こんにちは、My Garden 編集部です。
せっかく綺麗に咲いたアマリリス、翌年も同じように立派な花を咲かせたいですよね。でも、花が終わった後に球根がしぼんでしまったり、翌年は葉っぱばかりで花が咲かなかったりと、意外と管理が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。実は、アマリリスの球根を太らせるためには、開花で使い果たしたエネルギーを効率よく補充してあげる特別なステップが必要なんです。この記事では、初心者の方でも無理なく実践できるアマリリスの球根を太らせるための具体的な方法や、肥料の与え方、休眠期の過ごし方について分かりやすくお届けします。これを読めば、あなたの家のアマリリスも毎年力強く大輪を咲かせてくれるようになるはずですよ。
この記事のポイント
- 開花後に消耗した球根を回復させるための初動管理
- 球根の肥大に直結する光合成を最大化させる葉の育て方
- 効率的にエネルギーを蓄えるための戦略的な施肥プラン
- 翌年の花芽形成を確実にするための休眠期と温度のコントロール
アマリリスの球根を太らせる生理学的メカニズムと基礎知識
アマリリスを育てる上で、まずは球根の中で何が起きているのかを知っておきましょう。球根が太るというのは、単にサイズが大きくなるだけでなく、内部にデンプンというエネルギーがぎっしり詰まった状態を指します。ここでは、球根がエネルギーを蓄える仕組みを紐解いていきます。アマリリスの「鱗茎(りんけい)」は、葉の基部が肥大して重なり合ったもので、ここが植物全体の貯蔵タンクとしての役割を果たしています。このタンクがいっぱいにならない限り、翌年の花を楽しむことはできません。
花後の花茎切りと種子形成を防ぐ重要性

アマリリスの花が咲き終わった後、一番にやってほしいのが「花がら摘み」です。そのままにしておくと植物は子孫を残そうとして種子を作りはじめるのですが、これには膨大なエネルギーが必要になります。本来なら球根を太らせるために使いたい栄養が、すべて種子に奪われてしまうんですね。植物にとって種子を作るという行為は、次世代へ命を繋ぐための最大イベントであり、親である球根の身を削るほどの重労働なんです。この「子育て」にエネルギーを使わせてしまうと、球根自体の回復が大幅に遅れてしまいます。
花が終わったら、花の付け根にある膨らんだ部分(子房)を含めてカットしましょう。こうすることで、無駄なエネルギー消費をピタッと止めることができます。私たちが目指すのは、あくまで「球根の肥大」ですから、種子に栄養を行かせてはいけません。また、花茎自体の処理についても悩む方が多いですが、花茎も実は光合成を行っており、中には水分や養分が蓄えられています。そのため、自然に黄色くなってしおれるまで待ってから切るのが生理学的には理想的です。このしおれていく過程で、花茎内の栄養がゆっくりと球根へと「還流」していくからです。
ただし、梅雨時期など湿度が高い時期は、しおれた花茎からカビ(灰色かび病など)が発生するリスクもあります。見た目や衛生面が気になる場合は、無理に放置せず、すべての花が終わった段階で根元から3〜5cmほど残して清潔なハサミで切ってしまっても、その後の生育に大きなマイナスにはなりませんので安心してくださいね。切る際は、雑菌の侵入を防ぐために晴れた日を選び、よく切れるハサミを使用するのがベストです。
生理的消耗と回復のタイムスケジュール
開花直後の球根は、例えるならフルマラソンを走り終えた直後のランナーのような状態です。内部のデンプンを使い果たし、物理的に一回り小さくなっていることも珍しくありません。この「消耗モード」から「蓄積モード」へいかに早く切り替えさせるかが、来年の花を左右する最大の分かれ道となります。お礼肥を施し、葉を日光に当てる準備を整えるこの初動が、後の肥大効率を決定づけます。消耗が激しいまま放置すると、球根が慢性的なエネルギー不足に陥り、翌年は葉すら満足に出ない「休眠打破の失敗」に繋がることもあります。
光合成を最大化させる葉の枚数と健康維持の秘訣

