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こんにちは。My Garden 編集部です。
オキザリス・シンデレラムーン、本当に魅力的ですよね。クルンと巻いた蕾(つぼみ)が、まるでキャンディケイン(杖形のキャンディ)みたいで…。冬の寒い時期、ガーデニング作業も減ってくる中で、あの鮮やかな赤と白のストライプが日差しを浴びてキラキラしているのを見ると、なんだか心が温かくなる気がします。私も初めて園芸店で見たとき、そのあまりの可愛らしさに思わず一目惚れしてしまいました。
でも、「オキザリス シンデレラムーンの育て方」を調べてみると、「育てやすい」と書いてある一方で、「夏に枯れる」「花が咲かない」といった悩みも多いのが現実です。何を隠そう、私も最初は「夏に枯れた!」と勘違いして、球根をダメにしてしまった苦い経験が…。特に「休眠」という、他の多くの植物とは逆の独特な生育サイクルを持っているので、一般的な草花と同じ感覚で水やりをしていいのか、植えっぱなしで本当に大丈夫なのか、寒い冬の管理はどうするのか…気になることがたくさんありますよね。
この記事では、シンデレラムーンの栽培で失敗しがちなポイント、特に重要な「日当たり」や「夏越し(休眠)」の管理、適切な増やし方や寄せ植えの注意点まで、私の失敗談も(こっそり)踏まえながら、できるだけ分かりやすく、そして詳しく解説していきます。この冬、あの可愛い花をたくさん咲かせてみませんか?
- シンデレラムーン独自の生育サイクル(冬生育・夏休眠)
- 植え付けから開花までの基本的な管理方法
- 栽培の最重要ポイント「夏の休眠(断水)」のコツ
- 花が咲かない・枯れるときの具体的な原因と対策
オキザリス シンデレラムーンの育て方:基本
まずは、シンデレラムーンをお迎えする前に知っておきたい、基本的な特徴と植え付けのコツを見ていきましょう。この植物、ちょっとユニークな性質を持っているんですよ。一般的な秋植え球根(チューリップやスイセンなど、春に咲くもの)とは少し違う、「冬型(冬に生育し、夏に寝る)」の性質を理解するのが、成功への最初のステップです。
シンデレラムーンは八重咲きの希少種

この花、園芸店でよく見かけるピンクや黄色のオキザリス(春や秋に咲くタイプ)とは、ちょっと違うんです。『シンデレラムーン』は、「バーシカラー(Oxalis versicolor)」という原種から選ばれた、とっても希少な八重咲きの品種です。
原種のバーシカラーは南アフリカが故郷。南アフリカのケープ地方は、冬は雨季で夏は乾季という地中海性気候です。つまり、雨が降る涼しい冬に生育し、乾燥する暑い夏は休眠して乗り切る、という性質が体に染み付いているんですね。シンデレラムーンもその性質をしっかり受け継いでいます。
最大の特徴は「つぼみ」
なんといっても最大の特徴は、あの白い花弁のフチに入る、鮮やかな赤いストライプですよね。つぼみの時は、このストライプがクルクルと螺旋状に巻いていて、これがもう本当に可愛いんです。開花すると八重咲きの白い花で、これもまた華やか。一重咲きの原種バーシカラーと比べると、豪華さが際立ちます。
不思議な「就眠運動」
面白いのが、この花、日光が当たるとパッと開いて、夜や曇りの日は花も葉も閉じる「就眠運動」をすること。これは、光や温度の変化に植物が反応している生理現象です。一日の中でも色々な表情を見せてくれるのが魅力ですね。草丈は10cm~20cmくらいとコンパクトなので、ベランダや窓辺の小さな鉢植えにもぴったりです。
葉が閉じるのは病気?
