こんにちは、My Garden 編集部です。
庭先やリビングを華やかに彩るアマリリスですが、せっかくお迎えしたのに2年目からアマリリスの花が咲かないと悩んでいる方は意外と多いのではないでしょうか。実は、葉ばかり茂る状態や球根が太らないのには、植物なりの理由があるんです。この記事では、アマリリスの花が咲かない原因を紐解きながら、初心者の方でも実践できる栽培のヒントをお届けします。私と一緒に、来年こそは大輪の花を咲かせる準備を始めてみましょう。
この記事のポイント
- 球根にエネルギーを蓄えるために必要な葉の枚数と栄養バランスについて
- 日光不足や水のやりすぎが株の健康に与える具体的な影響
- 花芽を形成するために欠かせない休眠期の管理と温度条件
- 植え付け時の深さや鉢のサイズが成長に及ぼす物理的な要因
アマリリスの花が咲かない主な原因と生理学的な背景
アマリリスが花を咲かせるには、球根の中に十分なスタミナが蓄えられていなければなりません。まずは、なぜ花芽ができないのか、植物の体の仕組みから探ってみましょう。一見元気そうに見えても、植物の内部では「開花の準備」が整っていないケースが非常に多いのです。
葉の枚数と球根に蓄えられるエネルギーの関係

アマリリスにとって、葉はエネルギーを作る唯一の工場のようなものです。植物生理学的な視点で見ると、アマリリスの開花予見において最も信頼性の高い指標は「葉の枚数」だと言えます。多くのアマリリス品種は、健全な葉が4枚展開するごとに、その葉腋(葉の付け根)に1つの花芽を形成するという非常に規則正しい性質を持っています。これは単なる偶然ではなく、光合成によって生成された同化産物が一定量に達したタイミングで、植物ホルモンが反応し花芽分化が起こるためです。
つまり、翌年に1本の花茎を楽しみたいなら最低でも4枚、豪華に2本の花茎を期待するなら8枚の健康な葉を、秋の休眠期まで維持し続けることが絶対条件となります。この「4枚」という単位は、1つの大きな花を成熟させるために必要な栄養(同化産物)を供給するための最小限のユニットなのです。もし夏場に葉が折れたり、病気で枯れたりして枚数が減ってしまうと、球根は「今は自分の命を守るのが精一杯で、花を咲かせる余裕はないな」と判断し、翌年の開花をキャンセルしてしまいます。開花という行為は植物にとって最大のエネルギー消費プロセスであり、前年度の貯蓄がすべてを左右するんですね。
特に購入初年度の球根は、生産者が完璧に仕上げているため、水だけでも花が咲くことがあります。しかし、問題はその次です。花が咲き終わった後、どれだけ葉を大切に育てられたかが、2年目以降に「アマリリスの花が咲かない」事態を防ぐ唯一の方法と言っても過言ではありません。葉が早期に枯死することは、そのまま来季の開花能力の喪失を意味することを覚えておきましょう。
葉の枚数による開花予測の目安
| 葉の枚数 | 開花の可能性 | 球根の状態 |
|---|---|---|
| 4枚未満 | 極めて困難 | エネルギー不足。維持モード。 |
| 4〜6枚 | 1本の花茎が期待できる | 最小限の蓄えがある状態。 |
| 8枚以上 | 2本以上の花茎が期待できる | 理想的な栄養蓄積状態。 |
| 12枚以上 | 多花・大輪の可能性大 | 極めて充実した超健康体。 |
葉ばかりが茂る原因となる窒素過多と栄養バランス

「葉は青々と茂っていて、枚数も十分なのに、なぜか花が咲かない」という経験はありませんか?この現象の多くは、植物体内の「C/N比(炭素窒素比)」のバランスが崩れていることに起因します。C/N比とは、植物に含まれる炭素(炭水化物)と窒素の比率のことで、このバランスが生殖成長(花を咲かせること)に大きな影響を与えます。窒素は植物の体(葉や茎)を作るために必須の栄養素ですが、これに偏りすぎると、植物は子孫を残す(花を咲かせる)プロセスを後回しにしてしまいます。
特に窒素分が多い肥料を過剰に与え続けると、植物は「今は環境が豊かだから、もっと体を大きくして、葉を広げるべき時期だ!」と判断してしまい、エネルギーをすべて栄養成長に費やしてしまいます。その結果、見た目は非常に立派で青々としていても、中身は花芽を作る準備ができていない、いわば「メタボリックな株」になってしまうのです。また、球根を深く植えすぎている場合、土中の窒素分を優先的に吸収しやすくなる特性があり、これがさらに葉の異常な繁茂と球根肥大の停滞を招くことも報告されています。
さらに、窒素過多の状態は植物の組織を軟弱にし、後述する病害虫の被害を受けやすくなるというデメリットも持ち合わせています。「葉ばかり茂る」という悩みは、実は愛情(肥料)の与え方を少し間違えてしまったサインかもしれません。適切な栄養バランス、特に花芽を充実させるリン酸とのバランスを意識することが、健康なサイクルを取り戻すきっかけになるかなと思います。
生殖成長へのスイッチを入れるには?
