こんにちは、My Garden 編集部です。
皆さんは散歩の途中で、ふと足元に咲く鮮やかなピンク色の小花に目を奪われたことはありませんか。その可憐な姿を見て「あ、なでしこだ!」と思う方も多いはずですが、実はなでしこに似た花は自然界にたくさん存在します。本物のなでしこ(ダイアンサス)の仲間はもちろんのこと、全く別の科に属しながらそっくりの花を咲かせるムシトリナデシコや、春を彩るシバザクラなど、その正体は実に多彩です。私自身、最初はどれも同じに見えて区別がつきませんでしたが、いくつかのポイントを知るだけで、驚くほど簡単に見分けられるようになりました。この記事では、なでしこに似た花の正体をスッキリ解明し、道端や公園で見かける花の名前を特定するためのコツを詳しくお伝えします。この記事を読めば、これからの外出がもっと楽しくなり、植物への理解がぐんと深まるはずですよ。
この記事のポイント
- なでしこに似た主要な花たちの具体的な名前とそれぞれの特徴を網羅的に学べます
- 道端でよく見るムシトリナデシコやシバザクラの正体と生態が詳しくわかります
- 花びらの枚数や茎のベタつきといった、五感を使った確実な識別法が身につきます
- 本物のカワラナデシコと類似種を正しく区別して、園芸や観察に活かせるようになります
道端で見かけるなでしこに似た花の正体と見分け方
私たちが日常のふとした瞬間に目にする「なでしこに似た花」の多くは、実は野生化した外来種や、非常に強健な性質を持つ特定の植物であることが多いです。ここでは、特に出会う確率の高い種類をピックアップして、その正体と見分け方の「決定打」を詳しく解説していきますね。
ベタベタするムシトリナデシコの生態と特徴

道端で見かけるピンク色の小花の中でも、特になでしこと間違われやすいのがムシトリナデシコです。名前に「ナデシコ」と付いているため、混同されるのはある意味当然かもしれません。しかし、植物学上の分類を見てみると、実はなでしこ属(ダイアンサス属)ではなく、マンテマ属(シレネ属)という別のグループに属しています。この花の最大かつユニークな特徴は、なんといってもその「ベタベタ」とした茎の感触にあります。茎を観察してみると、節の下あたりが茶色く変色しており、そこを指で触ると粘着性のある分泌液が出ているのがわかります。これが「ムシトリ」という名前の由来なのですが、実はこの植物は虫を食べて栄養にする「食虫植物」ではありません。
ではなぜベタベタしているのかというと、これは植物が自らを守るための「護身術」なんです。地面から這い上がってきて、受粉に貢献せずに蜜だけを盗もうとするアリなどの昆虫を、この粘着液で足止めしているんですね。一方で、空を飛んで受粉を助けてくれるハチやチョウには、このトラップにかかることなく蜜を提供し、効率よく子孫を残そうとしています。こうした植物の生存戦略を知ると、ただの道端の花もすごく賢く見えてきませんか。ムシトリナデシコは、江戸時代に観賞用として日本に持ち込まれたものが野生化した帰化植物ですが、今ではアスファルトの隙間や砂利だらけの荒地でも力強く咲き誇っています。草丈は30cmから60cmほどになり、茎の先に鮮やかなピンクの花をたくさん集めて咲かせる姿は、まさに都会のサバイバーといった印象です。花言葉には「罠」や「未練」といった少しドキッとする意味もありますが、それはこのベタベタした性質からきているそうです。見た目の愛らしさと裏腹な、逞しい生態がこの花の魅力ですね。
ピンクの小花が可愛いムシトリナデシコの識別法

