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こんにちは。My Garden 編集部です。
秋から春にかけて、お庭をカラフルに彩ってくれるパンジーですが、いざ植えようと思うと「パンジーの植える時期って、いつがベストなんだろう?」と悩みますよね。園芸店では秋から苗が並び始めますが、種まきの時期はもっと早いと聞いたり、寒冷地ではどうなのか、いつまでに植え付ければ冬越しできるのか、疑問は尽きません。
パンジー栽培は、この「植える時期」の選択が、その後の生育や花数に大きく影響するんです。最適な時期に植え付けないと、根がしっかり張れずに冬越しに失敗したり、春になっても花が少なかったり…なんてことも。また、良い苗の選び方を知らないと、育て始めてすぐにひょろひょろと徒長してしまうこともあります。
この記事では、なぜパンジーの植える時期は秋が最適なのか、苗と種まきそれぞれの正しい時期、地域別の違い、そして春まで長く楽しむための育て方(水やり、肥料、花がら摘み)のコツまで、私の経験も踏まえながら詳しく解説していきますね。
この記事のポイント
- パンジーの植え付けに秋が最適な理由
- 苗と種まき、それぞれの時期とコツ
- 寒冷地など地域別の注意点
- 春まで長く楽しむ育て方の要点
パンジーの植える時期、秋がベストな理由

パンジーの栽培カレンダーは、実は「秋」から始まります。もちろん春に植えることもできますが、パンジーの持つ本来の力を最大限に引き出し、長く楽しむための成功の鍵は、植え付け時期の理解にあります。なぜ秋がベストなのか、そして「苗」と「種」で時期がどう異なるのかを、まずは押さえていきましょう。
パンジー植え付けの最適期は秋
パンジーの植え付けシーズンは長く、一般的に10月頃から1月頃まで可能とされています。ですが、この期間の中でもベストシーズンは「秋」、具体的には10月~11月だと私は思います。
この時期に植え付ける最大の理由は、冬の寒さが本格化する前に、パンジーが土にしっかりと根を張る(根張り)ための時間を確保できるからです。
パンジーはもともと耐寒性が強い植物ですが、それはあくまで地中に根がしっかり定着していることが大前提です。秋のまだ暖かい(地温が下がりきっていない)時期に植え付けることで、根は活動を続け、冬が来るまでに土の中で広く深く伸びていきます。
この時期に植えた株は、冬の間は地上部の成長(葉や茎の成長)がゆっくりに見えるかもしれません。寒さで「縮こまっている」ように見えることもありますね。でも、土の中では充実した根がしっかりと活動していて、春に向けてエネルギーを蓄えているんです。
そして春、気温が上がり始めると同時に、その蓄えたエネルギーを使って一斉に成長をスタート!たくさんの新しい葉を茂らせ、次から次へと花芽を上げる準備が整うというわけです。秋植えは、春の圧倒的な花数のための「仕込み」期間なんですね。
春植えはおすすめしない?
「春に植えるのはダメなの?」と思うかもしれませんが、パンジーは本来、涼しい気候を好む植物です。春(3月~4月)に苗を植えても花は咲きますが、すぐに気温が上がり始めます。株が十分に大きく育つ前に高温多湿の時期を迎えてしまい、株が疲弊して開花期間が非常に短くなったり、病気にかかりやすくなったりすることが多いんです。やはり、パンジーのポテンシャルを最大限に引き出すのは「秋植え」かなと思います。
苗の植え付けはいつまで?

