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こんにちは。My Garden 編集部です。
クロッカスの開花時期って、いつ頃か気になりますよね。まだ寒さが残る早春に、雪の間から顔を出す健気な姿を思い浮かべる方が多いかなと思います。私もあの姿が大好きです。
ただ、調べてみると「秋咲き」という種類もあると聞いて、「え、じゃあ球根の植え付けはいつがいいの?」と迷うこともあるかもしれません。
春咲きと秋咲きの決定的な違いは何なのか、基本的な育て方はどうすればいいのか、手間いらずで植えっぱなしでも大丈夫なのか、もし花が終わったらどうするべきか、そして、一番残念な「なぜか咲かないで葉ばかり茂る」原因は何なのか…。クロッカス栽培に関する疑問は、突き詰めると意外と多いですよね。
この記事では、そんなクロッカスの開花時期に関する様々な疑問について、基本的な情報から「なぜそうするのか」という理由まで含めて、失敗しない育て方のコツを分かりやすくまとめてみました。これからクロッカスをきれいに咲かせたいなと思っている方の、参考になれば嬉しいです。
- クロッカスの「春咲き」と「秋咲き」の開花時期とライフサイクルの違い
- 開花時期に確実に咲かせるための球根の植え付けタイミングと深さの理由
- 「植えっぱなし」管理のメリット・デメリットと、掘り上げのタイミング
- 花が咲かない・葉ばかり茂る場合の、よくある原因と具体的な対策
クロッカスの開花時期はいつ?基本情報
クロッカスと一口に言っても、実は咲く時期がまったく異なる2つのタイプがあるんです。春の訪れを告げる花として有名ですが、秋に咲くものもあるなんて、ちょっと面白いですよね。
まずは、クロッカスの基本的な情報と、栽培で失敗しないために一番大切な「開花時期の違い」について、少し詳しく見ていきましょう。
春咲きクロッカスの見頃はいつ?
一般的に「クロッカス」として私たちがよく目にするのは、「春咲き」の品種です。アヤメ科クロッカス属(サフラン属)に分類される、れっきとした球根植物ですね。
主な開花時期は、2月上旬から4月上旬にかけて。まだ寒さが残る早春、地面に雪が残っているような場所でも、他の花に先駆けて力強く顔を出し、鮮やかな花を咲かせてくれます。その姿から、「春の訪れを告げる花」や「春の妖精(スプリング・エフェメラル)」の一員として、古くから愛されています。
関東南部あたりを基準にすると、だいたい3月頃が見頃になることが多いかなと思います。もちろん、その年の気候(暖冬か寒冬か)や、植えている場所の日当たり具合、選んだ品種(早咲き・遅咲き)によっても実際の開花は前後します。
これらは「秋植え春咲き球根」の代表格です。秋(10月〜11月頃)に球根を植え付けると、土の中でまず根を張り、その後、冬の厳しい寒さ(低温)をしっかり経験します。この寒さが「休眠打破」のスイッチとなり、「冬が終わった」と認識することで、春の暖かさを感じて一斉に開花する、というライフサイクルなんですね。ですから、冬にしっかり寒さに当てることが、春に咲かせるための絶対条件になります。
クロッカスの基本情報
- 分類:アヤメ科 クロッカス属(サフラン属)
- 和名:ハナサフラン(花洎夫藍)
- 原産地:地中海沿岸地方、ヨーロッパ南部、小アジア
- 草丈:5cm~10cm程度。非常に低く、ほぼ地面の際(地際)で花を咲かせるのが大きな特徴です。この草丈の低さが、寄せ植えの手前や花壇の縁取りにぴったりですね。
- 花色:白、紫、黄色が基本色ですが、最近は品種改良が進み、複色(絞り模様など)の園芸品種もたくさん流通しています。
- 耐寒性:非常に強いです。北海道などの寒冷地でも、雪の下になることでむしろ寒さから守られ、特別な防寒対策なしで元気に冬越しできることが多い、とてもタフな植物です。
秋咲きクロッカスとの開花時期の違い

クロッカス栽培で一番混乱しやすいのが、この「秋咲き」品種の存在かもしれません。