球根を太らせるための「工場」は、地上にある葉っぱです。アマリリスの場合、健康な葉が4枚増えるごとに、球根の中に花芽が1つ分化するという非常に明確な生理的法則があります。つまり、秋の休眠期までにどれだけ多くの葉を元気に維持できるかが、翌春に咲く花の数と直結しているのです。例えば、葉が8枚あれば2本、12枚あれば3本の花茎が期待できるというわけですね。この枚数を稼ぐためには、成長期の初期にいかに旺盛な新葉を展開させるかが鍵となります。
そのため、緑色をしている葉っぱは、どんなことがあっても絶対に切らないでください。「場所を取るから」「少し端が枯れているから」と剪定してしまうのは、球根への送電線を自ら断ち切るようなものです。葉が光を浴びて作り出した糖分は、目に見えない速さで球根へと運ばれ、そこでデンプンに形を変えて蓄えられます。これが「球根が太る」という現象の正体です。目標は、秋までに最低でも8枚から10枚の葉をキープすること。一枚一枚の葉を、翌年の大輪を支えるソーラーパネルだと思って大切に扱いましょう。
| 葉の枚数 | 期待できる花芽数 | 球根の状態 |
|---|---|---|
| 4枚未満 | 0〜1本(咲かない可能性あり) | 維持が精一杯。来年は休ませるべき。 |
| 4〜8枚 | 1〜2本 | 標準的な肥大。一般的な開花が可能。 |
| 8〜12枚 | 2〜3本 | 非常に充実している。大輪複数が期待大。 |
健康な葉を維持するためには、埃を拭き取ったり、病害虫のチェックを怠らないことも大切です。特に室内管理の場合は葉に埃がたまりやすく、これが光合成の効率を下げてしまいます。時々濡れた布で優しく拭いてあげると喜びますよ。葉が生き生きとツヤを保っている状態こそ、球根が猛スピードで太っているサインなのです。葉が黄色くなるのは、基本的には秋の休眠期だけ。それ以外の時期に黄色くなる場合は、根腐れや肥料不足を疑いましょう。
カリ成分を重視した肥料の選び方と与えるタイミング

アマリリスは「大食漢」な植物です。その大きな体と豪華な花を維持するためには、他の球根植物に比べても多めの肥料を必要とします。特に球根を太らせる時期には、肥料の配合バランスが重要になります。植物の成長に欠かせない三大栄養素(窒素・リン酸・カリ)の中で、この時期の主役は「カリウム(加里)」です。カリウムは、植物の体内での物質輸送を円滑にする働きがあります。
カリウムは「根肥(ねごえ)」とも呼ばれ、細胞内の浸透圧を調節し、葉で作った同化産物(糖)を球根へスムーズに転送するポンプのような役割を果たします。これに対して窒素(N)が多すぎると、葉ばかりが茂って球根の組織が軟弱になりやすいため、注意が必要です。球根を硬く、密度濃く太らせるにはカリウムが欠かせません。
具体的な施肥設計としては、以下の3段階で体系的に考えましょう。
- 元肥(もとごえ):植え替え時に緩効性肥料(マグァンプKなど)を土に混ぜ込み、数ヶ月にわたって基礎的な栄養を供給します。
- お礼肥(おれいごえ):開花が終わった直後に、リン酸とカリが多めの肥料を与えて、枯渇したエネルギーを即座に補填します。これが来年のためのスタートダッシュになります。
- 追肥(ついひ):春から秋の成長期にかけて、10日から2週間に1回、希釈した液体肥料(ハイポネックス等)を水やり代わりに与えます。
肥料を与える際の注意点として、真夏の猛暑日や冬の休眠期は、植物の活動が止まっているため施肥はストップします。この時期に無理に肥料を与えると、吸収されない肥料成分が土の中で濃度を高め、「根焼け」を起こしてしまいます。肥料の与えすぎは、逆に球根を傷める原因になるんです。植物が「食べたい(成長している)」と言っている時期に、質の良い食事を適量提供することが、理想的なデンプン蓄積に繋がるのです。
直射日光を好む性質と夏場の遮光対策

アマリリスは太陽の光をエネルギーに変える陽生植物です。日当たりの悪い室内などで管理していると、葉がひょろひょろと長く伸びる「徒長(とちょう)」を起こし、自重で折れてしまうこともあります。こうなると光合成効率は極端に下がり、球根はどんどん痩せていってしまいます。春と秋の過ごしやすい季節は、可能な限り屋外の直射日光が当たる場所で管理しましょう。太陽の光こそが、球根を太らせるための最強のガソリンです。紫外線は植物の組織を強くする効果もあります。