夕方や曇りの日に葉がしおれたように閉じていても、心配いりません。これはカタバミ科の植物によく見られる「就眠運動」という正常な生理現象です。光や温度の変化に反応しているだけなので、安心してくださいね。日が差してくれば、また元気に開いてくれます。
植え付け時期と最適な用土
シンデレラムーンは、9月から10月頃に植え付ける「秋植え球根」の仲間に分類されます。このスタートダッシュがとても大事なんです。
植え付けの適期(9月~10月)
なぜこの時期かというと、長く暑い夏の「休眠」から覚めて、これから来る冬の開花期に向けて根を伸ばし始める、まさにそのタイミングだからです。
- 植え付けが早すぎる(8月など):まだ残暑が厳しく、土の温度も高いです。せっかく植えた球根が、活動を始める前に暑さで蒸れて腐ってしまうリスクが高まります。
- 植え付けが遅すぎる(11月下旬以降):気温が下がりすぎると、球根が根を張る活動が鈍くなります。開花までに十分な根を張る時間が足りなくなり、株が貧弱になったり、花数が少なくなったりするかもしれません。
やはり、お彼岸が過ぎて暑さが和らいだ、9月下旬から10月中旬頃までがベストシーズンかなと思います。
栽培のキモは「水はけ抜群」の土
オキザリス栽培で一番失敗しやすいのが、何を隠そう「根腐れ」です。特にこのシンデレラムーンは、球根(厳密には球茎といいます)が湿気に非常に弱く、とにかく水はけの良い土が大好きです。
生育期はもちろん、特に休眠期に土がジメジメしていると、小さな球根はあっという間に腐ってしまいます。故郷の南アフリカの土壌をイメージすると分かりやすいかもしれませんね。
用土の配合例(目安)
もし自分で土を作るなら、「赤玉土(小粒)7:腐葉土3」くらいの、水はけを最優先したシンプルな配合がおすすめです。赤玉土が土の骨格となり排水性と保水性を、腐葉土が最低限の栄養と通気性を担うイメージです。
私の場合、これにさらに「軽石(小粒)」や「鹿沼土(小粒)」を1割ほど混ぜて、さらに通気性と排水性を高めることもあります。
市販の「草花用培養土」を使う場合でも、そのままだと少し水持ちが良すぎる(=腐葉土やピートモスの割合が多い)かもしれません。川砂やパーライト、軽石(小粒)などを2〜3割くらい追加して、水はけをしっかり強化してあげると、球根が快適に過ごせる環境になるかなと思います。
植え付けは鉢植えがおすすめ

「地植えと鉢植え、どっちがいいですか?」とよく聞かれますが、私はシンデレラムーンに関しては、絶対に「鉢植え」をおすすめします。これはもう、強く断言したいです。
地植えが難しい決定的な理由
なぜかというと、この後で詳しく解説する「夏の休眠管理」が、地植えではとてつもなく難しいからです。
シンデレラムーンは夏に休眠し、その間は一切水をやらない「断水」状態にする必要があります。でも、ご存知の通り、日本の夏は梅雨の長雨、ゲリラ豪雨、そして台風の季節。高温多湿な環境が続きます。地植えだと、この時期に雨水を避けるのはほぼ不可能です。
地植えのリスク:休眠中の球根は「蒸れて腐る」
休眠中(=寝ている状態)の球根が、日本の高温多湿な土壌で長雨や夕立に当たると、せっかくの球根が土の中で文字通り「蒸れて腐ってしまう」可能性が非常に高いです。これが夏越しの最大の失敗原因なんですね。
鉢植えの圧倒的メリット
その点、鉢植えなら管理はとてもシンプル。夏になったら雨の当たらない軒下や物置、ガレージなどに鉢ごと移動させるだけ。これで簡単に、強制的な断水状態を作り出せます。
さらに、この「移動できる」メリットは、冬の管理でも役立ちます。寒い夜に霜が降りそうな時だけ、さっと玄関先に避難させる…といった芸当ができるのも鉢植えならでは。この手軽さが、シンデレラムーン栽培では本当に大きいんです。
植え付けの深さと間隔
球根は比較的小さい(小指の先くらい)ので、植え付けの深さは球根の高さの2~3倍くらい、だいたい深さ3cm~5cmが目安です。私は3cmくらいを目安にしています。浅すぎると球根が乾燥しやすくなったり、株が安定しなかったりしますし、深すぎると芽が出るのに余計な体力を使ってしまうかもしれません。
間隔は、球根1つか2つ分くらい(10cm程度)あけても良いですが、私は5号鉢(直径15cm)なら、3~5球くらいをまとめて植えて、咲いたときにこんもりとブーケみたいになるのを楽しむのが好きですね。
