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こんにちは。My Garden 編集部です。
先端がほんのり赤く色づく、まるで「丹頂鶴」の頭のようなユニークな姿が魅力の「アリウム・丹頂」。個性的でありながらナチュラルな雰囲気もあって、お庭のアクセントにぴったりですよね。風にそよぐ姿は、なんとも言えない風情があります。
アリウム 丹頂の育て方を調べてみたけれど、「球根はいつ植えるのがベスト?」「植え付けの深さや間隔は?」「植えっぱなしでも大丈夫なのかな?」「花が終わったらどうすればいいの?」など、具体的な管理方法で迷うこともあるかと思います。
特に、アリウム丹頂は「高温多湿が苦手」と聞くので、日本の夏をどう乗り切るか、夏越しや掘り上げが必要かどうかは一番気になるところですよね。私も最初はそこが一番不安でした。
この記事では、アリウム丹頂の基本的な植え付け方から、年間の管理、水やりや肥料のタイミング、そして重要な夏越しの方法、分球での増やし方、病害虫の心配まで、育てる上でのポイントを、私の経験も踏まえながら分かりやすくまとめていきますね。
この記事のポイント
- アリウム丹頂の基本的な特徴と栽培スケジュール
- 鉢植えと地植え、それぞれの植え付けのコツ
- 植えっぱなしの是非と正しい夏越しの方法
- 花後の管理と分球での増やし方
アリウム 丹頂 育て方の基本
まずは、アリウム丹頂がどんな植物なのか、基本情報と栽培スケジュールを確認しておきましょう。植え付けの準備や病害虫についても触れていきますね。アリウム丹頂の育て方の基本さえ押さえれば、初心者の方でも十分楽しめますよ。怖がる必要はまったくありません。
アリウム丹頂の基本情報と特徴

アリウム・丹頂(たんちょう)は、学名を「アリウム・スファロセファルム(Allium sphaerocephalon)」という、ヒガンバナ科(またはネギ科)の球根植物です。秋に植えて、初夏(5月~7月頃)に花を咲かせる多年草ですね。学名の「スファロセファルム」は「丸い頭」という意味らしく、まさにその花の形を表しています。
(分類については、昔はユリ科に分類されていましたが、最近のAPG分類体系ではヒガンバナ科とされることが多いようです。ネギの仲間、と覚えておくと分かりやすいですね。)
なんといっても最大の特徴は、その花色です。小さな花の集まりが卵型(ボール状)になって、最初は全体が緑色なのですが、だんだんと先端(てっぺん)から赤紫色に色づいてくるんです。この緑から赤紫へのグラデーションがとても美しくて、この姿が丹頂鶴の頭を思わせることから、和名で「丹頂」と呼ばれているみたいですよ。切り花としても人気があり、水揚げも良くて比較的長く楽しめるのも嬉しいポイントです。
草丈は意外と高くて、約80cmほどにすっと細い茎を伸ばします。茎が細いので、風に揺れる姿がとてもナチュラルです。花壇の後方で背景として使ったり、他の草丈の低い草花(例えばオルレアやカスミソウなど)と組み合わせて高低差を楽しんだりするのにぴったりかなと思います。
アリウム丹頂の基本データ
- 分類:ヒガンバナ科(ネギ科)アリウム属
- 学名:Allium sphaerocephalon
- 和名:アリウム・丹頂、タンチョウアリウム
- 原産地:ヨーロッパ、北アフリカ、西アジアなど
- 草丈:約80cm
- 花径:約3cm(花の集まりの直径)
- 開花期:5月~7月頃
- 耐寒性:強い(寒冷地でも防寒なしで越冬可能)
- 耐暑性:やや弱い(高温多湿を嫌う)
育てる上での大きなポイントは、耐寒性は強いけれど、高温多湿を嫌うという性質です。原産地が夏に乾燥する地中海沿岸地域なども含まれるため、日本のジメジメした梅雨や夏は、休眠中の球根にとってとても苦手な環境なんですね。この点が、日本の夏をどう越すか、という管理の鍵になってきます。
栽培カレンダーと植え付け時期
アリウム丹頂の栽培は、秋の球根植え付けからスタートします。涼しくなってきて、ガーデニング作業がしやすい時期ですね。一年間の大まかな流れはこんな感じです。
| 作業 | 時期(目安) | 主な作業内容 |
|---|---|---|
| 植え付け | 10月~11月 | 球根を植え付けます。寒さが本格化する前に土の中で根を張らせます。 |
| 生育・追肥 | 3月下旬頃~ | 芽が出て葉が伸びてきたら、追肥(お礼肥え)をします。 |
| 開花 | 5月~7月頃 | 先端から赤紫色に色づく花を楽しみます。 |
