PR

スイートピーの育て方!プランターで失敗しない種まきや支柱のコツ

スイートピー 育て方 プランター1 春のベランダのプランターで満開に咲くパステルカラーのスイートピー スイートピー
記事内に広告が含まれています。
PR

こんにちは、My Garden 編集部です。

春の穏やかな日差しの中で、まるで蝶が舞っているかのようにひらひらと優雅に咲くスイートピー。その姿を見るだけで心が弾みますが、何と言ってもあの一度嗅いだら忘れられない甘く優しい香りは、春の訪れを五感で感じさせてくれる特別な存在です。「自宅のベランダや玄関先で、あの素敵な花を咲かせてみたい」そう願って育て方を調べ始めたものの、いざ実践しようとすると「プランターでもあんなに立派に育つのかな?」「種まきはいつすればいいの?」「支柱はどうやって立てるのが正解?」といった具体的な疑問や不安が次々と湧いてきて、足踏みしてしまうことはありませんか?

特にスイートピーは、一般的な草花と違って「直根性」という少しデリケートな根の性質を持っていたり、つるがぐんぐん伸びるため事前の支柱準備が必要だったりと、初心者の方にとっては少しハードルが高く感じられるポイントがいくつか存在します。でも、どうか安心してください。それぞれの工程には、失敗を防ぐための明確な「理由」と、誰でも実践できる簡単な「コツ」が存在します。

この記事では、園芸初心者の方でも迷わず自信を持って取り組めるよう、種まきの準備から土作り、厳しい冬を乗り越える管理法、そして春の満開を迎えるまでのプロセスを、一つひとつ丁寧に、かつ圧倒的に具体的に解説していきます。プランターという限られたスペースで、スイートピーの魅力を最大限に引き出すためのプロのノウハウを詰め込みましたので、ぜひ最後までお付き合いいただき、あなただけの春の庭を作り上げてください。

この記事のポイント

  • 初心者でも失敗しない種まきの適期と、発芽率を劇的に高める下準備のコツ
  • ベランダ栽培に最適なプランターの選び方と、管理が驚くほど楽な矮性種の魅力
  • 100均グッズでもおしゃれに仕上がる、強風でも倒れない支柱立てのアイデア
  • 春に花数を倍増させるための摘芯テクニックと、株を強くする冬越し術
PR

スイートピーの育て方とプランターの土作り

スイートピーをプランターで美しく、そして元気に咲かせるための第一歩は、彼らが半年近く過ごすことになる「基礎環境」をしっかりと作ってあげることです。植物にとっての家であるプランター選びや、食事となる土の準備、そして命の始まりである種まきのタイミング。これらを正しく理解し、準備万端でスタートすることで、栽培の成功率はぐっと高まります。まずは、準備段階で絶対に押さえておきたい重要ポイントを深掘りしていきましょう。

種まきの時期と失敗しない手順

スイートピー 育て方 プランター2 スイートピーの種まき前の吸水処理:水を吸って膨らんだ種と硬い種の比較

スイートピーの栽培において、最も重要であり、かつ最初の分岐点となるのが「種まきのタイミング」です。一般的に、日本の気候においてスイートピーは「秋まき」が基本とされています。具体的な適期は地域によって多少前後しますが、関東以西の温暖地であれば9月下旬から11月中旬頃、気温が20℃前後で安定してくる時期がベストシーズンです。

「春に咲く花なのに、なぜ秋にまくの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。これには明確な理由があります。スイートピーは、冬の寒さを経験することで根を地中深くじっくりと張らせ、春の暖かさと共に地上部を一気に成長させるというサイクルを持っています。また、一定の低温期間を経ることで花芽が形成されやすくなる性質(バーナリゼーション)も持っています。早く花を見たいからといって春になってから種をまくと、根が十分に張る前に気温が上昇してしまい、株が小さく貧弱なまま花が終わってしまったり、最悪の場合は暑さで枯れてしまったりすることさえあるのです。