園芸店でポット苗を購入して植え付ける場合、苗は10月頃から出回り始め、寒さが厳しくなる1月頃まで販売されています。この期間中であれば、基本的にはいつ植えても栽培自体は可能です。
ただ、戦略的に考えると、やはり10月~11月がおすすめです。この時期は、人気の品種(例えばフリル咲きやユニークな色合いのもの)や、株の状態が良い苗が最も多く流通するタイミング。まさに選び放題ですね。
また、クリスマスや年末年始に向けた季節ごとの寄せ植えの材料としても需要が高く、パンジーと組み合わせるハボタンやビオラ、アリッサムなどの選択肢も豊富な時期です。この時期に植えれば、冬前の根張りも十分間に合います。
12月~1月の植え付け

もし12月や1月に植え付けた場合はどうなるかというと、不可能ではありませんが、いくつかの注意点があります。
最大の懸念は「根張りの遅れ」です。気温も地温も低いため、根が活動を始めるのが遅くなります。根が十分に張る前に強い寒波にさらされると、株が霜柱で持ち上げられたり、根が凍結したりして、深刻なダメージを受けるリスクが高まります。
また、植え付けてすぐに本格的な寒さにあたるため、冬の間は花がほとんど咲かないか、咲いても非常に少なくなります。主な開花は春からとなりますが、秋植えの株に比べると、春のスタートダッシュが遅れ、最終的な株のボリュームや花数が少なくなる傾向があることは知っておいた方が良いでしょう。
もし12月以降に植える場合は、霜よけの不織布をかけたり、株元に腐葉土などでマルチングをしたりして、できるだけ根を守る工夫をしてあげると安心です。
種まきの時期と発芽のコツ

もし種からパンジーを育ててみたい場合、作業の時期は苗の植え付けよりもずっと早くなります。多様な品種をコストを抑えて育てられるのが魅力ですが、少しだけコツが必要です。
一般的な種まきの適期は、夏の暑さが和らぎ始める8月下旬から9月頃です。なぜこんなに早いかというと、パンジーの「発芽適温」が深く関係しています。
パンジーの種が発芽するのに最適な温度は15℃~20℃と、かなり涼しい環境を好みます。(出典:サカタのタネ 園芸通信「パンジー、ビオラの育て方・栽培方法」)一方で、気温が25℃以上になると発芽率が極端に悪くなってしまうんです。
ですが、日本の8月下旬から9月といえば、まだまだ残暑が厳しく、日中の気温が30℃を超えることも珍しくありませんよね。この「発芽適温」と「現実の気温」のギャップをどう埋めるかが、パンジーの種まきで一番難しいところであり、成功の鍵となります。
種まきの重要コツ:光と温度の管理
パンジーの種まきを成功させるために、絶対に知っておきたいコツが2つあります。
1. パンジーは「好光性(こうこうせい)種子」
パンジーの種は、発芽するために「光」を必要とします。そのため、種をまいた後に一般的な植物のように土を厚くかぶせてしまうと(これを「嫌光性」といいます)、光が届かずほとんど発芽しません。覆土(ふくど)は、種がようやく隠れる程度にごくごく薄くかけるのが鉄則です。「バーミキュライト」という光を通す土壌改良材の細粒を薄くかけるのも、土の乾燥防止と光の透過を両立できるのでおすすめですよ。
2. 発芽までは「涼しい日陰」で管理
「光が必要なのに日陰?」と矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、これは非常に重要です。光が必要なのは「種」そのものであり、覆土を薄くすることで光は届きます。一方で「涼しい日陰」に置くのは、8月~9月の残暑の中で、土の温度が発芽の障害となる25℃以上に上昇するのを防ぎ、同時に土の表面の急激な乾燥を防ぐためです。
雨が直接当たらず、風通しのよい涼しい日陰や、遮光ネット(50%遮光など)の下で管理するのがベストです。上級者の方だと、発泡スチロールの箱に保冷剤と一緒に入れて温度管理をしたり、涼しい室内(エアコンの効いた部屋)で発芽させる方もいますね。
そして、5~7日ほどして無事に発芽を確認したら、今度は徒長(間延び)させないよう、すぐに遮光ネットなどを外し、十分な日光に当ててあげる必要があります。このタイミングの切り替えがとても大事です。