| 花後の管理 | 開花後すぐ | 花がらを摘み取り、葉は残して球根を太らせます。 |
| 掘り上げ | 6月~7月頃 | 葉が黄色く枯れ始めたら、球根を掘り上げます。 |
| 乾燥・貯蔵 | 掘り上げ後~秋 | 風通しの良い日陰で乾燥させ、秋の植え付けまで保存します。 |
一番大切なのは、植え付け時期の10月~11月を逃さないことです。これが早すぎると(例えば9月など)、まだ気温が高くて球根が土の中で傷んだり腐ったりする可能性があります。逆に遅すぎると、冬の寒さが本格化する前に球根が十分に根を張れず、春からの生育が遅れたり、株が弱ったりする原因になるかも。紅葉が始まるくらいの時期がちょうど良いかもしれませんね。
そしてもう一つの山場が、開花後の「掘り上げ」と「乾燥・貯蔵」です。これは高温多湿の夏を越すための重要な作業になります。
植え付けの場所と用土の準備
アリウム丹頂が嫌うのは「高温多湿」。この一言に尽きます。つまり、育てる場所で一番大事なのは、日当たりと「水はけ」、そして「風通し」、この3点セットです。
場所選び
日当たりが良い場所を選びましょう。日光が足りないと、茎がひょろひょろと間延び(徒長)したり、花付きが悪くなったりします。
ただ、夏に強い西日がガンガン当たるような場所は、土壌の温度が上がりすぎて球根が消耗してしまう可能性があるので、できれば避けたいところです。理想を言えば、午前中に日がしっかり当たり、午後は建物の陰などで少し日差しが和らぐような場所(半日陰)がベストかもしれません。
そして、意外と見落としがちなのが「風通し」です。湿気がこもる場所だと、土が乾きにくく、それだけで球根が弱る原因になります。壁際や植物が密集しすぎている場所は避けた方が無難ですね。
用土の準備
用土は、とにかく水はけの良さを最優先に考えます。
- 鉢植えの場合:市販の「草花用培養土」で基本的には大丈夫です。もし、水はけが少し心配な培養土なら、赤玉土(小粒)や鹿沼土、パーライトなどを1~2割混ぜて、水はけ性能をアップさせてあげると良いかなと思います。鉢底には必ず「鉢底石」を敷き、その上に「鉢底ネット」を置いて土が流れ出ないようにしてください。
- 地植えの場合:植え付けの1~2週間ほど前に、腐葉土や堆肥をすき込んで、土をふかふかにしておきます。日本の土壌は雨によって酸性に傾きがちなので、アリウムが好む弱アルカリ性~中性の土壌にするため、一緒に「苦土石灰(くどせっかい)」もまいて、土壌を中和させておくのがおすすめです。苦土石灰は植え付けの直前だと根を傷めることがあるので、早めにまいて土によく混ぜ込んでおきましょう。特に粘土質で水はけが最悪…という場合は、パーライトや軽石、川砂なども多めに混ぜ込むなど、しっかりとした土壌改良が必要です。
水はけの良い土づくりは、本当にガーデニングの基本ですよね。アリウム丹頂を成功させるには、ここの一手間がすごく大事だと思います。
鉢植えと地植えの植え方

さあ、用土の準備ができたら、いよいよ10月~11月の植え付け適期に球根を植え付けます。球根は、カビが生えていたり、ブヨブヨしたりしていない、硬く締まったものを選びましょう。
植え付けの共通ポイント
- 深さ:一般的に、球根の高さの約2つ分の深さが目安です。(球根がもし高さ3cmなら、球根の頭が地表から6cm下になる位置に植えるイメージ)。浅すぎると乾燥しやすく、冬の寒さの影響も受けやすいです。深すぎると芽が出てくるのが大変になるので、この「球根2つ分」が目安ですね。
- 向き:球根には上下があります。よく見ると、尖っている方が上(芽が出る方)で、平らで根っこが生えていたような跡がある方が下(根が出る方)です。もし分かりにくくても、最悪、横向きに植えておけば大抵はうまく上に向かって芽を出してくれますよ。
- 肥料:植え付け時に、土にゆっくり効くタイプの「元肥(もとごえ)」を混ぜ込んでおきます。リンサン(P)やカリ(K)が多めの緩効性化成肥料(マグァンプKなどが有名ですね)がおすすめです。ただし、肥料が球根に直接触れると「肥料焼け」を起こすことがあるので、球根の少し下にまくか、土全体に混ぜ込むようにしましょう。
鉢植えの場合
鉢植えは、水切れに注意が必要ですが、梅雨の時期に軒下に移動させて雨を避けられるなど、管理がしやすいのが最大のメリットですね。草丈が80cmほどになるので、倒れないようにある程度の重さと深さがある鉢(深鉢タイプやテラコッタ鉢など)がおすすめです。
標準的な6号鉢(直径18cm)なら、5~8球くらい植えられるかなと思います。少し密植気味に植えた方が、咲いたときに華やかですよ。
地植えの場合