植物が花を咲かせる「生殖成長」に移行するためには、光合成によって体内の炭水化物量を増やし、相対的に窒素の割合を下げる必要があります。初夏から秋にかけては、窒素・リン酸・カリのバランスを考えつつ、特に生育中盤以降は窒素を控えめに管理することが推奨されます。光合成で作られた炭水化物を球根にしっかり貯蔵させるような管理こそが、翌年の蕾を引き出す鍵となるのです。葉ばかりが立派で花が咲かないときは、一度肥料の内容をチェックしてみてくださいね。
日照不足による徒長を避ける光環境の最適化

アマリリスは強い光を好む「陽生植物」です。室内で育てていると、葉がひょろひょろと長く伸び、自重に耐えきれずに折れてしまうことがありますが、これは典型的な日照不足による「徒長(とちょう)」です。光が足りないと、植物は少しでも多くの光をキャッチしようとして、細胞を縦に無理やり引き伸ばそうとします。しかし、その組織は非常に軟弱でスカスカな状態であり、エネルギー効率も極めて悪くなってしまいます。
光合成によって生成されるグルコース(糖)は、球根内でデンプンとして蓄積され、これが開花の原動力になります。しかし、照度が不足すると、植物は限られたエネルギーを「光を求めて葉を伸ばすこと」だけに使い切ってしまい、肝心の球根を太らせる余裕がなくなります。十分な日光を浴びて育った葉は、厚みがあり、硬く、自分の力でしっかりと自立します。この「硬く短い葉」こそが、球根に栄養が詰まっている証拠であり、翌年の大輪を約束するサインなのです。
また、光質も重要です。窓ガラス越しの日光は、植物の成長に必要な特定の波長を減衰させてしまうことがあります。特に紫外線がカットされた環境では、葉がより軟弱になりやすい傾向があります。理想的には、春から秋の生育期には屋外の直射日光下で管理することが、最強の球根を作る近道です。室内で管理せざるを得ない場合は、LED育成ライトを併用するなどして、絶対的な光量を確保してあげることが、アマリリスの花が咲かないトラブルを未然に防ぐポイントになります。
場所別:光環境のメリットとリスク
| 栽培場所 | メリット | リスクと対策 |
|---|---|---|
| 屋外の日向 | 最高の光合成効率 | 真夏の葉焼けに注意(50%遮光) |
| 軒下 | 雨を避けつつ光を確保 | 風通しの確保が重要 |
| 窓際 | 温度管理が容易 | ガラスによる光量減衰(反射板活用) |
| 部屋の奥 | 観賞には最適 | 開花不全の最大原因。育成ライト必須 |
春から秋にかけては、午前中の光をたっぷりと浴びせることが理想です。ただし、日本の真夏の西日は強烈すぎて葉の組織を破壊(葉焼け)してしまうため、午後からは半日陰になるような場所や、遮光ネットを利用した環境作りをしてあげてくださいね。
根腐れを防ぐ水やりのタイミングと適切な用土

アマリリス栽培における失敗のトップクラスに君臨するのが、水のやりすぎによる「根腐れ」です。アマリリスの球根(鱗茎)自体が高い貯水能力を持っているため、実は乾燥にはかなり強いのですが、一方で過湿には驚くほど脆弱です。土が常に湿っていると、土中の酸素が欠乏し、根が呼吸困難に陥ります。根の呼吸が止まると細胞が壊死し、そこから腐敗菌が繁殖して根全体を奪ってしまいます。
根が腐り始めると、当然ながら吸水や栄養の吸収がストップします。すると、せっかく前年に形成された花芽も維持できなくなり、途中で枯れてしまったり、翌年の花芽分化が行われなくなったりします。最悪の場合は球根そのものが軟化し、ドロドロに溶けてしまうこともあります。水やりの基本は「土の表面が完全に乾いてから」です。指を土に少し差してみて湿り気を感じない、あるいは鉢を持ち上げてみて驚くほど軽くなっているのを確認してから与えるくらいが丁度いいですね。