そして、種まき成功の鍵を握るのが「種の下処理」です。スイートピーの種は「硬実種子(こうじつしゅし)」と呼ばれ、種皮が非常に硬く緻密な構造をしています。これは自然界で乾燥から身を守るための生存戦略なのですが、園芸においては「水を吸いにくく発芽しにくい」という厄介な性質となります。これを克服するために、以下の手順を必ず行いましょう。

発芽率を劇的に上げる「吸水処理」の手順

まず、種をコップや小皿に入れ、一晩(約12時間~24時間)たっぷりの水に浸けておきます。翌朝確認すると、水を吸ってパンパンに膨らんだ種と、小さく硬いままで変化のない種に分かれているはずです。

  • 膨らんだ種:吸水成功です。そのまま土にまいてください。
  • 膨らまない種:カッターナイフや爪切りを使い、種皮の一部にほんの少し傷をつけます(「傷つけ処理」または「スカリフィケーション」と言います)。中の白い胚を傷つけないよう、黒い皮の表面を削る程度で十分です。その後、もう一度水に浸して吸水させれば、数時間で膨らみます。

※近年販売されている種の中には、あらかじめ薬品処理や傷つけ処理が施されているものもあります。その場合、水に浸すと急激な吸水で種が割れてしまうことがあるため、パッケージの裏書きをよく確認し、「水に浸さずにまいてください」という指示があればそれに従ってください。

種をまく際は、プランターへの「直まき」を強くおすすめします。スイートピーはマメ科特有の「直根性(ちょっこんせい)」といって、太い主根が地中深くへまっすぐ伸びる性質があり、この根を傷つけられるのを極端に嫌います。ポットで育苗して植え替える方法もありますが、移植の際に土が崩れて根が切れると、その後の生育が止まったり、枯死したりするリスクが高いのです。初心者はリスクを避けるためにも、最初からプランターに種をまくのが賢明です。

標準的な60cmプランターであれば、株間を15cm~20cmほど空けて、2~3箇所に点まきします。1箇所につき3粒ほど種をまき、光を嫌う「嫌光性種子(けんこうせいしゅし)」なので、土を1cm~2cmほどしっかりとかぶせてください。最後にたっぷりと水やりをし、鳥(特にハト!)に豆を食べられないよう、発芽までは新聞紙や不織布、ネットなどをかけておくのも有効な知恵です。

プランター向きの品種や矮性種

スイートピー 育て方 プランター3 支柱なしでプランターにこんもりと咲く矮性種のスイートピー(キューピッド等)

「スイートピー=背が高く伸びて支柱が必要なつる植物」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実はプランター栽培に特化した、背の低い品種があることをご存知でしょうか?限られたスペースのベランダや、強風が心配なマンションの高層階などで育てる場合、この「品種選び」がその後の管理のしやすさを劇的に変えてくれます。

スイートピーの品種は、大きく「高性種(こうせいしゅ)」と「矮性種(わいせいしゅ)」の2つに分類されます。それぞれの特徴を深く理解して、ご自身の栽培環境や目的に合ったものを選びましょう。

分類 代表的な品種シリーズ 草丈と特徴 プランター栽培でのメリット・デメリット
高性種
(つる性)
「ロイヤル」
「スペンサー」
「マンモス」など
草丈1.5m~3m。
ぐんぐんつるが伸び、巻きひげで絡みつきながら上へ上へと成長する。花茎が長く、花も大輪のものが多い。
メリット:切り花として長い茎を収穫できる。豪華な花房を楽しめる。壁面緑化が可能。
デメリット:しっかりとした高い支柱やネットの設置が必須。風の影響を受けやすく、転倒防止対策が必要。
矮性種
(わいせいしゅ)
「キューピッド」
「リトル・スイートハート」
「パティオ」など
草丈20cm~40cm。
つるがあまり伸びず、こんもりとドーム状に茂る。支柱なしで自立するか、短い支柱で済む。
メリット:支柱立ての手間が省ける。風に強い。ハンギングバスケットや小さなコンテナでも栽培可能。
デメリット:茎が短いため、切り花として花瓶に飾るには不向き(小瓶ならOK)。