しかし、近年の日本の夏はアマリリスにとっても過酷です。気温が35度を超えるような酷暑日には、植物の代謝が狂い、光合成よりも呼吸によるエネルギー消費が上回ってしまうことがあります。これを「呼吸損」と呼び、蓄えたデンプンを切り崩して生きる状態になってしまいます。また、強烈な西日は葉の細胞を急激に加熱し、壊死させる「葉焼け」を引き起こします。葉焼けした部分は二度と元に戻らず、光合成もできなくなります。
夏の最高気温が続く時期(7月下旬〜8月)は、30%〜50%程度の遮光ネットを利用するか、風通しの良い明るい日陰に移動させてあげましょう。呼吸によるエネルギーロスを抑え、葉の健康を守ることが、結果として秋の肥大に大きく貢献します。遮光をすることで葉の温度上昇を防ぎ、光合成を効率的に継続させることができます。
特に夜間の温度を下げる工夫も有効です。コンクリートの上に直接鉢を置くと、夜間も鉢内の温度が下がらず呼吸が止まりません。フラワースタンドに乗せて床からの熱を遮断したり、夕方に鉢の周りに打ち水をしたりするだけでも、エネルギーの浪費を抑えることができます。昼はしっかり光を浴びせ、夜は涼しく休ませる。このサーカディアンリズムのメリハリが、球根をどっしりと硬く太らせる秘訣です。
浅植えで根の呼吸を助け物理的な肥大スペースを確保する

アマリリスの植え付けにおける最大のポイントは、意外にも「浅植え」です。チューリップやユリなどの他の球根と同じ感覚で土を被せてしまうと、アマリリスの場合は成長が鈍ったり、最悪の場合は球根が腐りやすくなったりすることがあります。理想的な深さは、球根の上部(肩の部分)が3分の1から半分ほど地上に露出している状態です。この独特の植え方はアマリリス栽培の鉄則と言えます。
なぜ浅植えが良いのでしょうか?理由の一つは、球根の頂部(成長点)付近に湿気が溜まるのを防ぐためです。ここが常に湿っていると、中心部から腐食が始まるリスクが高まります。もう一つは、物理的なスペースの問題です。球根が地上に出ていることで、周囲の土の重圧に邪魔されることなく、自由に横へと肥大していくことができます。また、球根自体もわずかに光合成を行っているという説もあり、日光に当たることで組織が硬く締まる効果も期待できます。
また、鉢のサイズ選びも重要です。大きすぎる鉢は土が乾きにくく、根腐れを招きます。逆に小さすぎると根が回ってしまい、新しい根が出るスペースがなくなります。球根の周りに指1〜2本分が入るくらいの「やや窮屈」な鉢からスタートし、球根が成長して鉢の縁に当たりそうになったら、一回り大きな鉢へステップアップさせていきましょう。植え替えは、2〜3年に1回、花後の5〜6月頃に行うのがベストです。このとき、古い根を整理してあげると、新しい根の発生が促され、さらに球根が太りやすくなります。
排水性の高い用土選びと根腐れを防ぐ水やりのコツ

球根を太らせるためには、まず「健康な根」が必要です。根がボロボロでは、どんなに高価な肥料を与えても吸収されません。アマリリスの根は白くて太い「肉質根」であり、酸素を非常に多く必要とします。そのため、水持ち(保水性)よりも「水はけ(排水性)」と「通気性」を最優先した土作りが欠かせません。土の中に酸素が豊富にあることで、根の細胞分裂が活発になり、球根へと送る栄養の吸収力が高まります。
おすすめの配合例は、赤玉土(中粒)6:腐葉土3:くん炭1といった、隙間の多い構成です。市販の培養土を使う場合でも、パーライトや軽石を2〜3割ほど混ぜてあげると、さらに水はけが向上します。土が常にジメジメしている「過湿」の状態が続くと、根は呼吸困難に陥り、数日で腐ってしまいます。根が腐れば球根も痩せ、最悪の場合は全体が溶けるように枯れてしまいます。特にプラスチック鉢を使用する場合は、土が乾きにくいので注意が必要です。
水やりのコツは、まさに「土との対話」です。
- 観察:土の表面が白っぽく乾き、指で触っても湿り気を感じなくなったら水やりのサインです。
- 実行:鉢底から水が勢いよく流れ出るまでたっぷりと与えます。これにより、土の中の古い空気(二酸化炭素)を押し流し、新鮮な酸素を引き込むことができます。