また、鉢底皿に水を溜めっぱなしにするのは絶対にNGです。毛細管現象によって土が常に飽和状態になり、根腐れへの特急券となってしまいます。水やりは「与えるときは鉢底から流れるまでたっぷりと、与えないときは完全に乾かす」というメリハリが、アマリリスの太く健康な根を育てる秘訣です。この太い根がしっかり張っているからこそ、重い花茎を支えることができるんです。
適切な用土の配合例

根の健康を保つためには、水はけ(排水性)と通気性に優れた用土選びが欠かせません。市販の「球根の土」でも良いですが、自分で配合する場合は以下のバランスを参考にしてみてください。
(出典:農林水産省「土の基礎知識」)のように、適切な土壌物理性は植物の健全な生育に不可欠です。
- 赤玉土(小粒):60%(物理的な安定と保肥力)
- 腐葉土:30%(有機質の供給と適度な保水性)
- バーミキュライトまたはパーライト:10%(通気性と排水の向上)
また、水やりの際は球根の頂部(葉の付け根)に水が溜まらないよう、鉢の縁から静かに注ぐのがコツです。水が溜まるとそこから腐敗菌が侵入しやすくなるので、注意してくださいね。
リン酸を多く含む肥料とお礼肥による球根の回復

「花が咲き終わったから、もうお世話は終わり」と思っていませんか?実は、アマリリスにとって開花直後から秋までが、翌年の運命を決める最も重要な「チャージ期間」なのです。大輪の花を咲かせるという行為は、人間で言えばフルマラソンを走るようなもの。使い果たしたエネルギーを補うために、花後には速効性の肥料を与える「お礼肥(おれいごえ)」が不可欠です。これを行わないと、翌年は「アマリリスの花が咲かない」どころか、球根がどんどん小さく退化してしまいます。
肥料の三大要素(窒素・リン酸・カリ)の中でも、特に開花に関わるのが「リン酸(P)」です。リン酸は別名「花肥(はなごえ)」や「実肥」と呼ばれ、細胞の分裂を助け、花芽の充実を直接的にサポートする役割があります。お礼肥としてリン酸とカリウムが多めの肥料を与えることで、開花で萎縮した球根が秋までに再びパンパンに張り詰めた状態へと回復します。1週間に1回程度、500〜1000倍に希釈した液体肥料を水やり代わりに与える手法は、吸収効率の面から見ても非常に効果的です。
一方で、秋以降にいつまでも肥料を与え続けるのは逆効果です。植物が冬の休眠準備に入ろうとしているときに栄養を与えると、いつまでも成長を止められず、休眠の質が低下してしまいます。9月末頃を最後に施肥を打ち切り、球根の中に栄養を凝縮させるイメージで管理しましょう。この「与える時期」と「止める時期」の見極めが、翌春の感動を左右するんですね。
時期別の施肥戦略
- 植え付け時:緩効性肥料を元肥として土に混ぜる(マグァンプKなど)。
- 生育期(4〜9月):月1〜2回の置き肥、または週1回の液肥を継続。
- 花後:特にお礼肥としてリン酸多めの肥料を意識的に選ぶ。
- 休眠期(冬):一切不要。休眠を妨げ、根を傷める原因になります。
深植えを避けて球根の個性を引き出す植え付け技術

アマリリスの球根を植える際、ついチューリップやユリのように深く埋めてしまいたくなりますが、これは大きな間違いです。アマリリスは物理的にも生理的にも「浅植え」を好む植物です。具体的には、球根の3分の1から半分程度が、土の上にひょっこりと露出している状態がベストな植え方です。一見不安定に見えるかもしれませんが、これには非常に重要な意味があります。
なぜ浅植えが良いのかというと、第一に太陽光が球根の露出部に直接当たることで地温が上がり、内部の細胞分裂(つまり発芽や根の活動)が促進されるからです。第二に、球根の首周りの風通しが良くなるため、多湿による腐敗を劇的に防ぐことができます。深植えにしてしまうと、土の重みや湿気で球根が圧迫され、酸素不足になりがちです。特に花芽が地表に出てくるまでに大きなエネルギーを消耗してしまい、途中で腐ったり、立ち枯れたりするリスクが高まります。また、浅植えにすることで、球根の太り具合を日々目で見て確認できるという楽しみもありますよね。