特に初めてプランター栽培に挑戦される方や、支柱立てに自信がない方には、「矮性種」が断然おすすめです。支柱立ての手間が省けるだけでなく、株全体が花で覆われるように咲く姿は、まるでブーケのようで非常に愛らしいものです。プランターを置く場所を選ばず、移動も楽なので、日当たりの良い場所を求めてこまめに動かすことも可能です。

逆に、「部屋に飾るための長い切り花が欲しい!」「豪華に咲かせたい!」という明確な目的がある場合は、迷わず高性種を選びましょう。多少の手間はかかりますが、自分の背丈ほどに育ったスイートピーが満開になった時の感動はひとしおです。また、品種によっては「冬咲き(短日性)」「春咲き(長日性)」「夏咲き」と開花時期が異なるものもあります。一般的にホームセンターなどで秋に出回る種の多くは「春咲き」ですが、購入の際はパッケージの裏面を確認し、自分の住んでいる地域の気候に合っているかチェックすることを忘れないでくださいね。

100均グッズを活用した支柱立て

スイートピー 育て方 プランター4 100均のリング支柱を活用してプランターのスイートピーを誘引する方法

高性種のスイートピーを選んだ場合、避けて通れないのが「支柱立て」です。「つるが伸びてきてから考えればいいや」と後回しにしがちですが、これは非常に危険な判断です。スイートピーの繊細な直根は、定植後すぐに土の中に深く広く広がっていきます。つるが伸びてから支柱を土に力任せに突き刺すと、見えないところで大切な根を断裂させてしまい、その後の生育不良や突然の立ち枯れの原因になってしまうのです。

支柱立ての鉄則タイミング
支柱は必ず「種まき・定植と同時」か、遅くとも「つるが巻きひげを出し始める前」に設置してください。根を守ることが、植物の寿命を守ることにつながります。

「でも、本格的な園芸支柱はお金がかかるし、見た目もちょっと無骨で…」と悩む方もいるかもしれません。そんな時は、身近な100円ショップのアイテムを活用してみましょう。アイデア次第で、機能的かつおしゃれな支柱(トレリス)を作ることができます。

おすすめの100均DIYアイデア

  • アンドン支柱(リング支柱):
    最も定番で安定感があります。100均でも様々なサイズが販売されています。つるを螺旋状に誘引することで、限られたスペースでも高さを稼ぐことができ、全ての花が満遍なく日光を浴びられます。風にも比較的強い構造です。
  • ワイヤーネットの連結スクリーン:
    キッチン収納などで使う四角いワイヤーネットを数枚用意し、結束バンドで縦横につなぎ合わせます。これを屏風(びょうぶ)のようにジグザグに折って立ててプランターに挿すと、自立するおしゃれなトレリスになります。通気性が抜群で、壁面緑化のような雰囲気を演出できます。
  • 突っ張り棒+園芸ネット:
    ベランダの天井と床(またはプランターの縁)に突っ張り棒を渡し、そこに園芸用ネットをピンと張る方法です。高さのあるグリーンカーテンを作りたい場合に最適です。ネットの網目は10cm~15cm角程度のものが、手を入れて手入れがしやすくおすすめです。
  • 麻ひもスクリーン:
    プランターの両端に太い支柱を2本立て、その間に麻ひもをあやとりのように張り巡らせます。ナチュラルな風合いがスイートピーの可憐な花とよく似合い、使用後は燃えるゴミとして捨てられるのもメリットです。

つるが伸びてきたら、こまめに支柱やネットに「誘引(ゆういん)」してあげましょう。放っておくとつる同士が絡まり合い、風通しが悪くなって病気の原因になります。ビニールタイや麻ひもを使って、茎と支柱を「8の字」にゆとりを持って結ぶのがポイントです。茎は成長して太くなるので、ぎちぎちに縛り付けないよう注意してください。