生育期の日当たりと水やり

さあ、植え付けが終わって無事に芽が出たら(だいたい植え付けから数週間後です)、いよいよ本格的な生育期の管理です。ここでの主役は「光」と「水」。どちらも過不足なくが基本です。
日当たり:花を開かせる絶対条件
秋から春にかけての生育期間中は、とにかく日当たりの良い場所で管理してください。目安としては、最低でも半日以上、できれば一日中、直射日光が当たる場所が理想です。
シンデレラムーンにとって日光は、光合成のためだけじゃなく、あの可愛いつぼみを開かせるための「物理的なスイッチ」なんです。日照が足りないと、葉は茂るかもしれませんが、花芽ができなかったり、せっかくのつぼみが赤白ストライプのまま開かないで終わってしまう…という悲しいことが本当によくあります。
残念ながら、北向きのベランダや、明るい日陰、窓越しでも光量が足りない室内での栽培は、花を楽しむのはかなり難しいかなと思います。冬の貴重な日差しを、めいっぱい当ててあげてください。
水やり:メリハリで根腐れ防止
生育期(秋~春)は、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。水はけの良い土を使っていれば、水のやりすぎで根腐れするリスクは減りますが、それでも「乾湿のメリハリ」は重要です。
水やりのタイミングは、鉢を持ち上げてみて軽くなっていたり、指を土の第一関節くらいまで入れてみて乾いているのを確認してからあげるのが確実ですね。
ただし、ここでも注意点が。「常に土が湿っている状態(過湿)」は絶対にNGです。土が乾く時間(乾燥)と湿る時間(湿潤)のメリハリをつけることが、根腐れを防ぐ最大のコツ。水はけの良い土を使っていても、受け皿に水が溜まったままなのは厳禁! 根が呼吸できなくなり、根腐れの原因になります。受け皿の水は必ず毎回捨てるようにしてください。
過湿は厳禁!
シンデレラムーンは原産地の気候からも分かる通り、乾燥には比較的強いですが、湿気には非常に弱いです。水やりは「乾いたら、たっぷり。そしてしっかり乾かす」の基本を徹底するのが大事ですね。
肥料の与え方と花がら摘み
オキザリスは、もともと痩せた土地でも育つくらいなので、肥料はそこまで多くを必要としません。むしろ、あげすぎは逆効果になることもあります。特に日本の培養土は最初から栄養豊富なことが多いですからね。
肥料(元肥と追肥)
まず、植え付けの時に、土にゆっくり効くタイプの緩効性化成肥料を「元肥」として混ぜ込んでおきます。球根植物なので、花付きを良くするリンサン分(P)が多めの肥料(例えばマグァンプKなど、製品の指示に従ってください)が向いているかもしれませんね。
あとは、花が次々と咲いてくる生育・開花期(10月~4月頃)、月1~2回程度、規定の倍率に薄めた液体肥料を「追肥」として、水やりの代わりに与えます。これをすると、花数が増えて、春に休眠するまでの間に球根もしっかり太りやすくなるかなと思います。
肥料過多(特に窒素)のサインに注意!
肥料(特に窒素N)をあげすぎると、葉ばかりが不自然に濃い緑色でヒョロヒョロと間延び(徒長)してしまい、かえって花が咲きにくくなることがあります。葉ばかり茂って花が咲かないなと思ったら、まずは日照不足を疑い、次に肥料のあげすぎを疑ってみてください。
花がら摘みのコツ
咲き終わった花は、こまめに摘み取る「花がら摘み」をしてあげましょう。花びらだけを摘むのではなく、花茎の根元から指でつまんで引き抜くか、清潔なハサミでカットします。
なぜかというと、花が終わると植物は種を作ろうとして、そちらにエネルギー(体力)を使ってしまうからです。花がらを早めに摘むことで、株が種を作るのに余計な体力を使わずに済み、その分のエネルギーを「次の花を咲かせる」ことや、「春に向けて球根を太らせる」ことに集中できます。見た目もスッキリして、風通しが良くなり、病気(特に灰色かび病など)の予防にもなりますよ。
オキザリス シンデレラムーンの育て方:季節管理
シンデレラムーンの育て方で一番ユニークで、一番重要なのが、季節ごとの管理です。特に「夏」の管理が、一般的な植物(夏に育つ)とは全く逆なので、ここをしっかり押さえましょう!