- 後始末:受け皿に溜まった水は必ず捨ててください。これが溜まっていると、土の底が常に水浸しになり、根腐れを確実に引き起こします。
「乾いている時間」をあえて作ることで、根は水を求めてたくましく、広く伸びようとします。この「喉が渇いた状態」を経験させることが、強く張った根系を作り、最終的に球根を巨大化させるための強固なインフラとなるのです。
実践的なアマリリスの球根を太らせるための高度な管理技術
基礎を抑えたら、次はプロの生産現場でも意識されているような高度なテクニックをご紹介します。日々のルーティンに少しの工夫と知識を加えるだけで、球根の成長スピードと来年の花映えは劇的に変わります。My Garden 編集部がおすすめする、絶対に失敗したくない方のためのテクニックを見ていきましょう。
赤斑病や害虫から葉を守る適切な消毒と衛生管理

せっかく育てた「光合成工場」である葉が、病気でダメージを受けては元も子もありません。アマリリス栽培で最も警戒すべきなのが「赤斑病(せきはんびょう)」です。これは糸状菌(カビ)が原因で、葉や花茎に不気味な赤い斑点や線が現れ、次第にその部分が腐り落ちてしまいます。葉面積が減少すれば光合成能力も落ち、球根への貯蔵が進まなくなるばかりか、球根内部まで腐敗が進行することもあります。
赤斑病を未然に防ぐには、何よりも「湿度と風通し」の管理が重要です。水やりの際に葉の付け根(筒状になっている部分)に水が溜まらないようにし、特に長雨の季節は、雨の当たらない場所に避難させるのが鉄則です。もし病変を見つけたら、初期のうちに患部を切り取り、ダコニールやトップジンMなどの殺菌剤を散布しましょう。また、傷口から菌が入りやすいため、ハサミを使う際は必ず消毒したものを使用し、切り口には癒合剤を塗ると安心です。植物の防御力を高めるために、ケイ酸肥料を与えるのも一つの手ですね。
また、目に見えない害虫「ネダニ」にも注意が必要です。これらは地中の球根の付け根を食害し、根をボロボロにしてしまいます。地上の葉に原因がないのに球根が萎んでくる場合は、ネダニを疑いましょう。植え付け時にオルトランDXなどの浸透移行性殺虫剤を土に混ぜ込み、シーズン中も定期的に薬剤を施用することで、害虫によるエネルギーロスを最小限に抑えることができます。健全な葉と根を守り抜くこと。これが球根肥大への最短距離です。
子球へのエネルギー分散を防ぐ分球と植え替えの判断
アマリリスを大切に育てていると、親球の根元から小さな「子球」がひょっこりと顔を出すことがあります。これは増殖のサインであり嬉しいことなのですが、「親球をできるだけ大きくしたい」という目的がある場合には、少しシビアな判断が必要です。なぜなら、子球は独り立ちできるまでの間、親球が蓄えた、あるいは作った栄養を優先的に吸い取って成長するからです。いわば親球のエネルギーを「横取り」している状態なんですね。
もし、親球のサイズを最大化し、来年確実に巨大な花を咲かせたいのであれば、子球に栄養を行かせすぎないように管理する必要があります。ただし、小さすぎるうちに無理に剥がすと、親球の組織を大きく傷つけ、そこから腐敗が始まるリスクがあります。切り離す目安は、子球が親球の3分の1程度の大きさ(直径3〜5cm)になり、子球自身からもしっかりとした根が出ているのを確認してからにしましょう。
分球の作業は、植物が完全に休眠している1月〜3月頃に行うのが最も安全です。分けた後は、切り口に草木灰や市販の殺菌粉末を塗って乾燥させてから植え付けます。一方で、親球がすでに十分に大きく(直径10cm以上など)、特に分ける必要を感じない場合は、そのままにしておいても構いません。数年後には、親と子が同時に咲き誇る豪華な「クランプ(株立ち)」を楽しむことができます。目的が「個体の肥大」か「全体のボリューム」かで判断を変えましょう。
栄養回収を完結させる秋の休眠誘導と水断ちのやり方

球根太らせ作戦のクライマックスであり、最も重要な仕上げが、秋から冬にかけての「休眠管理」にあります。10月中旬を過ぎ、夜の最低気温が15度を下回るようになったら、徐々に水やりの回数を減らしていきましょう。そして11月に入り、葉が少し黄色味を帯びてきたら、完全に水を止める「完全断水」を実行します。この決断が翌年の花を決めます。