さて、実際に目の前にあるピンクの花がムシトリナデシコかどうかを判別するには、いくつかの具体的なチェックポイントがあります。まず最初に行ってほしいのは、花のすぐ下にある茎をじっくり見る、あるいは指先で軽く触れてみることです。先ほどお話しした通り、茎の節部分に茶色っぽい帯状のベタベタする箇所があれば、それは100%ムシトリナデシコです。これは本物のなでしこの仲間には絶対に見られない特徴なので、これだけで正体が確定します。また、花びらの形にも注目してみてください。本物のなでしこ、例えばカワラナデシコなどは花びらの先端が細かく、糸のように深く切れ込んでいますが、ムシトリナデシコの花びらは先端にほんの少し切り込みがある程度で、全体的に丸みのあるシンプルな5枚の花びらで構成されています。この「丸み」が、優雅ななでしことはまた違った、ポップで可愛らしい印象を与えています。
さらにもう一つの識別ポイントとして、花の付け根にある「がく筒(がくとう)」の状態が挙げられます。ムシトリナデシコのがくは、花が咲き進むにつれてぷっくりと筒状に膨らみ、表面にははっきりとした縦の筋(脈)が見えます。一方で、本家のなでしこ属には、このがくの基部に「苞(ほう)」と呼ばれる鱗片状の小さな葉が数対重なって付いているのですが、ムシトリナデシコにはこの苞がありません。このように、単に色の美しさだけでなく、茎の質感やがくの細かな構造まで観察してみると、植物学的な違いがはっきりと見えてきて本当に面白いですよ。私はいつも、このぷっくり膨らんだがくを「小さなランプが並んでいるみたい」と思いながら眺めています。これらを知っていれば、散歩中に友達から「この花の名前は何?」と聞かれても、ベタベタを確認しながら自信を持って教えてあげられますね。こうした小さな発見が、毎日の風景をより豊かにしてくれるのかなと思います。
道端の雑草として野生化したナデシコ科の植物

私たちが普段「なでしこ」と呼んで親しんでいるのは主にナデシコ属のことですが、広い意味での「ナデシコ科」は非常に多様で、世界中に約90属3000種以上もの仲間がいます。その中には、道端で一般的に「雑草」として扱われている植物も意外と多く含まれているんです。例えば、皆さんもよく知っている春の七草の一つである「ハコベ」も、実は立派なナデシコ科の仲間。小さな白い花をよく観察すると、花びらが5枚あり、それぞれが真ん中で深く裂けて10枚に見えるという繊細な構造を持っていて、どことなく本家のなでしこの面影を感じさせます。また、道路沿いや空き地で群生している「マンテマ」や「シロバナマンテマ」なども、ムシトリナデシコと同様に野生化したナデシコ科の類似種ですね。これらはかつて鑑賞用として導入されたものが、日本の気候に馴染んで広まったものです。
これらの野生化したナデシコ科植物に共通している興味深い点は、アルカリ性の土壌を好むという性質です。日本の土壌は本来、雨が多い影響で酸性に傾きやすいのですが、コンクリートやアスファルトの周囲は石灰成分が溶け出しやすいため、実はアルカリ性に近い環境になっています。だからこそ、駅のホームの隙間やガードレールの下といった、一見過酷に見える場所で、なでしこの仲間たちが元気に咲いているのをよく見かけるわけです。私たちがふと目にする「雑草」としてのなでしこたちは、実は都市環境を巧妙に味方につけて生き抜いているサバイバーだと言えるかもしれません。こうした植物たちの背景を知ると、ただの道端の景色も、生命力に溢れたエネルギッシュなステージのように感じられませんか。もしお庭になでしこを植えてもうまく育たないという方は、土に少し苦土石灰を混ぜてアルカリ性に調整してあげると、道端の仲間に負けないくらい元気に育ってくれることが多いですよ。身近な植物のルーツを知ることは、私たちの暮らしを少しだけ豊かにする知恵になりますね。
春に咲くピンクの芝桜とナデシコの決定的な違い