寒冷地など地域別の注意点
日本は南北に長く、気候差が大きいため、植え付け時期はお住まいの地域によって調整が必要です。特に種まきの時期は、その後の気温低下のタイミングに合わせるため、寒冷地ほど作業開始が早くなります。
一般的な目安として、作業別のカレンダーをまとめてみました。これはあくまで目安なので、ご自身の地域の気候や、その年の天候に合わせて調整してくださいね。
| 気候区分 | 種まき時期 | 苗の植え付け時期 |
|---|---|---|
| 寒冷地 (北海道・東北など) | 7月上旬~7月下旬 | 9月下旬~10月中旬 |
| 温暖地 (関東・東海など) | 8月中旬~9月中旬 | 10月中旬~12月上旬 |
| 暖地 (九州・四国など) | 9月上旬~9月下旬 | 10月下旬~12月下旬 |
(※上記の時期はあくまで一般的な目安です。近年の気候変動や、その年の天候によっても最適な時期は変動します。)
寒冷地では、冬の到来が早いため、種まきを夏(7月)に開始し、秋の早い時期(9月下旬~10月)には苗の植え付けを完了させる必要があります。これは、厳しい冬が来て根雪(ねゆき:春まで溶けない雪)になる前に、地中にしっかり根を張らせるための、非常に重要なスケジュールなんです。
逆に暖地では、秋が長く、冬の寒さも比較的穏やかなため、植え付け時期の余裕が少しありますね。ただし、9月や10月になっても気温が高い日が続くと、植え付けた苗が徒長しやすくなるので、その点だけ少し注意が必要かもしれません。
失敗しない良い苗の選び方

園芸の世界には「苗反証(なえはんしょう)」という言葉があるそうです。これは「その花の一生のうちの半分は、苗の状態ですでに決まっている」という意味。つまり、どれだけ丁寧に育てても、最初に選んだ苗が不健康であれば、良い結果を得るのは難しい、ということですね。
良い苗を選ぶための、最も重要で簡単なチェックポイントがあります。それは、「ポット(苗が入っている黒い容器)の土の硬さ」です。
チェックポイント1:根の状態(ポットの硬さ)
これが一番重要です。ポットを軽く横から握ってみてください。
良い苗・悪い苗のチェックポイント
- 良い苗: ポットを持ったとき、土が硬く締まっている。これは、根がポット全体に健康的にびっしり張っている証拠です。ポットの底穴から、白くて健康的な根が少し見えている状態なら最高ですね。
- 悪い苗: ポットを持ったときに、土が柔らかく「ふにゃっ」とした感触がする。これは、根が十分に張っていない(=植えられてから日が浅い)か、すでに根腐れなどで傷んでいる可能性が高いサインです。
ポットの底穴を覗いて、根が茶色く変色していたり、黒くなっていたりするものは、根腐れや根詰まりを起こしている可能性があるので避けましょう。
チェックポイント2:地上部の状態(徒長と葉色)
次に、地上部(葉や茎)をチェックします。
- 徒長(とちょう)していないか
茎が間延びせず、節と節の間がキュッと詰まっている、ずんぐりむっくりした株を選びましょう。ひょろひょろと上に伸びている苗は、日照不足の環境で育った可能性があり、植え付け後に倒れやすくなります。植物が徒長する原因と対策も知っておくと役立ちますよ。 - 葉の色と状態
葉の色が濃く、ツヤがあるのが健康な証拠です。葉が黄色がかっていたり、縁が茶色くなっていたりするものは、肥料切れや根の障害が起きている可能性があります。また、葉に白い斑点や模様が入っている場合、病気(うどんこ病など)の初期症状かもしれません。 - 害虫がいないか
新芽や葉の裏をよく見て、アブラムシなどの害虫がいないかもしっかりチェックします。 - 根元の状態
株元の茎がしっかりしていて、グラグラしないものを選びます。根元が変色していたり、細くくびれていたりする苗は、病気(苗立枯病など)の可能性があります。
まずはポットを軽く握ってみて、根の健康状態を確認する。これが失敗しない苗選びの最大の秘訣かなと思います。
パンジーの植える時期と育て方の要点