苗の冬越しと霜よけのポイント

スイートピー 育て方 プランター5 冬越しの寒さ対策としてスイートピーの株元に施したバークチップのマルチング

秋にまいたスイートピーは、本葉が数枚展開した小さな苗の状態で冬を迎えます。「こんなにか弱くて大丈夫かな?」と心配になるかもしれませんが、実はこの時期の寒さが、丈夫な株を作るためには欠かせません。寒さに当たることで、植物体内の糖分濃度を高め、凍結しにくい体質へと変化していくのです。とはいえ、限度があります。

スイートピーの耐寒温度はマイナス数度程度と言われていますが、霜や凍結にはめっぽう弱いという弱点があります。強い霜に当たると、葉が白く焼けたようになったり、水分を含んだ茎が凍って細胞が破壊され、そのまま枯れ込んでしまったりすることがあります。また、「霜柱」が立つような環境では、土が持ち上げられることで根が切断されたり、根が地上に露出して乾燥死したりする被害も発生します。

冬越しの基本は、「日当たりの良い南向きの軒下」に置くことです。冷たい北風が直接当たると、葉から水分が奪われて乾燥害を引き起こすため、壁際などに寄せて風を避ける工夫も必要です。

特に冷え込みが厳しい夜(放射冷却が予想される晴れた日の夜など)は、以下のような防寒対策を徹底しましょう。

  • 不織布(ふしょくふ)の活用:
    園芸用の不織布をふわりと被せるだけで、霜の付着を物理的に防ぐことができます。不織布は通気性と透光性があるため、日中被せたままでも蒸れにくいのが利点ですが、晴れた暖かい日は外して日光浴させてあげるとより健康的です。洗濯ばさみなどでプランターに固定し、風で飛ばされないようにしましょう。
  • 株元のマルチング:
    腐葉土、バークチップ、敷き藁(わら)、もみ殻などを株元に厚め(3cm~5cm程度)に敷き詰めます。これにより、土壌表面の凍結を防ぎ、大切な根や地際の茎を守ることができます。霜柱対策としても非常に有効です。
  • 夜間のみ室内へ(スパルタ管理):
    プランター栽培の最大のメリットは「移動できること」です。氷点下になる夜だけ玄関内に入れ、翌朝気温が上がったら必ず外に出す、という管理も有効です。

ここで注意したいのが、「過保護にしすぎない」ことです。「寒いとかわいそう」といって、ずっと暖かいリビングなどで管理していると、日照不足と高温で茎がひょろひょろに徒長し、春になっても花が咲かない軟弱な株になってしまいます。冬の冷たい風に当てつつ、凍結だけは防ぐ。この絶妙なバランスが、春の爆発的な開花につながります。

お住まいの地域の霜が降りる時期や、最低気温の傾向を正確に知りたい場合は、気象庁のデータを確認することをおすすめします。平年の初霜・終霜の時期を知っておくだけで、対策のタイミングを逃さずに済みます。
(出典:気象庁『過去の気象データ検索』

相性の良い植物との寄せ植え

スイートピー 育て方 プランター6 プランター栽培でのスイートピーとビオラ・アリッサムの相性の良い寄せ植え

プランターでスイートピーを育てる際、少し気になるのが「株元の寂しさ」です。スイートピーは成長すると、どうしても下の方の葉が枯れ上がりやすく、足元がスカスカに見えてしまうことがあります。そこでおすすめなのが、他の植物との「寄せ植え(コンパニオンプランツ)」です。足元を隠すだけでなく、互いの生育を助け合う効果も期待できます。

寄せ植えをする際は、スイートピーと同じく「日当たりと水はけの良い環境を好む」「春に開花最盛期を迎える」「耐寒性がある」植物を選ぶと、管理のリズムが同じで失敗がありません。相性抜群のパートナーをご紹介します。

