、植物生理学的に見たベストなスタートラインなのです。ぜひ、ご自身の地域の過去の気温データを参照して、最適な時期を見極めてください。

(出典:気象庁『過去の気象データ検索』

10月から11月が最適な理由

暖地において、前述の「気温15℃〜20℃」という条件が整う具体的な時期は、ズバリ10月中旬から11月中旬です。「9月の連休に種まきをしてしまいたい」という方もいるかもしれませんが、近年の日本の9月はまだ残暑が厳しく、真夏並みに暑い日が多くあります。焦りは禁物です。

早まき(9月〜10月上旬)の弊害:年内過繁茂のリスク

もし、気温が高い9月中に無理をしてまいてしまうとどうなるでしょうか。発芽はするかもしれませんが、高い気温に刺激されて成長スピードが速くなりすぎ、冬が来る前に株が大きくなりすぎてしまいます。これを「年内過繁茂(ねんないかはんも)」と呼びます。
年内に草丈が30cmや50cmを超えてしまうと、茎や葉が柔らかく軟弱な状態で冬を迎えることになります。すると、1月〜2月の最も寒い時期に、冷たい北風に当たる表面積が増えてしまい、葉が凍傷を受けて白く枯れ込んだり、水分を含んだ茎が凍結して破裂したりします。また、秋に活発に活動するアブラムシの標的になりやすく、彼らが媒介するウイルス病(モザイク病)に感染するリスクも高まります。ウイルス病にかかると治療法はなく、春になっても縮れた葉が出るだけで花が咲かないという悲劇を招きます。

遅まき(12月以降)の弊害:霜枯れのリスク

逆に、「仕事が忙しくて12月になってしまった」という場合はどうでしょう。発芽自体は可能ですが、本格的な凍結や霜が降りる時期までに、地下の根を十分に張ることができません。
根張りが浅い状態で強い霜が降りると、土中の水分が凍ってできる「霜柱(しもばしら)」によって、苗が土ごと物理的に持ち上げられてしまいます。すると、まだ細くて弱い根がブチブチと切断されてしまい、朝になって霜柱が溶けたときに苗が地面に転がって枯れてしまいます。これを「霜枯れ」と呼びますが、一度根が切れると再生は困難です。

以上のことから、「寒くなる前に発芽させ、小さくがっちりした苗で冬を迎える」ために、10月中旬〜11月中旬という期間が導き出されるのです。この「小さく産んで、寒さに耐えさせる」という戦略を守るだけで、冬越しの生存率は格段に上がります。

品種による種まきのタイミング

一口に「スイートピー」と言っても、実は開花習性(花が咲く条件)によって大きく3つの系統に分類されます。これらは見た目ではほとんど区別がつきませんが、性質は全く異なります。種袋の裏やカタログをよく見ると記載されていますので、自分の育て方に合った品種を選ぶことが非常に大切です。

系統名 特徴・開花習性 適した栽培スタイル
春咲き系
(Spring Flowering)
最もポピュラーな系統です。「冬の低温に一定期間当たる(バーナリゼーション)」ことと、「春になって日が長くなる(長日条件)」ことの、両方の条件が揃って初めて花芽を作ります。花が大きく、フリルが豪華で、香りも最も豊かです。「スペンサー種」などが有名です。 家庭園芸の王道。
暖地での秋まき露地栽培に最も適しています。初心者の方は、迷ったらまずこの系統を選びましょう。
夏咲き系
(Summer Flowering)
比較的暑さに強く、強い長日条件(初夏の日照時間)を必要とします。気温が高くなってから咲く遅咲きタイプです。春咲き系が終わる頃から咲き始めます。 寒冷地や遅まき用。
北海道での春まき栽培や、暖地で少し遅い時期(初夏)まで花を楽しみたい場合に適しています。
冬咲き系
(Winter Flowering)
日照時間の影響をあまり受けず、温度(15℃以上など)さえあれば冬でも開花する性質(中性植物的)を持っています。その代わり、耐寒性は弱めです。 プロの営利栽培向け。
温室で冬に切り花を出荷するために改良された品種群です。一般家庭の露地栽培で秋にまくと、冬に寒さで枯れる可能性が高いです。

