こんにちは、My Garden 編集部です。
春になると地面いっぱいにピンクや白の絨毯を広げてくれる芝桜ですが、花が終わった後にどうすればいいのか迷ってしまうことはありませんか。せっかく綺麗に咲いてくれたのに、放っておくといつの間にか中の方が茶色く枯れてしまったり、翌年に花が少なくなってしまったりすることもあるんですよね。芝桜の剪定時期や正しい刈り込みのやり方、日頃の手入れのコツを知っておくだけで、そんな悩みはスッキリ解決できます。もし、切りすぎて失敗したかなと思っても、適切な方法で復活させることも可能です。八王子などの内陸部や寒冷地といったお住まいの地域に合わせたタイミングや、便利な道具の選び方、目土や肥料の与え方、さらには挿し芽での増やし方まで、私たちが実際に試して感じたポイントを詳しくお伝えします。この記事を読めば、来年もまた素晴らしい花の絨毯に出会えるはずですよ。
この記事のポイント
- 芝桜の剪定時期が花後から梅雨入り前までである理由がわかる
- 株の蒸れや木質化を防いで健康な状態をキープするコツがわかる
- 失敗しない刈り込みの深さやおすすめの道具の使い分けがわかる
- 目土や肥料によるメンテナンスや苗を増やす方法がわかる
芝桜の剪定時期を見極めて美しい花を咲かせるコツ
芝桜を毎年美しく咲かせるためには、何よりも「タイミング」が大切です。ただ短く切ればいいというわけではなく、植物の成長サイクルに合わせたお手入れをすることで、株が若々しく保たれます。ここでは、なぜ時期が重要なのか、そして地域による違いについて私なりの視点で解説していきますね。
花後から梅雨入りまでの刈り込みが重要な理由

芝桜を育てていて一番ショックなのは、春に満開だった株が夏を越せずにボロボロになってしまうことですよね。実は芝桜にとって最大の試練は、寒さよりも日本の「高温多湿」なんです。芝桜は北米原産で、寒さや乾燥にはめっぽう強いのですが、その一方で湿気にはとても繊細。特に梅雨の長雨とその後の蒸し暑さは、地を這うように密集して育つ芝桜にはかなり過酷な環境なんです。だからこそ、花が終わってから梅雨が本格化するまでの間に刈り込みを済ませておくことが、夏越しの成否を分ける決定的なポイントになります。もしこの作業を怠ってしまうと、株の内部で空気の流動が完全に遮断され、微気象としての湿度が急上昇してしまいます。この状態を放置することは、単に見た目が悪くなるだけでなく、光合成効率の低下や、最悪の場合は蒸れによる下葉の大量枯死を招くことになります。
花が終わり、花がらが茶色く変色し始めたタイミングが作業開始の合図です。この時期にバッサリとカットすることで、株の内部に隙間ができ、滞っていた空気の流動が劇的に改善されます。風通しが良くなると、株の中の湿度が下がり、蒸れによる下葉の枯死や、カビが原因となる病気の温床になるリスクを未然に防ぐことができるんです。目安としては、だいたい5月から6月中旬くらいまでに作業を終えるのが理想的ですね。具体的には、立春から数えて135日目にあたる「入梅(6月11日頃)」までを一区切りとして意識してみてください。この時期を逃して本格的な梅雨に入ってしまうと、すでに株の内部が痛み始めていたり、剪定後に新しく出てくる芽が夏の強烈な直射日光に耐えられるほど成熟できなかったりします。また、新芽が吹く前に湿気で根が傷んでしまうと、回復にも時間がかかってしまいます。「まだ緑が綺麗だから切るのがもったいない」と遠慮したくなる気持ちもわかりますが、来年の満開のために思い切ってスッキリさせてあげることが、芝桜への一番の優しさかなと思います。
翌年の花芽を育てるために必要な生理的サイクル