植物名 特徴と相性の理由
パンジー・ビオラ 最強のパートナー。開花期が長く、秋から春までずっと咲き続けてくれます。根張りが浅いため、深根性のスイートピーと競合しにくいのも利点です。土の跳ね返りを防いで病気予防にも一役買ってくれます。同系色でグラデーションを作っても、補色(黄色×紫など)でコントラストをつけても素敵です。
アリッサム 小さな花がカーペットのように広がり、甘い蜂蜜のような香りもスイートピーと相性抜群です。白のアリッサムはどんな色のスイートピーとも喧嘩せず、足元を明るく照らすレフ板効果で清楚な雰囲気を演出してくれます。
カレンジュラ
(キンセンカ)
オレンジや黄色のビタミンカラーが、春の陽気を感じさせます。比較的寒さに強く、スイートピーと一緒に屋外で冬を越してくれます。うどんこ病にかかりやすい点が共通しているので、早期発見の指標にもなります。
ノースポール マーガレットに似た白い小花をたくさん咲かせます。非常に丈夫で育てやすく、横に広がってボリュームが出るので、スイートピーの背景や足元の隙間を埋めるのに最適です。

寄せ植えを作る際のコツは、「根張りスペースの確保」です。スイートピーは根を深く広げるスペースが必要なので、あまりギチギチに他の植物を詰め込みすぎないようにしましょう。60cmプランターなら、スイートピー2株の間にビオラを2株入れるくらいが、お互いの成長を阻害しない適度な距離感です。植え付け時に、スイートピーの根鉢を崩さないよう、先に配置を決めてから周りに他の苗を植え込む手順で行うとスムーズです。

※プランターの用土については、水はけと保水性のバランスが重要です。市販の「草花用培養土」を使えば間違いありませんが、自分で配合する場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。

プランターの土作りで花を長く楽しむ!基本配合と成功のコツ

スイートピーの育て方とプランターでの管理法

厳しい冬を乗り越え、3月の声を聞く頃になると、スイートピーは眠りから覚めたように急激に成長を始めます。ここからの管理が、花の数や美しさ、そして開花期間の長さを決定づけます。水やりの頻度を劇的に変えたり、適切なタイミングで追肥を行ったり、植物の生理現象に合わせた手入れを行うことで、小さなプランターでも驚くほどたくさんの花を咲かせることができます。ここでは、春からの実践的なプロの管理テクニックを詳しく解説します。

摘芯でボリュームを出すテクニック

スイートピー 育て方 プランター7 スイートピーの脇芽を増やして花数を増やすための摘芯(ピンチ)の位置を示す図解

高性種のスイートピーを育てている場合、ぜひ挑戦していただきたいのが「摘芯(てきしん)」または「ピンチ」と呼ばれる作業です。これは、伸びてきた茎の先端をあえてカットすることで、植物の成長ホルモンの流れを人為的に変えるテクニックです。

植物には「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質があり、放っておくとメインの茎(主茎)の先端にある芽だけが優先的に栄養を独占し、ひたすら上へ上へと伸びようとします。これでは一本のひょろ長い茎にしかならず、脇芽が育たず、結果として花数も限られてしまいます。そこで、主茎の先端を摘み取ることで、この頂芽優勢を打破し、行き場を失ったエネルギーを株元の「脇芽」へと分散させるのです。これにより、つるの数が2本、3本、4本と増え、将来的に咲く花の数も倍増します。

摘芯の具体的な手順とタイミング

  1. 時期:定植後、苗が活着して成長し始め、主茎の本葉が6枚~7枚展開した頃がベストです。早すぎると株が弱り、遅すぎるとつるが伸びすぎて作業がしにくくなります。
  2. 方法:清潔なハサミを使い、茎の先端(頂芽部分)をカットします。手で摘み取っても構いませんが、切り口をきれいに保つにはハサミが推奨されます。
  3. その後:数日すると、残した葉の付け根(葉腋)から新しい脇芽が力強く伸びてきます。
  4. 整枝:勢いの良い脇芽を2~4本残して育て、それ以外の細い芽は取り除きます。これにより、栄養が分散しすぎず、充実した太い茎を育てることができます。