ホームセンターなどで「スイートピー」として売られている種や苗の9割以上は「春咲き系」ですが、稀に夏咲き系が混ざっていることもあります。また、通販などで珍しい品種を買う場合は特に注意が必要です。「せっかく秋にまいたのに、春になっても全然咲かない!(実は夏咲きだった)」とか、「冬に蕾がついたけど霜で全滅した(実は冬咲きだった)」という失敗を防ぐためにも、購入前に必ずパッケージの「開花時期」や「系統」を確認する癖をつけましょう。

スイートピーの種まき時期と栽培のコツ

最適な種まき時期が分かったところで、次はいよいよ実践編です。スイートピーはパンジーやビオラといった一般的な草花と違って、少し「癖(くせ)」のある植物です。特に「根の性質」と「種の皮の硬さ」については、知っているかどうかで発芽率やその後の生育に天と地ほどの差が出ます。ここでは、私が長年の栽培で試行錯誤して辿り着いた、失敗しないための具体的なテクニックを余すことなくお伝えします。

直まきとポットまきの使い分け

種まきの方法には、花壇や鉢に直接まく「直まき」と、小さなビニールポットで苗を作ってから植え替える「ポットまき(移植栽培)」の2種類がありますが、スイートピーにおいては「直まき」が圧倒的におすすめです。できることなら、全て直まきにしたいくらいです。

なぜ「直まき」がベストなのか?生理学的理由

スイートピー 種まき時期4 スイートピーの直根性を示す根の断面図解。移植を嫌う太く長い主根の特徴

スイートピーはマメ科特有の「直根性(ちょっこんせい)」という根の性質を持っています。これは、太いゴボウのような主根(しゅこん)を地中深くまで垂直に一気に伸ばす性質のことです。アサガオやひまわりなども同じ性質です。この主根は、植物体を強風から支えたり、地中深くの水分を吸い上げたりする重要な役割を持っていますが、細かい「側根(そっこん)」が少なく、一度切れたり傷ついたりすると再生しにくいという弱点があります。

移植の際にスコップでこの主根を傷めてしまうと、植物は「緊急事態」と判断し、地上部の成長をピタッと止めて根の修復に全力を注ぎます。ひどい場合はそのまま枯れてしまったり、成長が再開しても花が咲く時期が極端に遅れたりします。
直まきであれば、この「断根(だんこん)リスク」がゼロなので、根がストレスなく伸び伸びと深く張り、乾燥に強く、肥料吸収力の高い丈夫な株に育ちます。花壇なら20〜25cm間隔、65cmプランターなら3〜4株を目安に、1箇所に3粒ずつ種をまき、後で一番元気な1本を残してハサミで間引く方法がベストです。

やむを得ず「ポットまき」をする場合の鉄則

スイートピー 種まき時期5 根が深く伸びるスイートピーの育苗に適したロングポットとジフィーポット

とはいえ、「花壇にまだマリーゴールドやサルビアが咲いていて場所がない」「直まきだと鳥に種を掘り返されて食べられるのが心配」といった事情で、どうしてもポットで育苗したい場合もあるでしょう。その際は、以下のポイントを徹底して守ってください。

