こんにちは、My Garden 編集部です。
アンスリウムの鮮やかな仏炎苞と、ツヤのあるハート型の葉っぱは本当におしゃれですよね。お部屋にひとつあるだけで、空間がパッと華やぐ不思議な魅力を持っています。でも、そんなお気に入りのアンスリウムの育て方で枯れるという事態に直面すると、どうしていいか分からず悲しい気持ちになってしまうものです。葉が黄色くなったり、根元がブヨブヨしたりするのは、アンスリウムの育て方で枯れるサインであり、環境が合っていないというSOSなんですね。この記事では、熱帯雨林の着生植物としての性質をひも解きながら、ピンチを救う具体的な解決策をたっぷりとお伝えします。
この記事のポイント
- 葉の変色パターンから根腐れや水不足などの原因を特定できる
- 冬の低温障害や乾燥から株を守るための具体的な管理術がわかる
- 重度の根腐れを起こした株を外科的に再生させる手順がわかる
- アンスリウムの自生地を再現する土の配合や水やりの極意がわかる
アンスリウムの育て方で枯れる原因と葉の異変への対策

アンスリウムが弱っているとき、植物は言葉の代わりに葉の「色」や「形」を変えて私たちにメッセージを送っています。このSOSを正しく読み取ることが、枯死を回避するための第一歩となります。ここでは、葉に現れる異常の正体とそのメカニズムについて、さらに深く踏み込んで解説していきましょう。アンスリウムという植物は、私たちが想像している以上に「生殖」と「生存」のバランスをシビアに見極めている生き物なんですよ。
葉が黄色いのは根腐れや水不足のサインです

アンスリウムの下葉から徐々に黄色くなってくる現象は、植物生理学的には「移動性元素の転流(Remobilization)」と呼ばれる反応です。簡単に言うと、根っこにトラブルがあって土から栄養(窒素やマグネシウムなど)を吸い上げられなくなったとき、植物は生き残るために古い葉を犠牲にして、その栄養を一番大切な「新芽(成長点)」へと送り届ける調整を行うんですね。その結果、栄養を奪われた古い葉が葉緑素を失い、黄色く変色(クロロシス)してしまうんです。いわば、自らの体を削って未来を繋ごうとする、アンスリウムの必死の防衛本能なんです。
この「根のトラブル」として最も警戒すべきなのが、やはり根腐れです。アンスリウムは本来、ジャングルの木の上に根を張る着生植物なので、根が常に水に浸かって酸素が足りなくなると、途端に呼吸ができなくなり窒息状態に陥ります。酸素がない環境では根の細胞が死んでしまい、そこにピシウム菌やフザリウム菌といった腐敗菌が侵入してドブのような臭いを発するようになります。根が死んでしまうと、水の中にいながらにして吸水ができない「生理的乾燥」という皮肉な状態になり、植物全体が水分不足で枯れていくんです。また、単純な水不足の慢性化でも下葉が黄色くなることがありますが、この場合は土がカラカラに乾いて鉢が軽くなっているはずです。まずは土の湿り具合を確認し、根の状態を想像してあげることが大切かなと思います。
他にも、日照不足が続くと光合成によるエネルギー生産が滞り、維持コストのかかる古い葉を自ら切り捨てるために黄変させることもあります。アンスリウムは「耐陰性がある」と言われますが、暗すぎる場所では生存モードに切り替わり、葉を落としてしまうんですね。黄色い葉を見つけたら、まずは土を触り、次に置き場所の明るさをチェックする習慣をつけましょう。根詰まりが原因で窒素などの移動性元素が不足している場合も、同様に下葉からの黄変が見られます。早めの植え替えが、アンスリウムの育て方で枯れるのを防ぐ大きな鍵になりますよ。
黄色くなる部位と原因の特定チャート
黄色い葉の状態から原因を推測しましょう
- 古い葉(下葉)が全体的に黄色い:窒素やマグネシウムの不足、または根腐れの初期症状。
- 新しい葉が黄色い、または葉脈だけ緑:鉄(Fe)などの微量要素不足。土のpHが偏っている可能性があります。
- 葉に黄色の斑点がある:ハダニによる吸汁被害。葉の裏をチェックしてください。
- 全体が薄い緑〜黄色になる:圧倒的な日照不足。光合成によるエネルギー生産が滞っています。
葉が茶色い場合に疑うべき直射日光や乾燥の害