春が訪れると、公園の斜面や個人宅の庭先を鮮やかなピンクや紫、白で彩るシバザクラ(芝桜)。その花の形がなでしこにとてもよく似ているため、視覚的な混同を招きやすい植物の筆頭です。しかし、植物学的にはシバザクラはハナシノブ科に属しており、ナデシコ科とは全く別の系統の植物なんです。名前の由来は、その名の通り「芝のように地面を這って広がり、桜のような花を咲かせる」ことから。シバザクラとなでしこの最大の違いは、何といってもその「生育のスタイル」にあります。なでしこが茎を空に向かって真っ直ぐ、あるいは斜めに伸ばして立ち上がるのに対し、シバザクラは茎が地面を這うように広がる「ほふく性」という性質を持っています。そのため、花が咲いていない時期でも、地面を覆う緑のマットのような姿を見れば、なでしこではないことが一目瞭然です。
また、葉の形にも決定的な違いがあります。なでしこの葉は柔らかくて細長く、茎に対して左右ペアになって付く(対生)のが特徴ですが、シバザクラの葉は針のように細く尖っており、触ると少し硬くてチクチクするような独特の質感を持っています。花そのものについても、シバザクラの花びらは先端が軽く凹んでいる程度で、なでしこのような深いギザギザとした切れ込みはありません。開花時期もシバザクラは主に4月から5月に集中しますが、なでしこの仲間は品種によって初夏から晩秋まで長く咲き続けるものも多いですね。春に「地面がピンク色に染まっている!」と感じたら、それはほぼ間違いなくシバザクラです。一方で、ひょろっと茎を伸ばして1輪ずつ、あるいは数輪ずつ可憐に咲いているなら、それはなでしこの可能性が高くなります。このように、花の形だけでなく、株全体のシルエットや葉の感触、さらには咲いている時期を意識することで、驚くほど簡単に見分けられるようになります。こうした知識があると、春のお散歩がより一層楽しくなりますね。
シバザクラの詳細な育て方については、こちらの「芝桜の育て方ガイド」もぜひ参考にしてみてください。グランドカバーとしての活用法も詳しく紹介されています。
地面を覆うシバザクラの育て方と管理のポイント

シバザクラは、その美しい花の絨毯を手軽に楽しめることから、ガーデニングのグランドカバーとして不動の人気を誇っています。私のお庭でもかつて育てていましたが、とにかく「乾燥に強く、日当たりを好む」という性質を理解してあげることが、成功への一番の近道かなと思います。シバザクラは北米原産の植物で、もともとは乾燥した砂礫地などに自生していたため、日本の湿度の高い環境、特に梅雨の時期の「蒸れ」が大の苦手です。そのため、植え付ける際は水はけの良い斜面や、石垣の隙間、レイズドベッドのような場所を選んであげるのが理想的ですね。平地に植える場合も、少し土を盛り上げて高畝にすることで、根元の通気性を確保してあげると、夏越しがぐんと楽になります。
さらに、シバザクラを長く美しく保つための「裏技」的なポイントが、花が終わった後の「切り戻し」です。花がひと通り咲き終わった6月頃、ハサミやバリカンを使って株全体を3分の1から半分くらいの高さまでバッサリと刈り込んでみてください。こうすることで株の中の風通しが劇的に良くなり、病害虫の発生を防ぐとともに、秋に向けて新しい綺麗な葉が芽吹いてくるようになります。この作業をサボってしまうと、株の中心部が蒸れて茶色く枯れ上がってしまう「ハゲ」の状態になりやすいので注意が必要です。また、シバザクラは肥料をそれほど必要としませんが、春と秋にパラパラと緩効性肥料を置いてあげるだけで十分です。手間をかけすぎず、でも風通しだけはしっかりと守ってあげる。そんな「程よい距離感」での付き合いが、シバザクラを毎年美しく咲かせるコツですよ。もしお庭にちょっとしたスペースがあるなら、ぜひ挑戦してみてほしい素敵な植物です。
秋の七草のカワラナデシコと季節の類似種