「芝桜の形が乱れてきたから秋に整えたら、翌春に全然花が咲かなかった」という失敗談をよく耳にしますが、これは芝桜の生理的なサイクルを理解することで回避できます。芝桜は、私たちが思うよりもずっと早くから来年の準備を始めているんです。具体的には、夏から秋にかけての時期に、来年の春に開花するための「花芽(はなめ)」を枝の先に形成し始めます。このメカニズムを知ると、なぜ花後すぐの剪定が推奨されるのかが見えてきますよね。つまり、秋以降に強く剪定してしまうと、せっかく作られた花芽を物理的に切り落としてしまうことになるんです。一度切り落とした花芽は、そのシーズンにはもう戻ってきません。形を整えたつもりが、実は翌年の楽しみを奪ってしまっていた……なんてことにならないよう、剪定の時期は厳守したいところです。
花が終わってすぐに剪定を行うことは、翌年の開花準備を邪魔しないだけでなく、むしろポジティブな効果をもたらします。古い枝を短く切り戻すことで、植物ホルモンの影響で新しい「脇芽」がどんどん発生してきます。芝桜は匍匐性の茎が節々から新しい根を出しながら広がる性質があるため、剪定による刺激が株の若返りを促してくれるんですね。この新しく出た元気な枝が夏から秋にかけて成熟し、そこにたくさんの花芽が付くことで、結果として翌年の花の数が増え、より密度の高い花の絨毯が完成します。さらに、新しい枝は古い枝よりも光合成の能力が高いため、株全体の基礎体力を上げることにも繋がります。もし、どうしても秋に形が気になって微調整したい場合は、飛び出している数本の枝を摘み取る程度の「軽微な整枝」に留めておくのが賢明です。来年の春、一面に広がる満開の景色を想像しながら、この花後のひと手間を楽しんでみてください。この時期の適切な介入こそが、ガーデニングの醍醐味であり、成功への最短ルートかなと思います。
地域や八王子の気候による作業タイミングの差

芝桜の成長速度や生理ステージは、お住まいの地域の気候、特に気温と湿度の推移に大きく左右されます。全国一律で「〇月〇日」と決めるのは難しく、大切なのは自分の庭の植物が発する「開花の終わり」というサインと、現地の「梅雨の訪れ」という気象状況をリンクさせることです。地域ごとの標準的なスケジュールを以下の表にまとめてみたので、まずはご自身の地域がどこに該当するか確認してみてください。
| 地域区分 | 開花時期の目安 | 剪定・刈り込みの適期 | 気候の特徴と注意点 |
|---|---|---|---|
| 温暖地(九州・四国・沿岸部) | 3月下旬〜4月下旬 | 5月上旬〜5月下旬 | 気温上昇が非常に早いため、梅雨前の5月中に完了させるのがベストです。 |
| 中間地(関東・東海・関西) | 4月上旬〜5月中旬 | 5月中旬〜6月中旬 | 梅雨入り前が勝負。遅くとも6月初旬までに終えると安心感があります。 |
| 寒冷地(北海道・東北・高冷地) | 5月下旬〜6月下旬 | 6月下旬〜7月上旬 | 梅雨の影響は少ないですが、冬が来る前に新芽を十分に固める必要があります。 |
特に私が注目してほしいのは、八王子市のような関東の内陸部や盆地状の地形の地域です。こうした地域は、冬の冷え込みが厳しいため春の動き出しこそ沿岸部より少し遅れる傾向にありますが、いったん暖かくなると急激に気温が上昇し、夏場はかなりの高温になります。こうした気候では、「花が終わった」と思ったら一刻も早く作業に取り掛かるのが成功の秘訣です。のんびりしていると、剪定する前に熱風が吹き抜ける過酷な夏がやってきてしまい、株がダメージを受けてしまいます。また、近年は異常気象で梅雨入りの時期も年によって大きく前後しがちですので、カレンダーの日付だけに頼るのではなく、地域の詳細な気象データを確認しながら進めるとより確実ですよ。例えば、気象庁が提供している過去のデータなどを参考に、自分の地域の梅雨入りの傾向を把握しておくのも面白いかもしれませんね。(出典:気象庁『過去の気象データ検索』)