その名の通り、秋(10月中旬~11月中旬頃)に花が咲くグループです。春咲きとは開花時期が全く逆ですよね。代表的なものに、あのスパイスで有名な「サフラン」があります。
何が違うかというと、球根のライフサイクルが異なり、結果として植え付ける時期が正反対なんです。
- 春咲きクロッカス:秋(10月~11月)に植え付け → 冬の寒さで休眠打破 → 春(2月~4月)に開花 → 初夏(6月頃)に葉が枯れて休眠
- 秋咲きクロッカス:夏(8月~9月下旬)に植え付け → 夏の休眠明け、秋の涼しさで生育開始 → 秋(10月~11月)に開花 → 冬も葉は枯れず、春に球根が肥大 → 初夏(6月頃)に葉が枯れて休眠
このように、休眠する時期は同じ「夏」なのですが、活動を開始するタイミングが全く異なります。
もし夏場(6月〜8月頃)に園芸店でクロッカスの球根が売られていたら、それは売れ残りではなく、「秋咲き」品種の正規の植え付け時期ということですね。球根の出回る時期がまったく違うので、そこで見分けることもできます。
| 項目 | 春咲きクロッカス(一般的) | 秋咲きクロッカス(サフランなど) |
|---|---|---|
| 主な開花時期 | 2月上旬 ~ 4月上旬 | 10月中旬 ~ 11月中旬 |
| 球根の出回り | 9月上旬~(秋) | 夏季(4月~9月) |
| 球根の植え付け | 10月上旬 ~ 11月上旬 | 8月 ~ 9月下旬(サフランは4月~) |
| 葉の出現 | 開花と同時か、開花後に伸びる | 開花と同時か、開花後に出る |
| 主な用途 | 観賞用 | 観賞用、スパイス(サフラン) |
この2つを間違えて、例えば春咲き品種を夏に植えたり、秋咲き品種を秋に植えたりしてしまうと、当然ですがうまく育たず花が咲かない原因になります。球根を買うときは「春咲き」か「秋咲き」かをしっかり確認するのが本当に大切です。
(※この記事では、特に記載がない限り、検索される方が最も多い一般的な「春咲きクロッカス」の育て方について解説していきますね。)
サフランとクロッカスの違いとは?
よく「サフランとクロッカスって違うの?」という疑問も聞かれますが、サフランは「秋咲きクロッカス」の一種(学名: Crocus sativus)です。植物学的にはクロッカスの仲間なんですね。
では、何がそんなに違うのかというと、一番はやはりその利用目的です。
パエリアやブイヤベース、サフランライスに使われるあの高価な黄色いスパイスは、サフランの花から取れる「3本の赤い雌しべ」を、一本一本手で摘み取って乾燥させたものです。
豆知識:サフランはなぜ高価?
サフランのスパイスが「金よりも高価」と言われた時代もあったほど高価なのは、その収穫がすべて手作業で行われるためです。しかも、雌しべは非常に軽く、なんと、10gのスパイスを得るためには、1500本以上もの花が必要とされています。そう聞くと、あの価格にも納得がいくかもしれませんね。
私たちが一般的に「クロッカス」としてお花屋さんで見かけるのは、観賞用として品種改良された春咲きの園芸品種がほとんどです。一方、サフランはスパイスとしての利用が主な目的という大きな違いがあります。もちろん、サフランも観賞用としてお庭で育てることはできますよ。秋に咲く紫色の可憐な花は、春咲きとはまた違った魅力があります。
クロッカスの代表的な種類(品種)
クロッカスにはたくさんの園芸品種があり、原種だけでも80種以上あると言われています。園芸では、大きく分けると「ダッチクロッカス系」と「クリサンサス系」などが主流ですね。それぞれの特徴と、代表的な品種をいくつか紹介します。
ダッチクロッカス系 (C. vernus)
一般的にクロッカスというと、この系統を指すことが多いです。春咲きクロッカスの中でも、花が大きく(大輪)、色も鮮やかで、存在感があります。春咲きの中でもやや遅めに咲き始める(3月〜4月頃)傾向があります。
- ジャンヌ・ダルク (Jeanne d’Arc)純白の花弁がとても美しい、ダッチクロッカスの代表的な白花品種です。中心が鮮やかな黄色で、外側にうっすらと紫色のラインが入ることもあり、非常に上品です。