ただし、矮性種(「キューピッド」など)の場合は、遺伝的に自分で分枝する性質(自律分枝性)を強く持っているため、基本的に摘芯は不要です。何もしなくても自然にこんもりとしたドーム状に育ってくれます。品種の特性に合わせて、手を入れるかどうかを判断してくださいね。ハサミを入れるのは少し勇気がいりますが、その勇気が春の満開を約束してくれます。

季節別の水やりと肥料の与え方

「水やり三年」という言葉があるように、水やりは園芸の基本であり奥義です。特にスイートピーは、冬の停滞期と春の成長期で水分の要求量が劇的に変化するため、季節に応じたメリハリのある管理が不可欠です。

冬の管理:乾かし気味に

冬の間、植物は成長をほぼ止めており、蒸散(葉から水分を出すこと)も少ないため、土はなかなか乾きません。この時期に良かれと思って毎日水をやると、常に土が湿った状態になり、根が呼吸できずに腐ってしまう「根腐れ」の原因になります。
また、土壌水分が多い状態で夜間の冷え込みにあうと、水分が凍結して根を傷める「凍害」のリスクも高まります。冬の水やりは、「土の表面が白く乾いてから、さらに2~3日待ってから」行うくらいの「乾かし気味」が正解です。そして、必ず「暖かい日の午前中」に済ませ、夕方までには余分な水分が抜けるようにしましょう。夕方以降の水やりは厳禁です。

春の管理:たっぷりと

3月に入り気温が上昇し始めると、状況は一変します。茎葉が急激に茂り、つぼみがつき始めると、植物は大量の水を必要とします。この時期の水切れは致命的で、一度ひどく乾燥させてしまうと、せっかくついたつぼみが水分不足で黄色くなり、ポロポロと落ちる「落蕾(らくらい)」を引き起こします。
春以降は、「土の表面が乾いたら即、鉢底から水が溢れ出るまでたっぷりと」与えます。ちょろちょろと表面だけ濡らすような水やりは、下の方の根まで水が届かないためNGです。特にプランターは土の量が限られているため乾きが早いです。晴天の日や風の強い日は、朝に水をやっても夕方には乾いていることがあるので、毎日の観察を欠かさないでください。

肥料の与え方:窒素は控えめに

スイートピーへの施肥には少しコツがいります。マメ科の植物の根には「根粒菌(こんりゅうきん)」という細菌が共生しており、彼らが空気中の窒素を取り込んで植物に供給してくれます。そのため、人間が肥料で窒素を多く与えすぎると、栄養過多になり、葉っぱばかりが茂って花が咲かなくなる「つるぼけ(過繁茂)」という状態になりがちです。
開花期に必要なのは、花付きを良くする「リン酸」と、根や茎を丈夫にする「カリ」です。つぼみが見え始めたら、リン酸とカリの成分比率が高い液体肥料(ハイポネックスなど)を、規定倍率よりも少し薄め(例えば1000倍~2000倍)にして、1週間~2週間に1回程度与えるのがおすすめです。「肥料はちょっと足りないかな?」くらいの方が、スイートピーは機嫌よく花を咲かせてくれます。

花がら摘みで開花期間を延ばす

スイートピー 育て方 プランター8 開花期間を延ばすためにスイートピーの花がらを茎の根元からカットする方法

次々と咲く花を長く楽しむために、最も重要で、かつ日々のルーティンにしていただきたい作業が「花がら摘み」です。これは単に見た目を良くするためだけの作業ではありません。