最適な時期に健康な苗を植え付けたら、いよいよ育てていきます。パンジーの本当の魅力は、なんといってもその開花期間の長さ。秋から翌年の春(5月頃)まで、半年以上にわたって次々と花を楽しむために、植え付け後の管理の要点(土づくり、株間、水やり、肥料、花がら摘み)をしっかり押さえていきましょう。
植え付けの土づくりと株間

パンジーは、基本的な「日当たりと水はけのいい場所」を好みます。特に冬越しをする上で、ジメジメした環境は厳禁。水はけの良さ(排水性)は、根腐れや根の凍結を防ぐために非常に重要です。
土づくり(地植え・鉢植え)
地植え(花壇)の場合は、植え付け場所の土を深く(30cmほど)耕します。日本の土は雨で固まりやすいので、そこに「腐葉土」や「完熟堆肥」を土全体の3~4割ほど、たっぷり混ぜ込みます。これで土に空気が含まれ、水はけと水持ちのバランスが良い「団粒構造」のフカフカな土になりますよ。植え付けの1~2週間前に作業を終えておくと、土がなじんでベストです。
鉢植え(プランター)の場合は、市販の「草花用培養土」を使うのが一番簡単で間違いありません。もし土を自家配合する場合は、「赤玉土(小粒)6:腐葉土3:バーミキュライト1」のような、水はけを意識した配合がおすすめです。
元肥(もとごえ)の重要性
パンジーは半年近く咲き続けるため、非常に多くの養分を必要とします。植え付け時に、土にあらかじめ肥料を混ぜ込む「元肥(もとごえ)」を忘れずに入れましょう。これは、これから長く効く「基本食」のようなものです。
ゆっくり長く効くタイプの緩効性肥料(マグァンプKなど、製品の規定量を守ってください)がおすすめです。根に肥料が直接触れると「肥料焼け」を起こす可能性があるので、必ず土にしっかり混ぜ込むか、根から少し離れた場所に施すようにします。
株間(20cm vs 15cm)
苗を植え付ける際の「株間(かぶま)」、つまり苗と苗の間の距離も大切です。どれくらいこんもりさせたいかで決めると良いですね。
| 基本の株間:20cm | 応用(密植):15cm | |
|---|---|---|
| メリット | 春に大きく育っても風通しが良く、病気になりにくい。管理が楽。 | 植えてすぐにボリュームが出て、見栄えが豪華になる。 |
| デメリット | 植え付け直後はスカスカに見える。 | 春に混み合いすぎ、蒸れて病気(灰色カビ病など)のリスクが高まる。 |
| おすすめ | 初心者の方、長期的に健康に育てたい方。 | 短期間で花いっぱいにしたい方、こまめな管理ができる方。 |
寄せ植えの場合は、他の植物とのバランスもあるので15cm間隔、あるいはもっと詰めて植えることもありますが、パンジー単体で花壇に植えるなら、私は初心者の方には管理がしやすい20cm間隔を推奨します。
肥料と水やりの頻度

パンジーの管理で差が出やすいのが、水やりと追肥(ついひ)です。特に冬と春でメリハリをつけるのがコツですね。
水やりの基本(地植え vs 鉢植え)
水やりは、植え付け場所によって大きく異なります。
- 地植えの場合: 植え付け直後の2週間(根付くまで)は、土の表面が乾いたら水を与えます。しかし、一度しっかりと根付けば、その後の水やりは基本的に「不要」です。日本の降雨だけで十分育ちます。例外として、真冬に晴天が続いて地面がカラカラに乾燥している場合にのみ、暖かい日の日中に水を与えてください。
- 鉢植えの場合: 鉢植えは地植えと異なり、水切れを起こしやすいため、定期的な水やりが必須です。「土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与える」のが基本ルールです。「常に湿っている」状態は根腐れの原因になるので、メリハリが大切です。
季節ごとの水やりタイミング
水やりをする「時間帯」も、季節によって変える必要があります。
冬の水やりは「朝遅く」が鉄則
水やりには「夏の水やりは朝早く、冬の水やりは朝遅く」という園芸の鉄則があります。冬場、早朝の気温が低い時間帯(霜がまだ溶けていない時間など)に水やりをすると、水が土の中で凍り、根が深刻なダメージ(凍害)を受ける可能性があります。