手入れ不足で起こる株の蒸れや木質化の防ぎ方

芝桜を「植えっぱなしで大丈夫な丈夫な植物」だと思っていると、数年後に取り返しのつかない状態になってしまうことがあります。特によくある悩みが、根元の方が茶色くカサカサになり、まるで木の枝のようになってしまう「木質化(もくしつか)」という現象です。こうなると、芝桜本来のみずみずしさが失われ、株全体の柔軟性がなくなって物理的な衝撃にも弱くなってしまいます。さらに深刻なのは、木質化した部分からは新しい元気な芽が吹きにくくなってしまうため、放っておくと花数も激減し、スカスカな印象になってしまうことです。これは、適切な剪定による「物理的な刺激」と、古い組織の「リフレッシュ」が足りないことが主な原因なんですね。
さらに恐ろしいのが、密集した株の内部で進行する「蒸れ」による崩壊です。芝桜は成長するにつれて地面を厚く覆っていきますが、剪定を怠ると、古い葉の上に新しい葉が何層にも重なり、株の底の方は光も風も一切届かない、不衛生な暗黒空間になってしまいます。ここで一度湿気が溜まってしまうと、自分の重みで株が押し潰され、そこから一気に嫌気的な腐敗が進んでしまいます。夏が終わる頃になって、「春には一面の花だったのに、中央部だけがポッカリと茶色く枯れ落ちてドーナツ状にハゲてしまった……」という姿を見るのは、ガーデナーとして本当に悲しいものです。こうした事態を防ぐ唯一にして最大の解決策は、毎年欠かさず全体のボリュームを30%〜50%程度落とす剪定を習慣にすること。もし、すでに長年の放置で木質化やハゲが進行してしまっている場合は、一度に深く切って再生をかけるのではなく、後で詳しく説明する「目土」を毎年少しずつ入れて茎からの発根を促しながら、数年かけてゆっくりと株全体を若返らせていくのが、失敗しないための現実的なアプローチかなと思います。
刈り込みすぎた失敗から株を再生させる診断法
「来年もっと咲かせるために!」と意気込んで刈り込んだものの、終わってみたら緑の葉が一切なくなって、不気味に茶色い茎だけが剥き出しの状態に……「もしかして、やりすぎて枯らしちゃったかも」と、血の気が引く思いをした経験はありませんか?でも、すぐに諦めて引き抜いてしまうのは早計です。芝桜の生命力は、私たちの想像を遥かに超える強靭さを持っています。まずは落ち着いて、その株が生きているかどうか、自分自身で「健康診断」をしてみましょう。やり方はとても簡単で、茶色くなった茎の一部を指で軽くつまんで、クイっと引っ張ってみるだけです。もし根元からポロッと簡単に取れてしまい、茎の中までカサカサに乾燥しきっている場合は残念ながら枯死していますが、引っ張ってもしっかりとした手応え(抵抗)があり、茎にしなやかな弾力を感じるなら、その株はまだ生きています。
再生を促すための「集中治療」として最も大切なのは、刈り込み直後の2週間程度の水分管理です。葉を失った株は蒸散による調節ができず、乾燥ストレスに対して非常に脆弱になっています。土の表面が乾かないように、朝夕の涼しい時間帯にたっぷりと水をあげてください。このとき、植物に直接水をかける「葉水(はみず)」も効果的ですよ。
置き場所や気候にもよりますが、適切に管理していれば1ヶ月ほど経った頃、茶色い茎の節々から信じられないほど小さくて健気な「緑の点」が見えてくるはずです。それが新芽の赤ちゃん。その姿を確認できたら、もう一安心です。芝桜は「失敗を糧にして、より強く再生できる」ポテンシャルを持った植物。そんな健気なところを知ると、ますます愛着が湧いてくるかなと思います。諦めずに付き合ってあげてくださいね。