- ピック・ウィック (Pickwick)こちらも非常に人気の高いダッチクロッカス系です。白地に鮮やかな紫色の絞り(ストライプ)模様が入るのが特徴的で、とても華やかな印象を与えてくれますね。
- ラージ・イエロー (Large Yellow / C. flavus)鮮やかな黄色の花を咲かせる、代表的な黄色品種です。「ゴールデン・イエロー」とも呼ばれます。春のお庭やコンテナをパッと明るくしてくれます。
クリサンサス系 (C. chrysanthus)
ダッチクロッカス系よりも開花が早く、「寒咲きクロッカス」とも呼ばれます。2月頃のまだ寒い時期から咲き始めることが多いですね。花はダッチ系に比べてやや小ぶりですが、その分ひとつの球根からたくさんの花を咲かせるのが特徴です。
- アドバンス (Advance)クリサンサス系の代表的な品種で、花弁の外側が紫がかった青色、内側が鮮やかな黄色という、っとするような美しいコントラストが特徴です。
- ブルー・パール (Blue Pearl)淡いブルー(水色)の花びらが美しい品種です。中心が黄色で、繊細な魅力があります。
クロッカスの花言葉と毒性
クロッカス全体の花言葉には「青春の喜び」や「切望」、「あなたを待っています」、「裏切らないで」といったものがあります。早春に咲くことから春を待ち望む「切望」や「青春の喜び」、一方でギリシャ神話の悲恋の物語(クロッコスという青年と羊飼いの娘スミラックスの悲恋)に由来するとされる「あなたを待っています」や「裏切らないで」といった、光と影のような花言葉を持っているのが興味深いですね。
色別にも花言葉があって、例えば黄色は「私を信じて」、紫は「愛の後悔」などがあるようです。
ここで、花言葉とは別に、安全のためにとても大切な情報をお伝えします。クロッカスを育てる上で、これだけは知っておいてほしい内容です。
【最重要】クロッカスの毒性と「イヌサフラン」との致命的な違い

まず、私たちが観賞用として育てているクロッカス(春咲き・秋咲き問わず)の球根(塊茎)には毒性があります。これは人間だけでなく、犬や猫などのペットにとっても有毒です。誤って摂取すると、嘔吐や下痢などの消化器系の不調を引き起こす可能性があります。
スパイスとして利用できるのは、あくまでも「サフラン(Crocus sativus)」の「雌しべ」だけであり、それ以外のクロッカス(特に球根)を食用にすることは絶対にしないでください。
さらに、クロッカスと名前が似ていて間違えやすく、より危険性が高いのが「イヌサフラン(コルチカム)」という全く別の植物です。
- イヌサフランも秋に花が咲きますが、クロッカス(アヤメ科)とは全く別の植物(イヌサフラン科)です。
- イヌサフランは全草、特に球根に「コルヒチン」という非常に毒性の強いアルカロイドを含んでいます。
- コルヒチンは細胞分裂を阻害する猛毒で、誤って食べると、数時間後に嘔吐、下痢、腹痛、呼吸困難などを引き起こし、重篤な場合は臓器不全などで死に至るケースも報告されています。(出典:厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:イヌサフラン」)
特に山菜採りなどで、ギボウシ(ウルイ)やギョウジャニンニクとイヌサフランの若葉を間違えたり、球根をタマネギやジャガイモと間違えたりする中毒事故が毎年のように起きています。
小さなお子様やペットがいるご家庭では、クロッカスはもちろん、特にイヌサフランの球根の保管場所・植え付け場所には十分に注意し、誤飲・誤食が起こらないよう厳重に管理してくださいね。もし誤って摂取した疑いがある場合は、食べたものと量、症状を記録し、すぐに医療機関(または獣医師)にご相談ください。
クロッカスの開花時期に咲かせる育て方