もし今、お手元のアマリリスが完全に土に埋まっているなら、成長が本格化する前に少し土をどけて、球根の「肩」を出してあげるだけでも、開花率が改善されるかもしれません。ただし、あまりに浅すぎて株が倒れてしまう場合は、支柱を立ててサポートしてあげてください。球根の半分が見えている姿こそが、アマリリスにとって最も健康的で「花を咲かせやすい」ポジションなのです。
アマリリスの花が咲かない状況を打破する栽培管理の秘訣
ここまでは「なぜ咲かないのか」という守りの話でしたが、ここからは「どうすれば咲かせられるのか」という攻めの管理術について詳しくお話しします。アマリリスの性質を理解すれば、毎年安定して花を楽しむことができますよ。特に「冬の過ごし方」が運命を分けるポイントになります。
鉢植えや地植えで異なる冬越しの方法と防寒対策
アマリリスは熱帯・亜熱帯が原産の植物なので、日本の厳しい冬は最大の難所です。特に「アマリリス 花が咲かない」と悩む方の多くが、冬の間に球根がダメージを受けているか、あるいは逆に「甘やかしすぎ」で休眠できていないケースが見受けられます。冬越しを成功させるためのアプローチは、鉢植えか地植えか、そしてお住まいの地域の最低気温によって慎重に使い分ける必要があります。
鉢植えの場合は、最低気温が10℃を下回るようになったら室内の明るい場所へ移動させるのが基本です。ただし、リビングのような暖房が効きすぎた部屋では、植物が「冬が来た」と認識できず、休眠不足に陥ります。玄関や廊下などの、少しひんやりした場所(5〜10℃程度)がベストな冬越しスポットです。一方、地植えの場合は、関東以西の温暖な地域であれば盛り土やマルチングでしのげることもありますが、霜が降りる地域では注意が必要です。冬の間に球根が一度でも凍結(細胞内の水分が氷結)してしまうと、細胞が破壊されて二度と花を咲かせることはなくなってしまいます。手間はかかりますが、寒い地域では冬だけ掘り上げるのが一番安全ですね。
また、冬の間は水やりを控えるため、土がカラカラになりますが心配いりません。むしろ、冬に下手に水をやってしまうと、低温と多湿が重なって球根が一気に腐るリスクが高まります。冬越しは「乾燥」と「適切な低温」をキープすることが、翌春の爆発的な芽吹きのパワーを蓄えることに繋がります。
休眠期に必要な温度管理と断水のプロセス

アマリリスを毎年咲かせるための最大の秘訣、それは「しっかり休ませること」です。1年中暖かい室内で水をやり続けていると、植物は「いつまでも成長していいんだ!」と思い込み、ひたすら葉を出し続けます。一見元気そうですが、これでは球根内部で花芽を成熟させるための生理的な変化(ホルモンバランスの切り替え)が起こりません。アマリリスには一定の寒さと乾燥を経験することで「春だ!咲かなきゃ!」というスイッチが入る性質があるからです。
晩秋(11月頃)になったら、どんなに葉が青々としていても、心を鬼にして水やりを完全にストップしてください。断水することで葉が徐々に黄色くなり、やがて枯れ落ちます。この過程で葉に残った栄養がすべて球根へと回収され、休眠スイッチがオンになります。この「枯れるプロセス」を飛ばして、緑の葉を無理やり切ってしまうのは避けてください。葉が自然に枯れるのを待つことで、最後の1滴まで栄養を球根に戻すことができるんです。休眠期間は最低でも2ヶ月、できれば3ヶ月は確保しましょう。このメリハリこそが、毎年大輪を咲かせるプロの技なんです。
休眠中の温度管理も重要です。5℃〜10℃前後の環境に置くことで、植物内部では低温要求が満たされ、花芽の分化が完了します。もし15℃以上の暖かい場所で冬を越すと、春になっても花が咲かず葉だけが出てくる「不完全な目覚め」になりやすいため、置く場所の温度には気を配ってあげてくださいね。
注意:休眠中の「凍結」は厳禁
休眠には寒さが必要ですが、0℃を下回る環境は危険です。球根内の水分が凍ると、膨張して組織を破壊し、翌春には中身がスカスカの腐った状態になってしまいます。必ず「寒いが凍らない場所」を確保してくださいね。