冬の水やりは、日中の気温が上がり始めた「朝遅く」(午前10時頃など)に行い、夕方までには土の表面が乾くくらいが理想です。これが植物にとって最も安全な方法です。
追肥(固形と液体)の使い分け
植え付け時の元肥だけでは、半年間咲き続ける養分は不足します。生育の様子を見ながら、追加で肥料を与える「追肥(ついひ)」が必要です。これには、効き方の異なる2種類の肥料を使い分けると非常に効果的です。
- 固形肥料(緩効性): 1~2ヶ月に1回、株元(根元から少し離した場所)に置くタイプの肥料です。水をやるたびに少しずつ溶け出し、長期間ゆっくりと効果が持続します。これは株の体力を維持するための「基本食」のようなものですね。
- 液体肥料(速効性): 1~2週間に1回(冬場は株の成長が緩やかなので3~4週間に1回でOK)、水で薄めて、水やりの代わりに与える肥料です。即効性が非常に高い反面、効果の持続力はありません。これは、株の「栄養ドリンク」のようなものです。特に、花数が一気に増える春先(3月以降)に定期的に与えると、次々と花を咲かせる大きな助けとなります。
肥料のやりすぎは、逆に株を弱らせたり、根を傷めたりする原因になるので、必ず製品に記載されている規定量を守ってくださいね。
長く咲かせる花がら摘みの方法

パンジーを長く楽しむために、水やりや施肥よりも重要かもしれない作業が、この「花がら摘み」です。これはもう、絶対に欠かせない作業ですね。
目的は、単に見た目を美しく保つだけではありません。最大の目的は、植物が「種」を作るのを防ぐことです。
パンジーは花が終わると、子孫を残すために種(タネ)を作ろうとします。この種づくりには、私たちが想像する以上に膨大なエネルギーが必要です。そのため、種を作らせてしまうと、株は「子孫を残した」と安心してしまい、「もう新しい花を咲かせなくてもいいや」と、新しい花を咲かせる体力がなくなってしまうんです。
正しい摘み方(茎の根元から)
花がら摘みで最もよくある間違いは、花びらだけを摘み取ってしまうこと。これでは、種を作る「子房(しぼう)」が残ってしまうので、効果は半減です。
正しい方法は、「花だけではなく、茎をつけて根元から摘み取る」ことです。花びらがしわしわになったり、色が褪せたりしたら、その花の茎を根元までたどっていきます。すると、葉の付け根や、次のつぼみが出ている場所に行き着くはずです。その「付け根」から、茎ごと指で折り取るか、清潔なハサミで切り取ります。
地味な作業ですが、これをこまめに行うだけで、株のエネルギーが種づくりではなく「次の花を咲かせる」ことに使われるようになり、春の花数が圧倒的に増えますよ。
花がら摘みの副次的効果
花がら摘みには、他にも大切な役割があります。
- 病気予防: 枯れた花がらを放置すると、雨や水やりで濡れた際にカビが発生し、灰色カビ病などの病気の原因にもなります。
- 風通し改善: 枯れた部分を取り除くことで、株内部の風通しが良くなります。
- 見た目の維持: 単純に、枯れた花がない方が見た目も美しいですよね。
冬越しと霜対策のコツ

パンジーは耐寒性が強いとはいえ、日本の冬の環境、特に「強い霜」と「乾燥した寒風」は株にダメージを与えます。特に植え付けたばかりでまだ根が十分に張っていない株や、鉢植えで根が冷えやすい状態のものは注意が必要です。
地植えの防寒(ベタがけ)
最も簡単な防寒対策は、寒冷紗(かんれいしゃ)や不織布(ふしょくふ)を植物の上に直接かける「ベタがけ」です。これにより、強い霜が直接葉や花に当たるのを防ぎ、冷たい寒風による株の乾燥(水分が奪われること)も防げます。
ただ、常にかけっぱなしにする必要はありません。パンジーはある程度の寒さに当たることで丈夫に育つ(株が締まる)側面もあるため、天気予報を確認し、「氷点下5℃を下回るような強い寒波が数日間続く」といった場合にのみ、一時的に使用するのが現実的です。
また、株元に「腐葉土」や「バーク堆肥」でマルチングをして、地面の凍結を防ぐのも非常に効果的です。
鉢植えの防寒(軒下への移動)