失敗しない芝桜の剪定時期と効果的なやり方の手順
剪定の「なぜ」と「いつ」が理論的に理解できたら、いよいよ具体的な「どうやって」の実践編に進みましょう。正しい手順と自分に合った道具のコツを知るだけで、作業の苦労は半分になり、仕上がりの満足度は倍以上になりますよ。芝桜がもっと元気になれる、私おすすめの手順を一緒に確認していきましょう。
緑の葉を残す切り戻しと深刈り厳禁の原則

芝桜の剪定において、これだけは絶対に忘れないでほしい「黄金のルール」があります。それは、「どんなに短く切り揃えたくても、必ず緑の葉を数枚残してカットすること」です。これには非常に明確な生物学的理由があります。芝桜の新しい芽(脇芽)は、現在生きている緑の葉がついている「節(ふし)」の部分から発生する力が最も強いんです。逆に、何年も経って完全に茶色く木質化してしまった古い茎には、新しい芽を出すための「潜伏芽」が極めて少なく、そこまで深く切り戻してしまう(いわゆる深刈り)と、新しい芽を吹くためのエネルギーが足りずにそのまま株全体が枯死してしまうリスクが飛躍的に高まってしまいます。良かれと思った行動がトドメを刺すことにならないよう、この「緑の残し具合」には細心の注意を払ってくださいね。
具体的な手法としては、地上部から3cmから5cm程度、自分の目で見て「緑の葉がしっかり確認できる高さ」で、水平あるいは株の中心が少し高くなるような緩やかなドーム状に切り揃えるのが理想的な「切り戻し」です。全体のボリューム感としては、だいたい半分から3分の1くらいまでスッキリさせるイメージが、その後の管理もしやすくてちょうど良いかなと思います。こうして上部をカットすることで、これまで茂った葉に遮られていた日光が株の深部まで届くようになり、休んでいた小さな芽たちが「よし、今だ!」と一斉に活動を開始します。もし長年の放置によって、表面の数センチ以外は根元まで真っ茶色になっている……という重症な株の場合は、一度に短くしようとするのは危険です。まずは飛び出した枝先を整える程度の「軽剪定」に留め、植物の再生能力を維持しながら、後述する目土など別の手法で時間をかけてケアしてあげてください。無理をさせないことが、お互いにとって一番幸せな付き合い方ですよ。
さらに、見た目を極めたい場合は、特に密集している箇所を数カ所だけ、根元近くでピンポイントに抜き取る「透かし剪定」を組み合わせると、風通しがさらに良くなり、プロが仕上げたような軽やかな姿になります。少々手間はかかりますが、それに応えて見事な新芽を吹いてくれるのが芝桜の可愛らしいところですね。
バリカンやハサミなど効率的な道具の使い分け

道具選びは、作業の効率だけでなく、あなたの「やる気」と「仕上がりの美しさ」を左右する非常に大事な要素です。私のこれまでの経験上、庭の広さや芝桜を植えている場所の形状によって、最適な「相棒」は変わってきます。それぞれの道具が持つ得意分野と注意点を整理してみたので、今の自分の環境に当てはめて選んでみてくださいね。
- 剪定バサミ: 鉢植えやプランターでの栽培、あるいは数株程度の小さなスペースを管理する場合に最適です。また、広い場所でも縁石のキワや障害物の周りなど、機械では届かない細かい部分を丁寧に仕上げるのに欠かせません。一枝ずつ状態を確認しながら切れるので、植物へのダメージを最小限に抑えられるのが最大のメリットです。