クロッカスの開花時期や種類、そして注意点がわかったところで、次はいよいよ、実際にその時期に美しい花を咲かせるための「育て方」のポイントを紹介します。ここでは、栽培される方が最も多い一般的な「秋植え・春咲きクロッカス」を基本に、詳しく解説していきますね。
クロッカスは基本的にはとても丈夫で育てやすい植物ですが、「花が咲かない」という失敗を避けるためには、いくつかの重要なコツを押さえる必要があります。
球根の植え付け時期と方法

春咲きクロッカスの花を成功させるには、まず秋の植え付けが全てのスタートです。球根は、園芸店やホームセンターで9月上旬頃から出回り始めますね。良い球根は、持った時にずっしりと重く、硬く締まっていて、カビや傷がないものです。
植え付けの適期は、秋の10月上旬~11月上旬です。地域にもよりますが、紅葉が始まる頃、気温が下がってきて(地温が15℃前後)、寒さが本格的になる前に植え付けるのがベストです。これにより、土の中でじっくりと根を張らせる時間を与えることができます。
植え付け場所の選び方(日当たり・水はけ)
クロッカスが好むのは、「日当たり」と「水はけ」の良い場所です。この2つが揃っていないと、失敗する可能性が高くなります。
ここで最も重要なポイントは、「いつ」日当たりが必要か、ということです。クロッカスが球根の状態で休眠している夏(6月下旬~秋)は、地上部がないので、日陰でも全く問題ありません。例えば、落葉樹の真下などは、夏は葉が茂って日陰になり、クロッカスの休眠に適した環境(地温が上がりにくい)を提供してくれます。
そして、芽が出始めてから葉が茂っている間(つまり開花期の2月~葉が枯れる6月頃まで)は、落葉樹の葉が落ちて、逆にしっかりと日光が当たるようになります。この時期の日光が、来年の球根を太らせるための光合成に不可欠なんです。この時期に半日以上、日光が当たる場所を選ぶのが、栽培成功の最大のカギとなります。
また、クロッカスは過湿を非常に嫌います。水はけが悪い場所だと球根が腐る(軟腐病など)原因になるので、雨が降った後に水たまりができるような場所は絶対に避けましょう。
植え付け用の土(用土)
水はけの良さが命です。
- 鉢植えの場合:市販の「球根専用の土」や「草花用培養土」を使えば簡単で間違いありません。水はけが良くなるように調整されています。自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)6~7:腐葉土3~4の割合を基本に、水はけをさらに良くするために川砂やパーライトを全体の1割ほど混ぜるのも良いですね。
- 地植えの場合:水はけが悪い粘土質の土壌の場合は、植え穴を少し大きめに掘り、掘り上げた土に腐葉土や堆肥を3割ほど多めにすき込んで、土をふかふかに改良しておくと良いでしょう。水はけが極端に悪い場合は、少し土を盛って「レイズドベッド」のようにして植えるのも有効です。
植え付けの深さと間隔
植え付けの深さと間隔も、来年の生育に関わる重要なポイントです。
- 地植えの場合:深さ約5cm~8cm(だいたい球根2個~3個分の深さが目安です)。
- 鉢植えの場合:深さ約3cm~5cm(球根の頭が少し隠れる程度)。
なぜこの深さかというと、クロッカスは古い球根の上(または周り)に新しい球根ができる性質があるためです。あまり浅く植えすぎると、新しい球根が地面にはみ出してしまい、霜柱で持ち上げられたり、乾燥しすぎたりして、うまく育たないことがあるようです。適切な深さを守るのが大事ですね。
植え付けの間隔は、地植えなら3cm~5cmほど。鉢植え(例えば4号鉢・直径12cm)なら4~5球くらいが目安です。鑑賞用として密に植えることもできますが、来年も咲かせたい(球根を太らせたい)場合は、少し間隔を空けて(球根1個分くらい)植える方が、球根同士が栄養や日光を競合しなくて良いかなと思います。
寒冷地での植え付け
北海道や東北などの寒さが厳しい地域では、冬の「霜柱(しもばしら)」で球根が持ち上げられて地上に出てしまうのを防ぐため、通常より少し深めの8cm~10cm前後で植えると安心です。
植えっぱなしで来年も咲く?