日本に古くから自生し、万葉の時代から多くの人々に愛されてきたのがカワラナデシコです。これこそが、清楚で凛とした女性を例える「大和撫子(ヤマトナデシコ)」の語源となった花ですね。特徴は何といっても、その花びらの精巧なつくりにあります。淡い紅紫色の5枚の花びらは、先端が糸のように細かく、そして非常に深く裂けています。この繊細な姿は、まさに自然が作り出した芸術品といった趣があり、ムシトリナデシコやシバザクラとは明らかに一線を画す気品が漂っています。名前に「カワラ」と付く通り、本来は日当たりの良い河原や草原に自生する多年草ですが、近年では開発や環境の変化により、野生の個体を目にする機会は残念ながら減ってきています。
植物学的な詳細を確認すると、カワラナデシコは高さ30cmから80cmほどに成長し、茎の先に数個の花をまばらに咲かせます。興味深いのはそのがくの構造で、筒状のがくの基部には3対から4対の「苞(ほう)」と呼ばれる小さな葉のような組織が付いています。これが、類似種との科学的な識別の決め手となります。
(出典:熊本大学薬学部薬用植物園「薬草データベース:カワラナデシコ」
URL:https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/003483.php )
また、秋の七草に数えられるカワラナデシコですが、実際には6月頃から咲き始め、意外と長い期間楽しむことができます。このカワラナデシコに似た秋の花として、コスモスやヒメツルソバなどが話題になりますが、コスモスはキク科で花びらの枚数が8枚(正確には舌状花)ですし、ヒメツルソバはタデ科で金平糖のような小さな球状の花を咲かせます。どの花もそれぞれの季節感を運んでくれますが、カワラナデシコの持つ、あの「風に揺れる糸のような花びら」の美しさは、一度目にすると決して忘れられないほど印象的ですね。こうした日本の原風景を彩る花たちを、これからも大切に見守っていきたいなと思います。
カワラナデシコを含むナデシコ全体の詳しい種類や育て方については、こちらの「ナデシコの育て方と種類」の記事も非常に役立ちますよ。
庭や公園で楽しめるなでしこに似た花の種類一覧
お庭の主役として育てられている園芸品種や、公園の花壇で見かける植物の中にも、なでしこと見紛うほど魅力的な花が数多く存在します。ここでは、そんな類似種たちの個性をじっくり比較しながら、それぞれの楽しみ方をご紹介していきます。
サクラソウとナデシコの花びらや株姿の相違点

早春から初夏にかけて、公園の花壇を彩るピンク色の花といえば、サクラソウ(プリムラ)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。5枚の花びらと優しい色合いがなでしこのイメージと重なりますが、その姿をよく観察すると、植物としての構造は驚くほど異なります。まず、花びらの形状をチェックしてみてください。なでしこの花びらは先端がギザギザとした細かな切れ込みになっていますが、サクラソウの花びらは先端が中央に向かって深く凹んだ「ハート型」をしています。この流れるような曲線的な美しさが、サクラソウという名前の由来にもなっている「桜」の花びらに通じているんですね。なでしこが「シャープな美しさ」なら、サクラソウは「ふんわりとした柔らかさ」を持っているといえます。
さらに、株全体の形を比較すると違いがはっきりします。なでしこは茎が節々に分かれて上に伸び、それぞれの節から細長い葉が左右に対になって生えますが、サクラソウは「ロゼット状」といって、地面に近い位置から放射状に葉が広がり、その中心からスッと花茎が伸びて、その頂点に花を咲かせるスタイルです。いわゆる「根出葉(こんしゅつよう)」という構造ですね。また、栽培環境についても、なでしこが太陽が大好きで乾燥に強いのに対し、日本に自生するタイプのサクラソウは涼しくて適度な湿り気がある場所を好みます。もし、お庭の少し日陰になる湿った場所でピンクの花が咲いているなら、それはなでしこではなくサクラソウかもしれません。それぞれの好む環境を知っておくことは、ガーデニングで失敗しないための大切なポイントですよ。私個人としては、なでしこの凛とした立ち姿と、サクラソウの愛らしいロゼット、どちらもそれぞれの良さがあって大好きです。