- 刈込ハサミ(両手持ち): 地植えの数平米程度のエリアを、リズム良くサクサクと整えたいときに重宝します。広範囲を一定の高さで刈るのに向いていますが、芝桜の茎は意外と弾力があり柔らかいため、刃の噛み合わせが悪いと茎を「噛んで」引きちぎってしまうことがあります。作業前にはしっかり刃を研いでおくことが、組織を痛めないコツです。
- 電動芝生バリカン: 庭の芝桜管理において、私が最もおすすめしたいのがこれです!特にHiKOKIや山善などのメーカーから発売されているコードレスタイプは、驚くほど軽くて取り回しが楽。地面と並行に滑らせるだけで、プロが仕上げたような均一な高さにカットできます。中腰での辛い作業時間が劇的に短縮されるので、一度使うともう手放せなくなりますよ。
- ヘッジトリマー: 広い斜面(法面)や公園のような大規模なスペースを管理している場合に真価を発揮します。圧倒的なパワーで広範囲をドーム状に整えるのが得意です。ただし、パワーが強すぎるため、隠れた石や太い雑草の茎を噛み込むと刃を傷めたり事故に繋がったりする危険があるため、作業前の念入りな掃除が必須条件となります。
道具を大切にする心は、巡り巡って植物を大切にする心にも繋がります。自分の手の延長のようにしっくり馴染む、最高の一品を見つけてみてください。
成長を助ける目土の施工と水はけの良い土選び

剪定という「引き算」の作業が終わったら、次は成長を促すための「足し算」である「目土(めつち)」を行いましょう。これ、意外と忘れられがちですが、芝桜を何年も若々しく保つためには欠かせない、言わば「魔法のメンテナンス」なんです。芝桜は匍匐性(ほふくせい)と言って茎が地面を這うように伸びていきますが、実はこの這っている茎が土にピタッと触れることで、その節々から新しい根っこ(不定根)を出すという素晴らしい性質を持っています。剪定をして株の間に隙間ができたタイミングで新しい土を補充してあげると、浮き上がっていた古い茎が土と密着し、そこから新しい根がどんどん出て株全体の吸水・吸肥能力が劇的にアップするんです。これこそが、古い株を実質的に「若返らせる」メカニズムなんですね。
目土に使う土選びで最も妥協してはいけないポイントは、「水はけ(透水性)の良さ」です。粘土質が強い重い土を被せてしまうと、せっかく剪定で確保した通気性を損ない、逆に湿気を溜め込んで根腐れの原因を作ってしまいます。
推奨される土の種類とブレンド
- 川砂: 最も水はけが良く、茎を物理的に固定する力にも優れています。雑草の種も混じりにくいので管理が楽です。
- 芝生用の目土: 砂ベースで粒子が細かく揃っており、隙間に入り込みやすいので非常に使い勝手が良いです。
- 赤玉土(小粒): 適度な保水性も持たせたい場合に有効。市販の腐葉土を2割ほど混ぜると、より自然な土壌に近い環境が作れます。
具体的な施工のコツ
剪定が完了した株の上から、バケツなどで土をパラパラと振りかけます。厚さはだいたい1cmから2cm程度を目指してください。このとき、せっかく残した緑の葉っぱが完全に土に埋もれて見えなくなってしまうと、光合成ができず窒息してしまいます。撒いた後は、自分の手や竹ボウキなどで優しくなでて、茎の隙間に土を落とし込みつつ、葉の先がひょっこり顔を出すように調整してあげるのが、プロ顔負けのテクニックです。これをしてあげるだけで、夏の強い日差しによる地温の上昇や乾燥から根元が守られ、秋が来る頃には見違えるほどフカフカでボリュームのある、元気いっぱいの株に生まれ変わりますよ。剪定と目土、このセットをぜひ習慣にしてみてください。
株を弱らせない施肥のタイミングと肥料の成分