「クロッカスって、毎年掘り上げないとダメ? 植えっぱなしでも大丈夫?」これは、チューリップなど他の球根植物を育てていると特に気になるポイントですよね。
結論から言うと、基本的に植えっぱなしで大丈夫です! 耐寒性がとても強く、夏の休眠期も日本の多湿に比較的耐える方なので、冬に特別な防寒対策をする必要もありません。この手軽さがクロッカスの最大の魅力の一つでもあります。
ただし、植えっぱなしで元気に花が咲き続けるのは、環境にもよりますが、だいたい3~4年が目安かなと思います。
なぜなら、3~4年も経つと、土の中で球根が分球(ぶんきゅう=子どもを増やして増えること)して、ギュウギュウ詰めの過密状態になってしまうからです。最初は1個だった球根が、数年で5個、10個と増えていくイメージですね。そうなると、一つ一つの球根が小さくなってしまい、栄養や日光、水分を奪い合い、花を咲かせる体力がなくなってしまうんです。
「最近、花数が減ってきたな」「葉ばかり細く茂って、花が咲かなくなったな」と感じたら、それが土の中で球根が混み合っているサイン。掘り上げと「分球」のタイミングです。
掘り上げと分球の手順(3~4年ごと)
もし花付きが悪くなってきたら、少し手間ですが球根をリフレッシュさせてあげましょう。
- 掘り上げ時期:葉が自然に黄色く枯れ始めた6月頃が適期です。葉が緑色のうちは、まだ球根が太っている最中なので、掘り上げないでください。
- 掘り上げ:葉が枯れたら、球根を傷つけないようにスコップなどで周りから(少し離れた場所から)優しく掘り上げます。
- 分球:土を優しく落とし、古い球根や周りにできた新しい球根を手でポキポキと分けます。病気のもの(ブヨブヨしている、変色している)や、極端に小さすぎるものは取り除きます。
- 乾燥・保存:掘り上げた球根は、雨の当たらない風通しのよい日陰で数日間(土がカラカラになるまで)しっかり乾燥させます。
- 保存:タマネギ用のネットやみかんのネット、紙袋などに入れ、秋の植え付け時期まで、できるだけ涼しい冷暗所で保存します。絶対にビニール袋など通気性の悪いものに入れてはいけません(カビや腐敗の原因になります)。
- 再植え付け:10月になったら、新しい土や土壌改良した場所に、間隔をあけて植え付けます。
この作業をすることで、また元気に花を咲かせてくれるようになりますし、球根が増えているので植える場所を広げることもできますよ。
花が終わったらすべき手入れ
来年の開花時期にもきれいな花を楽しむために、実は「花が咲き終わった後」の管理が、植え付けと同じくらい(いえ、それ以上に)重要なんです。ここでの手入れが、来年の花付きを左右すると言っても過言ではありません。
花がら摘み
まず、咲き終わった花(花がら)は、早めに摘み取りましょう。花びらが散ってしぼんだら、花茎の付け根の部分から指で摘み取ります。
なぜこれを行うかというと、そのままにしておくとタネができてしまい、そちらに植物の栄養が取られてしまうからです。私たちはタネではなく、「球根」に来年のための栄養を集中させたいので、不要なタネにエネルギーを使わせないようにするんですね。
【最重要】葉は絶対に切らない
花が終わって、葉だけが残ると(クロッカスの葉は細長いので、伸びてくるとだらしなく見えることも…)見栄えが悪いかもしれません。ですが、まだ緑色をしている葉を刈り取ってしまうのは絶対にNGです!
なぜなら、この緑色の葉が、太陽の光を浴びて光合成を行い、来年咲くための栄養(デンプンなど)を作り、それを球根に蓄えている真っ最中だからです。葉は、球根を太らせるための「栄養工場」そのものなんです。
この時期に葉を切ってしまうと、球根は栄養を蓄えられず、消耗したままになってしまいます。これが、翌年花が咲かない最大の原因になります。「葉ばかり茂る」というのは、まさにこの状態ですね。
葉が自然に黄色く枯れてくるまで(だいたい6月頃)、見栄えが悪くてもグッと我慢して、そのままにしておくことが大切です。葉が完全に枯れたら、光合成の役目が終わったサイン。球根は休眠期に入ります。枯れた葉は、軽く引っ張れば簡単に抜けるようになります。
追肥(お礼肥)のタイミング
来年も良い花を咲かせるために、肥料をあげるのも効果的です。特に鉢植えの場合は、土の中の栄養が限られているので、追肥をおすすめします。