葉の表面が白っぽく抜けた後に茶色くカサカサになったり、大きな茶色のシミができたりするのは、強い光による「葉焼け(Leaf Burn)」が主な原因です。熱帯原産のアンスリウムですが、実はジャングルのうっそうとした木漏れ日の中で育つ植物なので、日本の夏の強烈な直射日光は刺激が強すぎるんですね。強すぎる光エネルギーを細胞内で処理しきれなくなると、体内に活性酸素(ROS)が発生し、細胞壁や組織を酸化させて物理的に破壊してしまいます。一度焼けてしまった葉は二度と元には戻らないため、被害が広がらないように、すぐに置き場所を日陰へ移動させる必要があります。
一方で、葉の先端や縁(ふち)だけが茶色く枯れ込んでくる場合は、極端な「空気の乾燥」が疑われます。アンスリウムは葉の表面からも水分を蒸散させていますが、部屋の湿度が低すぎると、根からの吸水スピードが蒸散に追いつかず、維管束の末端である葉先まで水分が届かなくなります。その結果、先端の細胞が重度の脱水症状を起こして死滅(ネクロシス)してしまうんです。特に冬の暖房が効いた部屋では、湿度が30%台まで下がることがあり、これはアンスリウムにとって砂漠の真ん中に放り出されたような過酷な環境。エアコンの乾燥した風が直接当たる場所は、わずか数時間で葉をダメにしてしまうこともあるので、絶対に避けたいポイントですね。
また、茶色い変色が不規則な斑点状で、その周りに黄色い輪(ハロー)が見える場合は、炭疽病(Colletotrichum)などの真菌が原因の病気かもしれません。高温多湿の環境で、風通しが悪いと発生しやすくなります。この場合は放置すると胞子が飛んで他の葉にも移ってしまうので、早めにその葉を根元からカットし、清潔な環境を保つことが復活への近道になります。また、水やりの際に葉に泥が跳ね返るのも感染ルートになるので注意が必要です。葉の状態を毎日優しくチェックして、早期発見を心がけるのが私のおすすめです。美しさを保つためには、日々のちょっとした観察が欠かせませんね。
水やりは土の表面が乾いてからたっぷりと与える

アンスリウムの栽培で最も多くの人がつまずくのが水やりです。枯らしてしまう原因の代名詞のように言われる「水のやりすぎ」ですが、これは正しくは「土の中に常に水が滞留し、酸素が入れ替わらないこと」が問題なんです。アンスリウムの根は空気を非常に好む性質があり、土の粒子との隙間に新鮮な空気が通ることで健康を維持しています。理想的な水やりとは、土の中の古い二酸化炭素を新しい水と一緒に鉢底から押し出す「空気の入れ替え」のような作業だと考えてみてください。
基本のルールは、「土の表面が指で触って乾いているのを確認してから、鉢底から水がザーザーと流れ出るまでたっぷりと与える」ことです。中途半端にコップ一杯分だけあげるようなやり方は、鉢の底に古い成分や老廃物を溜めてしまい、根を傷める原因になります。水やりをした後は、受け皿に溜まった水は必ずその場で捨てましょう。水が溜まったままだと土の隙間に空気が入らず、根が嫌気性発酵を起こして腐る原因になります。「土がしっかりと乾く時間」と「新鮮な水がたっぷりある時間」のメリハリをつけることが、アンスリウムの根を強く、太く育てるための最大の秘訣ですよ。
| 季節・成長段階 | 水やりのタイミングの目安 | 失敗しないための具体的なコツ |
|---|---|---|
| 成長期(5月〜9月) | 土の表面がさらっと乾いたらすぐ | 気温が高い日中は鉢内が蒸れるため、早朝か夕方の涼しい時間に。 |
| 移行期(10月〜11月) | 表面が乾いてから1〜2日待って与える | 気温の低下とともに水の消費が鈍るので、「本当に乾いたか」確認。 |
| 休眠期(12月〜2月) | 完全に乾いてからさらに3〜5日待つ | 冷たい水は根を煮るようなショックを与えるため、室温の水を使う。 |
特に冬場は、植物の代謝が落ちているため「極度の乾燥気味」に管理するのが鉄則です。土が湿った状態で夜間の冷え込みに当たると、一気に根腐れが進行してしまいます。鉢を持ち上げてみて、羽のように軽くなったときが水やりのサインかなと思います。季節ごとに変化するアンスリウムの「呼吸」のリズムを掴むことで、枯れるリスクを劇的に減らすことができますよ。水やりは単なる作業ではなく、植物との対話だと私は思っています。土の状態を常に観察し、適切なタイミングで潤いを与えることが、アンスリウムの育て方で枯れるのを防ぐ一番の特効薬になるんです。