地植えの場合、植え付けの「間隔」についてですが、実は明確な情報があまり見当たらないんです。ただ、これまでの情報(草丈80cm、花径3cm)から推測すると、アリウム丹頂は茎が細く高く伸びる割に、花は小さめです。
なので、ポツン、ポツンと10cmも20cmも離して植えるよりも、ある程度まとめて植えた(密植させた)方が、咲いたときにお互いが支え合い、風情のある景色になると思います。球根1個~2個分(5~10cm程度)の間隔で、5球以上を一つのグループとして植えると、ナチュラルな雰囲気が出てきれいですよ。茎が細いので、お互いが支えになって倒れにくくなる効果も期待できます。
植え付けた後は、鉢植えも地植えも、たっぷりと水やりをして、土と球根をしっかりと密着させてあげましょう。これで植え付けは完了です。
病害虫の心配について
ガーデニングでいつも悩まされるのが病気や害虫ですが、アリウム丹頂は、その点で非常に優秀な植物だと言えます。
アリウムはネギやニンニクの仲間なので、植物全体に特有の匂い(アリシンなど)があります。この匂いを嫌ってか、アブラムシなどの害虫がつきにくく、病気にも強いとされています。バラの近くに植えるとアブラムシ除けになるコンパニオンプランツとして使われることもあるくらいです。薬剤散布などの手間がほとんどかからないのは、育てる上で本当に嬉しいポイントですよね。
ただし、そんなアリウム丹頂でも注意点が一つだけあります。それは、ここまで何度も触れている「蒸れ」による球根の腐敗です。
唯一の弱点「過湿による腐敗」
病害虫はほぼ心配ないのですが、高温多湿の環境で土がずっとジメジメしていると、球根が腐ってしまうこと(軟腐病など)があります。これは病原菌が原因というより、環境が原因で起こることがほとんどです。
一度腐ってしまった球根は、残念ながら元に戻りません。やはり、「水はけの良い土」と「風通しの良い場所」で管理し、夏越しは「掘り上げる」。これが一番の予防策になりますね。
アリウム 丹頂 育て方の年間管理

植え付けが無事に終わったら、次は春の開花に向けた、そして花後の大切な年間管理です。冬は地上部には何もないか、少し葉が出ている程度で、土の中でじっと春を待っています。本格的な管理は春からですね。水やりや肥料のタイミング、そして一番の難関(?)かもしれない「夏越し」について、詳しく見ていきましょう。
水やりと肥料のタイミング
植え付け後の水やりと肥料は、生育のステージに合わせて行うのが鉄則です。メリハリが大事ですよ。
水やり
水やりは、鉢植えと地植えで考え方が大きく異なります。
- 鉢植え:土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えるのが基本です。ただし、球根植物は過湿を嫌うので、土が常に湿っている状態にはしないよう注意してくださいね。<季節ごとのメリハリ>・冬(休眠期):地上部は何もないか、葉が少し出ている程度。水の吸い上げも少ないので、かなり乾かし気味(月に1~2回程度、土の表面がカラカラに乾いて数日経ったらあげるくらい)で大丈夫です。やりすぎは厳禁です。・春(生育期):3月頃から芽が動き出し、葉がぐんぐん伸びてきます。この時期は水を欲しがるので、土の表面が乾いたらたっぷりあげてください。水切れさせると花茎が伸びないことも。・花後~葉が枯れるまで:花が終わっても、葉が枯れるまでは球根を太らせるために水やりを続けます。
・葉が枯れた後(掘り上げ前):掘り上げる場合は、水やりをストップして土を乾燥させます。
- 地植え:植え付け時にたっぷり水をあげたら、その後は基本的に水やりは不要です。自然の雨だけで十分育ちます。日本の気候なら、秋植え球根は雨水だけで十分なんですね。ただし、春先に芽が出てきたのに、何週間も雨が降らず、土がカラカラに乾ききっている時だけは、さすがに水やりをしてあげましょう。
肥料(追肥)
肥料は、植え付けの時の「元肥」のほかに、もう一度だけ「追肥(ついひ)」をします。
タイミング:芽が出て葉が伸びてくる時期(3月下旬頃)がベストです。
目的:これは、これから花を咲かせるためのエネルギー補給と、花が終わった後に球根を太らせるための「お礼肥え」を兼ねています。この時期の栄養が、花付きの良さや、来年の球根の大きさに影響します。
種類:緩効性化成肥料(チッソ・リンサン・カリがバランスよく入ったもの)をパラパラと株元にまくか、週に1回程度、草花用の液体肥料を与えます。球根を太らせる目的なら、カリウム(K)が多めの肥料が良いとも言われますね。
肥料のやりすぎ(特に窒素)に注意!