植物が花を咲かせる最終的な目的は、種(子孫)を残すことです。咲き終わった花をそのままにしておくと、植物の体内で「受粉が成功した!さあ、全力で種を育てるぞ!」というスイッチが入り、栄養がすべて種の形成に使われてしまいます。そうなると、新しいつぼみを作るエネルギーがなくなってしまい、開花がピタッと止まってしまうのです。

これを防ぐために、花がしおれたり、色あせたりしたら、すぐに取り除きます。ここでのポイントは、「花びらだけをむしるのではなく、茎ごとカットする」ことです。一つの花茎についているすべての花が咲き終わったら、その花茎の付け根からハサミで切り取ってください。こまめに種作りを阻止することで、植物は「まだ種が残せていない」と勘違いし、種の保存本能によって次から次へと新しい花芽を作り続けます。このひと手間を惜しまなければ、5月下旬頃まで長く花を楽しむことができますよ。

枯れる原因と病害虫の対策

スイートピー 育て方 プランター9 スイートピーの病害虫対策:葉の裏のチェックとうどんこ病の初期症状

大切に育ててきたスイートピーが、ある日突然枯れたり、病気になったりするのは悲しいものです。プランター栽培で発生しやすいトラブルには傾向があります。原因を早期に発見し、適切に対処することで、被害を最小限に抑えることができます。

症状・害虫名 原因と具体的な対策
うどんこ病 症状:葉や茎が小麦粉をまぶしたように白くなる。
原因:日照不足、風通しの悪さ、乾燥気味の環境、昼夜の寒暖差。
対策:初期であれば、重曹を水で薄めたもの(水500mlに重曹1g程度)や食酢を薄めたものを散布して拭き取ります。広範囲に広がった場合は、「ベニカX」や「カリグリーン」などの殺菌剤を使用します。混み合った枝葉を整理して風通しを良くすることも重要です。
アブラムシ 症状:新芽やつぼみ、葉の裏にびっしりと群がり、養分を吸い取る。排泄物でベタベタになり、すす病を誘発する。
対策:見つけ次第、粘着テープでペタペタと取り除くか、勢いのある水流で洗い流します。アブラムシはウイルス病(モザイク病など)を媒介するため、オルトラン粒剤などの浸透移行性殺虫剤を株元にまいて予防するのが最も効果的です。
ハモグリバエ
(エカキムシ)
症状:葉に白い線でお絵かきをしたようなクネクネとした跡がつく。
対策:葉の中に幼虫が潜んでいるため、白い線の先端にいる幼虫を指で押しつぶすか、被害のひどい葉を摘み取ります。薬剤を使用する場合は浸透性のあるものを選びましょう。
下葉の黄変 原因:生理現象(老化)、肥料切れ、根詰まり、根腐れなど。
対策:下の葉から黄色くなるのはある程度自然な老化現象ですが、全体に広がる場合は注意が必要です。水やりの頻度(やりすぎ・やらなすぎ)を見直し、薄い液肥を与えて様子を見ます。鉢底から根が出ている場合は根詰まりの可能性がありますが、開花期に植え替えるのはリスクが高いため、液肥で凌ぐのが無難です。

特にアブラムシは春になると必ずと言っていいほど発生します。「虫がついているのを見てから対処する」のではなく、植え付け時にオルトランなどの薬剤を土に混ぜておく「予防」が、快適なガーデニングライフの秘訣です。アブラムシ対策については、こちらの記事でも詳しく解説しています。 アブラムシの簡単な駆除方法!手作りから予防まで

花の収穫と種の採り方について

スイートピー 育て方 プランター10 誤食厳禁:エンドウ豆に似ているが有毒成分を含むスイートピーの種(サヤ)

手塩にかけて育てたスイートピーが満開になったら、ぜひ切り花(カットフラワー)としてお部屋の中でも楽しんでください。スイートピーは切り花にしても花持ちが比較的良く、何よりその香りが室内の空気を一変させてくれます。トイレや玄関など、少し涼しい場所に飾ると、より長く楽しめます。