  • 根を回しすぎない(タイミング命)
    種まきから定植までの期間は極力短くします。本葉が2〜4枚出た頃がリミットです。ポットの底穴から白い根がチラッと見え始めたら、待ったなしで定植してください。「もう少し大きくなってから…」と思っていると、根がポットの中でとぐろを巻いてしまい、定植後の成長が悪くなります。
  • 根鉢を絶対に崩さない
    これが最重要です。ポットから苗を抜く際、パンジーの苗のように土を落としたり、根を広げたりしてはいけません。カッププリンをお皿に出すときのように、土の塊(根鉢)をそっと抜き、そのままの形でそっと植え穴に入れます。根に「植え替えられたこと」を気づかせないくらいの慎重さが求められます。
  • 深めの容器を使う
    根がすぐに底についてしまわないよう、縦に長い「ロングポット」や、そのまま土に植えられるピートモス製の「ジフィーポット」を使うと、根へのストレスを大幅に軽減できます。特にジフィーポットは、根をいじるリスクがないので初心者の方には特におすすめです。

硬実種子の吸水処理とやり方

スイートピーの種を袋から出して触ってみると、まるでBB弾のようにカチカチに硬いことに気づくと思います。これは「硬実種子(こうじつしゅし)」と呼ばれ、種皮が非常に緻密で、水や空気を通しにくい構造になっているためです。

なぜこんなに硬いのか?

これは植物の生存戦略です。もし種皮が柔らかくてすぐに水を吸ってしまったら、少しの雨で一斉に全員が発芽してしまいます。その後で日照りが続けば、全滅してしまうかもしれません。種皮を硬くすることで、時間をかけて土の中で皮が腐り、バラバラの時期に少しずつ発芽することで、種の保存を図っているのです。しかし、私たち人間が栽培する場合、「一斉に発芽してほしい」ので、この硬さが障害になります。

市販の種の中には、あらかじめ薬品処理や物理的な処理が施されている「処理済み種子」もありますが、そうでない場合や、自家採種(自分で採った種)を使う場合は、以下の手順で強制的に「発芽スイッチ」を入れてあげる必要があります。

失敗しない吸水処理のステップバイステップ

スイートピー 種まき時期6 硬実種子であるスイートピーの発芽率を上げる種皮処理。おはぐろを避けて傷をつける正しい位置

  1. 種皮に傷をつける(スカリフィケーション)
    爪切り、カッター、紙やすり、コンクリートブロックなどを使って、種の表面の黒っぽい皮を少しだけ削り、中の白い部分(胚乳)が「針の先」ほどわずかに見える状態にします。
    【重要】傷をつける場所に注意!
    種をよく見ると、「おはぐろ」や「へそ」と呼ばれる白っぽい丸い部分があります。ここには将来、根や芽になる重要な組織(胚)が詰まっています。ここを傷つけると発芽できなくなってしまいます。「おはぐろ」の反対側、または側面を削るのが最も安全です。
  2. 水に浸す(ソーキング)
    傷をつけた種を、コップに入れた水またはぬるま湯に浸します。時間は一晩(約12〜24時間)が目安です。水につけると、傷口から水が浸入し、種子が呼吸を始めます。
  3. 膨らみを確認する
    翌朝、種を見てみてください。十分に水を吸った種は、元の大きさの1.5倍〜2倍ほどにパンパンに膨らみ、表面にしわがなくなっているはずです。もし膨らんでいない種があれば、傷が浅かった可能性があるので、もう一度傷をつけて水に戻します。

注意:浸しすぎは厳禁!
「念のため」といって、2日も3日も水につけたままにするのは絶対にNGです。水の中では酸素が少ないため、活発になった種子が酸欠になり、窒息して腐敗してしまいます。水が白く濁ってきたら危険信号です。「膨らんだらすぐに土にまく」が鉄則です。

厳しい冬を越す冬越しの方法

無事に発芽し、可愛らしい本葉が出てきた頃には、季節は晩秋から初冬へと移り変わります。ここから春まで続く3〜4ヶ月間の長い冬の管理こそが、スイートピー栽培の正念場であり、春の花数を決定づける重要な期間です。この時期の栽培目標は「大きく育てること」ではなく、「じっと耐えて、見えない地下の根を張らせること」です。