早く大きくしたいからと肥料(特に窒素:N)をやりすぎると、「葉肥え(はごえ)」といって葉ばかりが茂って茎が軟弱になり、細い茎が雨風で倒れやすくなることがあります。また、球根が腐りやすくなる原因にもなるので、追肥は控えめに、「ちょっとあげる」くらいが基本ですね。
花が終わったらすべきこと

初夏にきれいな花が咲き終わったら、次のシーズンに向けてとても大切な作業があります。これをやるかどうかで、来年も咲いてくれるかが決まると言っても過言ではありません。
まず、咲き終わった花(花がら)は、見た目も悪いですし、そのままにしておくとタネができてしまい、そちらに余計な栄養が使われてしまいます。来年のために球根に栄養を集中させたいので、花茎の付け根(葉っぱが出ている根本)から切り取ります。
ここで、一番大事なポイントがあります。それは、緑色の葉はまだ絶対に切らないことです。
葉は「球根の栄養工場」
花が終わった後も、緑色の葉はまだ生きています。この葉が、太陽の光を浴びて光合成を続けて、その栄養をせっせと球根に蓄えているんです。いわば、葉が「来年のための栄養工場」になっているんですね。
この時期に、花が終わったからと葉まで一緒に切ってしまうと、球根が太ることができず、来年は花が咲かなくなってしまうかもしれません。葉が光合成を終えて、栄養を球根に送り切り、自然に黄色く枯れてくるまで(だいたい梅雨入り前頃)、水やり(鉢植えの場合)を続けながら、ぐっと我慢して見守りましょう。「ありがとう、来年もよろしくね」と思いながら栄養を蓄えてもらいます。
夏越しは植えっぱなしで平気?
アリウム丹頂の育て方で、誰もが悩み、意見が分かれる一番の疑問点がここかもしれません。「夏越しは植えっぱなしでいいの?」という問題です。
私の考えとしては、「掘り上げた方が圧倒的に安全」かなと思います。
その理由は、アリウム丹頂が「高温多湿」が本当に苦手な植物だからです。日本の梅雨から夏にかけてのジメジメした高温多湿の環境は、休眠期に入った球根にとって最悪の環境なんです。日本の夏は、特に太平洋側で高温多湿になることが知られています。この環境がアリウム丹頂の球根には本当に厳しいんですよね。
土の中で球根が腐ってしまったり、蒸れて弱ったりして、秋には消えてなくなっていた…というリスクが非常に高いです。
もちろん、「うちは5年以上植えっぱなしでも毎年咲いてるよ」というお庭もあるようです。それは、おそらく砂地で水はけが抜群に良い土壌だとか、夏が涼しく乾燥する気候(寒冷地や高地など)だとか、その土地の気候がたまたま合っているとか、ラッキーな条件が揃っている場合かなと推測します。
植えっぱなしの二大リスク
水はけが悪い場所で植えっぱなしに挑戦すると、球根が腐る可能性がかなり高いです。「うちは水はけに自信がある」という場合でも、もう一つのリスクがあります。
それは、植えっぱなしにすると球根がどんどん分球(分裂)して小さくなりすぎることです。球根が小さくなりすぎると、花を咲かせるだけの体力がなくなり、花数が減ったり、ついには咲かなくなったりする「球根疲労」という状態になる可能性が示唆されています。
特に東京などの暖地で、大切に毎年きれいな花を咲かせたい場合は、少し手間ですが、次の「掘り上げ」を行うことを強くおすすめします。この一手間が、来年もあの可愛い花に会うための保険だと思っています。
掘り上げの時期と保存方法

日本の過酷な夏(梅雨)が本格化する前に、球根を安全な場所へ避難させてあげるのが「掘り上げ」です。難しくないので、ぜひトライしてみてください。
掘り上げ時期:花が終わり、光合成を終えた葉が黄色く枯れ始めた頃(だいたい葉の2/3くらいが黄色くなったら)。6月~7月頃が目安です。葉がまだ青いうちに掘り上げるのは、栄養補給の途中なので早すぎます。逆に梅雨に入って雨が続きすぎると、土が濡れて掘りにくいですし、土の中で腐り始めるリスクも高まるので、タイミングが重要ですね。
掘り上げと保存の簡単ステップ
- 掘り上げる:作業は、土が乾いている晴れた日を選びます。球根を傷つけないように、株元から少し離れた場所にスコップを入れ、土ごと優しく掘り上げます。