良い球根なら、植え付け時の元肥(もとごえ)がなくてもその年は咲きますが、花を咲かせた後は球根もエネルギーを消耗しています。そこで、「お礼肥(おれいごえ)」として追肥をすると、球根の肥大を力強くサポートすることができます。
タイミングは、花が終わった直後から、葉が枯れ始める前(4月~5月頃)まで。この時期が一番栄養を必要としています。 肥料の種類は、窒素(N)分が多いと葉ばかり茂りすぎる可能性があるので、球根の肥大を助けるリン酸(P)やカリ分(K)が多めの液体肥料(週に1回程度)や、緩効性の化成肥料(球根用肥料など)を株元に少量施すと良いでしょう。ただし、肥料のやりすぎは根を傷めたり、病気の原因になったりもするので、必ず規定の量を守ってくださいね。
咲かない、葉ばかり茂る原因と対策

「秋に球根を植えたのに、春になっても花が咲かない」「葉ばかりワサワサ茂って、肝心の花が出てこない」…これはガーデニングで一番悲しい瞬間かもしれません。
クロッカスが咲かない場合、その原因は、球根が腐ったなどのトラブルを除けば、その年の管理にあるのではなく、前年の「花が咲いた後」の管理にほぼ集約されます。主な原因と対策をまとめます。
クロッカスが咲かない・葉ばかり茂る主な原因
心当たりがないか、チェックしてみてください。
- 花後の日照不足(最重要)
- 葉を早く刈り取った(最重要)
- 植えっぱなしによる球根の過密(分球不足)
- 冬の低温に当てていない
- 多湿による球根の腐敗
原因1:花後の日照不足
症状:花が咲かない、または貧弱な花しか咲かない。葉が細い。
原因:これが最も多い原因の一つです。前述の通り、クロッカスは花を咲かせた後、葉で光合成を行い、来年のための栄養を球根に蓄えます。この「花後~葉が枯れるまで」の時期(4月~6月頃)に日当たりが悪い場所(例えば、常緑樹の陰や、家の北側、他の植物の陰になる場所)にあると、球根が十分に太れず、翌年の花芽が作られません。
対策:開花中はもちろん、特に花が終わった後も、葉が枯れるまでは半日以上日の当たる場所で管理することが重要です。鉢植えなら日当たりの良い場所へ移動させましょう。地植えの場合は、植え付けの段階で「花が終わった後も日が当たる場所」を選ぶことが最大の対策になります。
原因2:葉を早く刈り取った
症状:葉ばかり茂るが花が咲かない、または年々花が小さくなる。
原因:これも非常に多い失敗例です。花が終わった後、見栄えが悪いという理由で、まだ緑色の葉を芝刈り機で一緒に刈ってしまったり、草むしりと一緒に抜いてしまったり…。光合成工場である葉がなくなれば、球根は栄養を蓄えられず、消耗するだけになり、翌年は花を咲かせる体力が残りません。
対策:花がらだけを摘み取り、葉は6月頃に自然に黄色く枯れるまで絶対に切らず、そのままにしておきます。「花が終わったら、葉が枯れるまでが本番」と覚えておくと良いかもしれません。
原因3:植えっぱなしによる球根の過密(分球不足)
症状:植え付け初年度は咲いたが、3~4年経ったら花が咲かなくなった。細い葉ばかりが密集して生えてくる。
原因:植えっぱなしで数年(3~4年)経つと、分球して球根が増えすぎ、過密状態になります。球根が詰まると、お互いが栄養や日光、水分を奪い合い、個々の球根が小さくなって花が咲けなくなります。
対策:3~4年に一度、葉が枯れた6月頃に球根を掘り上げ、分球(球根を分割)して、間隔をあけて植え直します。これにより、各球根が太るためのスペースを確保できます。
原因4:冬の低温に当てていない
症状:秋に球根を植えたが、春になっても芽が出ない、または花が咲かない。(特に室内栽培や水栽培、暖地での栽培)
原因:クロッカス(春咲き)の球根は、冬の一定期間の寒さ(低温)に遭遇することで、休眠が打破され、花芽の成長が始まります。秋に植え付けても、暖かい室内に置いたり、暖冬で十分な寒さに当たらなかったりすると、「まだ冬が来ていない」と勘違いし、花が咲きません。
対策:鉢植えは必ず戸外の寒い場所(雪が積もっても大丈夫です)で管理します。暖地で冬の寒さが足りない場合は、春咲きでも開花が難しいことがあります。
原因5:多湿による球根の腐敗
症状:芽が出ない、または生育途中で枯れてしまう。掘ってみると球根がブヨブヨしている。
原因:クロッカスは水はけの悪い多湿な環境を極端に嫌います。土が常に湿っている状態や、水のやりすぎは、球根が軟腐病などで腐ってしまう最大の原因です。