この「冬生育・夏休眠」のサイクルをカレンダーにまとめると、管理がぐっと楽になりますよ。ぜひ参考にしてください。
| 時期 (Period) | 状態 (Status) | 植え付け | 水やり | 施肥 | 主な作業 |
|---|---|---|---|---|---|
| 秋 (9月-10月) | 生育開始 | ◎ 植え付け適期 | 土が乾いたら与える | 元肥+追肥開始 | 植え付け、日当たりの良い場所へ |
| 冬 (11月-2月) | 生育・開花 | ✕ | 土の表面が乾いたら | 月1~2回 液体肥料 | 開花観賞、防霜対策 |
| 春 (3月-4月) | 開花終盤 | ✕ | 徐々に控える | 停止する | 花がら摘み、球根を太らせる |
| 春 (5月) | 休眠移行 | ✕ | 停止する | ✕ | 地上部が黄変・枯死 |
| 夏 (6月-8月) | 完全休眠 | ✕ | 【厳禁】断水する | ✕ | 雨の当たらない涼しい日陰で保管 |
最も重要な夏の休眠と夏越し

ここが栽培の最大の関門であり、私が最初に失敗した、一番失敗が多いポイントです。ここさえクリアできれば、シンデレラムーン栽培は8割成功したようなものだと私は思っています。
休眠のサイン(5月頃~)を見逃さない
春になって花が終わり、気温がぐんぐん上がってくる5月頃になると、あれだけ元気だった葉っぱが黄色く変色し、だんだん元気がなくなり、枯れてきます。
「え、枯れちゃった!水が足りなかった?肥料が必要?」と慌てて水や肥料をあげたくなるんですが、ちょっと待ってください!
これは病気ではありません!「休眠」の合図です!
これは「これから暑い夏が来るから、お休みに入りますよ(休眠しますよ)」という、シンデレラムーンの正常なサインです。ここで慌てて水をあげてしまうと、休もうとしている球根を無理やり起こすことになり、結果的に高温多湿の中で球根を腐らせてしまいます。これが一番多い失敗パターンです。
病気や水切れとの見分け方は、「季節(春の終わりであること)」と「水やりをしても回復しないこと」ですね。一部の葉だけではなく、株全体が徐々に黄色くなっていくのが特徴です。
夏越しの核心は「完全な断水」
葉が枯れ始めたら、水やりをピタッと止めます。完全に「断水」です。
休眠中の球根は、一切の水分を必要としません。土がカラカラに乾いているのを見ると不安になるかもしれませんが、それが正解です。「可哀想だから…」と霧吹きで水をかけるのも絶対にNG。一滴もあげない覚悟でお願いします。この時期の優しさは、植物にとっては命取りになりかねません。
鉢の置き場所
鉢植えの場合は、水やりを止めたら、そのまま雨が当たらず、直射日光も避けた涼しい日陰に移動させます。具体的には、「軒下」や「物置」「ガレージ」「風通しの良い玄関」などが良いですね。雨が吹き込まない場所が絶対条件です。
また、意外と見落としがちなのが「エアコンの室外機の風が直接当たるような場所」。乾燥はさせたいですが、熱風が当たり続けると球根が弱ってしまう可能性もあるので、避けたほうが無難です。
そして、そのまま秋(9月)に再び涼しくなり、自然に芽吹くまで(あるいは9月になったら水やりを再開するまで)、静かに「放置」しておきます。本当に「何もしない」のが、夏越しのコツなんです。
植えっぱなし管理のコツ
「植えっぱなしでも育つ」と聞いていたのに…という話もよくあります。シンデレラムーンの場合、「植えっぱなし」は「鉢植えのまま掘り上げないで夏越しさせる」という意味合いが強いかなと思います。
先ほどの方法(鉢ごと移動させて断水する)が、まさに鉢植えでの「植えっぱなし」管理ですね。毎年球根を掘り上げる手間がないですし、小さな球根を乾燥させすぎたり、保存中に傷つけたりするリスクがないのが大きなメリットです。
何年も植えっぱなしでいい?