芝桜は、もともと荒地や痩せ地でも力強く生き抜く力を持った植物です。そのため、肥料に関しては「甘やかしすぎない」ことが鉄則。「足りないくらいがちょうどいい」という、少しストイックな管理が実は一番綺麗に咲かせるコツなんです。過剰な施肥は、植物の組織を軟弱にして病害虫への抵抗力を弱めたり、葉っぱばかりが異常に茂って肝心の花が咲かない「蔓(つる)ボケ」の状態を招いたりします。最悪の場合は「肥料焼け」で株そのものを枯らしてしまうことも。大切なのは、植物がエネルギーを最も必要としているピンポイントな瞬間に、必要最小限の量をそっと届けてあげることです。
肥料をあげるべきベストタイミングは、基本的には年に2回だけと覚えてください。
1. 早春(2月下旬〜3月):開花準備のブースト
これから一斉に芽吹き、花を咲かせるためのガソリンとして与えます。新芽がわずかに動き出すこの時期に栄養があることで、花の数と色の鮮やかさが格段に向上します。
2. 花後・剪定直後:お疲れ様の「お礼肥」
全エネルギーを注いで花を咲かせた後の、リカバリーのための肥料です。剪定によるダメージから回復し、厳しい夏を越すための体力を株の奥底に蓄えるのを助けてくれます。
なお、植物が暑さでバテている真夏や、成長が止まる冬の休眠期に肥料をあげるのは絶対に避けてくださいね。私たち人間も、熱中症で倒れそうなときに重い食事は喉を通らないのと同じで、植物にも休息と絶食が必要な時期があるんです。そのリズムを尊重してあげることが、長く付き合うための思いやりかなと思います。
挿し芽や株分けで元気な苗を増やすメンテナンス

剪定で出た山のような切り屑、これをただの「ゴミ」として捨ててしまうのは、実はとんでもなくもったいないことなんです。芝桜を愛する皆さんならお分かりかもしれませんが、あの切り落とした茎の一つひとつは、すべて「新しい苗の予備軍」なんですよ。元気な緑の葉がついている健康な茎があれば、ぜひこの機会に「挿し芽(さしめ)」に挑戦して、予備のバックアップ苗を作ったり、新しい花壇を彩るための苗を自給自足してみませんか?やり方は拍子抜けするほど簡単です。
失敗しない挿し芽のステップ
- 剪定した枝の中から、虫食いや病気のない、みずみずしい緑の茎を5cmから10cmくらいに切り揃えます。
- 土に埋めることになる下半分程度の葉を、指で優しく取り除きます。この「節」の部分から、新しい根が出てくる確率が非常に高いんです。
- 切り口をカッターなどで斜めに鋭くカットし、30分ほど清潔な水に浸けて、細胞をシャキッとさせてから作業に入ります。
- 肥料成分の入っていない、赤玉土(小粒)や鹿沼土などの清潔な土をポットに入れ、あらかじめ指や棒で穴を開けてから、そっと挿し込みます。
- その後2週間から3週間は、直射日光の当たらない風通しの良い明るい日陰で、土を絶対に乾かさないように注意して見守ってください。
また、植えてから5年以上が経過して、株が巨大化した割に中心部が禿げ上がってしまった……という「お疲れモード」の株には、秋(9月〜10月)の「株分け(かぶわけ)」によるリフレッシュが劇的に効きます。株をスコップでガバッと掘り起こし、手やハサミで根が付いた状態の塊にいくつかに分割して、新しい場所に植え直してあげてください。この際、古い土をしっかり落として、堆肥や腐葉土を混ぜ込んだ新しいフカフカの土に植えてあげれば、翌春にはまるで新品の苗を買ってきたかのように、若々しい勢いで成長してくれます。こうして少しずつ、でも確実に「株の更新」を繰り返していくことが、何十年という長い年月、美しい芝桜の絨毯を維持し続けるための一番の秘訣なんですよ。自分で増やした小さな苗が翌年見事な花を咲かせた時の喜びは、園芸店で購入した苗とは比べものにならないほどの感動があります。ぜひ、ハサミを置く前に一握りの茎を救い出してみてくださいね。