収穫のタイミングは、「花茎の一番下の花が開き始めた頃」です。まだ上のつぼみが硬いうちにカットしても、水に挿しておけば次々と開花してくれます。満開になってから切るよりも、つぼみの状態で切った方が花弁が傷つかず、輸送も楽です。カットする際は、切れ味の良いハサミを使い、切り口を斜めに切ると吸水面積が広がり、水揚げが良くなります。花瓶の水は毎日替え、その都度切り口を数ミリ切り戻してあげれば、1週間以上楽しむことも可能です。

そして、シーズンの終わりには「種の収穫」に挑戦してみてはいかがでしょうか。5月下旬頃になり、もう花も終わりかなと思ったら、花がら摘みをストップして、そのままサヤをつけさせます。エンドウ豆のようなサヤができ、それが緑色から茶色に変わり、完全にカラカラに乾くまでじっと待ちます。

【重要】有毒成分について
スイートピーの豆(種子)やサヤは見た目がエンドウ豆に似ていますが、有毒成分(アミノプロピオニトリルなど)を含んでおり、絶対に食べることはできません。大量に摂取するとラチリズム(Lathyrism)という神経系の中毒症状を引き起こす可能性があります。特にお子様やペットが誤って口にしないよう、収穫後の管理には十分ご注意ください。

茶色く完熟したサヤから種を取り出し、さらに数日間日陰で乾燥させます。その後、紙封筒などに入れて、湿気の少ない冷暗所(冷蔵庫の野菜室などが最適)で保管すれば、また来年の秋にまくことができます。命がつながっていく喜びを感じられるのも、種から育てる醍醐味ですね。

スイートピーの育て方とプランター栽培のまとめ

ここまで、スイートピーをプランターで育てるための全工程を、かなり詳細に解説してきました。長文にお付き合いいただきありがとうございます。「意外とやることが多いな」と思われたかもしれませんが、一つひとつの作業は決して難しいものではありません。

直根性の根を大切に扱い、季節に応じた水やりのリズムを掴み、こまめに花がらを摘んであげる。まるでペットのお世話をするように、日々の変化を観察しながら手をかけてあげれば、スイートピーは必ず美しい花と香りで応えてくれます。プランターという小さな世界で、春の訪れを告げる「門出の花」を咲かせる喜びを、ぜひあなたも体験してみてくださいね。

この記事の要点まとめ

  • 種まきは9月下旬から11月中旬の「秋まき」が成功の基本
  • 硬実種子は一晩水に浸け、吸水させてからまくことで発芽率アップ
  • プランター栽培なら支柱不要で管理が楽な「矮性種」が特におすすめ
  • 高性種を育てる場合は、根を傷めないよう定植と同時に支柱を立てる
  • 移植を嫌う直根性植物なので、定植時は根鉢を絶対に崩さない
  • 冬越しは南向きの軒下など、日当たり確保と寒風対策が重要
  • 冬の水やりは土が乾いて数日待つ「乾かし気味」で根腐れを防ぐ
  • 春の成長期は水切れが落蕾の原因になるため、たっぷりと水を与える
  • 摘芯を行うことで脇芽が増え、株のボリュームと花数が倍増する
  • 肥料は窒素過多に注意し、開花期はリン酸とカリ分を重視する
  • 花がら摘みを徹底し、種を作らせないことが開花期間を延ばすコツ
  • アブラムシやうどんこ病は、早期発見と予防薬の活用で対処する
  • 切り花は下の花が開き始めた頃にカットし、部屋で香りを楽しむ
  • 種やサヤには毒性があるため、誤食しないよう注意して管理する
  • 愛情を持って観察し、適切な管理を行えばプランターでも満開にできる
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

草花の苗/スイートピー:スカーレット(No.2)3号ポット 2株セット
価格:625円(税込、送料別) (2025/12/11時点)

楽天で購入

 

 

タイトルとURLをコピーしました