冬の寒さで枯れるのを防ぐ室内の置き場所と温度

日本の冬は、熱帯植物であるアンスリウムにとって、生存限界を試される極めて厳しい季節です。コロンビアなどの温暖な地域が故郷の彼らは、15度を下回ると代謝がガクンと落ちて休眠状態に入り、10度を下回ると生存の危機に直面します。さらに5度付近になると、細胞内の水分が流動性を失い、細胞膜が破壊される「低温障害(寒害)」を引き起こします。これが、冬に急にアンスリウムが黒くなって枯れる最大の理由です。一度細胞レベルで破壊されてしまった部分は、残念ながらどれだけ温めても元に戻ることはありません。
冬の管理で最も危険なのは、夜間の「窓際」です。昼間はポカポカして暖かく見えても、放射冷却が起こる夜間になると窓際の温度は外気温と変わらないほど急降下します。寝る前には必ず、鉢を窓際から部屋の真ん中へ移動させてあげてください。また、冷たい空気は床付近に溜まる性質(コールドドラフト)があるため、床への直置きは厳禁です。フラワースタンドに乗せて高さを出すか、厚手の発泡スチロールの上に置くだけでも、体感温度は数度変わりますよ。段ボール箱で鉢を囲って二重構造にするのも、私たちがコートを着るような効果があって非常に有効です。
さらに注意したいのが、冬の「隠れた脱水」です。寒さで根が傷んでいると、春先に気温が上がったときに水を吸い上げられず、新芽が出る前に力尽きて枯れてしまうことがあるんです。これを防ぐためには、冬の間は水やりを控えつつも、霧吹きで暖かい時間帯に葉水をしてあげて、地上部の水分バランスを整えてあげることが大切です。最低でも15度以上、できれば20度程度をキープできる場所を見つけてあげれば、冬の間もアンスリウムは安心して過ごしてくれるはずですよ。冬越しは、春の美しい開花に向けた「忍耐の時期」と心得て、大切に守ってあげてくださいね。
根腐れから復活させるための植え替えと剪定の手順

「鉢の土から嫌な臭いがする」「葉が次々と黄色くなっていく」…そんな深刻な状況になっても、まだ諦めるのは早いです!アンスリウムはサトイモ科の植物特有の驚異的な生命力を持っているので、適切な外科的処置を行えば、復活の可能性は十分にあります。私はこれを「緊急オペ」と呼んでいますが、様子を見て時間を無駄にするのではなく、今すぐ鉢から抜いて根の状態を直接確認することが、生死を分ける分かれ道となります。根腐れが進むと茎まで腐敗(軟化崩壊)してしまうため、スピードが命です。
まず、株を鉢から抜いたら、古い土をシャワーなどで優しく洗い流してください。健康な根は白くて硬く、しっかりとした弾力がありますが、腐っている根は茶色や黒に変色し、触るとフカフカしていたり、スルスルと皮が剥けて中の細い芯(中心柱)だけが残ったりします。これらの腐った根は、清潔なハサミで「健康な白い部分」が見えるまで、躊躇なくすべて切り落としてください。少しでも腐敗部分が残っていると、そこから細菌が繁殖し、健康な部分まで浸食してしまいます。整理が終わったら、ベンレートやオーソサイドなどの殺菌剤を希釈した水に数分浸けて消毒してあげると、より復活の成功率が高まりますよ。
手術後の植え付けでは、元の鉢よりも「一回り小さな鉢」を使うのがポイントです。根が減った分、大きな鉢だと土が乾きにくくなり、再び根腐れを起こすリスクがあるからです。排水性の高い新しい土に植え付けた後は、直射日光を避けた明るい日陰で管理してください。このとき、土への水やりは極限まで控え、代わりに葉水(霧吹き)を1日1〜2回しっかり行って、葉からの乾燥を防ぎましょう。1ヶ月ほどして新芽や新しい根が動き出したら、それはアンスリウムが死の淵から生還したサインです!肥料はまだ我慢。自身の回復力で立ち上がるまで、そっと見守ってあげてください。こうした丁寧なお世話が、ダメだと思っていた一鉢を救う奇跡に繋がります。
適切な土の選び方と通気性を高めるブレンドのコツ

アンスリウムを枯らさないために、最も重要でありながら見落とされがちなのが「土」の物理的構造です。アンスリウムは本来、樹皮や岩場に根を露出させて生きる着生植物。そのため、彼らの根は土に潜るというよりは「空気を吸う」ための隙間を常に求めています。市販の一般的な観葉植物用の土は、汎用性を高めるために保水力が強めに設計されていることが多く、これがアンスリウムにとっては「酸素不足」を招く一因になり、根腐れを引き起こしてしまうんです。アンスリウムの育て方で枯れる原因の半分は、土選びで決まるといっても過言ではありません。