理想の姿は「ロゼット」

冬越しの理想的な草姿は、タンポポのように葉を地面に低く広げた「ロゼット状」に近い形です。草丈は10cm〜15cm程度で止まっていて構いません。地上部が小さいほど、冷たい風を受ける面積が少なくなり、寒さに耐えやすくなります。逆に、肥料や水を与えすぎてヒョロヒョロと30cm以上に伸びてしまった株は、寒風で簡単に折れたり、組織が凍結したりして枯れやすくなります。

具体的な防寒対策と管理のコツ

スイートピー 種まき時期7 霜柱による根の浮き上がりを防ぐ、スイートピー株元のマルチング(防寒対策)の様子

株を寒さから守り、健全な状態で春を迎えるために、以下の対策を行いましょう。

  • マルチングで足元を温める
    株元に腐葉土、敷き藁、バークチップ、もみ殻などを厚さ3〜5cmほど敷き詰めます(マルチング)。これは保温効果だけでなく、土壌水分が凍結して霜柱ができ、根が持ち上げられる「凍上(とうじょう)」を防ぐ効果が絶大です。特に直まきの場合は必須の作業です。
  • 寒風対策(風よけ)
    スイートピーは寒さにはある程度強いですが、「乾いた寒風」には弱いです。北風が直接吹き付けるような場所では、不織布のトンネルをかけたり、寒冷紗で四方を囲ったりして風速を弱めます。行灯(あんどん)仕立てのようにビニールで囲うのも有効です。
  • 水やりと肥料の制限(スパルタ管理)
    冬の間、植物の代謝は落ち、成長は緩慢になります。水は「土の表面が白く乾いてから、さらに数日待って」与えるくらい控えめにします。常に土が湿っていると、根が呼吸できずに根腐れを起こしたり、土が凍りやすくなったりします。肥料も基本的には不要です。過湿と肥料過多は、根腐れや軟弱徒長の元凶です。

鉢植えの場合、「外は寒いからかわいそう」と暖房の効いたポカポカのリビングに取り込む方がいますが、これは逆効果です。日照不足で光合成ができず、一方で室温が高いために呼吸だけが盛んになり、株が養分を使い果たして消耗してしまいます。夜間だけ玄関に入れる程度にとどめ、日中は必ず外に出して日光に当て、寒さを体感させて株を硬く締める「ハードニング(硬化)」を行ってください。この寒さ体験が、春の爆発的な開花エネルギーになります。

摘心で花数を増やすテクニック

「せっかく伸びてきた元気な芽を切るなんて、もったいなくてできない!」と思われるかもしれませんが、スイートピーをプロのように豪華に咲かせるための必須テクニックが「摘心(てきしん・ピンチ)」です。

なぜ切る必要があるのか?「頂芽優勢」の打破

植物には「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」といって、一番上の芽(頂芽)が優先的にオーキシンなどの成長ホルモンを独占し、脇芽(側枝)の成長を抑える性質があります。このまま放置すると、一本のひょろ長い茎だけが伸び、お花が少しつくだけで終わってしまいます。これでは寂しいですよね。
頂芽を人為的に摘み取ることで、このホルモンによる抑制を解除し、下の方の節から眠っていた元気な脇芽を一斉に目覚めさせ、複数本の茎を出させるのが摘心の狙いです。

摘心のタイミングと手順

スイートピー 種まき時期8 スイートピーの花数を増やす摘心(ピンチ)の位置と方法を示した図解

  1. 時期を見極める
    本葉が4〜5枚(4〜5節)完全に展開した頃、または定植して根が活着し、つるが20cm〜30cmほど伸び始めた頃に行います。早すぎると株が弱り、遅すぎると養分のロスになります。
  2. 勇気を出してカットする
    清潔なハサミで、主茎の先端(成長点を含む上部)をチョキンと切り落とします。手で摘み取っても構いません。だいたい下から3〜4節を残すイメージです。
  3. その後の管理(整枝)
    数週間すると、葉の付け根から新しい脇芽がニョキニョキと力強く伸びてきます。その中から、太くて勢いのあるものを2本〜4本選び(これを「2本仕立て」「4本仕立て」と呼びます)、残りの細くて弱い芽は取り除きます。