水を与えなくなることで、アマリリスは「もう成長できない」と判断し、生存戦略を切り替えます。具体的には、地上部の葉に含まれるすべての水分、糖分、アミノ酸などの養分を、球根の中枢へと一気に引き上げ始めます。これが「エネルギーの回収」です。この時、葉は徐々にしおれ、カラカラに乾いていきます。このプロセスを経て初めて、その年に葉で作ったすべての成果が球根内にデンプンとして固定されるのです。見た目が悪いからと、まだ青い葉を切ってしまうのは、回収中の財産をゴミ箱に捨てるようなものです。
完全に枯れた葉は、根元からポロッと簡単に取れるようになります。そうなれば、球根内部は糖度が高まり、寒さに対する耐性も備わったことになります。この「じっくりと枯れるのを待つ」という時間が、翌春の爆発的な開花エネルギーを熟成させているのです。慌てて片付けず、植物自らが準備を整えるのを静かに見守ってあげましょう。
翌年の花芽形成を促す冬場の適切な温度管理と保管方法
休眠に入った球根は、春を待つための「冬ごもり」に入ります。ここで最も避けなければならないのは、球根を凍らせてしまうことです。アマリリスの球根は非常に水分(貯蔵養分)を多く含んでいるため、一度凍結すると細胞壁が破壊され、解けたときには中身がドロドロに腐ってしまいます。寒冷地の方はもちろん、温暖な地域でも氷点下になる夜は室内へ取り込むなど、最低でも5度以上をキープできる環境を整えてください。
ただし、温かければ良いというわけでもありません。アマリリスには、一定期間(約2ヶ月以上)の低温(10度前後)を経験することで、内部の花芽が休眠から覚醒し、開花の準備を整えるという性質があります。年中暖房の効いた部屋に置いていると、春になっても花が咲かず、葉だけが勢いよく伸びてしまう「不時現象」が起きやすくなります。
保管場所の理想は、5度から12度くらいの、乾燥した暗所です。鉢植えのまま乾燥させておくのが根を傷めず最もおすすめですが、場所を取る場合は掘り上げておがくずや新聞紙に包んで段ボールに入れ、床下収納などに置くのも手です。冬の間は一切の水やりは不要です。時々球根を優しく押してみて、ブヨブヨしていないかだけチェックしてあげましょう。春に新芽がわずかに動き出すまで、じっくりと眠らせてあげることが、充実した開花への近道です。
小さくなってしまった球根を再生させる摘蕾とリハビリ栽培

「去年咲かせすぎて、球根がスカスカになってしまった…」という場合でも、諦める必要はありません。球根植物には驚異的な再生能力が備わっています。ただし、元のサイズに戻すには1〜2年の「リハビリ期間」を設ける必要があります。この時期に最も効果的なのが、あえて花を咲かせない「摘蕾(てきらい)」という手法です。これはプロの育苗家も行う確実なリフレッシュ法です。
春になり、弱った球根からでも健気に花芽が出てくることがありますが、ここで花を咲かせてしまうと、残されたわずかなエネルギーを使い果たし、球根が消滅(死滅)してしまうことさえあります。蕾が数センチ伸びた段階で、その根元をハサミでカットしてください。花を諦めることで、植物は「今年は自分の体力を戻すことに専念しよう」とモードを切り替えます。開花に使われるエネルギーは膨大なので、これをすべて葉と球根の肥大に転用できるメリットは計り知れません。
その後のリハビリ管理は、通常よりも少し丁寧に行います。
- 日照:屋外の風通しの良い特等席で、光合成を最大化させます。
- 肥料:一度にたくさん与えず、薄めの液体肥料を週に一度など、吸収しやすい形で継続的に与えます。
- 土壌環境:必ず新しい清潔な土(水はけ抜群のもの)に植え替え、根の再生をサポートします。
このリハビリを1シーズン完遂すれば、秋には驚くほどどっしりと重みのある球根に復活しているはずです。1年の我慢が、その後の10年の開花を守ります。
鉢植えと地植えにおける管理の違いと注意点