| 比較項目 | ナデシコ(ダイアンサス) | サクラソウ(プリムラ) |
|---|---|---|
| 花びら | 先端がギザギザ・深く裂ける | 先端がハート型に凹む |
| 葉の付き方 | 茎に対生(左右ペア)で付く | 株元から放射状に広がる(ロゼット) |
| 主な開花期 | 4月〜11月(品種による) | 12月〜5月(品種による) |
| 適した環境 | 日向・水はけの良い場所 | 半日陰・適度な湿り気 |
4枚の花びらを持つユウゲショウの識別ポイント

道端や庭の片隅で、ひっそりと、でも鮮やかなピンク色の花を咲かせているのがユウゲショウ(アカバナユウゲショウ)です。一見するとなでしこの一種に見えるのですが、実は非常に簡単で、かつ絶対的な見分け方があります。それは、花の「花びらの枚数」を数えること。なでしこは基本的に5枚の花びらを持っていますが、ユウゲショウは例外なく「4枚」の花びらで構成されています。これさえ知っていれば、ものの数秒で判別がついてしまいますね。ユウゲショウはアカバナ科の植物で、アメリカ大陸からやってきた帰化植物ですが、今では日本のあちこちで野生化しています。夕方に花を開くことから「夕化粧」という粋な名前がついていますが、実際には日中の日差しの中でも元気に咲いているのをよく見かけます。
また、花の中心部を覗き込んでみてください。めしべの先端(柱頭)が4つに分かれていて、はっきりとした「白い十字型」をしているのが見えるはずです。これはアカバナ科の大きな特徴で、なでしこにはないチャームポイントです。葉の付き方も異なり、なでしこが対になって葉がつくのに対し、ユウゲショウは茎に対して交互に葉がつく「互生(ごせい)」という形をとっています。草丈は20cmから40cmほどとコンパクトで、そよ風に揺れる姿はとても可憐です。私はこのユウゲショウの、少しマットな質感のピンク色が大好きで、お庭の隅に自然に生えてきたものも「可愛いから」とついついそのままにしてしまいます。雑草として扱われることも多いですが、よく観察すると細部までデザインされた完璧な造形美を持っていて、植物観察の楽しさを教えてくれる代表的な花の一つかなと思います。枚数を数える習慣をつけると、植物の世界がもっとクリアに見えてきますよ。
ハートの葉が特徴のイモカタバミと外見の共通点

「庭になでしこにそっくりな花が群生している!」という時、その正体の多くはイモカタバミであることが多いようです。ピンク色の5弁花、中央に向かって少し色が濃くなるグラデーション……そのビジュアルは確かに一瞬、なでしこのように見えます。でも、足元にある「葉っぱ」を見てください。イモカタバミには、カタバミ科特有の「ハート型が3つ合わさった3出複葉」という非常に特徴的な葉が付いています。いわゆるクローバーのような形の葉っぱですね。なでしこの葉は細長く、シュッとしたラインを描く線形なので、葉の形さえ見れば絶対に間違えることはありません。イモカタバミはその名の通り、根っこに芋のような塊茎(かいけい)を作って増えていく植物で、一度庭に入るとその旺盛な繁殖力で瞬く間に広がっていきます。