この選抜された側枝を大切に育てることで、花数が単純計算で2倍、3倍になり、株全体のボリュームが段違いに増します。切り花にする際も、十分な長さの茎が収穫できるようになりますよ。勇気を持ってハサミを入れてくださいね。

支柱立てと誘引のポイント

スイートピーは自立できない植物です。葉の先端が変化した「巻きひげ」を他のものに絡ませながら、上へ上へと登っていく「つる性植物」です。そのため、成長に合わせた支柱やネットの準備が欠かせません。

設置は「早め」が成功のカギ

支柱やネットは、定植と同時に、あるいはつるが本格的に伸び始める前に設置するのが鉄則です。
つるが伸びてしまってからネットを張ろうとすると、すでに茎や巻きひげ同士が複雑に絡まり合って団子状態になっており、無理にほどこうとしてポキッと折ってしまう事故が多発します。スイートピーの茎は中空(ストロー状)になっていたり、扁平だったりして、意外と折れやすいのです。「まだ早いかな?」と思うくらいで丁度良いのです。

支柱の種類と誘引(ゆういん)のコツ

スイートピー 種まき時期9 スイートピーの茎を傷めない支柱への誘引方法。隙間を作った8の字結びの拡大写真

  • 資材の選び方
    庭植えなら「園芸用ネット」を張るのが一般的です。鉢植えなら「あんどん支柱」や「オベリスク」、「トレリス」などを使うと、立体的でおしゃれな仕上がりになります。草丈が2m近く伸びることもあるので、高さのあるものを選びましょう。
  • 誘引のテクニック
    植物任せにすると、どうしても光を求めて南側に偏ったり、隣の株と絡まったりしてジャングル状態になります。週に一度くらいは様子を見て、伸びてきたつるを支柱やネットの空いているスペースに誘導し、園芸用テープやビニールタイで固定してあげましょう(誘引)。
    この時、きつく縛ると茎が太くなったときに食い込んでしまうので、指一本分の隙間を空けて「8の字」に緩く結ぶのがコツです。
  • 巻きひげの処理
    また、スイートピーの巻きひげは意外と力が強く、近くにある自分の蕾や花茎に巻き付いて、変形させてしまうことがよくあります。これを防ぐために、プロの農家さんは巻きひげを全て切り取りますが、家庭園芸ではそこまでする必要はありません。ただ、花に絡まりそうな巻きひげや、邪魔な巻きひげは、ハサミで切り取ってしまっても生育に問題はありません。こまめなメンテナンスが、真っ直ぐで美しい切り花を作る秘訣です。

花言葉の意味とギフトの知識

スイートピー 種まき時期10 「門出」の花言葉を持つピンクと白のスイートピーのブーケ。卒業や入学祝いのギフトイメージ

丹精込めて育てたスイートピーが満開を迎えたら、自宅で楽しむのはもちろん、大切な人へのプレゼントにしてみてはいかがでしょうか。スイートピーには、春の旅立ちにふさわしい素敵な花言葉が込められています。

「門出」を祝う花

スイートピー全体の花言葉は「門出」「別離」「優しい思い出」「蝶のように飛躍する」です。
この由来は、ひらひらとした花弁が、今にも空へ飛び立とうとしている蝶の姿に見えることから来ています。ポジティブな別れ、新しい世界への旅立ちを象徴しています。また、ちょうど日本の卒業式や入学式、就職、転勤など、人生の節目となる3月〜4月に見頃を迎えることも、この花言葉をより印象深いものにしています。