- 土を落とす:掘り上げたら、根や球根についている土を優しく手で落とします。この時、枯れた葉や茎も付け根から取り除きます。
- 乾燥させる:ここが重要です。掘り上げた球根は、絶対に水洗いしないでください。水洗いすると球根に傷がつき、そこから腐敗菌が入る原因になります。土が多少ついていた方が、球根の薄皮を傷めず、保存中のカビ予防にもなります。雨が当たらない、風通しの良い「日陰」で数日間(1週間ほど)しっかりと乾燥させます。直射日光は球根を傷めるので厳禁です。
- 保存する:十分に乾燥したら、ネット袋(玉ねぎやミカンが入っていた袋が最適です。通気性が抜群なので)に入れます。もしなければ、穴を開けた紙袋でも大丈夫です。ビニール袋は蒸れるのでNGです。それを、雨が当たらず、風通しが良くて、なるべく涼しい日陰(例えば、物置の棚の上や、家の北側の軒下など)で吊るして保存します。
- 秋に植える:そして夏を越し、秋になって涼しくなり、植え付け適期(10月~11月)になったら、再び植え付けます。
この一手間が、アリウム丹頂を毎年楽しむための最大のコツかもしれません。
分球での増やし方

アリウム丹頂は「分球(ぶんきゅう)」で比較的簡単に増やすことができます。分球とは、親球(お母さん球根)のまわりにできた小さな子どもの球根(小球根)を分けてあげることです。
作業のベストタイミングは、掘り上げた直後ではなく、秋の植え付け時(10月~11月)です。
夏の間、乾燥・保存しておいた球根を秋に取り出してみると、親球の横に小さな球根がくっついていて、手で触ると自然にポロっと分けられることがあります。この「自然に分かれるもの」だけを分けて、親球と同じように植え付けます。
掘り上げた直後に無理に引きはがそうとすると、まだくっついている部分が傷つき、そこから腐ってしまう可能性があります。秋まで待つと、自然に分かれやすくなっているので、それが一番安全で確実な方法ですね。
植えっぱなしにしている場合も、数年に一度(3~4年に一度くらい)掘り上げてみると、土の中で球根が密集しすぎていることがあります。そのままだと栄養の奪い合いになったり、風通しが悪くなったりするので、その場合も同様に、秋に掘り上げて、分球して植え直してあげると、株が若返って再び花が咲きやすくなりますよ。
小さな球根は、咲くまで気長に
ただし、分球した小さな子どもの球根は、まだ花を咲かせるだけの体力が十分ではありません。植え付けた年にすぐ花が咲くとは限らず、花が咲くまでに1~2年、場合によっては2~3年かかることもあります。
植えたのに葉っぱだけしか出てこない年があるかもしれませんが、それは失敗ではなく、土の中で球根が太っている証拠。「来年か再来年、待ってるよ」と、気長に育てる楽しみ方になりますね。
アリウム 丹頂 育て方の重要点
最後に、アリウム 丹頂の育て方で特に押さえておきたい重要なポイントを、もう一度おさらいしますね。
いろいろとお話ししてきましたが、私が思う一番のポイントは、やはり「いかに日本の高温多湿な夏を乗り切らせるか」、これに尽きるかなと思います。
アリウム丹頂 栽培成功への3つの鍵
- 植え付けは「水はけの良い土」に徹底する:これが夏越しの成功率を左右する最初のステップです。地植えなら苦土石灰での土壌中和も忘れずに。
- 花後は「葉を切らない」で我慢する:葉が黄色く枯れるまで我慢して、球根に栄養をたっぷり蓄えさせることが、来年の花につながります。
- 夏越しは「掘り上げ」が最も安全:特に暖地や、水はけに少しでも自信がない場所では、梅雨前に掘り上げて、秋まで乾燥保存するのが一番確実で安全な方法です。
この3点をしっかり守れば、アリウム丹頂は病害虫の心配もほとんどなく、手がかからない、とても育てやすい植物だと思います。
すっと伸びた細い茎の先に、先端からじんわりと赤く染まるユニークな花が揺れる姿は、ナチュラルなお庭にも、モダンなお庭にも不思議とマッチします。お庭の素敵なアクセントになってくれるはずですよ。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
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