アンスリウムが喜ぶのは、「水がサッと抜けるけれど、根の周りの湿度(気中湿度)は保てる」という環境です。これを実現するためには、排水性と通気性を極限まで高めたオリジナルブレンドが最強です。ベースとなる観葉植物用の土に、軽石(小粒)やパーライト、そしてヤシ殻チップ(ベラボン)やバークチップを3割から5割ほど混ぜ込んでみてください。こうすることで土の中に大きな隙間ができ、水やりをしても水が停滞せず、根が常に新鮮な酸素に触れられるようになります。根っこが「深呼吸」できる環境こそが、枯れる悩みを解決する究極の答えなんですね。土の質を改善するだけで、水やりの難易度がグッと下がりますよ。
My Garden 編集部おすすめ!黄金のブレンドレシピ
自分で混ぜるのが大変な場合は、水苔(みずごけ)単体での植え付けも着生植物の性質に合っていて非常におすすめです。ただし、水苔は1〜2年で劣化して酸性化しやすいため、定期的な交換が必要になります。自分のライフスタイルや水やりの頻度に合わせて土を選んであげることが、アンスリウムとの長いお付き合いの第一歩になりますよ。根の健康は、土の通気性から始まります。
アンスリウムの育て方で枯れるリスクを下げる環境管理
ピンチを脱出してアンスリウムが元気を取り戻したら、次は二度と枯れることがないような「最強の環境」を維持していきましょう。アンスリウムは非常に生命力が強い一方で、環境の変化には敏感な面もあります。長期間にわたって安定した美しさを保つための、プロの視点に近い管理術をまとめてお伝えしますね。環境を整えることは、アンスリウムに「ここは安心できる場所だよ」と伝えてあげることなんです。
室内での光不足を解消するレースカーテン越しの光

アンスリウムが室内で徐々に衰弱して枯れる隠れた原因のトップは、実は「日照不足」による慢性的なエネルギー不足です。アンスリウムは日陰に強いと言われますが、それは「暗闇でも数ヶ月は耐えられる」ということであって、健全な成長には一定以上の光が絶対に必要です。光が足りなくなると光合成で作るエネルギー(炭水化物)が不足し、植物は自分の維持コストが高い古い葉や根を切り捨てる「炭素飢餓」の状態に陥ります。これが、葉が黄色くなったり、花がいつまでも咲かない理由の正体です。生存に必要な光量と、花を咲かせるための光量には大きな差があるんですね。
アンスリウムにとってのベストポジションは、「午前中の光がレースのカーテン越しに柔らかく差し込む窓辺」です。目安としては、スマホのルクス計アプリなどで測定して2,000〜3,000ルクス程度の明るさ。新聞がストレスなく読めるレベルの明るさが必要です。光をしっかり受けることで、アンスリウムの葉は厚みを増し、病害虫への抵抗力も高まります。また、ずっと同じ向きに置いていると、光に向かって首を伸ばす「徒長」を起こしてしまうので、1週間に一度は鉢を90度ずつ回してあげる「鉢回し」を習慣にしましょう。これだけで、株全体の光合成効率が均一になり、バランスの良い美しい姿を維持できますよ。
もし、窓際が狭かったり、北向きのお部屋で日光が全く確保できなかったりする場合は、最近非常に進化している「植物育成用LEDライト」を活用するのを強くおすすめします。特定の波長を強化したライトであれば、1日8時間から10時間ほど照射してあげるだけで、太陽光が当たらない場所でもプロが育てたような立派な株を維持することができます。光はアンスリウムにとってのご飯そのもの。お腹いっぱい光を食べさせてあげれば、枯れるリスクは激減します。室内での詳しい配置については、こちらの記事も併せて参考にしてみてくださいね。
葉水で湿度を保ちハダニなどの害虫被害を予防する

アンスリウムの育て方で枯れるという悩みの中には、実は害虫による被害がかなりの割合で混ざっています。特に警戒すべきは、目に見えないほど小さな「ハダニ」です。ハダニは高温で乾燥した空気が大好きで、エアコンを使用する室内では一年中発生のリスクがあります。葉の裏から大切な養分を吸い取り、葉の表面に白いカスリ状の斑点を作ります。被害が進むと光合成ができなくなり、最後にはカサカサに乾いて枯れ落ちてしまいます。一見すると「水不足」のように見えるため、気づかずに水を与えすぎて根腐れを併発させる、というのが最悪のパターンですね。