対策:水はけの良い用土を使うこと。地植えなら盛り土をする、鉢植えなら鉢底石をしっかり入れるなど工夫します。鉢植えの場合、水のやりすぎに注意し、「土の表面が乾いたら鉢底から流れるまでたっぷり」の基本を守りましょう。特に休眠期(夏)は水やりは不要です。
水栽培での咲かせ方

クロッカスは、ヒヤシンスのように室内での水栽培(水耕栽培)でも楽しめます。土を使わないので、手軽に室内で春の訪れを感じられるのが良いですよね。透明な容器を使えば、根が伸びていく様子も観察できて面白いです。ただし、成功させるには一つだけ、絶対に欠かせない重要なコツがあります。
それは、「低温処理」です。
水栽培は室内で行うことが多いので、球根が冬の「寒さ」を経験できず、花芽がつかない(咲かない)失敗が非常に多いんです。原因4で解説した「低温に当てていない」状態になってしまうんですね。
水栽培の必須テクニック「低温処理」
そうならないために、球根(10月頃に水栽培を始めるとして)を購入したら、まず紙袋などに入れます。そして、冷蔵庫の野菜室(寒すぎない5℃前後の場所)に、最低でも1.5~2か月ほど入れて保管します。この時、リンゴやバナナなどエチレンガスを出すものとは一緒に入れないように注意してくださいね(ガスの影響で球根がうまく育たないことがあります)。
この低温処理によって、球根は「厳しい冬が来た」と錯覚して、花芽の準備を始めてくれます。
または、根が出るまでは戸外の寒い場所(0℃以下にならない日陰など)で管理し、根が十分に伸びてから室内に入れる、という方法もありますが、冷蔵庫の方が管理しやすいかなと思います。
水栽培の手順と管理のコツ
- 容器の準備:水栽培用のくびれのある容器(ヒヤシンスベースなど)や、浅いお皿にゼオライトや小石を敷いたものなど、球根が安定する容器を用意します。
- 球根をセット:低温処理が終わった球根(11月下旬~12月頃)を容器にセットします。
- 水の量:【最重要】球根のお尻(底の部分)が、水にギリギリ触れない程度に水を入れます。球根本体が水に浸かりすぎると、呼吸ができずカビが生え、腐る原因になります。根が伸びてくれば、その根が水を吸ってくれます。
- 発根までの管理:球根をセットしたら、根が出るまで(約1か月)、暗く涼しい場所(玄関など)で管理します。根は光に当たると伸びにくくなることがあるので、容器をアルミ箔で覆うのも効果的です。
- 発芽後の管理:根が十分に伸び、芽が動き出したら、室内の窓際などの明るい場所へ移動させます。ただし、暖房が直接当たるような暑すぎる場所は、花がすぐに終わってしまうので避けましょう。涼しい場所の方が花が長持ちします。
- 水の交換:水は週に1回程度は必ず交換し、清潔に保ちます。根を傷めないように優しく行いましょう。根が傷むと、そこから腐敗することもあります。
水栽培で咲かせた後の球根は、花を咲かせるためにかなりのエネルギーを使い果たしています。そのため、残念ながら翌年も水栽培で咲かせるのは非常に難しいです。もし土に戻す場合は、花が終わったら花がらを摘み、葉が枯れるまで液体肥料を溶かした水で管理し、葉が枯れたら掘り上げて、秋に庭や鉢に植え付けてみてください。数年養生すれば、また花を咲かせる体力が戻るかもしれません。
まとめ:クロッカスの開花時期を知ろう
クロッカスの開花時期について、春咲きと秋咲きの違いや、開花時期に合わせた育て方のポイントを詳しく解説しました。
私たちがよく目にするのは「春咲き」で、その開花時期は2月~4月頃。この可憐な花を咲かせるためには、まず前年の秋(10月~11月)に球根を植え、冬の寒さにしっかり当てることがスタートラインです。
そして何より、花が終わった後(4月~6月)に、葉を切らずにしっかり日に当てて球根を太らせること。これが来年の花につながる一番大切な作業なんですね。花が咲かない原因の多くは、この「花後の管理」にあります。
植えっぱなしで3~4年は楽しめますし、「花が咲かない」原因も、突き詰めれば「花後の日照不足」「葉を早く切った」「過密」のどれかであることがほとんどです。これらのポイントさえ押さえれば、クロッカスは毎年かわいい花で春の訪れを告げてくれる、とても育てやすい植物だと思います。
ぜひ、クロッカスで春一番のガーデニングを楽しんでみてくださいね。
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