イモカタバミの花をさらに詳しく見ると、花の中心部(のど)が濃い紫色をしていて、そこから黄色い葯(やく)が顔を出しているのがわかります。このコントラストの強さは、なでしこよりも少し派手で力強い印象を与えますね。また、夜や雨の日には花を閉じてしまい、太陽が出るとパッと開くという、光に対する敏感な性質もカタバミ科ならではの特徴です。お庭の管理としては、放っておくと他の植物を飲み込むほどの勢いがあるので注意が必要ですが、その鮮やかな色彩は初夏のお庭を明るく演出してくれます。もし「なでしこみたいな花が勝手に生えてきた」と思ったら、まずはその葉っぱがハート型かどうかを確認してみてください。なでしこは勝手にどこからか飛んできて増えることはそれほど多くないので、野生的に群生しているならイモカタバミである可能性が極めて高いと言えますね。ちなみに、同じ仲間のオキザリスについても、「オキザリスの育て方」で詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
密集して咲くヒゲナデシコとダイアンサス属
「これ、本当になでしこなの?」と二度見してしまうほど、独特の咲き方をするのがヒゲナデシコ(アメリカナデシコ)です。これまでのなでしこのイメージは、細い茎の先に1輪から数輪が可憐に咲く姿でしたが、ヒゲナデシコは茎の先端に数十個もの小花がぎゅっと固まり、まるでテマリ(手毬)のような半球状の大きな花房を作ります。そのボリューム感は圧巻で、ガーデニングでは花壇の主役級の存在感を放ちます。名前に「ヒゲ」と付いているのは、花を支えているがくの部分から針のように細長い「苞(ほう)」が突き出しており、それがまるで髭が生えているように見えるからです。この髭のような苞のおかげで、花全体が少しトゲトゲとした、力強い印象になっているのが特徴的ですね。
このヒゲナデシコも、れっきとしたナデシコ属(ダイアンサス属)の仲間であり、花の細部を観察すれば、5枚の花びらや葉の対生構造などは本家のルールをしっかり守っていることがわかります。近年では、このヒゲナデシコの枝変わりから生まれた「テマリソウ(グリーントリュフ)」という品種も大人気です。こちらは花びらが全くなく、髭のような苞だけが発達して緑色のフワフワした球体になったもので、モダンなフラワーアレンジメントの主役としてよく使われています。一見すると苔の玉のように見えますが、実はなでしこの仲間だなんて、植物の多様性には本当に驚かされますよね。ヒゲナデシコは丈夫で育てやすく、切り花にしても非常に長持ちするため、私はいつも「お庭に彩りが欲しいならヒゲナデシコを植えてみて」とおすすめしています。一般的ななでしこのイメージを覆すような、華やかで力強い魅力にぜひ触れてみてほしいなと思います。花瓶に挿すだけで部屋がパッと明るくなりますよ。
鉢植えで人気のセキチクや園芸品種の魅力
最後にご紹介するのは、お庭やベランダの鉢植えとして最も身近な存在であるセキチク(石竹)です。中国原産のこのなでしこは、平安時代に日本へ渡来し、それ以来「唐撫子(カラナデシコ)」として、和歌などでも親しまれてきました。なでしこの中でも特に葉がしっかりとしており、その形状が竹の葉に似ていることから「石竹」の名がついたと言われています。カワラナデシコに比べると花びらの切れ込みは浅く、縁がギザギザとした「ノコギリ状」になっているのが特徴です。全体的にコンパクトな株姿でまとまるため、プランター栽培や花壇の前方に植えるのにぴったりな種類ですね。花の色も赤やピンク、白、さらには二色咲きのものまでバリエーションが非常に豊富です。
最近の園芸店では、このセキチクと他のなでしこを交配させて作られた、より強健で花付きの良い「ダイアンサス」と呼ばれる品種群が主役になっています。これら園芸品種の最大の魅力は、なんといっても「四季咲き性」にあります。適切な肥料と水やり、そして咲き終わった花をこまめに摘み取る「花がら摘み」を行えば、春から秋まで途切れることなく次々と花を咲かせてくれます。私のおすすめは、春の満開が終わった後に一度短く切り戻しをしてあげること。そうすることで株がリフレッシュされ、秋にはまた見事な花姿を見せてくれますよ。なでしこの仲間は、その可憐な見た目に反して、日光さえあれば多少の乾燥にも耐える「芯の強さ」を持っています。もし、道端のなでしこに似た花に惹かれて「自分でも育ててみたい」と思ったら、まずはこのセキチク系の園芸品種から始めてみるのが、成功への一番の近道になるはずです。自分で育てた花が次々と咲く喜びは、何物にも代えがたいですよ。