「じゃあ、何年もずーっと植えっぱなしでいいの?」という疑問も湧きますよね。
2~3年ならそのままでも大丈夫だと思います。ですが、だんだん鉢の中が球根でいっぱいになって(根詰まり状態)、土の通気性や水はけが悪くなったり、栄養が足りなくなったりして、生育が悪くなる(花が小さくなる、花数が減る)ことがあります。
そうなったら、秋の植え付け時期(9月~10月)に一度掘り上げて、球根を分けて(分球して)新しい土で植え替えてあげるのがおすすめです。株のリフレッシュになりますよ。
地植えでの「植えっぱなし」は…
先ほども触れましたが、地植えでの植えっぱなしは、日本の高温多湿な気候ではかなり難しいと思います。もし挑戦する場合は、一年中ほとんど雨が当たらないような深い軒下で、さらに土を高く盛った「レイズドベッド(高床花壇)」や、石を組んで水はけを極限まで高めた「ロックガーデン」のような特殊な環境でないと、夏越しは厳しいかもしれません。
耐寒性と冬越しの防霜対策

シンデレラムーンは、面白いことに2つの「耐寒性」を持っています。この違いを理解しておくと、冬の管理がうまくいきますよ。
球根自体の耐寒性(とても強い)
まず、土の中の球根自体は、非常に寒さに強いです。USDA(米国農務省)のプラント・ハードネス・ゾーンという指標では、ゾーン7a(理論上の最低気温-17.8℃まで)に耐えるとされるくらいです。
日本の一般的な平地(例えば東京の八王子では、冬の平均最低気温が-1℃程度になることもありますが、屋外で球根が凍死することはまずありません。かなりタフですね。
花と葉の防寒(霜よけ)
一方で、冬(生育期)に地上部に出ている花や葉っぱは、球根ほどの耐寒性はありません。
これらは、強い霜や雪に直接当たると、細胞内の水分が凍ってしまい、茶色くチリチリに傷んだり、枯れたりしてしまいます。球根は生きているので春になればまた芽吹くことが多いですが、せっかくの開花期に花が傷むのは悲しいですよね。
そこでも、移動できる「鉢植え」が有利。寒い日の夜や霜の予報が出たら、さっと軒下や風の当たらない玄関先に取り込むだけで、花をキレイなまま楽しむことができます。もし移動が難しい場合でも、不織布(寒冷紗)などをふわりとかけてあげるだけで、直接霜が降りるのを防げ、かなり効果がありますよ。
花が咲かない、枯れる原因
「育てているのに花が咲かない」「枯れてしまった」というご相談。主な原因は、だいたいこの3つのどれか、あるいは複合的な要因であることが多いです。
原因1:日照不足(最重要)
これが一番多い原因かもしれません。「葉は元気なのに、花が咲かない」「つぼみは付くけれど、赤白のまま開かずに終わってしまう」という場合、ほぼ日照不足が原因です。シンデレラムーンは、強い直射日光を浴びて初めて花を開きます。生育期(秋~春)は、とにかく一日中お日様が当たる特等席に置いてあげてください。
原因2:休眠サイクルの誤解(水やりミス)
これが「枯れる」の最大の原因ですね。もう一度確認しましょう。
- ケースA(夏に枯れる・腐る):春(5月頃)に葉が黄色くなり始めた(休眠サイン)のに、慌てて水や肥料をあげてしまい、高温多湿で球根が腐ってしまった。
- ケースB(秋に芽が出ない・枯れる):夏にうまく断水できたのに、秋(9月~10月)になっても水やりを再開しなかった。球根が乾燥しすぎたり、休眠から覚められなかったりする。
春に枯れ始めたら「断水」、秋に涼しくなったら「水やり再開」。このメリハリが命です。
原因3:肥料過多(窒素分)
「葉ばかり茂る(徒長)」状態です。葉っぱは不自然に濃い緑色で、ヒョロヒョロと間延びしているのに、花芽がぜんぜん付かない…。これは土の中の窒素(N)分が多すぎるサインです。植物は「葉を育てれば十分だ」と勘違いして、花を咲かせる(子孫を残す)モードになりにくいんですね。肥料は控えめが基本。特に窒素分の多い肥料は避けたほうが良いですね。
(補足)葉が閉じるのは正常です
繰り返しになりますが、夜間や曇りの日に花や葉が閉じるのは「就眠運動」という正常な動きです。故障でも病気でも、もちろん枯れているわけでもないので、心配しないでくださいね。お日様が出てくれば、また元気に開いてくれます。
分球での増やし方
シンデレラムーンは、土の中で球根(球茎)が自然に増えていきます(分球)。環境が合うと、2~3年で鉢がいっぱいになることも。ぜひ増やしてみてください。