色別の花言葉とおすすめシチュエーション

花色によっても意味が少し異なります。贈る相手に合わせて色を選んでみましょう。

  • ピンク:「繊細」「優美」「恋の愉しみ」。最も人気のある色です。女性への贈り物や、恋愛成就のお守り、母の日のプレゼントにもぴったりです。
  • :「ほのかな喜び」。純潔を表し、ウェディングブーケによく使われます。新しい幸せを予感させる色です。
  • :「永遠の喜び」。上品で落ち着いた雰囲気があり、目上の方や尊敬する先生、先輩への感謝のギフトに適しています。
  • 黄色:「判断力」「分別」。黄色は注意喚起の色(信号機など)であることから、これからの道に迷わないようにというエールにもなります。少し珍しい色なので、ガーデンのアクセントにもなります。

豆知識:1月21日は「スイートピーの日」
日本には「スイートピーの日」があるのをご存知ですか?制定日は1月21日。これは、1982年1月21日にリリースされた松田聖子さんの名曲『赤いスイートピー』にちなんだものです。この曲の大ヒットによって、当時あまり存在しなかった「赤いスイートピー」の品種改良が一気に進んだという逸話もあります。
また、実務的な理由として、この時期は冬咲き系の切り花が最も多く市場に流通し、一年の中で最も香りが良く、花持ちも良い時期だからだそうです。1月にお花屋さんでスイートピーを見かけたら、この日を思い出してみてくださいね。

適切なスイートピーの種まき時期で満開へ

ここまで、スイートピーの種まき時期と栽培のコツについて、かなり詳しく解説してきました。長文にお付き合いいただきありがとうございます。最後に改めてお伝えしたいのは、「植物は嘘をつかない」ということです。

私たちが住む地域の気候(気温)に合わせて適切な時期に種をまき、直根性という性質を尊重して根を大切に扱い、冬の寒さという試練を適切に与えてあげれば、スイートピーは必ずそれに応えてくれます。「手がかかる子ほど可愛い」と言いますが、スイートピーはまさにそんな植物です。秋に種をまき、冬の寒さに耐え、春にようやく蕾が膨らんでくるのを見たときの喜びはひとしおです。多少の手間はかかりますが、自らの手で種から育てたスイートピーが春風に揺れ、甘い香りを庭いっぱいに漂わせたときの感動は、何物にも代えがたいものがあります。

ぜひ、この記事を参考に、カレンダーではなく「気温」と「植物の声」を聴きながら、あなただけのスイートピー作りを楽しんでください。春にはきっと、素晴らしい「門出」の花が咲き誇り、あなたのガーデンライフを彩ってくれることでしょう。

この記事の要点まとめ

  • スイートピーの種まき時期は全国一律ではなく、寒冷地と暖地で半年違う
  • 寒冷地(北海道・東北北部)は「春まき(3月中旬〜4月中旬)」で、冷涼な夏に花を楽しむのが正解
  • 暖地(関東以西)は「秋まき(10月中旬〜11月中旬)」で、冬越しさせて根を育て春に咲かせる
  • 発芽適温は15℃〜20℃。25℃以上の高温は腐敗、10℃以下の低温は病気のリスクが高い
  • 直根性で移植を嫌うため、花壇やプランターへの「直まき」が最も推奨される
  • ポットまきをする場合は、根が回る前に、根鉢を絶対に崩さずに定植する
  • 硬実種子は、種皮に傷をつけて一晩吸水させてからまく(おはぐろ部分は避ける)
  • 冬越し中はロゼット状(低い草丈)を保ち、寒さに当てて根を充実させる(スパルタ管理)
  • 本葉4〜5枚で「摘心」を行うと、脇芽が増えて花数が劇的にアップする
  • つるが伸びて絡まる前に、支柱やネットを早めに設置し、こまめに「8の字」誘引する
  • 花言葉は「門出」「飛躍」。卒業・入学シーズンの贈り物に最適
  • 自分の地域の気候を知り、植物の生理に合わせた適期適作が成功への近道
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

花種子 Suttons Seeds Sweet Pea ‘Cupani’ スイートピー ‘クパニ’ サットンズシード
価格:798円(税込、送料別) (2025/12/11時点)

楽天で購入

 

 

タイトルとURLをコピーしました