植え替えで根詰まりを解消し土壌環境を更新する
アマリリスは適度な根詰まりを好むという、ちょっと変わった性質があります。鉢の中に根がしっかり回っている方が、植物が危機感を感じて花を咲かせようとするのですが、それも限度があります。3年以上同じ鉢で放置していると、根が鉢底から溢れ出し、さらには鉢の中で根が「とぐろ」を巻く状態になります。こうなると土の隙間がなくなり、水はけが悪くなるだけでなく、古い土が泥状(微塵化)になって呼吸ができなくなります。
植え替えのベストシーズンは、休眠から目覚める直前の3月〜4月頃、新しい芽がわずかに動き出すタイミングです。鉢から抜いてみて、古い黒ずんだ根や中が空洞になった根を取り除き、新しい清潔な用土で植え直してあげましょう。一回り大きな鉢にするのが一般的ですが、もし大きさを変えたくない場合は、古い根を3分の1程度整理して、新しい土を詰め直すだけでも十分な効果があります。土が新しくなることで新鮮な酸素が供給され、根の機能が劇的に回復します。
また、植え替え時に球根の周りについている古い皮(茶色い部分)を少し剥いて掃除してあげると、病気の早期発見にも繋がりますし、何より球根がリフレッシュして成長しやすくなります。植え替え直後は、根が落ち着くまで1週間ほど水やりを控え、明るい日陰で管理するのが失敗しないコツですよ。
赤斑病やハダニなどの病害虫から株を守る予防策
植物体自体が健全であっても、外部からの「攻撃」によって開花エネルギーを奪われることがあります。アマリリス栽培で最も警戒すべきは「赤斑病(せきはんびょう)」です。これは、葉や球根に赤いシミのような斑点が現れる真菌(カビ)の病気で、特に梅雨時や秋の長雨の時期に発生しやすくなります。この病気が進行すると、葉の光合成能力が著しく低下し、早期に枯れてしまうため、球根を太らせることができなくなります。ひどい場合は球根の中まで赤い腐敗が進み、再起不能になることもあります。
予防の基本は「風通し」と「雨除け」です。カビは湿気を好むため、できるだけ雨の当たらない軒下などで管理し、株同士の間隔をあけて空気が流れるようにしましょう。もし赤い斑点を見つけたら、早めに殺菌剤を散布したり、被害のひどい部分を切り取ったりして、感染の拡大を防ぐことが大切です。また、乾燥する夏場には「ハダニ」が発生しやすく、葉の裏から栄養を吸い取って白っぽい傷跡を残します。ハダニに吸われると葉の寿命が短くなってしまうため、ときどきシャワーで葉の裏を洗い流す「葉水(はみず)」を行うと、予防に効果的です。
「たかが病気、たかが虫」と放置せず、葉を1枚でも多く健康に保つ努力をすることが、巡り巡って「毎年花を咲かせる」という結果に繋がります。毎日少しだけ葉の様子を観察してあげてくださいね。
八王子などの寒冷地で球根を掘り上げ保存する手順

私の住む東京都八王子市のように、冬の最低気温が氷点下になる地域では、鉢植えのままでも屋外放置は禁物です。もし「冬場の置き場所が室内にはない!」という場合は、「掘り上げ保存」という方法が有効です。これは、球根を土から出し、休眠状態で冬を越させるプロのような管理手法ですが、手順さえ覚えれば意外と簡単です。
まず11月頃、断水して葉が完全に枯れたら球根を丁寧に掘り出します。根についている土を軽く落とし、根を5cm程度の長さに切り揃えます。その後、数日間、日陰の風通しの良い場所でしっかりと乾燥させます。乾燥が不十分だと保存中にカビが生える原因になるので、ここは丁寧に。乾燥した球根は、1つずつ新聞紙に包むか、ピートモスやおがくずを入れたダンボール箱の中に入れます。これで、冬の寒さから球根を物理的に保護することができます。
保管場所は、家の中の凍らない、かつ暖房が当たらない場所(暗くて涼しい場所)が最適です。この方法なら、場所を取らずに数百個の球根でも安全に冬を越すことができます。春になって桜が咲き、地温が15℃を超えてきた頃、再び新しい土に植えてあげれば、長い眠りから覚めて力強く芽吹いてくれます。寒冷地の方にとっては、このひと手間がアマリリスの命を救い、花を咲かせるための唯一かつ確実な方法と言っても過言ではありません。