鉢植えで管理している場合は、冬越しは非常に簡単です。鉢植えの最大の利点は「移動できること」ですからね。寒波が予想される場合や、日常的な霜よけとして、鉢を「日当たりが良く、霜に当たらない屋根下(軒下など)」に移動させるだけで十分です。軒下は、冷たい風や霜から株を守るための、冬における最良の置き場所となります。
もし軒下がない場合は、プランタースタンドなどで鉢を地面から離して(地熱からの冷えを防ぐ)、不織布をかけるだけでも違いますよ。
気をつけたい病気と害虫

パンジーは比較的丈夫な植物ですが、特定の環境下(特に春先の多湿や株の混み合い)では病気や害虫が発生します。これらの多くは、前述の「管理技術」を適切に行うことで「予防」することができます。
灰色カビ病
症状: 葉や花、茎に灰色の粉(カビ)がつき、やがて腐ったようになります。
原因と対策: カビが原因で発生します。これは、日当たりや風通しが悪いこと(密植しすぎ)、または「花がら摘み」を怠った結果、枯れた花がらが株元に落ちて腐敗することが主な原因です。まずは「日当たりと風通しの確保」「花がら摘みの徹底」で予防することが一番の対策です。発生してしまった部分は早急に取り除き、薬剤散布を検討します。
アブラムシ
症状: 春先に新芽や葉の裏、花のつぼみなどに緑色や黒色の小さな虫が群生し、植物の汁を吸います。
問題点: 汁を吸うことによる生育不良だけでなく、ウイルスを媒介して「モザイク病」などを引き起こすことがより深刻な問題です。
対策: 発生初期に見つけ次第、薬剤で駆除するか、手で取り除きます。植え付け時に土に混ぜるタイプの予防薬を使うのも一つの手ですね。簡単なアブラムシの駆除方法も知っておくと便利です。
ナメクジ、ヨトウムシ
症状: 花や葉が食べられます。特にナメクジは花びらが大好きですね。ヨトウムシは夜間に茎を食いちぎることもあります。
対策: どちらも夜行性です。ナメクジは夜間に見回って捕殺するか、専用の薬剤を鉢底などに置くことで防除します。ヨトウムシも夜行性で、日中は株元の土の中に隠れています。被害を見つけたら、株元の土を軽く掘って見つけ次第、駆除します。
これらのトラブルシューティングも、結局は「予防」が一番です。適切な日当たりと風通しを確保し、花がらをこまめに摘んで株を清潔に保つ、といった基本的な管理を丁寧に行うことで、発生をかなり抑えることができますよ。
この記事で紹介した育て方や時期は、あくまで一般的な目安や私の経験に基づいたものです。植物の品種、お住まいの地域の気候、栽培環境によって結果は異なる場合があります。
特に病害虫の薬剤を使用する場合は、必ず製品のラベルに記載されている指示(適用作物、希釈倍率、使用回数など)を厳守してください。判断に迷う場合は、お近くの園芸店やJA(農協)の指導員など、専門家にご相談されることをおすすめします。
パンジーの植える時期まとめ
パンジーの植える時期について、最適なタイミングと育て方の要点を、少し深掘りして解説してきました。
パンジー栽培の成功は、「パンジーの植える時期は、暦(こよみ)ではなく温度で決める」こと、そして「秋に植えて、春のために根を育てる」という意識を持つことが一番のポイントかなと思います。秋の適切な時期に植え付けて、冬の寒さが来る前にしっかり根を張らせてあげること。これが、春に株いっぱいの花を楽しむための最大の秘訣です。
パンジー植え付け時期の結論
- ベストシーズンは「秋」: 10月~11月が、苗の選択肢と根張りの時間を両立できる最適期。
- 「苗」か「種」か: 植え付けは「苗(10月~1月)」、「種まき(8月下旬~9月)」で時期が全く異なる。種まきは発芽適温15℃~20℃の温度管理が鍵。
- 良い苗を選ぶ: ポットが硬く、根がしっかり張っている苗を選ぶ。徒長していないかもチェック。
- 成功の鍵: 「花がら摘み」は茎の根元から。「冬の水やり」は霜が溶けた朝遅くに。
これらのポイントを押さえて、ぜひ今年の秋から、来年の春まで長く咲き続けるパンジーの栽培にチャレンジしてみてくださいね。手をかけた分、春の感動はひとしおですよ。
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