長く花を楽しむための芝桜の剪定時期の重要性
さて、ここまで芝桜の剪定と管理について、かなり詳しくお話ししてきました。最後に改めてお伝えしたいのは、この「剪定時期を正しく守る」という行為が、単なる見た目を整えるメンテナンス以上の、非常に深い意味を持っているということです。それは、芝桜を病害虫の脅威から遠ざけ、その土地の厳しい自然環境に寄り添わせるための、言わば「予防医学」のような役割を果たしています。例えば、芝桜の天敵である「ハダニ」は、高温で乾燥し、かつ風通しが極端に悪い場所を好み、瞬く間に繁殖して株を白く枯らしてしまいます。しかし、適切に剪定され、常に新鮮な光と風が根元まで届いている健康な株には、ハダニもなかなか付け入る隙がありません。万が一害虫が発生してしまったとしても、剪定後のスッキリした状態なら、少量の薬剤散布で奥までしっかり届き、被害を最小限に食い止めることができるんです。
また、自分の手を動かして剪定を行うという時間は、植物の小さな異変にいち早く気づける貴重な「対話の時間」でもあります。「あ、ここにカタバミが紛れ込んでるな」「今年は例年より乾くのが早い気がするな」……。こうした繊細な気づきの積み重ねこそが、結果として、どんな立派な専門書にも勝る「あなたの庭だけの正解」を導き出し、長く素晴らしい花を楽しむことにつながります。芝桜の管理は、最初から完璧を目指さなくても大丈夫です。万が一切りすぎたり時期が少しズレたりしても、今日お話しした目土や丁寧な水やりでリカバーできる「懐の深さ」が、この植物には備わっています。
もし、これから芝桜の栽培を始めようと思っている初心者の方や、今のお庭の状態がなんとなく不安な方は、まずはこの記事にある「花後の剪定」という第一歩から踏み出してみてください。そのひと手間が種となり、来年の春には、今年以上に心震えるような「花の絨毯」があなたのお庭を彩ってくれるはずです。より専門的な大規模管理や特殊な品種の扱いについては、地域のベテラン園芸家やプロの造園業者さんに相談してみるのも素晴らしい学びになりますが、家庭で楽しむ範囲なら、何よりもあなたのその「愛情」と「観察眼」が、芝桜にとって一番の栄養になります。さあ、ハサミを持って、芝桜との新しい季節、新しい対話を始めてみましょう!
この記事の要点まとめ
- 芝桜の剪定時期は花後から梅雨入り前までが最も重要である
- 梅雨の湿気による内部の蒸れを防ぐことが夏越しの必須条件となる
- 秋以降に強く剪定すると翌年春に咲く花芽を失うリスクがある
- お住まいの地域や気候に合わせて作業の開始日を柔軟に微調整する
- 刈り込みを行う際は必ず数枚の緑の葉を残す高さをキープする
- 茶色い木質化した部分まで切り戻す深刈りは枯死の原因になる
- 電動芝生バリカンを活用することで均一で美しい仕上がりが可能になる
- 剪定後に目土を施工することで茎からの発根と株の若返りを促す
- 肥料は控えめにし早春と花後の年2回に絞って適量を与える
- 剪定で出た元気な茎を利用して挿し芽で新しい苗を簡単に増やせる
- 5年を目安に株分けを行うことで景観の寿命を大幅に伸ばせる
- 剪定による風通しの改善がハダニなどの病害虫の物理的防除になる
- 株が枯れたかどうかは茎を引っ張った際の弾力や手応えで判断できる
- 作業後は切り屑や枯れ葉を丁寧に取り除き不衛生な環境を作らない
- 芝桜の剪定時期を正しく守ることは来春の満開に向けた最高のご褒美である
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