掘り上げ保存のチェックポイント
- 完全に乾燥させてから包むこと。
- 月に一度は箱を開けて、球根にカビや異常がないか確認する。
- あまりにシワシワになった場合は、霧吹きでほんの少し湿らせる程度にする(やりすぎ厳禁)。
年間カレンダーで確認するアマリリスの花が咲かない対策
最後におさらいとして、1年間の管理をカレンダー形式でまとめました。アマリリスの1年は、開花がゴールではなく、開花から次の開花への準備が循環しています。今自分がどのフェーズにいるのかを確認して、適切なケアをしてあげてください。アマリリス栽培は、実はそれほど難しくありません。ただ、「時期に合わせたメリハリ」が必要なだけなんです。
| 月 | 植物の状態 | 管理のポイント(アマリリスの花が咲かない対策) |
|---|---|---|
| 3〜4月 | 目覚め・植え付け | 古い根を整理し、浅植えでリスタート。水は控えめから開始。 |
| 5〜6月 | 開花・お礼肥 | 花が終わったら花茎を切り、リン酸主体の肥料をたっぷり与える。 |
| 7〜9月 | 葉の肥大・充実期 | 最大限の日光を当てる。葉を8枚以上維持することが至上命題! |
| 10〜11月 | 休眠の導入 | 最低気温10℃を目安に完全断水。葉の栄養を球根へ回収させる。 |
| 12〜2月 | 完全休眠 | 凍らない涼しい場所で静置。冬の寒さに当てることで花芽を熟成。 |
アマリリスの花が咲かない原因は、多くの場合、これらの中のどこかに「ボタンの掛け違い」があるだけです。肥料を少し変える、置き場所を日向に変える、冬は勇気を持って水を止める。そんなシンプルな改善の積み重ねで、アマリリスは見違えるほど元気に、そして期待を裏切らない豪華な花を咲かせてくれるようになります。この記事を参考に、あなたの愛するアマリリスを再び満開に導いてあげてくださいね。
なお、栽培環境は地域や住宅事情、さらにはその年の気象条件によっても左右されます。具体的な病気の診断や、特定の薬剤の使用、植え替えのタイミングなどについて、不安な場合はお近くの園芸店や専門家に相談されることをおすすめします。最新の品種情報や詳細な園芸資材については、メーカーの公式サイトなども併せて確認してみてください。それでは、来春、あなたの庭や窓辺がアマリリスの輝きで満たされることを願っています!
この記事の要点まとめ
- 球根内に十分な炭水化物が蓄積されていないと物理的に開花できない
- 健康な葉が4枚増えるごとに、その奥で1つの花芽が準備される規則性がある
- 来年確実に花を楽しむなら、秋までに葉を8枚以上キープするのが理想である
- 窒素分の多すぎる肥料は「葉ばかり様」を招き、花芽の形成を阻害する
- 開花直後の「お礼肥」で、消耗した球根にリン酸多めのスタミナを補給する
- 日光不足は葉を軟弱に伸ばし(徒長)、球根を痩せさせる最大要因の一つである
- 球根の肩を地上に出す「浅植え」が、腐敗を防ぎ開花を促進させる
- 水やりは土が完全に乾くのを待ってから行い、根に酸素を供給する
- 11月からの完全断水は、植物に休眠と開花スイッチを認識させるために必須である
- 冬の休眠期間には5℃〜10℃の涼しい場所で管理し、花芽の成熟を促す
- 球根を凍結させると細胞が破壊されるため、氷点下になる場所での放置は避ける
- 2〜3年に一度は植え替えを行い、古い根と劣化した土をリフレッシュする
- 赤斑病対策には風通しの良い環境作りと、雨に当てすぎない管理が有効である
- 真夏の西日は遮光で防ぎつつ、午前中の日光を最大限に葉に浴びせる
- アマリリスの花が咲かないのは、植物からの「エネルギー不足」のサインである
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