アマリリスは、鉢植えと地植えのどちらでも育てられます。球根を太らせるという観点では、地植えの方が根が自由に伸びるため巨大化しやすいですが、日本の気候においては管理のしやすさから鉢植えが推奨されることが多いです。ご自身の栽培環境に合わせて、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
| 管理方法 | 球根肥大へのメリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 鉢植え | 日当たりや温度、水やりを完璧にコントロールでき、病気の発見も早い。 | 土の量が限られるため、真夏の肥料切れや水切れを起こしやすい。 |
| 地植え | 根が制限なく伸び、土の温度が安定するため、環境が合えば爆発的に太る。 | 長雨による腐敗リスクが高く、冬の凍結対策(掘り上げ)が大変。 |
地植えにする場合は、特に「排水性」が最優先です。粘土質の土壌なら、川砂やパーライトを大量に混ぜ、少し土を盛り上げた「高畝(たかうね)」に植えるのがコツです。また、冬に地面が凍る地域では、11月には必ず掘り上げて室内へ避難させる必要があります。正確な耐寒温度は品種によっても異なりますので、心配な場合は「5号〜6号程度の鉢」で管理し、季節ごとに最適な場所へ移動させてあげるのが、最も確実かつ効率的な「太らせ方」と言えるでしょう。最終的な判断は、お住まいの地域の最低気温を確認した上で行ってくださいね。
豊かな開花を毎年楽しむアマリリスの球根を太らせるコツ
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。アマリリスの球根を太らせるための旅、いかがでしたでしょうか。難しく感じたかもしれませんが、一番大切なのは「葉っぱを大切にすること」と「メリハリのある水やり」、そして「冬の寒さから守ること」という3点に尽きます。アマリリスは非常に長命な植物で、正しく管理すれば数十年以上も付き合える素晴らしいパートナーになります。
球根は、私たちが注いだ愛情と手間に正直に反応し、その成果を「サイズと重み」という形で教えてくれます。去年の植え替え時よりも一回り大きくなり、手に持ったときにずっしりとした重厚感を感じた時の喜びは、園芸好きにはたまらない瞬間ですよね。その重みこそが、来春に咲き誇る大輪の花たちの命そのものなのです。一つ一つの作業に意味があることを知れば、日々の水やりももっと楽しくなるはずです。
植物を育てる喜びは、こうした日々の小さな変化に気づき、対話を重ねるプロセスにあります。ぜひこの記事を参考に、あなたのアマリリスを「自慢の巨大球根」に育て上げてみてください。毎年春、あなたの庭やリビングに、目も眩むような美しい花が咲き乱れることを心から願っています。何か困ったことがあれば、またいつでもこの記事を読み返しに来てくださいね。
この記事の要点まとめ
- 花が終わったらすぐに子房ごと花がらを摘んで無駄なエネルギー浪費を止める
- 緑色の葉は翌年の花を作るための唯一の工場なので秋まで絶対に切らない
- 健康な葉が4枚増えるごとに球根内部で新しい花芽が1つ分化される
- カリウム分の多い肥料を優先し葉で作った糖を球根へ効率よく送り込む
- 春と秋は屋外の直射日光にたっぷり当てて光合成による蓄積を最大化する
- 35度以上の酷暑日は遮光ネットや半日陰への避難で呼吸による消耗を防ぐ
- 球根の肩が土から露出する程度の浅植えにして腐敗防止と肥大を促進する
- 水やりは土の表面が白く乾いてから鉢底から溢れるまでたっぷり与える
- 排水性と通気性の良い土を選び根に新鮮な酸素が行き渡るようにする
- 赤斑病を防ぐため水やりの際に葉の付け根に水を溜めないよう注意する
- 11月からは完全に断水をし葉に残った全ての養分を球根へ回収させる
- 休眠中の球根は5度〜12度程度の凍結しない涼しい暗所で春を待つ
- 球根が極端に痩せている場合は蕾を早めに摘んで1年間のリハビリに徹する
- 2〜3年に一度は一回り大きな鉢に植え替えて根域の環境をリセットする
- 毎年の植え替え時に球根のサイズや重さを記録して成長を可視化する
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