これを防ぐ最も簡単で、かつ最強のお手入れが霧吹きを使った「葉水(はみず)」です。ハダニは物理的に水に非常に弱いため、毎日1回、葉の裏側までしっかり濡らしてあげるだけで、発生を完璧に抑えることができます。また、葉水は空中湿度を50〜60%以上に保つのに役立ち、乾燥による葉先の枯れを防ぐだけでなく、気孔を開かせて光合成の効率をアップさせる効果もあります。「葉水は害虫予防であり、最高のサプリメントでもある」と私は考えています。毎日の葉水の際に、新芽の付け根に虫がいないか、ベタベタした排泄物(カイガラムシのサイン)がないかを確認する癖をつければ、枯れるトラブルを未然に防ぐことができますよ。清潔な葉は、アンスリウムの健康のバロメーターです。
肥料を与えるタイミングと肥料焼けを防ぐ注意点
「元気がないから、とりあえず栄養をあげよう」…この親心が、実は枯れかけのアンスリウムへのトドメになってしまうことがよくあります。弱っているアンスリウムの根は、栄養を吸い上げる力が極端に落ちています。その状態で肥料をあたえると、土の中の塩分濃度が高まり、浸透圧の原理で逆に植物から水分が吸い出されてしまう「肥料焼け」を引き起こします。これは私たちに例えると、重い胃腸炎のときに無理やりステーキを食べるようなもの。弱っているときほど、肥料は「毒」になると心得てください。
肥料をあげるのは、アンスリウムが元気に新しい葉や花芽を出している成長期(5月〜10月)だけに限定しましょう。与える量も、パッケージに記載されている規定量よりも「さらに半分から3分の1程度」に薄めて使うのが、失敗しないコツです。アンスリウムは一度にドカ食いするより、薄い栄養をじわじわと長く吸収するのが得意な性質を持っています。もし、なんとなく調子が悪かったり、環境を変えた直後だったりする場合は、肥料は一切ストップして、「きれいな水」と「良い環境」だけで見守ってあげる勇気を持つことが、長く共生するための秘訣ですよ。
なお、適切な肥料のバランスについては学術的な研究でもその有効性が示されています。肥料成分が成長に与える影響を理解することは重要ですが、それはあくまでも「健康な株」が前提であることを忘れないでくださいね。(出典:Indian Council of Agricultural Research『Effect of media and foliar spray of primary nutrients (NPK) on growth and yield of Anthurium』)栄養バランスを整えることは大切ですが、アンスリウムの育て方で枯れる原因を自ら作らないよう、施肥のタイミングには細心の注意を払いましょう。
肥料焼けが疑われるときの応急処置
もし肥料を与えた後に葉先が急に黒ずんだり、土の表面に白い粉状のものが浮いてきたりしたら、肥料焼けのサインです。すぐに浴室などで、鉢底から水が大量に抜けるまでたっぷりと灌水し、土の中の余分な肥料成分を洗い流してください。その後は数週間、肥料を断って明るい日陰で安静にさせ、アンスリウム自らの回復を待ちましょう。焦りは禁物ですよ。
根詰まりを解消して成長を促す鉢のサイズ選び
アンスリウムを同じ鉢で2年以上育てていると、鉢の中が太い根っこでパンパンになる「根詰まり」の状態になります。アンスリウムの根は非常に旺盛なので、放っておくと土の粒子を押し出し、鉢の中が根っこだけの「根鉢」になってしまいます。こうなると土の隙間(空気の通り道)が完全になくなってしまい、根が窒息して呼吸困難に陥り、徐々に下葉から枯れ始めます。鉢底から根が飛び出していたり、水やりをしても水が表面に溜まってなかなか沈んでいかないのは、アンスリウムからの「もうお家が狭いよ!」という悲鳴です。