「増えすぎない?」という懸念について
「オキザリス」と聞くと、「雑草のカタバミみたいに、庭中にはびこって増えすぎたらどうしよう…」と心配されるかもしれませんが、大丈夫です。
いわゆる雑草のカタバミは、種を遠くまで飛ばしたり、地下茎(リゾーム)を伸ばしてどこまでも広がったりします。でも、シンデレラムーンのような観賞用のオキザリス・バーシカラーは、「球茎(コーム)」で増えるタイプ。親球の周りに子球ができて、株が大きくなる(群生する)イメージです。植えた場所でゆっくりと株が大きくなることはあっても、雑草のように管理不能な増え方はしないので、安心してください。
具体的な増やし方(分球)
株を分けたいなと思ったら、適期は植え替えと同じ、休眠が明ける直前の9月~10月です。
鉢から土ごと取り出し、優しく土をほぐしていくと、球根がいくつかまとまって出てくるはずです。これを手で優しくポロポロと分けてあげます。無理に引きちぎらなくても、自然に分かれるところで分けてあげれば大丈夫。
あとは、新しい(水はけの良い)土で、H3:植え付け時期と最適な用土 で解説した通りに植え付けるだけ。掘り上げた球根は長時間空気にさらして乾燥させすぎると弱ってしまうので、作業は手早く行い、掘り上げたらすぐに植え付けてあげるのがコツですね。
寄せ植えの注意点

コンパクトで、開花期も長く(冬中ずっと咲いてくれます)、なんといっても可愛いシンデレラムーン。寄せ植えにも使いたくなりますよね。もちろん可能ですが、一緒に植えるパートナー選びには、一つだけ絶対的なルールがあります。
寄せ植えの基本的な考え方については、シンデレラムーンには特別な注意が必要です。
生活サイクルが同じ植物と植えること!
これが絶対のルールです。シンデレラムーンは「冬に育ち、夏に寝る(断水)」植物です。
もし、ペチュニアやマリーゴールド、バーベナのような「夏に育ち、夏に咲く」一般的な一年草と一緒に植えたらどうなるでしょう?
- 夏:ペチュニアが花を咲かせるために水を欲しがります。
- → ペチュニアに水をあげると、隣で寝ているシンデレラムーンの球根が腐ります。
- → シンデレラムーンに合わせて断水すると、ペチュニアが枯れます。
…そう、管理が完全に破綻してしまうんです。
おすすめのパートナー
寄せ植えにする場合は、必ず、同じ「秋植え・冬咲き・夏休眠」の性質を持つ植物と組み合わせる必要があります。
具体的には、「一部の原種シクラメン(ヘデリフォリウムなど、夏に休眠するタイプ)」「ラケナリア」「小型のスイセン(チリアヤメなど)」「イフェイオン」など、同じく夏に休眠する小型の球根植物が、最適なパートナーになりますね。お互いの生育サイクルが合っていれば、水やりや肥料の管理がとても楽になります。
オキザリス シンデレラムーン 育て方の要点
最後に、オキザリス シンデレラムーンの育て方のポイントを、もう一度だけおさらいします。色々とお話ししましたが、カギはこの3つだけです。これさえ守れば、きっとうまくいくはず。
シンデレラムーン栽培 3つのカギ
- 必ず「鉢植え」+「水はけ抜群の土」で植える(9月~10月)
- 生育期(秋~春)は、とにかく「日当たり第一」!
- 最大の関門!春(5月頃)に葉が枯れたら「完全断水」し、鉢ごと日陰で夏越しさせる
この「夏は寝る」というユニークなサイクル。最初はちょっと戸惑うかもしれませんが、このメリハリのあるサイクルこそが、シンデレラムーンの魅力であり、他の植物にはない面白さかもしれませんね。日本のジメジメした夏を、植物も一緒に「お休み」して乗り切る、賢い戦略なんです。
このサイクルさえ理解してしまえば、シンデレラムーンは決して難しい花ではありません。冬のお庭やベランダを彩ってくれる、あの可愛いキャンディケイン。ぜひ、この秋から育ててみませんか?
※本記事で紹介した育て方や数値データ(温度、配合率など)は、あくまで一般的な目安です。植物の状態やお住まいの地域の気候(日照時間、気温、湿度など)に合わせて、管理方法は調整してください。
※栽培方法について不安な点がある場合や、病害虫の対策で農薬などを使用する場合は、お近くの園芸専門店や専門家にご相談いただくことをおすすめします。最終的な判断はご自身の責任において行ってくださいね。
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