いかがでしたでしょうか。一見するとどれも同じ「ピンク色の小さな花」に見えますが、それぞれの植物が持つ独自のサインを知ることで、目の前の花がムシトリナデシコなのか、シバザクラなのか、あるいは歴史あるセキチクなのかがはっきりとわかるようになります。植物を知ることは、日常の風景に新しい彩りと発見を加えることでもあります。ぜひ、次のお散歩ではカメラやメモを片手に、足元の「なでしこに似た花」たちの秘密を探ってみてくださいね。もし具体的な栽培方法や、特定についてさらに詳しく知りたい場合は、お近くの園芸店や専門の植物図鑑なども併せて参考にしてみてください。最終的な判断や詳しい管理については、プロの専門家に相談してみるのも良い方法ですよ。それでは、素敵なガーデニングライフをお楽しみください!
種類を知ってなでしこに似た花を楽しく特定しよう
今回のガイドを通じて、なでしこに似た花たちの多様な世界をお楽しみいただけたでしょうか。道端に咲くムシトリナデシコの逞しさや、地面を覆うシバザクラの華やかさ、そして日本の心とも言えるカワラナデシコの繊細さ。それぞれが「ピンク色の5弁花」という共通点を持ちながらも、異なる環境で独自の進化を遂げてきた姿には、生命の不思議と美しさを感じずにはいられません。花びらの枚数を数える、茎の感触を確かめる、葉の形を観察する。そんなシンプルな動作の積み重ねが、植物との距離をぐっと縮めてくれます。この記事が、あなたの毎日のお散歩やガーデニングライフを、より豊かで発見に満ちたものにするお手伝いになれば、私としてこれほど嬉しいことはありません。これからも足元の小さな命に目を向けながら、心豊かな時間を過ごしていきましょう。
この記事の要点まとめ
- なでしこに似た花はナデシコ科以外にも数多く存在し、それぞれに識別ポイントがある
- ムシトリナデシコは茎の節部分が茶色くベタベタしているのが最大の特徴である
- ムシトリナデシコのベタベタはアリなどの蜜泥棒を防ぐための植物の護身術である
- 春に地面を這うように一面に咲くピンクの花はハナシノブ科のシバザクラである
- シバザクラは針のように細く硬い葉を持っており、触ると少しチクチクするのが特徴である
- 本物のカワラナデシコは花びらの先が糸のように非常に深く裂けているのが特徴である
- カワラナデシコのがくの基部には3対から4対の苞(ほう)が付いており、ここが識別の決め手となる
- 花びらの枚数が4枚であれば、それはなでしこではなくアカバナ科のユウゲショウである
- ユウゲショウのめしべの先端は白くはっきりとした十字型をしており、なでしこにはない特徴である
- クローバーのようなハート型の3枚葉があれば、それはカタバミ科のイモカタバミである
- イモカタバミは花の中心部が濃い紫色をしており、光に反応して花を開閉する性質がある
- サクラソウは花びらの先端がハート型に凹んでおり、株元から放射状に葉が出るロゼット状である
- ヒゲナデシコは小花が半球状に固まって咲き、がくから長い「ひげ」のような苞が出るのが特徴である
- セキチクは竹の葉に似たしっかりした葉と、縁がノコギリ状の花びらを持つ園芸の定番種である
- ナデシコ科の植物はコンクリート周辺などのアルカリ性土壌を好む傾向があり、都市部でもよく見られる
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