根詰まりを解消するには植え替えが必要ですが、ここで最も大切なのが鉢のサイズ選びです。「大きければいい」と思って極端に大きな鉢に植え替えるのは、実は枯れる原因になります。土の量が多すぎると、根が吸いきれない水分が土の中にいつまでも残り、鉢内が常に過湿状態となって根腐れを引き起こす「鉢の不一致」という現象が起きるからです。新しい鉢は、今の鉢よりも直径が3cmほど大きい「一回りサイズ」を厳守しましょう。適切なサイズの鉢で、通気性の良い新しい土に植え替えてあげれば、アンスリウムの根は再び勢いよく呼吸を始め、地上部も驚くほど生き生きとした輝きを取り戻しますよ。植え替えは、アンスリウムに新しい人生をプレゼントするような素敵なイベントなんです。
茎伏せや挿し木で弱った株を再生させる繁殖方法

もし、根腐れが進行して根が全滅してしまったとしても、アンスリウムを諦めるのはまだ早いです。アンスリウムには、茎にある節(ノード)から新しい根や芽を出すという、バックアップシステムのような再生能力が備わっています。これを利用して、「茎伏せ」や「挿し木」を行うことで、枯れかけたボロボロの株から新しい命を吹き込み、クローンとして復活させることができるんです。茎さえ生きていれば、またゼロからやり直せるのがアンスリウムの凄さですね。
再生のステップは非常にシンプルです。まず、まだ緑色をしていて硬い茎の部分を選び出し、節が少なくとも1〜2つ入るようにカットします(このとき、腐っている部分は完全に切り落とします)。それを湿らせた清潔な水苔で優しく包み、乾燥しないように透明なポリ袋に入れたり、明るい日陰で管理したりするだけ。数週間から1ヶ月ほどで、節の横から白くて力強い「気根」が伸び出し、新しい葉が芽吹いてきます。この瞬間は、何度経験しても感動するものですよ。親株を救えなかったとしても、その命を次の世代に繋ぐことができるんです。
アンスリウムの育て方で枯れる悩みを解決するまとめ
アンスリウムを枯らさないための長い旅、お疲れ様でした!この記事を通じて、アンスリウムの育て方で枯れる原因のほとんどが、実は「根っこの酸素不足」や「ちょっとした環境の不一致」から来ていることがお分かりいただけたかと思います。アンスリウムは決して難しい植物ではありません。むしろ、熱帯の過酷な環境を生き抜くための強靭な生命力を秘めています。私たちがほんの少し、彼らの目線に立って「居心地の良いジャングル」を再現してあげるだけで、彼らは最高のパフォーマンスで応えてくれます。毎日葉を眺め、その色やツヤに一喜一憂する…そんな丁寧な時間が、あなたのアンスリウムをより生き生きと輝かせてくれるはずです。あなたのお部屋に、またあの宝石のような鮮やかな花が咲き誇る日を、私も心から楽しみに応援しています!
※ここで紹介した管理方法や数値データは、一般的な家庭環境における目安です。お住まいの地域の気候や、部屋の気密性・断熱性によって最適な方法は多少変わります。正確な情報は専門の書籍も参考にし、最終的な判断は園芸店のスタッフさんなど専門家のアドバイスも受けてみてくださいね。
この記事の要点まとめ
- 枯れる最大の直接原因は「根の酸素不足」による窒息と根腐れである
- 下葉が黄色くなるのは根の異常や水不足により栄養を新芽へ転流させているサイン
- 葉先や縁が茶色く枯れるのは空気の極度な乾燥や重度の水切れが主な要因
- 直射日光は短時間でも葉の細胞を物理的に破壊する葉焼けを引き起こす
- 水やりは土の表面が完全に乾いたことを確認してから鉢底から出るまでたっぷりと
- 鉢皿に溜まった水は根腐れ菌(ピシウム菌など)の温床になるため必ずその都度捨てる
- アンスリウムは寒さに極めて弱く冬の間は15度以上を保つのが理想的な管理
- 夜間の窓際は放射冷却で急激に冷え込むため部屋の中央へ移動させて保温する
- 冬の水やりは根へのショックを防ぐため水道水ではなく常温のぬるま湯を使う
- 根腐れした場合は腐敗した組織をすべて外科的に切除して新しい土に植え替える
- 土は通気性を最優先しバークチップや軽石を5割ほど混ぜたブレンドがおすすめ
- 室内ではレースのカーテン越しに数時間の日光を当てることで光合成を最大化させる
- 毎日の葉水(シリンジ)はハダニ予防と湿度の維持に絶大な効果がある
- 弱っている株への施肥は逆効果となり「肥料焼け」でトドメを刺すので厳禁
- 根が壊滅状態でも茎の節(ノード)が生きていれば茎伏せで100%再生が可能
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